東洋環境分析センタ- 現場奮闘記

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私たちの仕事 窒素化合物 分析篇 化学分析グループ

2012-06-20 | 技術部
全国的に梅雨真っ最中、毎日ジメジメとしておりますが、皆さん如何お過ごしでしょうか?
湿気にも負けず爽やかな男でありたい、化学分析グループの秋枝です。

今回は窒素化合物の分析について簡単にご紹介させて頂きます。

まず、窒素化合物について簡単に説明すると、微生物や細菌の働きにより窒素化合物は以下のように自然界で変化していきます。



窒素化合物を多く含む水が湖沼・内湾等に流入すれば、その水域の窒素汚染(富栄養化)を促進したり、亜硝酸態窒素に関しては人体に有害であったりします。各形態別に測定する事により、私たち人間や自然の健康管理の状況が把握でき、その対策を講じるきっかけとなります。


それでは、実際に分析工程を御覧下さい。

有機態窒素は微生物の代わりにケルダール法と呼ばれる方法で化学的にアンモニア態窒素に分解し、その後蒸留を行います。


<有機態窒素の分解>


< 左:アンモニア態窒素 右:有機態窒素の蒸留 >

有機態窒素の蒸留は試薬を入れると鮮やかな青となり、大変美しいのですが、熱して蒸留を開始すると真っ黒になってしまいます。
        ⇒      
<有機態窒素:試薬投入直後>        <有機態窒素:蒸留中>

硝酸態窒素については銅・カドミウムカラムという物で、亜硝酸態窒素に変えてしまいます。


なお、有機態窒素、硝酸態窒素はそれぞれ処理前のアンモニア態窒素、亜硝酸態窒素の値を差し引いて求めます。

最後に、有機態窒素及びアンモニア態窒素はインドフェノール青、硝酸・亜硝酸態窒素は
ナフチルエチレンジアミン、という吸光光度法で測定します。標準液と呼ばれる濃度が正確に分かっているものを段階的に分取し、お客様からお預かりした検体との色の付き具合(吸光度)を比較し濃度を算出します。

<左:ナフチルエチレンジアミン   右:インドフェノール青>

〈今回の分析法〉
JIS K 0102 42.2(インドフェノール青 吸光光度法)
JIS K 0102 43.1.1 (ナフチルエチレンジアミン 吸光光度法)


      
今回は趣向を変えて、分析における色彩の美しさに注目してご紹介させて頂きましたが、
皆さん、お楽しみ頂けましたか?
窒素化合物は空気・土・水と絶え間なく循環を繰り返し、私たちの生活に影響を及ぼしています。窒素化合物分析が排水基準や下水基準、農業用水基準などに大きく係わっているのも納得です。
だからこそ私たち化学分析グループ一同は、お客様に精度の高い数値をお届け出来るよう、今後も日々努力して参ります。
コメント
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