私の「認識台湾」

個人的な旅行(写真)の記録を主眼としつつも、実態は単なる「電子落書き帳」・・・・

麻生発言を活かすレバレッジ効果を

2006年03月11日 | 台湾
気流の悪いところを通過しつつも最終着陸態勢に入りつつある小泉政権(某中華航空みたいに墜落しないように・・・・)ですが、最初の外相ってあの目白の暴れ馬だったんですよねぇ。日銀の量的緩和解除と重ね合わせると何だか感慨深い思いもいたします。
昨日の日経朝刊の一面は日銀でも、Taipei Times紙のトップ(AP配信記事)はやはり「麻生発言」でした・・・・

◆Japan's Aso calls Taiwan a `country'(Taipei Times)
◆麻生外相が“脱線”発言・「台湾は国」、直後に修正(日経)
◆麻生発言:台湾各紙が報道 個人的見解…評価…(毎日)

私自身麻生氏の発言の方向性についてクエスチョンをつけた(記事)ことがありましたが、今回の「民主主義が成熟しているし、経済でも自由主義経済を信奉し、法治国家でもある。日本と価値観を共有している国だ」という参議院予算委での氏の発言には賛意を表したいと思います。
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「麻生氏の立場は右派的な傾向にあり、反中国として台湾カードを使ってもおかしくはない。麻生氏個人の見方というべきだ」(国民党の知日派の立法委員)
・「日本が台湾の努力を肯定してくれたのは非常にうれしい」(民進党の立法委員)
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毎日の記事ではKMTとDPPの立法委員の声が紹介されています(KMTの方にだけ〝知日派の〟とついているのが面白い!)が、KMTの委員はオールドファッションな<自由中国派>としての麻生氏の姿(森氏何かもそのクチでしょうね)を彷彿とし、DPPの議員は民主化を推進してきた台湾与党へのエールに聞こえたのでしょうか。このところワシントンに対しては彼らも憤懣やるかたない思いをしていたでしょうから、多少なりとも溜飲が下がったのであれば幸いですね。
 政治・外交の世界における台湾は、概して対中議題というコインの裏面として俎上にのぼりがちですが、単なる<反中国としての台湾カード>に陥らないように留意する必要があろうかと思います。麻生外相は日中共同声明(形骸化もいいところで、これこそ早急に考え直す必要があると思いますが)の枠内での「日台両国関係の維持」と「きちんとした対応」の必要性を強調していましたが、ここをどう具現化していくかです。

狭い国土に世界第二の経済を有する日本は、他国に先駆けて課題が顕在化する<課題先進国>としての特徴があるといった記事を日経だか何だかで読んだ記憶があります。少子高齢化、環境汚染、エネルギー、廃棄物、ヒートアイランド、社会保障のあり方等<課題先進国>としての日本が抱える難題は多岐に及びますが、こうした課題の多くは台湾や韓国とも共通しています。(日本の合計特殊出生率1・29は辛うじて台湾や韓国に勝っていますが、まさにドングリの背比べ)これらの課題を三カ国で話し合う機会を設けるのもその一環となり得ないだろうかと思いますね。(石原都知事が陳総統の台北市長時代の施策を真似てディーゼル車の排ガス規制を導入した話は有名ですが、台湾のコンビニの有料袋や宝くじ付き統一レシート何かも環境対策に活かせるのではないかと思います)

民主主義という共通する価値観を交歓し合えば、自ずと中国への鮮やかなコントラストが放たれますし、アジアにおける非民主主義国家は中国だけではありません。日経が言うところの“脱線”発言転じてアジアの民主主義へのレバレッジとなれば、日本も台湾も輝ける海洋立国としての新たな展望が開けてくるのではないでしょうか。

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7 コメント

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Unknown (むじな)
2006-03-11 12:54:07
>「麻生氏の立場は右派的な傾向にあり、反中国として台湾カードを使ってもおかしくはない。麻生氏個人の見方というべきだ」(国民党の知日派の立法委員)

>



麻生が右派なら、国民党自身って極右ファシストで、国家安全法や人民団体法にある「反共条項」(共産主義主張の禁止)の削除(民進党は削除を主張)に反対しているんだけどね。



ただ各党のコメントで親民党も「台湾はもともと主権独立国家」といっていたし、日本だからといって国民党や親民党が反感を示すこともなかったのは、いい傾向だとは思った。



http://taiwandaily.com.tw/news.asp?News_no=18631&News_class_no=01&Up_date=2006/03/10

《麻生稱台灣國家》藍營:國名叫中華民國



http://taiwandaily.com.tw/news.asp?News_no=18630&News_class_NO=01&Up_date=2006/03/10

《麻生稱台灣國家》橘營:台灣勿沾沾自喜

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二度あることは三度ある (momonokitomi)
2006-03-11 14:08:21
麻生外相の国発言はこれで2度目(?)かな.あと一度やったら,故意認定でございます.で,どこかがこれを真似したら,正に”神”!

なーんて,にわかに台湾が日本でも脚光を浴びるようになっただけでも,良いことだと思います.あとは,シナバブル崩壊&アメリカの後押しさえあれば,環太平洋諸島共同体でも作って,特亜とおさらばできるのですが.いや,まじで21世紀はそれでやって行きましょうよ!
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むじな様、momonokitomi様いつも有難うございます! (tsubamerailstar)
2006-03-11 17:53:21
>むじな様



なるほど、その辺がKMTが「普通の政党」になりきれていない部分の一端何ですねぇ。

日本としては、極右分派のPFTでも反論できないようなと申しますか、<台湾の普遍的価値>ということを常に念頭においた言動を心がけてもらいたいものですね!



>momonokitomi様



確かにアテンションの引き方として国内的にも効果的だったかと思います。

ちなみに日華断交直前の讀賣新聞の調査(中国代表権を問題にしている)によると、北京と台北、「一辺一国」それぞれ別の独立した政府と回答した日本人が4割程度で一番多かったようです。

環太平洋諸島共同体のお話で思い出したのですが、昨年呂副総統が打ち出した民主太平洋連盟(DPU)と太平洋島サミットを有機的に結び付けられないものかとも思いますね。

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Unknown (猫研究員。(高峰康修))
2006-03-11 23:34:16
>これらの課題を三カ国で話し合う機会を設けるのもその一環となり得ないだろうかと思いますね。



ちょうど石原知事が陳総統の台北市長時代の施策を真似た例を引いておられますが、地方の首長レベルでの意見交換や、いわゆるトラック2の交流も一層活発化していって、重層的な関係を構築していくのがよいでしょうね。もちろん国のレベルでもそうですが…。「それには、オマエの党が一番なってない」と、むじな氏にまた怒られそうで手痛いな。



>民主主義という共通する価値観を交換し合えば、自ずと中国への鮮やかなコントラストが放たれますし、アジアにおける非民主主義国家は中国だけではありません。日経が言うところの“脱線”発言転じてアジアの民主主義へのレバレッジとなれば、日本も台湾も輝ける海洋立国としての新たな展望が開けてくるのではないでしょうか。



そうすることによって、アジア太平洋地域において自由・民主・人権の価値を増進すると新たに打ち出した日本外交の方向性が空念仏ではない、中身の伴ったものになりますからね。
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外交という「苦手科目」の克服? (tsubamerailstar)
2006-03-12 00:07:06
>猫研究員様



>アジア太平洋地域において自由・民主・人権の価値を増進すると新たに打ち出した日本外交の方向性



日本ならではの「エンゲージメント戦略」を打ち出していく必要性があると思いますし、その意味でも米国との関係はインタラクティブではなかった・・・・日本の思考停止ぶりを反省して動いていければと思います。



>むじな氏にまた怒られそうで手痛いな。



こういうところにさくっと書く程度なら本人にはばれんでしょうが、氏の米国の南米失策、日本の東南アジア失策というコメントは私自身なるほどと思いました。

「突き放したような視線」と言うか、DPPに関しても辛辣なところは辛辣ですよね。逆にその辺が私的には説得力を感じました。真剣に考えているが故の「愛のムチ」みたいな感じと申しますか。あんまり適当な論評もご本人に失礼ですが。(笑)



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いい間違い (PJ)
2006-03-12 12:46:57
当分の間、政府関係者は中国の靖国発言の度に台湾を褒め称えつつ『国』と言い間違えることにしてはいかがでしょうw
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中国刺激策? (tsubamerailstar)
2006-03-12 20:58:55
>PJ様



「靖国神社は国内的にも賛否両論があるし、中国の顔を立てて今年は自粛しよう。その代わりにゴールデンウィークは台北に遊びに行こうかな?」と言ったとしたら、どういう反応が返ってくるんでしょうね?(爆)

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