中国国民党(KMT)の日本語HP(国民党ニュースネットワーク)に久々にアクセスしてみたのですが、依然として「大中至正」のままですね。たまに更新はしているようですが、「3月22日に行われる総統選挙では、民進党の謝・蘇コンビと国民党の馬・蕭コンビが対決することになりました。明日を投票日とすれば、あなたはどちらに票を入れますか」という日本語での呼びかけは何だか笑えます。台湾の有権者の判断ですので、特段(台湾人に対する)コメントの余地はありませんが・・・・
◆Hsieh, Ma go head to head in debate(Taipei Times)
「TVBSテレビが実施した最新調査では、支持率は馬氏53%、謝氏31%で差は縮まる傾向にあり、政党支持率は国民党26%、民進党24%と拮抗(きつこう)している」(産経)ということは、やはり競馬的に言えば「ゴール前激戦」なんでしょう(TVBSの調査でこういう数字だし)ね。前回の総統選時も、APやロイターといった外電は、何と連戦国民党で予定稿を上げていたそうですが、今回も最後まで目が離せない展開となるのだろうと思います。
<Vowing to maintain peace across Taiwan Strait and not to address the issue of unification with China if elected, Ma said he would demand that China stop marginalizing Taiwan on the international stage and call for a ceasefire with Beijing on the diplomatic battlefield.>
(総統に選ばれた暁には、台湾海峡の平和を維持し、中国との統一問題に踏み込まないことを誓うとともに、国際舞台で台湾をおきざりにするのを止めるよう中国に要求し、外交戦における停戦も呼びかける、と馬氏は述べた)
馬氏は両岸の和平協定(期限付きの「現状維持協定」といったところか?)の締結に意欲を示し、対岸の福建省に配備されている1000基余りのミサイルを撤去するよう北京に直談判する、といつだか言っていましたが、その構想が日の目を見たら、ノーベル平和賞は固いのではないでしょうか?
次期総統の対中政策は、日本でもっとも注目を集めるところでしょうが、実際のところは、馬氏が総統に就任したからといって対中関係が劇的に改善するわけでも、民進党の謝氏が選ばれたからといって北京が過度に警戒することもないだろうと思います。
国民党主席に就任する際、馬氏は「反共だが反中ではない」と述べていましたが、折に触れて六四天安門事件を批判している(昨年の同志社大での公演でも言及していたようですね)ように、基本的にはオールドファッションな反共主義者なのでしょう。(仮に総統に選ばれたとしたら、「国民党守旧派」宜しく米国べったりになる気がします)
<In response to Ma's proposal of a "diplomatic truce" with China, Hsieh said nobody would oppose the idea, but the question was what price the country would have to pay.>
(謝氏は、中国との「外交的休戦」という馬氏の提唱に対し、その考え自体に反対する者はいないだろうが、台湾がどのような代償を払わされるかが問題であるという見解を示した)
馬氏は通商面でも「両岸共同市場」の創設を提唱していました。現実的な対中規制緩和については両候補とも(内容と程度の差こそあれ)異論はないようですが、台湾の主体性の確保と、予想されるマイナス面のシビアな見積もりが不可欠でしょうね。例えば、馬氏は中国の繊維製品へのセーフガード発動を求めるデモに対して無視を決め込んでいましたが、この辺りが引っかかるところです。中国への農産物輸出にしても、連戦名誉主席が「両岸経済貿易文化フォーラム」の場でそこら辺の話はつけてきたはずですが、その後台湾の農民がウハウハ、という話は寡聞にして存じません。(謝氏が提唱する「一村一品運動」というのは、日本テイストな響きで面白い!)
<In his concluding remarks and at a post-debate press conference, Hsieh questioned Ma's ability, saying the KMT candidate makes many promises but hardly ever delivers."His promises are like a restaurant menu. The question is whether he can cook those dishes and whether they are edible," he said. "He tends to say one thing in the morning but change it in the evening. How can he expect the people to trust him?">
(謝氏は結びの意見表明、および議論後の記者会見の場で、KMTの総統候補はあれこれ公約するが、実現したためしはほとんどないと述べ、馬氏の施政能力に対する疑義を呈した。「馬氏の公約は、レストランのメニューみたいです。問題は、果たして馬氏がそうした料理を調理することができるかどうか、そして実際に食べられるのかどうかということでしょう」「馬氏は、朝言ったことを夕方には翻す嫌いがあります。どうやって信用しろというのでしょうかね?」)
「馬氏だったら何かが変わるかもしれない」、といった期待を有権者の多くが抱いているのかどうかは存じませんが、バブル頼みの中国経済にあやかって6%程度の経済成長実現、というのは荒唐無稽な筋書きだと思います。そもそも「国家十大建設」当時の台湾ならともかく、世界的な景気減速懸念も囁かれる中、6%程度の経済成長という数値目標を設定する時点で無理があるというのが常識的な判断でしょう。中国の経済成長が、〝永久機関〟である保証もないのですから、馬氏は「ハーメルンの笛吹き」ともなりかねません。
第一回の討論会は、環境問題から同性愛者の結婚に至るまで、多岐にわたる質問に両候補が短時間で回答する場面もあったようで、(報道を眺めている限り)焦点が何だったのか今ひとつピンと来ない印象です。TV討論は後4回程度あるようですが、両候補の政策論議が有権者にどう映るか引き続き興味深いところですね。
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いちおう謝長廷の項目については、記述を増やしておきましたが、馬英九については半保護になっていて妙な部分を修正できません。
謝長廷の項目についても、後でAITFIAら国民党の手先がまた勝手な改変を行う可能性もあります。
そこでお願いです。
履歴も確認して、おかしな改変が行われていたら、リバースしてください。