私の「認識台湾」

個人的な旅行(写真)の記録を主眼としつつも、実態は単なる「電子落書き帳」・・・・

「合衆国には憤懣やる方ない!」、台湾英字紙社説

2005年12月11日 | 台湾

昨日は異業種交流の仲間と「忘年会」とやらで山間の温泉に赴いたのですが、何故か帰宅したらどっと疲れが・・・・やはり温泉は一人でノンビリが一番だと思うのですが、一名で宿泊できる宿を見つけるのが中々難儀何ですよねぇ。

◆Editorial: Bush, an emperor with no clothes(Taipei Times)
◆米製兵器 調達予算案が難航 台湾、国民党に主導権(産経)
◆米国製のキッド級駆逐艦、週末に台湾着=対中防衛力を強化 (時事)
◆ラファイエット軍艦調達不正疑惑、約5億ドルのコミッション(なる台NEWS)

<ブッシュ大統領は裸の王様>というタイトルのTipei Times紙の社説(日本語訳)が目を引いたのですが、内容を読むと米国側の武器供与と政治情勢分析に対する不満の表明といった感じです。いつになく扇情的なタイトルですが、それなりに考えさせられる記事でした。

<Most importantly -- from Taiwan's perspective -- the optimism that greeted Bush's outspoken support for this country in 2001 in the face of China's threatening attitude has now disintegrated.>
(台湾の展望として最も重要なのは、中国の脅迫的な態度に直面していた01年、我が国に対するブッシュ大統領の率直な支持を歓迎したような楽観主義はもはや崩壊したという点である)

ブッシュ大統領は、就任直後に出演したABCの対談番組で、<Whatever it took to help Taiwan defend theirself.>(台湾の〝自衛〟を助けるためなら何でもする)と太鼓判を押したそうですが(これに関しては、「白紙小切手を渡すような言動だ」という批判も国内であったようです)、それだけにこの4年間に積もり積もった台湾側の失望も大きかったのでしょう。

<The more salient point is that Washington blasts Taiwan for not spending enough on defense, even as it refuses to approve weapons systems that the Ministry of National Defense has requested.>
(合衆国の非難の骨子が台湾側の議論の不十分さでなく、国防総省が要請した防衛体系に応じない点に向けられているという特質はより際立っている)


「何も中国を攻撃するための核を要求しているわけでもないのに、台湾側が望む兵器は売ってくれない。要は台湾がメリケンの言うとおりにしないから非難しているんだろ? 週末に台湾に到着するキッド級駆逐艦だってイランに売りそこなったお古もいいとこじゃねぇか。安請負いしやがってブッシュは典型的な偽善者だよ!」といっているようにも聞こえますね。
台湾への武器供与の原則は「防御性か否かは状況に応じて、また中国側の装備の変化に応じて決められる」ものであり、「台湾問題だけでなく極東アジアに於ける米中の軍事バランスも考慮に入れられている」のだそうですから、必ずしも台湾側の思惑通りに事が運ぶ訳ではない(件のキッド級駆逐艦は中国がロシアから購入しているソブルメンヌイ級駆逐艦とキロ級潜水艦に対するものだそうです)のですが、立法院で米国製兵器調達予算案が四十回以上も審議拒否という状況下ですから、記者氏もイライラしていたのでしょうか。
この件に関しては、ようやく米国も重い腰を上げたようですが、歩み寄りの姿勢を見せず執拗に反対している野党の姿勢こそが問題であり、米国と国民党は長年腐れ縁でもあったのですから、そっちに真意を質した方が話は早いのでは?と以前(記事)から思ってはいましたけどね・・・・
社説とは関係ありませんが、国民党と防衛絡みでは「ラファイエット軍艦調達不正疑惑」というド級の国際スキャンダルの進展も気になるところです。

<However, analysts should be careful to interpret this phenomenon in the context of domestic politics, and not as an indication of a major shift in Taiwanese attitudes toward cross-strait policy.>
(しかしながら、専門家らはこうした現象を国内政治の状況として解釈するよう留意すべきであり、台湾の両岸政策が大きく変化する徴候と見なすべきではない)


国内政治絡みでは、早まった判断と憶測をしてくれるなということのようです。連戰氏と馬英九氏は別人だから当然考え方も違って然るべきという主張は、確かに正論かもしれません(民主党の岡田党首→前原党首みたいなもんか?)が、60年ぶりの国共トップ会談というのが対外的に大変な注目を集め、野党優勢という前評判が大勢だっただけに、いきおいそう見られがちだったのでしょう。私も国民党寄りの産経の河崎記者の報道を見て、「ワーストケース」を想像してしまいましたが、台北駐在の報道機関各位も「早まった判断」一色だったように思います。(産経の河崎記者は台湾新幹線賠償の誤報もありましたが、何か最近は聯合報とか中央通信社の垂れ流し報道が目につくような・・・・)
もっとも、この件は個人的には参考になりました。

<The lasting effects of his foreign policy blunders may take years to bear bitter fruit for the US, but they are already degrading his country's options here.>
(彼の外交政策の失策の影響で合衆国は何年も苦渋を味わう羽目に陥るかもしれないが、台湾おける合衆国のオプションは既に低下しているのである)

911以降の合衆国のアジアに於けるプレゼンス低下と、それと反比例するかのように台頭してきた中国の影響をもっとも敏感に感じているのが台湾であり、それに伴い米国の〝台湾海峡あいまい関与〟政策(記事)が綻びつつあるのも間違いないところでしょう。
<不在の代償>がもたらす影響は我が国も他人事ではありません。日本を非難する〝一台湾人の声〟(なる台NEWS)もあるようですから、それについてはまた次回にでも考えてみたいと思います。

※写真・・・・地熱谷(新北投温泉)

う~ん、昨日行ったところよりもこちらの方がそれらしい光景だ・・・・

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1 コメント

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コメントありがとうございました (さいごう)
2005-12-11 20:57:32
 http://itnews.blog17.fc2.com/



 のさいごうと申します。



 丁寧なコメントをいただきありがとうございました。

 こちらのブログは台湾のことに詳しいので、よく参考にさせていただいています。今後ともよろしくお願いします。



 それと、ご忠告いただいた件ですが、確かに見覚えがあると思っていました。ただ、私自身も最近忙しさにかまけて「できるだけ多くのソースを熟読」し、「しっかりと自分の中で理論を作って」から記事にするということを怠っていたのも事実です。この件に関しては私の記事の中で非がある部分は謙虚に受け入れるつもりでいます。



 本当にありがとうございました。
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