私の「認識台湾」

個人的な旅行(写真)の記録を主眼としつつも、実態は単なる「電子落書き帳」・・・・

米国筋、台湾に再三警告~中台軍事バランス崩壊の懸念

2005年09月23日 | 台湾

「六カ国協議」もようやく共同文書にこぎつけてやれやれ・・・・と思いきや24時間も経たないうちに不渡り手形の気配も漂い、一方東シナ海ではガス田問題、朝晩が多少涼しくなっても<亜細亜東方の悪友>に引っ張りまわされる日々が変わる気配は一向にありませんね。
朝鮮半島~台湾海峡~カシミール~イラン~イラク~パレスチナ・イスラエルへと至る『不安定の弧』に関しては、イランの核問題もあり、もはや不安定を超えて『地雷原』と化しつつあるという覚悟が必要なのかもしれません。

◆「台湾防衛義務ない」 米国防総省高官、武器調達予算遅れ警告(産経)
◆台湾総統、アーミテージ前米国務副長官と会談(日経)
◆国防部、緊急記者会見を開く(なる台NEWS)
◆陳総統がマイアミに到着、デイド郡から「友好の鍵」(台湾週報)

中国の急速な軍拡を睨み、ラムズフェルド米国防長官から台湾側に対し軍事予算の「数値目標」勧告がなされていた件について先日ちょっと触れましたが、マイアミに立ち寄った陳総統が、アーミテージ前国務副長官やシュライバー元国務省次官補代理らからこの件に関して再度勧告を受けた模様です。同様の勧告は先に行われたサンディエゴの米台防衛産業会議の席でもなされており、短期間に再三このような警告がなされているのは極めて異例とのことです。

・「台湾に自己防衛の意思がなければ、米国に台湾防衛の義務はない」(米国防省高官)
・「米国は台湾関係法に基づき台湾海峡の安全を護っている。もし台湾が国防に投資しないのなら、今後米国の立場は難しくなる」(シュライバー元国務省次官補代理)
・「(軍事予算案の)国会での通過を望む」(アーミテージ前国務長官)
アーミテージ前国務長官「は04年12月にも、「台湾関係法に米の台湾防衛規定はない」と陳総統に警告したことがありますが、前回と今回ではその背景と発言の意図は全く異なります。前回は「台湾が中国を挑発して戦争になったとしても、米国は関与しませんよ!」という陳総統を牽制する発言だったのに対し、今回は「中国の急速な軍拡で台湾海峡の軍事バランスは中国に傾きつつある。台湾が防衛の意志を見せないのであれば国内的にもかばいきれなくなるかもしれませんよ!」という警告です。

「台湾関係法」という摩訶不思議な米国の国内法の正式名称は、「米国国民と台湾住民の間の商務・文化およびの他の関係を維持し、西太平洋の平和・安全の確保に協力し、あわせて米国の外交政策およびその他の目的を促進する権限を付与する法律」という長ったらしいものですが、この法律の主眼は、中国が侵攻を諦める程度に台湾側の軍事バランスを優位に保ち、両岸の軍事的中立状況を保つ点にあります。そのために米国は「台湾人民の安全または社会、経済の制度に危害を与えるいかなる武力行使または他の強制的な方式にも対抗しうる合衆国の能力を維持」(同法第二条B項〈6〉)したうえで、「防御的な性格の兵器を台湾に供与」(第二条B項〈5〉)するということになっている訳です。「平和手段以外によって台湾の将来を決定しようとする試みは、ボイコット、封鎖を含むいかなる方式も、西太平洋地区の平和と安定に対する脅威であり、合衆国の重大関心事」(第二条B〈4〉)とはうたっているものの、台湾の防衛を米国が請け負うとは一言も書かれていません。ここが断交前に締結されていた「米華相互防衛条約」との決定的な違いであり、この「綱渡り的曖昧さ」によって、米国は中国と国交を持ちつつも、台湾との関係と両岸の平和を保ってきました。
国務省の高官は、「台湾関係法で米国が義務を負うのは自主防衛への協力だけであり、台湾の防衛に米国が一方的な義務を負っているわけではない」と念を押していますが、要は「米国はは北京の圧力をかわしたうえで、台湾からの陳情に基づいて毎年武器の選定を行い、各種データや訓練の機会等も提供している。さらには現役の軍人まで台湾に派遣しているのに、無責任に自主防衛の備えを怠って責め込まれても、合衆国は面倒見きれませんよ!」という警告でしょう。「台湾関係法」という法律の前提を崩しかねない話であるという点ではもっともなことですし、再三このような警告が発せられているということは、中台の軍事バランスが中国側優位に傾きつつあるとの懸念がそれだけ高まっているということに他なりません。
米国側の国防に関することを政争の種にするなという批判も正論であり、国民党を中心とする野党筋がこの特別予算に29回も反対するというのはちょっと異常です。「反戦平和、自衛隊反対!」を声高に唱える日本の左翼勢力は、旧ソ連が旧東欧に軍事侵攻した事例を参考に、日米同盟を初めとして日本の国防意識を失わせることで、共産勢力による「日本解放」を企てていると言われますが、それと同じ意図ではなかろうかと疑わざるを得ません。
日本も台湾もそうした「内なる敵」と闘わざるを得ない点では共通していますが、台湾の場合は、陳総統が「台湾は毎日が映画13DAYSのようだ」と言っているように、対岸に730基ものミサイルを配備されているという洒落にならない状況下にあります。
陳総統は外遊の途上で思いお土産を渡された格好となりましたが、「防衛予算に反対する野党は台湾を中国に売り渡そうとする売国奴だ!」というネガティブキャンペーンでも張って国民に訴えたらどうなのでしょうか。 (9日に行政院大陸委員会が実施した両岸関係に関する世論調査では、「中国の軍拡は台湾および近隣諸国に脅威をもたらしている」と考えている人が63.1%と思ったより少ない数字となっていますが)
米国、日本としても、台湾海峡が「現状維持」して貰わないと非常に困るわけですが、この件は与党に原因があるのではなく、執拗に反対している野党の態度こそが問題でしょう。米国も国民党とは長年腐れ縁だった旧知の仲でしょうし、そちらに真意を質す方が早計なのではないでしょうか。下院が陳総統の自由・民主・人権推進の取り組みに対して表彰したばかりで少々寝覚めは悪いかもしれませんが・・・・

※写真・・・・米国で「人権賞」を受賞した陳総統

とりあえずは陳総統、おめでとうございます!


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1 コメント

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これはねえ~~ (kyouji)
2006-04-02 16:39:41
トラックバックありがとうございます。

 陳総統も困ったでしょうね。^^;

 もちろん、陳総統をアシストするための発言でしょうけど、これで国会が回る訳でもないですしね。



 アメリカはまあ、関係国を利用してるって側面は否定はできないんですが、今、地球上で平和に、豊かに暮らすにはアメリカさんの産み出す秩序が大事な訳で、その辺、どう台湾の皆さんに理解してもらうのかがこれからの、本当の意味での課題でしょうか。

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