文学全集を立ちあげる (文春文庫)丸谷 才一,三浦 雅士,鹿島 茂文藝春秋このアイテムの詳細を見る |
面白いです、本当に面白い・・・っていうか、私、電車の中で耐え切れずに、ぶははははーっと吹きだしました。すんごい読書量のすんごい方々が、すんごい資料(=文学全集)を作ろうとしている話なのに、ところどころ、めっちゃ笑えるんです。読んだことが無い本が次々に出てくるんですが、どれもこれも読みたくなってしまいます。
一部を紹介しますと。。
文庫版の156ページの「江戸文学の豊穣」という章ですが、三浦氏が上げた作家たちに対して、丸谷さんと鹿島さんがちょっと疑問を呈する部分です。
-----引用ここから------
(都賀庭鐘について)
三浦「江戸文学研究家(=都賀)としては、長年憤懣やるかたなかったわけだ。国文学研究というと主流は平安朝、せいぜい中世で、江戸文学はずっと冷や飯を食わされてきた。それを、江戸にはこれだけ豊かな物語があるんだと宣言したんだよ」
- ただ、要約を見ると、必ずしもそんなに面白そうでもない気もしますね。
三浦「いや、面白い、しかも、彼らがいなければ、十返舎一句だとか式亭三馬なども出てこなかったわけだ。
うわっ、丸谷さん、疑惑の眼差しだなあ(笑)。江島其磧については、文句ないでしょう」
丸谷「うん、江島其磧はいいよ」
三浦「都賀庭鐘に関しては文句があるんですね」
- 都賀庭鐘、建部綾足、二人で一巻ではダメですか?
三浦「建部綾足というのは、平賀源内に匹敵するくらい面白いと思うんだ。むしろ小沢蘆庵を引っ込めてもいいから、建部綾足と平賀源内、上田秋成は入れてもらいたい。この際、本居宣長も、もういいよ」
丸谷「宣長を「この際いいよ」じゃ乱暴だよ(笑)。宣長は一巻でも足りないんじゃない?」
三浦「エッ? 宣長二巻ということですか?」
丸谷「僕はそのくらい偉いんじゃないかと思っているんだ」
三浦「いいですよ。その代わり、平賀源内、建部綾足、上田秋成、このあたりはやっぱり何とか入れてくれませんか。もし都賀庭鐘を誰かと一緒というのなら、恋川春町と一緒でもいい。妥協する」
鹿島「建部綾足って、そんなに偉いわけ?」
三浦「建部綾足は偉い。津軽だよ」
鹿島「そうか、同郷か」
-----引用おわり
こんな感じで、3人がそれぞれ「これは入れたい」「これはいらない」「やっぱり要る」などと、話が飛び交うわけです。偉いとか偉くないとか、詳しい説明が出てくると「なるほどー」と思うことがしばしばですが、こんなふうに
「偉い。津軽だよ」「そうか、同郷か」
って会話が突然出てきたりするので、うっかり爆笑しちゃったりするのです。
それに、本居宣長は「この際、もういいよ」って!
でも、ほんと、ここに紹介されている本を片っ端から読みたくなります。電子ブックが主流になったらどんどんダウンロードできるかな。
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