私の「認識台湾」

個人的な旅行(写真)の記録を主眼としつつも、実態は単なる「電子落書き帳」・・・・

中台統一は永遠にあり得ない:陳水扁総統

2008年03月16日 | 台湾

チベットの騒乱が報じられていますが、写真も含め、 の報道が活字メディアでは群を抜いていますね。日本の報道のダメさ加減は言うに及びませんが、何が起きても(日経平均が下がろうが、円が90円代に突入しようが、隣国で弾圧事件が起きようが、これから私が大地震に見舞われようが)、万事「事態の推移を注視」するしか能のない福田政権──中共の武力弾圧を非難する声明を出すのが本筋ですが、外務省チャイナスクールも含め、「餃子の件もあるし、胡主席の訪日前で困ったな・・・・」位の認識しかないのでしょう。

◆Taiwan's Chen fires defiant parting shot over Chinese rule(FT.com)
◆チベット騒乱で中国当局を強く非難、台湾の陳水扁総統(日経)

<Taiwan is very unlikely ever to return to Chinese rule, Chen Shui-bian, Taiwan's outgoing president, said yesterday, claiming the preservation of the island state's de facto independence as his political legacy. "Some people may say the window of opportunity for Taiwan independence has already closed. But I agree even more with the view that the opportunity of Taiwan and the Chinese mainland merging, unifying, is becoming ever more remote," Mr Chen said.>
(陳水扁氏(退任する台湾総統)は昨日、台湾が中国統治下に戻ることは永遠にあり得ない、という見解を示し、自らの政治的遺産である、島の事実上の独立状態の保持を訴えた。「台湾独立のチャンスという窓は既に閉じられたという見方をする人もありますが、私自身は、台湾と中国本土が統一し、一つになる可能性の方がはるかにあり得なくなったという見方が正しいと思います)


英FT紙で陳水扁・台湾総統のインタビュー記事を発見。陳総統や行政院大陸委員会は中国当局のチベット弾圧行為を非難する声明を発しましたが、改めてむき出しになった「中国」の残虐さを、選挙一週間前の台湾市民はどう捉えたのでしょうね。

<Mr Chen, in an interview on Air Force One, his presidential aircraft, also challenged the claim China's Communist government inherited sovereignty over Taiwan when it won China's civil war against Kuomintang nationalist forces in 1949.>
(陳氏はエアフォースワンの機内でのインタビューで、1949年の国共内戦で勝利を収めた中国共産党が台湾の主権を継承したという主張への疑義も呈した)


陳総統は、カイロ宣言には日付や署名がなく、これを根拠とした領土の確定がその後なされていない、とその有効性に対する疑義を呈しています。連合国の対日基本方針となった同宣言ですが、単なるプレスリリースであるが故に当事者の署名もなされていませんし、法的効果を有していないのは明らかです。
陳総統が今回これをネタにしたのは、英国のチャーチル・元首相がカイロ会談の当事者の一人だったことを踏まえてのことでしょう。

<Taiwanese pro-independence campaigners have long argued that China never regained sovereignty over Taiwan after Japan's defeat in the second world war. However, this is the first time that a Taiwanese president has embraced the argument. Mr Chen claimed that Mr Churchill had said in the UK parliament in February 1955 that he did not agree with the view that China held sovereignty over Taiwan based on the declaration.>
(台湾独立派は、日本が第二次世界大戦で降伏した後、中国が台湾の主権を回復した訳では決してないと以前から主張していたが、台湾総統がこの議論を受け入れたのは初めてである。陳氏は、チャーチル首相が1955年2月の英国議会で、カイロ宣言に基づき中国が台湾の主権を有しているという主張に同意しないと述べた点を主張した)

歴代総統が「台湾地位未定論」に言及したことはなかった、という趣旨だろうと思いますが、日米両国の政府見解ではこれは常識で、いつだかワイルダーNSCアジア上級部長が「台湾の法的地位は未定である。従って国連加盟の余地は無い」という珍妙な見解を述べていた位です。
カイロ宣言に言及した国会答弁もありますが、サンフランシスコの講和条約がその上位概念であるというのが政府見解であり、そもそも領土の確定は講和条約によってがなされるわけですからね・・・・
中華民國の葉公超外交部長(当時)も日華平和条約について、「現在の状況では、日本は台湾および澎湖諸島をわが国に委譲する権利をもっていません。たとえ日本が望んでも、このような委譲をわが国が受け入れることもできないのです・・・」と立法院で答弁しているのですが、サンフランシスコ講和条約で旧日本領の最終的な処遇が明確にされなかったのは、「将来ほかの国際的な解決策によって解決されるまで棚上げ」(ダレス米国代表)にし、日本の国際社会への復帰を促進するという判断に基づいてのことでしょう。

何れにせよ、台湾の主権に関する解釈は重要であり、金門や馬租の法的地位が台湾・澎湖のそれとは異なる点も注意が必要です。米華相互防衛条約以来、合衆国が定義する「台湾」は金馬を含んでいませんので、安全保障面では細心の注意が必要だろうと思います。


   



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