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大化けしたストラトス4

2005年07月15日 23時49分25秒 | 世情雑感(サブカルチュア)

 「ストラトス4」というアニメが2002年の初旬(丁度、NASA(米国航空宇宙局のスペースシャトル・コロンビアの事故があった頃である)に地方局週末深夜枠で放送されていた。この種のアニメは基本的に3ヶ月(13回)でストーリーが終わるようになっているものが大半である。そして、多くの作品ではその続編が登場する事無く歴史の闇の中に消えて行くのである。「ストラトス4」も本来ならばその中に名を連ねている筈であったのだが、その異様ぶりは放映中から際立っていた。本来ならば丸々1話は掛けても良いかもしれない登場人物の過去の描写をわずか3分程度で終わらせてしまったりするところに多くの人物が衝撃を受けたのである。そして、彗星迎撃というストーリーにも先進性があった。先日、NASAがテンペル第一彗星に観測体を突入させた「ディープ・インパクト」計画によって彗星という存在は現在注目されているが、その何年も前に彗星を題材にしたのは着眼点が良いと言えるだろう。そして、その彗星が生命の種を地球に運んできたという「スターシード仮説」にまで結びつけてしまったところには誰もが驚きの念を禁じえなかった。更に、SFファンだけでなくミリタリファンの支持を獲得出来たのも本作にとってはメリットだった。英国の戦闘偵察機TSR2や練習機としてYak-28を登場させるセンスが支持されたし、舞台を下地島に置いたところも秀逸だろう。この下地島は知る人ぞ知るというツボな場所なのである(旅客機訓練用の3000メートルの長大な滑走路があり、米軍の前進配備予定地としてもしばしば名前が挙げられる場所である)。
 だからこそ、続編がOVA(X-1、X-2)で登場出来たのである。しかも驚くべき事にOVAは第二期シリーズ(アドバンスフォー)までが登場している。現在では組織内対立という何かパトレイバー辺りを髣髴とさせる背景設定が裏にあるという状況で進んでいるが、アドバンスフォーでは新たに地上配備型迎撃機としてTSR2に続いてMig-31の改造型が登場してくる。このMig-31という選定センスも大変に面白い。Mig-31の前身に当るMig-25(1976年に函館に亡命したべレンコ中尉が使用した機体)はF-15との高度上昇記録を競り合ったほどの上昇性能を有しているし、現有の戦闘機の中では最速のマッハ3をたたき出すことが出来るという性能を有している。しかも、Mig-25が真空管を搭載していたという事実が逆に核爆発のEMP(電磁パルス)から防衛する為に必要として活用されている点も面白い。「ストラトス4」は登場人物の絵柄から下手すると「萌え」系に分類されそうになるが、米国での販売トレーラー等を見ると相当に真面目に描かれている事が分かる。我が国では何事も「萌え」や「お色気」が優先されてしまう世情が存在しているが、確固たるSF設定を有している作品はSFの本場では認められているのである(これは日本においても「ストラトス4」が支持され続けた理由とも重なるだろう)。小生個人的にはこの「ストラトス4」が日本という国から失われてしまった良きSFの断片でも継承してくれれば良いと思えてならないのである。

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