■北朝鮮の再調査結果、予想される問題点(4)
項目
① 日本の病院に入れれば健康になる人も
② 大集会前に報告がほしい
③ 早くこちらで自由にさせてあげたいというのが親の心
④ 本当に家族の気持ちが通じているのか
⑤ 今大臣を変えないで
① 日本の病院に入れれば健康になる人も
飯塚繁雄(家族会代表、田口八重子さん兄)
みなさんこんばんは。今、拉致問題の解決に関する北朝鮮との関係、また特別調査委員会の内容を含めた評価、あるいはこれに対する期待、不安などたくさんお話しいただきました。
実は私たちは、この状況下にあっても、具体的に何をしていいのか、どうすれば先行き有利な形が見えるのかということを考えると、正直言って打つ手がないんですね。
みなさんにお願いして世論を盛り上げる、いいかげんな交渉、あるいは報告ではだめだという怒りの声をみなさんからいただく、そういう範囲かなあと思うんです。
私たちは非力ながら、今回の状況で感じるのは、今まで全く何もなかった時のことを思えば、交渉が始まる、あるいは報告が出そうだという段階に来たわけですから、ちょっとした光が見えてきたかなという安心感があります。
しかしながら、専門家の方々のご意見を聞きますと、今回の報告の内容を見ないと分かりませんが、相当危険な状況にあるということをさんざん聞かされています。
そういう意味では、9月の3週目に出る報告については、期待と不安がごちゃまぜになっています。期待というのは、いままで動かなかったものが現実的に動き出す、具体的なデータが出る。それに対する色々な議論がまたある。その結果、前に比べると具体的な対応ができることです。
一方、不安の方も多いんですね。もう30数年間北にいる被害者たちが今どういう思いでいるのか。多分、向こうにいる間、結婚したり子どもができたりと、家族構成ができあがっている人もたくさんいると思います。
そういう中で、日本人として一人だけ帰れるのかということも懸念されます。
また、先ほどから言われていますように、「実は北朝鮮から帰りたくない」という人たちもいるでしょう。さらに、相当精神的にも肉体的にもみなさんまいっているでしょうね。
みんなの状況はどうなっているのかということを考えれば、一刻も早く帰国して日本の病院に入れれば健康になることは明らかに分かっていますが、そこまでつながるような具体的な報告がなされればいいと思います。
とはいえ、まずは報告を見ないとなんとも言えないという事実があるんですね。それを受けて、先ほどの色々な議論から、じゃあそれに対してどうするかということが、相当大きな鍵になってくるなと思います。
いっぺんに全部出てくればいいんですが、そういうことはないだろうとも感じますし、実は認定被害者はみんな「死んでいる」と言われているんですね。その人たちを生き返らせなければならない。
さらに考えれば、金正日の遺訓がまだ残っている。そういうなかで金正恩がどう判断するのか。「あれは親父がやったことだ。よく調べたらこんなにいました」という、言い訳みたいな、嘘のような話があるかもしれませんが、何としてもまず名前が出てこないと、先に進まないんですね。
いっぺんにはいかないとしても、その都度専門家の意見も取り入れながら、簡単に幕引きをしないように最後まで強い態度で臨んでほしいと思います。制裁は当然カードとしてあります。また強い世論が強いカードになると思います。
みなさんとともに、今後の報告を注視していきたいと思います。またそこから色々な論議があるのではないかと思っています。今後も宜しく応援してください(拍手)。
② 大集会前に報告がほしい
横田滋(横田めぐみさん父、家族会前代表)
先ほど、中山先生や西岡さんから色々なお話をうかがいましたが、こういう話と言うのは政府の説明会でも色々なことを教えていただきますが、今回はむずかしさを理解できたと思います。
我々のところにはマスコミの方がたくさんこられます。今日もあったのですが、その中で、北朝鮮からの説明が9月に入ったらすぐだとか、9月の2週目だとか聞きます。正確なことは分かりませんが、先ほど西岡さんの話では3週目に入ることもおしゃっていました。
もし15日になってしまった場合、せっかくの9月13日の大集会前ならいいのですが、それを過ぎてしまうこともありえるわけです。今回は今までの国民大集会とは違う形で作るとおもいますが、報告が3日後になってしまったというようなことになっても、専門家は色々話をしますが、多くの市民の意見が届かなくなるわけです。
そういうことを心配しているマスコミの人もありました。ですからそういうことがないように祈っています(拍手)。
③ 早くこちらで自由にさせてあげたいというのが親の心
横田早紀江((横田めぐみさん母)
みなさんこんばんは。本当に長い間苦しい日々が続いています。今日は朝日新聞の取材があって一生懸命話したのですが、今日の中山先生と西岡先生が言おっしゃった通りのことを自分でも言えたのでよかったと思っています。
キム・ウンギョンさんは確かに私たちの孫であり、会えましたが、私たちがいつまで生きられるか分からない状態になってきていますので、自分たちがこの地上からいなくなる前に、1回だけでも(めぐみに)会いたいと、これはどなただってそう思われると思います。
不思議なことに面会が許されて、「ああよかった。めぐみちゃんの面影が残っているなあとか、孫の陽気な感じもあの子の赤ちゃんの時にそっくりだなあとか色々なことを思いながら、本当によかったと感謝しています。
しかし、拉致被害者は無理やり連れていかれて、まだ向こうに残されたままで、こんなに長い間交渉してもなかなかうまくいかない、この問題を忘れることはできない。
私たちは連れていかれた子どもたちが今どうなっているのか、早くこちらで自由にさせてあげたいというのが親の心です。孫に会うことは肉親ですから、いなくなった子供の姿も、声もみんな似ていますが、あの子が残していった子どもがこんなに元気で暮らしているんだなあと思って見ることは、また色々私たちは考えさせられることがありました。
孫のことは孫のこととして会ってよかったと感謝していますけれども、それとこの(拉致)問題は違うんです。たまたまそういう状況の中から不思議な生命を伝えられて生きているということです。
あっという間に連れていかれ、徹底的にあちら国に役立つように教育をさせられ、先生方も言われましたように、「こんなことを言ったら死ぬかもしれない。
そしたらもう帰れないなあ」と、いつも政治のことを気にかけながら、本当にみんな一生懸命37年間を生きてきている人たちなんです。
だから日本の国家としてこんな馬鹿なことはないんだということを最後まで言い続けなければならない。「罪なく連れていかれた人を全部返しなさい!」と。
全部返すことで北朝鮮もまたうるおうような状況になるんです。親もそうしてもらえば嬉しい。喜びにひたれる。戻してもらえることが可能なら、親は何にも言うことはないんです。
そして向こうの国の苦しんでいる人たちのためにも、いろんな人道支援とか医薬品とか、そして向こうの人が本当の意味でよくなるようなお手伝いができるように。それを交渉でやるしかないんです。
私は先ほどの話を聞いていて、本当にすばらしいことをおっしゃっていただいたと思います。外務省とかありますが、私たちは庶民だから分からないんですね。みんな能力がある方々ですから、信頼しなければうまくいかないわけですから、信頼して頑張ってくださいというしかないです。
先ほどは本当に大事なお話をなさいました。外務省の人たちはそこまで深く命の問題を考えていらっしゃらないかもしれないというので、私はびっくり仰天しているんです。
本当にそうなのであれば、日朝協議とか外交のことで働かれる前に、何々省だからではなくて、西岡先生や中山先生、拉致議連の先生方とかたくさん立派な方がいらっしゃいますから、そういう方々と一つになって、日朝協議の前に、日本国家としての会議を持って、私たちはこういう心配をしているんですという声を聞いて、本当にこういうことでは大変なことになるんですよということをみんなで話し合って、そして外交協議をしていただければずいぶんと違うんじゃないかなあと思いながら聞かせていただきました。
全員が帰るまでは絶対にこの問題は終わらないということを、今日も朝日新聞の方に、記事で書いてくださいとお願いしました。私たちは力はないんですが、色々なところで講演させていただいています。
孫と会えたのは肉親の喜びでしたが、それはそれで感謝していますが、それを利用してこちらの方をすすめるというようなことは絶対考えていませんので、これからも応援いただけますよう、宜しくお願いいたします(拍手)。
④ 本当に家族の気持ちが通じているのか
増元照明(家族会事務局長、増元るみ子さん弟)
みなさんこんばんは。3月の交渉直前、伊原局長と小野課長にお会いした時、北朝鮮が生存している被害者を殺して骨にする可能性があるんだということを伝えました。これ以上再調査は望まないことになっていたはずなんですよと言ったんです。
伊原さんも小野さんもああいう方だから、神妙な顔をして聞いてはいたんですが、果たしてこれが通じていたのかなあ。私たち家族は本当にそういう危機を感じながら言っていたにも関わらず、本当に通じていたのかなあという思いが今でもしています。
小泉さんの再訪朝の時は福田さんが官房長官でしたが、直前にお会いして、「ジェンキンスさんの説得をするような愚を犯してはだめですよ」と言ったにも関わらずやっているんです。帰国された時に、川口順子さんと細田新官房長官が家族会に面会して説明した時、「ジェンキンスさんと曽我さんを中国で会わせては絶対にだめですよ」と言ったにも関わらず外務省は中国での面会を画策し、曽我さんがそれに反発したことで変えました。
結局、私たちの言ったことを全部無視してきたのが政府です。我々の気持ちが通じているかどうか、今でも僕は分かりません。それでも、今早紀江さんがおっしゃったように、信じるしかないというか、政府を通じてしかやりようがないので、ある程度任せるしかないんですが、どこまで任せられるのか。
西岡さんがおっしゃいましたが、骨にされたことがもし分かった時に、とんでもないことになるぞと。果たして日本が、死んだ人間の報復のために、北朝鮮に戦争をしかけることができるか。できないじゃないですか。やろうとしないじゃないですか。そんな国なんですよ。
それを見越して北朝鮮がやってくる可能性がある。その時、戦争はしないけれど、しんなことをしたら北朝鮮の政権をつぶすだけのすべての政策をとるくらいの覚悟を、日本人に持ってもらいたいんです(拍手)。
それが北朝鮮に通じるように、今から言ってもらわなければならない。これは北朝鮮の命をつないでいる中国に対して、北朝鮮を擁護するのであれば、中国との経済関係を全部解消する。中国から全部引き上げる。それくらいの覚悟を日本のみなさんができるかどうか、ということなんです。
北朝鮮では被害者は戦っているんです。ずっと30数年間、彼らだけに戦いを任せておけるわけがないじゃないですか。彼らだけが戦って、なんで私たちが平和の中にいるんですか。そういう状況になっています。是非周りのみなさんにお伝えください(拍手)。
⑤ 今大臣を変えないで
本間 勝(田口八重子さん兄)
みなさん、いつもありがとうございます。ここまでやっと来たという感じですが、これは皆さんのご支援、そして私たちを助けてくれている救う会、調査会、各団体の方々のお蔭だと思います。
これで一挙に解決してもらわないと、本当に私たちはいつまで待つのかといつも言っています。時間との勝負です。私の7人の兄弟姉妹が2人欠けました。八重子が帰ってくるのを待たないで他界した無念さを北朝鮮は分かっているのか。
人の命を分かっているのか。拉致被害者の後ろにはたくさんの家族がいます。先日は市川さんのお父さんがなくなりました。このような悲惨さを、まだ、だらだらと続けさせるのか。その気持ちを是非持ってもらいたい。
ここに来て政府は、大臣を代えるとか、安倍さんが組閣を色々お考えになっているということですが、私は古屋大臣を変えないでいただきたい(拍手)。これは絶対いい感想を持ちませんよ。民主党じゃないですが、安定した政権で、また大臣を変えるようなことをする必要があるのか。拉致問題は解決してないじゃないか。
どういう動きが出てくるか分かりませんが、ある程度進んだら、大臣になりたい人はたくさんいるんだから変えればいい。山はもう見えてきています。結果は後の判断になると思います。
ここまで来たのは、朝鮮総連が危ない状態になったから北が動き出したと思います。もしいい結果が出なければ、朝鮮総連はぶっつぶすべきだと思います(拍手)。日本に安住したいならば、今までの行動を反省して、我々と協力して、この問題を一挙に解決してほしいと思います。ありがとうございました(拍手)。
以上
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