東洋環境分析センタ- 現場奮闘記

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早く正確な結果、そして丁寧に―土壌分析 機器分析グループ

2011-07-19 | 技術部
こんにちは皆さま。今回は技術部機器分析グループからお届けします。

 私たち機器分析グループでは、主に分析機器を使用して、水や土壌中の有害物質の検査業務を行っています。今回は土壌分析について簡単に紹介します。

 今日も土壌分析の検体を頂いております。


 このサンプルは土壌汚染対策法に基づく溶出試験の分析依頼のものです。それでは早速分析に取りかかりたいところですが、土壌汚染対策法について簡単に説明します。工場などで使用されていた跡地の土壌が汚染されていないかどうか、主に人為による有害物質の汚染を確認するための検査で、以下の2つの観点、-1 その土地の地下水を飲用した時(溶出試験)、-2 その土地の土を何らかの形で口から入った時(含有量試験)、に健康に問題がないかどうかを確認するための分析です。特定の有害物質に基準値が決められていて、基準値を満たしているかどうかが、その判断基準になります。

 土壌を分析機械にかけて、すぐ測定・・・というわけにはいきません。実は分析機器にかけて結果を出すまでには多くの前処理過程が必要になります。
 まずは、土壌を容器から出してトレーに広げて常温で乾燥させます。これを風乾と言います。数日間かけて乾燥させます。


 乾燥したら取り出して直ぐ分析・・・いや、まだまだ次の前処理があります。乾燥した土壌のサンプルに混入している異物や中小の礫(石ころ)などを取り除きます。あっ、異物発見!

 実は、色々な混入物がその土地の環境や状態を知る重要な材料になります。注意深い観察力が要求されるところです。

 次に土の固まり等を砕いて細かくした後、2mm目のふるいにかけます。


 ふるいを通した土と純水とを1対10(重量比)で混ぜたものを振とう機にかけます。
これを6時間連続で振とうします。

振とう機で六時間連続振とう中です。

 振とう後、ろ過して濁りのあるものについてはさらに遠心分離機にかけた後、目の細かいメンブランフィルターでろ過をして、ようやく溶出液の完成です。


 土を扱うため、作業時に土壌の粉末で汚れる事は避けられませんが、それぞれの作業終了時には掃除を行います。分析業務では、それぞれ別の検体が何らかの原因で混ざる等の汚染(コンタミネーション)が起きないようにとても気を遣います。汚れやすい場所ほどそのリスクが高いので、分析者はそれを心得てこまめな清掃、整理・整頓を自ら励行しています。


 溶出液を酸処理した後、ようやく有害物質の分析になります。重金属を測定する機器について紹介しますと、
1、水銀用原子吸光分析装置、


2、原子吸光光度計、


3、ICP質量分析装置、


 以上が重金属を測定するための機器分析の3点セットです。
 これらの装置を使用して重金属の分析を行います。
 分析機器での測定に行き着くまでの前処理は、機械では置き換えることのできない大事な作業です。
 マンパワーがあってこその機器分析グループです。
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