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ハンドメイドの小宇宙

2004年11月24日 22時07分20秒 | 世情雑感(サブカルチュア)
 昨日のBlogで紹介した「雲のむこう、約束の場所」の監督である新海誠は「ほしのこえ」で鮮烈なデビューを飾った。「ほしのこえ」は石原慎太郎東京都知事が「この知られざる才能は、世界に届く存在だ!」と絶賛しておりアニメーションやサブカルチャーに関する様々な賞を受賞した。何故、新海誠が絶賛されたのかと言えば、彼の作り上げた作品が「ハンドメイド」であったからに他ならない。小説、漫画は早くからハンドメイド(同人)が行われていたし、ゲームというジャンルについてもそれは同様であった。しかし、コンピュータ技術の急速な発達はアニメーションを個人で作成できる状況にまで至ったのである。「雲のむこう、約束の場所」もある意味ではこの「ほしのこえ」の延長線上に存在している。無論、規模が「ほしのこえ」の25分から85分へと拡大している為に個人製作ではないが基本的に彼の個人作品であると言っても過言ではないだろう。
 新海誠という人物は会社員生活の後に映像クリエーターになった(一部情報では著名なPCゲームメーカーである日本ファルコムの社員であったという話である)。しかしながら、彼は奇妙な作品にもそのアニメーションを提供している。年齢制限仕様ゲーム製作会社であるminoriの作品に数々のアニメーションを提供しているのである。彼がminori作品でアニメーションを提供しているのは「BITTERSWEET FOOLS」、「Wind-a breath of heart-」、「はるのあしおと」である。彼をこの年齢制限仕様ゲーム界で名を知らしめたのは「Wind」のOP映像であろう。この作品が制作された2001年当時のこの種のゲームのOP映像は端的に言って電影紙芝居であった。しかし、彼の作ったOP映像は躍動性がある映像として一躍勇名博する事になる。ゲーム紹介HPである「SOFTBANK GAMERS」(現ITmediaソフトバンクゲームズ http://www.itmedia.co.jp/games/)のダウンロードサーバーを機能停止に追い込んだのであるからそのクオリティが衝撃的であったことが分かる。彼とminoriの関係性は所謂、「業界人の繋がり」があったからと思われる。このminori作品の映像を見ても彼のアニメーションの質は向上している事がわかる。宮崎駿の後継者と言われるほどの背景描写に加えて登場人物の動きや動的描写に「雲のむこう、約束の場所」で獲得したと思われる技法が散見されるからだ。
 新海誠は間違いなく、個人製作のアニメーションの敷居をより簡単なものとし、個人製作でも商売作品を作りえることを年齢制限仕様ゲーム「月姫」同様に証明した。この部分は極めて評価できる部分である。「ハンドメイドの小宇宙」とでも言うべき彼等の作品群は21世紀における新たな芸術の表出の形と言うものを世界に提示した点において大きな役割を果していると言えるだろう。

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