私の「認識台湾」

個人的な旅行(写真)の記録を主眼としつつも、実態は単なる「電子落書き帳」・・・・

TECROの元旦祝辞に突っ込んでみる

2008年01月04日 | 台湾

3年前に初めて台湾を訪れた際は、「旧正月」というものが何たるかをよく解さぬまま、春節の多客期に徘徊するという無謀な有様でした。日本も最近は正月らしい風情に乏しいですが、日本ならびに世界の人々にとって、今年がよき一年となりますよう祈念いたします!

◆2008年元旦祝辞 許世楷・駐日代表(台湾週報)

●進んだ台日間の文化・観光交流

「昨年は台日文化観光交流年として、特に文化交流と観光に焦点をあてて台湾と日本の関係を推し進めてまいりました。文化交流の点では特に昨年10月に早稲田大学125周年記念祭の中において「台湾文化週間」を企画し、さまざまな台日文化学術交流を行いました」

早稲田卒の許世楷・TECRO駐日代表にとっては一層感慨深いものがあったのでしょうね。我が慶應義塾も早稲田に負けじと気概を見せて欲しいのですが、何年か前に李登輝氏の三田際招致失敗以来パッとしませんな・・・・


「昨年はじまった戦後の台湾史の台日共同研究は、日中、日韓の歴史共同研究とはまた異なった、しっかりとした確実な事実に基づくことから出発し、戦後の国際情勢変化の中における台湾外交や民間人の戦後の台湾情勢変化に対する反応等、主に6つのテーマについて今年は具体的な成果が出てくるでしょう」

戦前の日治時代と戦後の台湾の間にも、断絶と連続性がオーバーラップしていると思うのですが、国際的なワークショップの成果を基にした『戦後台湾における<日本>-植民地経験の連続・変貌・利用』(五十嵐真子・三尾裕子編)は示唆に富んでいる良書だと思いました。台湾は近くて遠い国、と申しますか、李登輝偉人伝とか日本統治肯定論的といった一面的な台湾観が支配的な現況に一石を投じる意味においても、日台共同の研究成果には期待したい。「戦後の台湾史」に限らず、日治時代に関しても、統治者と被統治者の側から両論併記的に考察を深めると意義深いのではないでしょうか。
ヤフオクで入手した『梅と桜-戦後の日華関係』(林金茎著)も、国府と日本という視点から見た戦後の〝日華外交史〟が垣間見えて興味深かったですね。最後の駐日大使館参事だった著者が、断交後も終生対日外交に関わり続けた姿は、『大丈夫か、日台関係』(内田勝久著)からもうかがえます。(交流協会前台北事務所長の内田氏の急逝は残念だったですが、台北での天皇誕生日の祝賀は彼の遺産が受け継がれている証左だよなぁ・・・・)

●今年のテーマは青少年交流と地方交流の推進


「このほか、台日の若者同士の対話は、これまで70歳以上の日本語世代の日本理解に基づいていた関係を超えて、日本の若者の体験的な台湾理解と、台湾の若者の体験的な日本理解を直接意見交換したということで、特に今年のテーマである青少年交流と地方交流の出発点になったと確信しております」

許世楷・TECRO駐日代表ご自身、最後の<日本語世代>でしょうから、次世代へのバトンを如何に渡すかという点では気がかりなのかもしれませんね。旅行中に期せずして〝旧同胞〟に出会った際は、何とも言えない感慨を覚える次第ですが、こうした世代が徐々に退いていくのは避けられない現実です。
台湾の高校生が修学旅行で姉妹校を訪問した等の報道も、査証免除措置以来よく目にしますが、若い世代ならではの交流のあり方はいい方向に推移しているのではないでしょうか。地方自治体の観光誘致等の売り込みも近年盛んですが、民間・地方等を基盤とした両国関係の堅密化は、国家vs国家といったフレームワークを打破する可能性も秘めているやに思います。

●日本人が興味を持つ観光ルートの開発を


「一方、日本からの観光客を台湾の地方にどう引きつけるか、それが一つの課題となっています。過去、ほとんどの観光客が台北のみの滞在でした。台湾新幹線ができたことにより高雄まで足を延ばす旅客は増えてきましたが、ぜひそのほかの地方にも足を運んでいただきたいものと思っております」

台湾は滞在リゾート型観光地という趣ではありません(福岡からならグアムや済州島がお手軽でしょう)が、高鉄開業前でも高雄を訪れる客は10人に1人位だったとか。まぁ、一極集中する傾向は、韓国旅行=ソウル(福岡は地理的に釜山かもしれませんが)と同じかもしれませんが、ぶっちゃけ台北よりもそれ以外の方が面白いのではないか、という気がします。
私自身は何処の国に行くにせよ、「都会と田舎」、或いは「海と山」といったコントラストを無意識に考える傾向にありますが、航空券と宿泊がセットのスケルトンタイプのプランは台北泊のみがほとんどで、選択の余地がない感じです。台語教室の〝台ヲタ〟女性氏も、ほとんどは台北しか行ったことがないという人が多いです。
まぁ、女性の場合は荷物も多いでしょうし、私の常套手段である「出たとこ勝負」「本日の宿泊先未定」というのは難しいでしょうが、リピーターなら、高雄や花蓮といった辺りを組み合わせるのは造作もないと思います。(と、言うか台北市内ばかりで飽きないか?と・・・・)
ただ、新幹線が開業したとはいえ、台湾のゲートである桃園国際機場から地方へのアクセスは良好とはいえません。昔は桃園接続の花蓮便もあったらしいですが、高雄への国際線乗り継ぎの便位はもう少し改善して欲しいですね。

「台北と高雄の間の途中いくつもの駅の近くには、個性的な観光地があります。私たちは観光機関や地方政府に対して、日本人や日本の歴史に関する名所や旧跡にはっきりとした形で標識や記念碑を立てるなどの誘致活動をするようお願いしているところです」

中・南部の観光に関しては、知人からいただいた『台湾新幹線で行く台南・高雄の旅』(片倉佳史著)位しか存じないのですが、拠点都市以外の〝ディープ〟なスポットが多数紹介されているので、大まかな知識を得ることは出来ると思います。もっとも、地図等の情報がなく、著者の冗長な紹介文のみが頼りとあっては、現地で携行できるような実用性には乏しいですね。著者の紹介文も日治時代の遺稿等にウェイトが置かれているため、それに重きをおかない旅行者にしてみれば、ここを左折したところに日本時代の碑があると言われても、「だから何?」ということになります。そこら辺もあってか「ネット時代の今日とあっては中途半端だ」という声もあるようですが、著者の写真は旅情を誘ういい作品が多いと思います。
何に興味を持つか、は人それぞれであり、そもそも観光地として台湾を選択肢に入れるか否かという点から千差万別でしょうが、歴史に興味を持つ日本人観光客に特化した案内板等の整備よりも、ポータルサイト的なものの拡充を図るほうが簡便ではなかろうかと思います。
台湾の観光地における標識等の充実度はムラがある感じで、総じて良好とは言いがたいと思います。もっとも、親切な市井の人々の存在があるからこそ「出たとこ勝負」な放浪が可能であり、旅人に対するホスピタリティについては、英国のそれと同様の好感を抱きます。私自身人で嫌な思いをした外国には二度と行きたくない、と思いますし・・・・

●投票権のある台湾僑胞は帰国して投票を


年末に台湾の留学生数名と「尾牙」(=忘年会)をやったのですが、総統選に合わせて帰国するという留学生が多かったですね。台湾の有権者の選択ですので、日本人があからさまに意見するには及ばない(この点一部の親台組織には正直疑問符が付く。こういうところで「馬英九の落馬を望む!」とか落書きする分にはアリでしょうけど・・・・)のですが、総統選前一月の2月の訪台時何かは喧しい光景が繰り広げられているのでしょうね。
かつて麻布の中華民國大使館に台湾民主化運動のデモを先導した旗手でもある許世楷・TECRO駐日代表ですが、総統選の結果如何によっては退任ということになるでしょう。その意味でもこの祝辞をしたためる氏にとっては色んな思いが走馬灯のようによぎったのではないかと拝察いたします。

2011年は、民國100年という節目にあたりますが、それを盛大に祝うのか、それとも民國暦は99年で打ち止め、となるのか?今後の台湾はどう転ぶのでしょうかね・・・・

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