私の「認識台湾」

個人的な旅行(写真)の記録を主眼としつつも、実態は単なる「電子落書き帳」・・・・

僥倖の衝突回避劇:尖閣沖

2008年06月17日 | 台湾
宮城・岩手内陸地震の甚大な被害への対処が喫緊の課題であることは論を待ちませんが、昨日の尖閣の一件もそれなりにインパクトがあったようで、「中台の緊張緩和は歓迎するが、中華ナショナリズムの共鳴が対日強硬姿勢を招くとしたら日本には悪夢だ」(中日社説)といった論調が見られます。だが、心配のし過ぎではないか。我が国には「平和憲法第九条」「無防備マン」「〝遺憾の意〟連続高射砲」という世界に類を見ないリソースが備わっていますし、「謝罪と賠償」は無期限保証付き──無期限といえば、「無二念打払令(異国船打払令)」なるお達しもありましたが、江戸時代の話でしたな・・・・

◆尖閣 日台当局が電話折衝 間一髪で衝突回避?(産経)
◆電話協議で衝突回避=台湾抗議船の領海侵入(時事)
◆【主張】尖閣領海侵犯 毅然かつ冷静な対処必要 - MSN産経ニュース
◆社説:尖閣諸島 台湾側も責任ある行動を(毎日)
◆日台関係 尖閣問題の再燃を防げ(中日)

<MR. GALLEGOS: I’ve seen the reports on the development. As we’ve stated before, we urge all claimants to exercise restraint and to ensure that this issue is resolved by peaceful means. Our position on this subject is well known. We have consistently maintained that any dispute should be settled by the parties themselves through peaceful means.>
(ガレゴス副報道官:情勢に関する報告には目を通しました。以前も述べたように、紛争当事者が自制し、平和的手段で解決されるよう促します。周知の通り、如何なる領土紛争も関係当事者の平和的手段により解決されるべきであるというのが合衆国の一貫した立場です)

昨日の米国務省の会見でも一瞬取り上げられたようですが、〝TAIWAN/JAPAN:East China Sea Dispute / U.S. Urges Restraint and Peaceful Resolution〟というトランスクリプトのタイトルを目にするとは自身かなり衝撃的です。内容的には、「地域紛争不介入」という合衆国の原則を再確認(「フォークランド紛争」の際も限定的な支援でしたし)し、平和的解決を促すものですが、万が一武力衝突する事態になったら仲裁役は合衆国以外にないでしょうね。(多額の分担金を払っていながら、ROCが未加盟の国連の仲裁が期待できないというのは皮肉なものですが・・・・)
安全確保のために      2008年 6月 16日作成  

6月10日未明、我が国海上保安庁巡視船と台湾漁船が衝突、漁船が沈没した事案が発生しました。これをきっかけとして16日未明には尖閣諸島の領有権を主張する台湾人グループの抗議船が我が国領海内に侵入し、海上保安庁の巡視船と対峙したほか、18日には台湾の国会議員を乗せた台湾軍の艦船が尖閣諸島に向けて出航するといった報道がなされるなど、この問題は現在、予断を許さない状況にあります。 
 これに伴い、現在、台湾内で反日の気運がこれまでになく高まっており、台湾で生活する日本人の皆様の安全を脅かす可能性があります。 
 日本人の皆様の安全を確保、また無用の混乱に巻き込まれないようにするため、以下の点にご注意下さい。
 
注意すべき点
政治的な集会に興味本位で参加しない 
 興奮した群衆に日本人であることが判明すると、謂われのない暴力を受けたりする可能性があります。
公共空間で政治的内容の会話、議論をすることは避ける 
 各交通機関や台湾人が多数いる空間(レストランなど)で、政治的な内容の会話、議論をすると、徒に台湾人を刺激し、謂われのない暴力を受けたりする可能性があります。
就学中の学生・生徒は可能な限り複数で行動する 
 これまで、今回の問題に関連して、反日を理由として学生・生徒に対する危害が加えられたケースは把握されていませんが、そのような事態が発生しないよう、学生・生徒は集団で登下校するなど、可能な限り複数で行動するようにしてください。
会社、家庭で非常時に対する準備をしておく
  会社、ご家庭での連絡体制を確認してください。何かあったらすぐに情報を共有できる体制づくりをしてください。  

 万が一、身の危険を感じるような事態に遭遇した場合、110番通報するとともに交流協会までご連絡下さい。

(財)交流協会台北事務所でも昨日付けで注意を喚起するお達しも出したようですね。昨日の領海侵入事件の生々しい舞台裏が報じられていますが、日本側は台湾側船舶が領海に侵入後も歐外交部長に働きかけ続け、「上陸するようなことがあれば、厳正な対応をせざるを得ない。早く領海から出て行くように」(時事)という池田所長の毅然たる一言で台北側がきびすを返したという顛末のようですが、ROC海巡署の巡視艇と日本側は2mの距離まで最接近したようですし、この衝突回避劇は僥倖に過ぎません。何より驚くのは池田所長が「実況中継風」に孤軍奮闘していたという事実です。複数のチャンネルによる事前折衝もなされていたかとは思いますが、その調整が失敗に終わったということの傍証でもあり、改めて問題の深刻さがうかがえます。
陳肇敏国防部長は公務を理由にキッド級駆逐艦派遣には乗り込まないようですが、かくも硬化した台北側(対日強硬派)のメンツを鑑みると、3年前のように「視察」目的で形式的に周回では終わらないでしょう。台北の池田所長には、「海上警備行動」の発動も匂わせつつ(日本側はこの用意はないでしょうけどね)引き続き働きかけを続けて欲しいと思います。

許世楷・TECRO駐日代表の退任劇からも、KMT対日強硬派(この局面では馬英九氏は違うと思う)が、「過去8年間DPP政権になびいた日本(世論)」を目の敵にしている空気がうかがえます。王朝や政権が交代したら、前任者やその取り巻きを血祭りにあげるという大陸・半島系の報復劇を彷彿とさせる<親日派狩り>ですが、「日台離反の結末を熟考してほしい」(産経)、『台湾の馬英九総統は先月二十日の就任式で米国や日本など「理念の通じ合う」国々との関係を重視すると述べた。その言葉を、もう一度思い起こしてほしい』(中日)といった理性的な呼びかけに耳を傾ける余地はもはやないのでしょうか・・・・

DPP政権のこの8年間、日本は台湾の孤立した立場に理解を示し、「中台改善 台湾のWHO加盟も認めよ」(読売)「中台会談 次には台湾を国際社会へ」(産経)といった声援を送ってきましたが、かような「日華断交以来最良の関係」は政党や立場を超越し、等しく台湾の国益に資するものであったはずです。張群、林金茎、何應欽といった往年の国府側要人も断交後の両国関係に腐心し、これを支えてきた歴史があります。「明徳プロジェクト」に代表される李登輝政権の対日工作も、台北→東京→ワシントンというバイパスの担保が愁眉であり、96年の海峡有事の際にはそれが見事に機能しました。大統領選を前に米台関係も変数含みの状況下、漁船一隻でこれらを全てご破算にするのは釣り合いが取れる話なのでしょうかね?私自身は大変残念に思いますし、「今回このような事態になったことについて日本側にも落ち度がある」(毎日)ということで、日本側は誠意を持って補償交渉に臨むと思います。チキンレースもいい加減止めにしませんか。

「抗日上等、そんなの関係ねぇ!」というレスポンスであれば、もはやさじを投げて成り行きを見守るより他ありませんが・・・・


中国はジャーナリストにとって世界最大の監獄 国境なき記者団



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2 コメント

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池田所長には頑張ってと声援を送りたいです。 (高雄人的横)
2008-06-17 22:18:27
尖閣諸島の場合、中華人民共和国も絡んできますから、日本としては
「尖閣諸島は日本の領土である」
と態度を明確にしているのかもしれません。
ただその一方で、「落しどころ」を日台双方が探っている最中と、見ていいのでしょうか。。。
交流協会からああいうのが出ると、事態が沈静化するまで安易に台湾旅行が出来なくなったと見たほうが良いですね。。
夏に訪台する予定だったので、ちょっと残念です。
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豹変した台湾・・・ (容子の部屋)
2008-06-18 09:43:11
私の「認識台湾」さま

産経新聞に「政府は、領土問題がからむだけに安易に妥協することなく、毅然(きぜん)とした態度を貫くべきだ。」との記事を見ましたが、この問題について、いまだ福田首相の発表が在りません?

台湾は現在、台湾内で反日の気運がこれまでになく高まっているそうですが・・少し前までは考えられない事でした。

馬主席派の外交政策、特に日本政策に疑問を感じます・・というより不快感を感じます。
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