皆様こんにちは
山三三ツ屋染舗の三ツ屋邦孝です。
いつも当ブログをご覧いただき誠にありがとうございます!!
エルメス製のワンピースのクリーニングの依頼を受けて自社工場で
ドライクリーニング処理した所、前身頃にしみが浮き出た為に
しみ抜きをして欲しいとのご依頼です。


ワンピース(エルメス製)


ワンピース(エルメス製)品質表示
素材 綿100%となっています。
洗濯表示 家庭での洗濯禁止、塩素系及び酸素系漂白剤の使用禁止、タンブル乾燥禁止、
底面温度120 ℃を限度としてアイロン仕上げができる、石油系溶剤又は
デカメチルペンタシクロシロキサンによる弱いドライクリーニングができる、
ウエットクリーニング禁止、当て布使用裏からアイロン推奨、摩擦によりアタリ(テカリ)
毛羽立ちが発生することや、白く見えることがあります。着用時の摩擦、およびアイロン処理等
による過度な摩擦に注意ください。となっています。


ワンピース(エルメス製)ドライクリーニングで浮き出て来た油しみ
受け取った時はしみは無く、自社工場では表示通りにドライクリーニング処理した所、
しみが浮き上がって来たとお聞きしました。お客様はなぜクリーニングに出したのかを
考えると、着用中に食べこぼしが有り、家庭で洗えない為にプロのクリーニング店に
依頼しています。クリーニング店では品質表示通りにドライクリーニングを行い
しみが浮き出た為に再度洗い直すか、しみ抜きを行うか、ウエットクリーニングを
行うか、しみ抜きを行いましたが、落ちませんでしたカードを付けて納品するかの
4通りの選択肢があると思います。

ワンピース(エルメス製)しみ抜き後
ドライクリーニング済みのエルメスワンピースの浮き出たしみを見た所、長年の経験で
食べこぼしの油しみと判断して、油性のしみ抜きを行うと綺麗に除去出来ました。
改めてドライクリーニングを行って食べこぼしの油しみが落ちなかった事を考えてみます。

クリーニング師研修教本
クリーニング師とクリーニング従事者に対して三年に一度の研修会があり
その時のテキストにドライクリーニングのコラムが載っていました。

クリーニング師研修教本 P167
COLUMNコラム
全国100か所のクリーニング店における
洗浄評価試験結果から見た
ドライクリーニングの洗浄技術と溶剤管理の実態
良いドライクリーニングとは、生地を傷めずに汚れをよく落とし、しかも再汚染が
ないことである。良いドライクリーニングの基本的な因子として、ソープ濃度、洗浄
時間、機械力、溶剤の清浄度等があげられるが、これらの因子をどれだけ自店のクリ
ーニングクオリティ(洗浄品質)に反映させるかが洗浄技術であり溶剤管理である。
たとえばあなたに「お店のソープ濃度は自分の設定した濃度になっていますか?」、
「洗浄時間は今の設定時間がベストですか?」、「被洗物を詰めすぎていませんか?」、
「フィルターの交換時期?」等等の質問をした時に、誰がみても納得できるような
根拠を持って、「自店ではこのように設定している」と回答ができれば、あなたの
クリーニング技術は相当高い所にあるといえる。
反面、その根拠が「うちの店では値段の高いソープを使っているから」とか、「洗浄時間は
システムに組み込まれているから」とか、「圧力が上がらない間はフィルターは何回
でも使用する」などの答えが返ってきたとしたら、残念ながらそれはクリーニング技
術を論ずる以前の問題である。
そこでクリーニング技術を論ずるにあたり、まず技術動向と実態調査を行うため、
平成18年に全国100か所のクリーニング店で、同一試験府による石油系ドライクリ
ーニング洗浄試験を実施している。
この結果をみると、各店の洗浄率(汚れの落ち具合。洗浄率が高いほど汚れが良く
取れている)は、平均を中心に大きくバラついており、洗浄率の最高と最低では実に
2倍以上の開きが見られている。この洗浄率のバラツキや高低が、各クリーニング店
の技術の差、溶剤管理の差として現れていると考えられる。
また、この洗浄試験に使用した各店のドライ溶剤を分析すると、自分の目標とする
ソープ濃度と実測したソープ濃度との間に大きな乖離がある店が意外に多いこと
が分かった。ドライ溶剤も見かけは透明だが、酸価の高い店も目につき、再汚染への
影響がみられた。洗浄時間を5~7分程度に設定した店も多くあり、平均でも10分を
切っていたが、一般的には、ソープが汚れに付着し、汚れを浮かし、それを機械で
剝ぎ取り、再汚染を防止して、ミセルに取り込むまでには相応の時間が必要である。
洗浄時間が短い店では、ソープの力を十分に発揮させないうちに洗浄を終了させてい
る可能性もある。
そして、機械に任せっぱなしにするのではなく、定期的に溶剤分析をしながら、根
拠を持って地道な管理をしている店では、当然ながら、良い洗浄結果がみられた。
今回のエルメスワンピースの場合、ドライクリーニングの洗浄力が十分でなかった事が
原因だったと考えられます。使用ソープの性能、ソープ濃度の測定によるソープの投入
必要な洗浄時間、溶剤管理が揃って汚れが落ちます。それでも落ちないしみは水洗いを
行うかしみ抜きを行わなければ良いクリーニングにはなりません
最近のアパレル品はデリケートの品物が多くてドライクリーニングにより短時間の洗浄で
の対応になって来ていると考えれます。しみが残った状態で納品して、クレームが発生した
場合の対応は多大な労力が発生しますので、注意が必要となります。
皆様もお気を付け下さい。
着物のお手入れと洋服のメンテナンスは
厚生労働大臣認定一級染色補正技能士
職業訓練指導員・クリーニング師のいる
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