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熊さんのトリ小屋通信

800羽のトリを飼いながら自給自足の農業をつづけている農家の日々の思いを綴ったもの

「鳥小屋にニューハーフが・・・」

2012-09-01 22:48:55 | エコ
 「トリ小屋に ニューハーフのいる 夏盛り」~詠み人しらず? トリ小屋にニューハーフがいる。松子デラックスがトリ小屋に入り込んで鶏を踏み殺しているのではない! トリの中に一羽だけニューハーフがいるのだ。この鶏群は5か月前から卵を産んでいる。どうして見逃していたのかというと、この鳥は烏帽子は大きいが、体格は雌の大きさである。この種のオスは成鶏になるとメスとは違った毛色になるが、こいつは雌そのもの毛色である。ただ、立派な蹴爪(けづめ)だけは持っている。
 通常、メスの足は前に3本放射状に広がり、後ろに1本支えがある。ところがオスには後ろ指の3センチほど上に後ろ向きにもう一本指が出ている。これが蹴爪である。オス同士の戦いはこの爪でする。われわれ人間も油断していたら蹴爪の攻撃を受ける。オス鳥は右左に移動しながら人間に攻撃するチャンスを狙う。隙を見せれば飛びかかってくる。女子子供は危ない。私は、相手が攻撃態勢を作ると先に蹴りを入れる。力関係をはっきりさせると攻撃はしてこない。
 こいつがメスなのかオスなのかは分からない。交尾しているのを見たことは無いし、卵を産むところも見ていない。日本の種鶏場は優秀だから、「メス200羽にオス5羽」と頼んで間違ったことは一度もない。メスがメスに交尾するトリは見たことがあるが、ニューハーフの鶏が入っていたのは初めてである。交尾といっても、零点何秒の事である。メスは「オス」を感じると体を下ろして交尾の準備をする。オスはメスの首をかんで、あっという間に交尾する。私がトリ小屋に入ったら交尾を受け入れる体制をとるものもいる。尻尾に少し触ると、交尾が終わったと思い体をぶるぶるとふるわせる。どういうわけか、交尾が終わると必ず羽根をぶるぶる震わす。「気持ちいい~」と言っているのか、「いやらしい~」と言っているのかトリに聞いてみなくては分からない。
 オスは餌をやってもすぐには食べない。メスを守ろうとして、外部から来た人間に油断しないのである。このニューハーフも私がいる間は餌には来ない。警戒しているのではなく、こそこそ逃げるのである。身も蓋もない奴である。
 人間のニューハーフは気の利いた一言をしゃべれればテレビで稼げるが、鶏の場合、オスという能力もなく、卵も産まないなら用は無い。すぐにゴボウと煮なくてはいけないのだ。が、私は彼を(彼女を)生かしている。こんな甘い奴をプロ養鶏家とは呼ばない。私の温情に答え、ある朝、彼が鳴いた。「コケオロ~」。鳴き声までもハーフであった。そのうち金の卵を産んでくれるかもしれない。

Fhoto 「長い烏帽子の・・・?」

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