皆様こんにちは
山三三ツ屋染舗の三ツ屋邦孝です。
いつも当ブログをご覧いただき誠にありがとうございます!!
お母様から引き継いだえるめすエルメスシルクスカーフにアルコール消毒液のボトルを包んで
バッグに入れていた所、アルコール消毒液が漏れだしてスカーフの染料が溶け出して他の部分に
移染したので、直して欲しいと神奈川県からのご依頼です。
エルメスシルクスカーフ
エルメスシルクスカーフ アルコール消毒液による移染
アルコール消毒液が付着して赤い染料と黄色い染料が溶け出て移染しています。
羊毛(ウール)・絹・ナイロンを染める染料は「酸性染料」です。
着物の染色は「酸性染料」がメインで、一部大衆品に「直接染料」が使用されています。
染色時に染液中に「酸」を加えて染めることから「酸性染料」と呼ばれています。
酸性染料には鮮やかな発色をするものが多いです。
ただし、絹の染色はウール・ナイロンにくらべ色の耐久性や耐光性が弱いです。
ヨーロッパの染色は耐光性の強いカチオン染料(塩基性染料)を使用している事が多いです。
アクリル繊維用の塩基性染料を改良したものを「カチオン染料」と呼びます。
「カチオン染料」は、鮮やかな発色をするものが多いです。
表面染着が多く汚染しないように十分なソーピングが必要です。
今回の移染しみを処理しても非常に落ちずらかったのでカチオン染料を使用していると判断しました。
酸性染料は抜染剤(還元漂白剤)で染料は抜けますが、「カチオン染料」(塩基性染料)は抜染剤を
使用しても、一瞬は抜けますが、その後に複色する為に、染色除去のしみ抜き方法として
溶出方という技法があります。メチルアルコール+氷酢酸を使用して高温のコテを使用して
行い、「カチオン染料」を溶かし出して行く方法です。
今回の場合アルコール消毒液で染料が溶け出て移染している為に「カチオン染料」(塩基性染料)を
疑いました。非常に長い闘いになると思われます。
エルメスシルクスカーフ しみ抜き後
移染しみに色素しみ抜き剤を使用しても上手く反応してくれなかった事で手を変え品を変えて
挑戦して行きました。上手く行かずに何度も諦めかけながら、挑み続けました。
現在持てる全ての技術で挑みました。移染しみ抜きで大量の薬剤を使用したので、
水洗い(ウエットクリーニング)を行ったから、最後は色掛け(色修正・染色補正・
染直し・部分染・地直し)で上手くまとめ上げました。
エルメスシルクスカーフ 仕上げ後
今回アルコール消毒液による移染は初めての挑戦でした。
着物でも注射後の消毒液のしみ込ませて脱脂綿による移染のしみ抜きは上手く行きにくいと
師匠の言葉を思い出しました。
100点満点の出来ではなかったですので、まだまだ精進しなければと思います。
着物のお手入れと洋服のメンテナンスは
厚生労働大臣認定一級染色補正技能士
職業訓練指導員・クリーニング師のいる
山三 三ツ屋染舗にご用命下さい。
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