私の「認識台湾」

個人的な旅行(写真)の記録を主眼としつつも、実態は単なる「電子落書き帳」・・・・

台北で軍事予算成立要求デモ~他人事で済まない中国の覇権行動

2005年09月26日 | 台湾
反日暴動たけなわの頃は、「さ~て、来週のサザエ、いや反日暴動はwhere?」と不謹慎ながら野蛮な中国人の面目躍如たる活躍を密かに楽しみにしておりました。それが官製であったということの何よりの証拠なのですが最近はサッパリ音沙汰もなく何だか物足りなく思っておりましたところ、

◆香港市内で抗日デモ行進 柳条湖事件の記念日(朝日)

先週この記事見て色めき立ったのですが、5団体計20人余りとは・・・・余りにショボ過ぎて期待外れ(?)でしたが、こんな開店前のパチンコ屋の前の有象無象みたいな動きをどうやって朝日は拾ったのでしょうかねぇ?また、「反日デモ」でなく「抗日デモ」という表現がなされているのも目を引いたのですが、「反日」でなく「抗日」という表現だと、あたかも日本に責があるかのような錯覚に陥ります。この辺のレトリックも朝日の真骨頂といったところでしょうか。

◆軍備予算の成立求めデモ 台湾(産経)
◆陳総統、野党の防衛装備調達反対を批判(なる台NEWS)

日中韓をドラえもんの登場人物になぞらえ、日本=のび太、韓国=スネ男、中国=ジャイアンといった比喩を目にしたことがありますが、軍国主義・覇権主義のジャイアン、事大主義のスネ男に比べるともっとも「平和主義」であるのがのび太であるのは異論のないところです。しかしながら、漫画の場面では一向にのび太に平和が訪れることはありません。その最たる原因はのび太自身の「防衛力の欠如」にあります。ジャイアンに平和主義を説いても「人を見て法を説け」という空虚な話であり、同調させるのは難しい。ジャイアンが攻撃の意志を引っ込める程度の腕力と強靭な意志がのび太自身に備わっていれば、力の均衡は保たれ、毎週毎週コテンパンにやられずに済むわけです。
別にのび太にむやみに腕力をふるえとけしかけたいわけではありません。セオドア・ルーズベルト大統領だったでしょうか、「外交とはこん棒を振りかざしながら猫なで声で話をすることだ」といった趣旨の言葉を述べていましたが、六カ国協議にせよ、中国の度重なる侮日行動にせよ、(外征目的でない自衛のための)軍事力というオプションを背景に話ができない状況は正直忸怩たる思いがいたします。

台湾に関しては先日も危惧したばかりですが、さすがに平和ボケした日本人ほどではなかったようで、時事通信によると昨日台北市で推定5万人が「軍事予算を成立させ、軍備増強を要求するデモ」に参加したそうです。やれ反核だ、護憲だと喚き散らしている日本の「市民団体」の連中からすれば何とも「軍国主義的」な示威行動だと目を丸くするような話かもしれませんが、これこそが正しい現状認識に立った行動でしょう。
日本の自称「平和団体」とやらも、日本でギャンギャン喚かずに、中国の天安門前でデモをやるとか、後生大事な憲法九条を近隣諸国にセールスしてくるのならまぁ説得力もあろうかとは思いますが、彼らが言っていることは「歯の治療に通うのは嫌だから歯医者は要らない」と言っているのと寸分違いません。痛みを直視し、立ち向かう勇気を持たねば、台湾にしろ、日本にしろ、勿論のび太にも平穏な日々が訪れることは永遠にありません。
南米を外遊中の陳総統は、「野党による執拗な防衛装備調達案に対するボイコットの裏には野党指導者と中国政府との癒着がからんでいることは、国民の目から見ても明白だ」と野党の売国ぶりについて注目すべきコメントをしていますが、シーパワー志向の与党と、中国というランドパワーとの統一を目論む野党との対立が様々な局面で激化するのは今後も必至のようです。

◆中国 新たな離島演習場 広東省沿岸 台湾侵攻能力を強化 (産経)
◆中国軍拡 「何を目的に…」米国防次官が疑問(産経)
◆「中国の侵攻」も想定 陸自の防衛計画判明 北方重視から転換(朝日)
◆米軍再編協議、骨格固まる・抑止力強化色濃く(日経)

先日の中露合同軍事演習に続いて、中国は台湾侵攻の軍事演習を着々と進めている模様です。 中華民國(台湾)国防部が衛星画像を分析してつかんだ情報によると、金門、馬祖両島と地理的条件が告示した大●島(●=「護」の言を金)に、中華民國(台湾)空軍が保有するF16戦闘機の実物大模型二機を置き、西側約八キロの「海陵島」から小型ミサイルを撃ち込んだり、上陸したりする演習を繰り返しているとのことですから、かなり露骨な挑発的行為です。軍事予算に反対している台湾の野党筋は侵略の手引きをしていると非難されても反論の余地はないでしょう。
エーデルマン米国防次官が、「中国の軍拡はアジアの周辺諸国の(軍事面で)していること、あるいはなしうること、への対応をはるかに超えている」とコメントしているように、中国にとっての台湾侵攻は、あくまで手段であって最終目的ではないことに留意しておく必要があります。同次官は「中国の軍拡の最終目的については米国も完全な答えは得ていない」とすっとぼけていますが、もしラムズフェルド国防長官から、「中国の軍拡の最終目的について君の見解を述べよ」と問われて同じことを述べたとしたら、即解任であろうことは疑う余地がありません。台湾侵攻という第一ステップが第一列島線までの海洋覇権の確保、そしてそれを手がかりに第二列島線までの覇権の拡大を目論んでいることは素人目にも明白なことです。<参考:「中国の海洋戦略」(世界日報)>

そして、その中国の覇権拡大の過程においては、地勢的にも日本との衝突は必至です。昨年の防衛大綱に続いて、新たに陸上自衛隊の「防衛警備計画」では、
(1)日中関係悪化や尖閣諸島周辺の資源問題が深刻化し、中国軍が同諸島周辺の権益確保を目的に同諸島などに上陸・侵攻
(2)台湾の独立宣言などによって中台紛争が起き、介入する米軍を日本が支援したことから中国軍が在日米軍基地や自衛隊施設を攻撃
(3)中国側が1個旅団規模で離島などに上陸するケースや、弾道ミサイルや航空機による攻撃のほか、都市部へのゲリラ・特殊部隊(約2個大隊)の攻撃
が想定されているようですが、もはや脅威の対象は北方からではなく、中国・北朝鮮へと完全にシフトしたと断言しても差し支えないでしょう。
東シナ海のガス田の問題もありますし、明日「極東のフォークランド紛争」が勃発したとしてももはや不思議ではありません。警戒レベルと備えは首都圏直下型地震や東海沖地震と同程度のものが要求される段階にさしかかったと言えるのではないでしょうか。

※写真・・・・金門島古寧島戦史館

49年10月25日、金門島の古寧頭に上陸した人民解放軍を国民党軍が迎撃して撃退して現在に至っていますが、根本博元日本陸軍中将がこの作戦の裏で糸を引いていたとされています。

最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (笹団子)
2005-09-26 22:26:14
>5団体計20人余りとは・・・・余りにショボ過ぎて期待外れ(?)でしたが、

日朝平壌宣言後の私の町で「護憲」をアピールした団体もそんな程度でした。

リー・クワンユーによれば文革後に共産主義は低調になったとのこと。
返信する
Unknown (chestnut_forest)
2005-09-27 23:12:29
はじめましてこんばんは。栗林といいます。私のBLOGへのTBありがとうございます。さて、中国の拡大路線は本当に厄介な問題です。膨大な人口を養うために、また、己の政権の正統性の維持のために、世界中から資源をかき集め、他国への恫喝、侵攻を繰り返す。本当に恐ろしい国です。そんな中国の膨張を封じ込めるのに日本・韓国・台湾の連携が必要なのですが、韓国はどうも大陸勢力に呑まれてしまったような気が・・・。日本(の沖縄・南西諸島)・台湾のどちらか一方が中国に落ちれば、もう片方も確実に中国に呑まれるのは目に見えています。そんな危機的状況に未だ気づかぬ日本人が多いのが悲しいです。
返信する
現状認識の大切さ (tsubamerailstar)
2005-09-28 16:37:54
>笹団子様



日本の「護憲」政党とやらは、国民投票法に反対みたいですね。それって憲法の手続きを否定していて本末転倒と思うのですが・・・・・

改憲にしても、その際に自己主張してやるというポジティブな姿勢が何故とれないものやらですねぇ。



>栗林様



全く同感です。中国は自然保護何て観念がないようで、毎年岡山県に相当する面積が砂漠化しているんだそうですね。膨張主義の背景にはそんなところも関係しているのかもしれません。

まぁ、昔の国鉄と同じでヤバい域に達しているのは事実でしょうから、破綻する前に「分割民営化」したらどうかと思います。

返信する