私の「認識台湾」

個人的な旅行(写真)の記録を主眼としつつも、実態は単なる「電子落書き帳」・・・・

森元首相「特種大綬景星勳章」を受賞

2006年11月24日 | 台湾
季節は移ろい、自民党森派も気が付けば町村派に衣替えしておりますが、森元首相が『石川県の伝統工芸品展示会の開幕式、ならびに自著の絵本「アヒルのアレックス」中国語訳新書発表会などに出席』するという「文化交流を目的」に訪台されたようですね。
そう言えば、今私が月5千円程度で最大100Mbpsという光ブロードバンドの通信環境という恩恵にあずかっていられるのも、森氏が提唱(?)していた「IT(イット)革命」の賜物でしょうか。

◆Chen honors former Japanese PM(Taipei Times)
◆森元首相が訪台、陳総統より特種大綬景星勲章を授与(台湾週報)
◆陳総統が森元首相と会見、台日関係促進への多大な貢献に感謝(台湾週報)
◆風雅の都から伝統の技です 台北で「石川の工芸展」開幕(中日)
◆強い森喜朗首相への期待(中華週報)

森氏が首相に就任した当時の中華週報によると、「日本の小渕恵三首相が突然の病で入院した当初から森喜朗幹事長が首相に就任するまで、台湾の各紙は一面トップで克明に報じ、日本の政局への強い関心を示した。台湾では小渕前首相への評価は高く、また各紙とも森新首相への期待を強くにじませた紙面作りとなっていた」のだそうです。「長期政権への展望」は残念ながら外れたようですが、初当選以来の台湾との縁ということで期待が高かったのでしょうか。

<Mori was deeply unpopular in Japan as prime minister, with single-digit approval ratings toward the end of his term. After a series of embarassing gaffes, he left the post after little more than a year in office. However, he has long been a senior figure in Japan's ruling party, the Liberal Democratic Party, and is still a member of the lower house of the Diet.>
(任期終盤の支持率は一桁まで落ち込み、首相としての森氏は至って不人気であった。一連の失言問題が紛糾したこともあり、森氏が首相の座にあったのはわずか一年足らずであったが、氏は日本の与党(自由民主党)の重鎮であり、衆議院議員を務めている)

Taipei Times紙では森元首相をこのように紹介するとともに、台湾のWHO、WTO加盟や査証免除措置に対する森氏の尽力、日台間の相互往来と交易の深化について触れています。
先日も帰国する際福岡空港国際ターミナルのイミグレでは、「外国人」のゲートと「日本人」のゲートに並ぶ人の数のアンバランスぶりに圧倒されましたが、観光地として長期的な凋落傾向にある九州にとっては有難いことでしょうし、日系の百貨店や外食産業を初め、テレビCMやおなじみの日本製品を台湾各地で目の当たりにするにつけ、日本にとって台湾は重要な「お客様」(貿易黒字はUS$約300億)なのだなと改めて実感いたしました。

<Chen said that he was most impressed by the fact that Mori had convinced his foreign minister in 2001 to grant a visa to former president Lee Teng-hui (李登輝) so that he could seek medical treatment there, despite Beijing's opposition and a threat to recall its ambassador to Japan.>
(陳総統は、駐日大使を召還するという北京政府の反対と脅迫を森元首相が跳ね除け、李登輝前総統が日本で適切な治療を受けられるよう2001年当時の外務大臣を説得してビザを発給させたことに最も感銘を受けたと述べた)

この時は全国紙各紙が社説で李登輝前総統に対する「人道的な処遇」を訴え、倉敷の病院に向かう李氏の車をヘリが追っかけていたのが思い出されます。李氏に関しては、私の母校の学園祭での講演にも圧力が掛かり、ビザの発給で日台中が紛糾し、当時の外務大臣(・・・・誰でしたっけね?)が首相に楯突くような時期もあったわけですが、3年前に森氏が訪台した際、外務省筋が氏の訪台スケジュールを故意に交流協会台北事務所の内田所長(当時)に知らせなかった件も内田氏の著書で暴露されていました。
そうした時期も経て、今日の日台関係は「断交以来最良」であると陳総統は折に触れて強調していますが、そもそも日台間の国交の有無というのは、「国府と中共、どちらの中国を選択するか」という命題で(合衆国の意向により)国府と日華平和条約を締結し、日中共同声明で国府とは断交するに至ったという今日的な実情とは著しくそぐわないものとなっています。この枠組を根底から覆すのは今日明日には難しいと思いますが、さしあたっては、国家主権に抵触する部分を巧みに避けつつ、実務上の関係を強化することに尽きるのかもしれません。
元首相である森氏の今回の叙勲は、「既成事実の積み重ね」という観点でエポックメイキングな快挙であったと言えるのではないでしょうか。

<Accompanied by friends and family members from his native Ishikawa Prefecture, Mori said yesterday was the most honorable day of his political career.>
(「今回は生まれ故郷の石川県の友人や家族も一緒ですし、(授与式に臨んだ)昨日は自身の政治家人生で最も栄誉ある日となりました」と森氏は述べた)

森氏は日華関係の強化のため引き続き尽力し続けると陳総統に確約していますが、派閥も禅譲して少しは暇も出来たでしょうし、スポーツ関係など氏の得意分野も活かしつつ頑張って欲しい(・・・・と言うか活動範囲を日台関係と森派のご意見番に限定したら?)ものです。

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3 コメント

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Unknown (やくも)
2006-11-24 21:10:35
>当時の外務大臣(・・・・誰でしたっけね?)

誰でしたっけね?(笑)
当時この外務大臣が再任した時には私含めて職場全員ガックリきたものです。よく考えたらこの後の外務大臣はあのおばちゃんでしたっけ?つくづく暗黒時代だったんだなぁと今更ながらに思います。。

森さんにはラグビー交流ってな感じで日台貢献するのがぴったりな気がします。
Unknown (宜蘭人)
2006-11-25 15:42:40
こんにちは。すでに認知症が進んでましてこのときの外務大臣が思い出せない(というか日本に居ない)ので、誰でしたっけ?
でも森さん、管理人様と同時期に台湾来たんですよね。
まあ実は彼も若かりし時に台湾放浪してたんでしょうか?
やくも様、宜蘭人様 (tsubamerailstar)
2006-11-25 19:23:03
>やくも様、宜蘭人様

森氏が前回訪台した際に何かラグビー絡みの話しがあったなと思ったのですが、↓に出ていました。

うーん、しかしこのオサンも陳総統の前で「初めて蒋介石総統と謁見した際に日本語で挨拶してくれたことを今でも覚えている」とかよく言うよな。その場にいたら私はひやっとしたと思います。(汗)

http://www.geocities.jp/kinbirei/suggest/rondan/200403.html