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熊さんのトリ小屋通信

800羽のトリを飼いながら自給自足の農業をつづけている農家の日々の思いを綴ったもの

「豪華な夏野菜カレー」

2015-07-27 13:09:27 | エコ

 今年は春野菜の値段が高かった。夏になっても野菜の値段は落ちない。メキシコから輸入されたカボチャから国産に替っても300円以上していた。先日、激安を売り物にしているスーパーで覗いたら大きな恵比寿カボチャが95円。えらく下がったものだ。三分の一カットの値段を見ると240円。おかしい。改めて大きいものの値段を確認すると、なんと950円。腰を抜かす。しかも、大きいのは大きいがまだ熟れていない。貧乏で子だくさん(こんな家があるかどうかしらないが・・・) の家庭で買える値段だろうか?
  我が家のカボチャも生育が遅れたが自分の家で食べるくらいは熟れている。息子はアキレスけんの手術をしたので家から通っている。娘が日曜で帰ってきた。そこで昼食は夏野菜のカレー。ナスは素揚げし、そこらにあるカボチャなどの野菜を放り込む。今年は大豊作で食べきれないトマトも容赦なく入れる。(注意!カレー作るのは妻です!)
 カラフルなカレーが実にうまい。野菜はもちろん、米まで無農薬だから値段の付けようがない。これを調味料だけの出費(ほとんど「ゼロ円食堂」)で頂けるのだから有難い。百姓仕事の喜び、ここに極めり。
 カボチャの高値もすぐに終わるだろう。100円ほどになれば子だくさんの家庭も安心するだろ。そして、高かった時のことは忘れて粗末にに扱われるに違いない。農家が泣いていることなど忘れて・・・。
 カボチャだったからまだいい。これが米だったらどうだろう?いきなり単価が9倍。金持ちで子供なしの家庭でもビビルだろう。「な~に、そんな時はタイ米があるさ」と気楽に考えている者どもがTPPを進めている。何時かの様に高値で困っている民から、娘をかっさらうように奪ってくるつもりなのだろう。そのタイでは干ばつでコメ不足が懸念されているという・・・。
 カレーはまだ残っている。明日の昼飯が楽しみだ。昨日漬け込んだキュウリと茗荷のヌカ漬けも出来上がっているに違いない。いい感じで夏がやってくる・・・。

       Fhoto  「有機栽培だから1950円ぐらいの価値あり?~米や野菜の値段がどうなろうと人さまには売るつもりはないから知ったことではないが・・・。」

 


「警告!」

2015-07-25 05:54:13 | エコ

 お客さんの中に衣服の縫製をしている人がいる。どこにも属さず、自分でデザインしたカントリー調のドレスや小物を直接販売している。市内の奥地に住居兼事務所がある。一度、展示会にお伺いしたことがある。作品だけではなく、家の隅々まで彼女のセンスであふれており、心を動かされれた。
 昨日、配達に行った妻に「昨日、兄が死ぬところでした」と驚くべき話を切り出したらしい。市の職員である兄というのは私より5歳くらい若い。自転車競技とマラソンを趣味にしていて、同じ趣味の私とも知り合いである。
 朝、お兄さんがムカデに刺されたので自家製の薬を塗ってやったという。その日は市の職員の一人として一日草刈りをしたらしい。当日は朝から蒸し暑く、酷い一日だった。私たち夫婦も餌やりに苦労した。まだ体が暑さに慣れていない。餌やりを終えてから慌てて家まで逃げ帰った。
 夕方、彼女の兄は荒い息をして帰ってきた。体に斑点が出ていた。ムカデの毒だと思い、慌てて市民病院に連れて行った。「治療」?を終え、病院を出て2キロぐらい車で走った時、その兄は、突然いびきをかき、気を失った。
  「自分が喪主になるのかも(二人とも独身である)」と慌てた彼女は踵を返し、スピード違反覚悟で病院に戻った。兄は熱中症であった。体力が衰えている時は斑点が出ることもあるらしい?意識を取り戻した御兄さんは、与えた水を子供のように両手で抱え、信じられないほどの量を飲みほしたという。一瞬でも判断が遅れたら命はなかった。的確な判断であった。その後3日間、お兄さんは病院で過ごすことになった。「この事態を多くの人に伝えてくれ」というのが彼女の希望なので「若くても熱中症を侮るな。水分補給を忘れないで」書き記すものである。

                    Fhoto「ヒャクニチソウ~暑さに負けない!」


ゲンゴロウ発見!」

2015-07-20 03:23:34 | エコ

 田の草を取っていると水中で何かが動いた。小さいものではない。取り着いた稲株をそっと掬ってみた。手のひらで何かがガサゴソ動いた。コンクリートの道路に落とすとピンピンはねた。殻を背負ったゴキブリの様な奴である。いきなり速い速度で動き出した。
 あわててトラックのカメラを取り出す。手間取っている間に逃げそうだったので、相手の方向を変えた。すごいスピードである。なんとかファンインダーでとらえた。と、思う。
 ゲンゴロウである。3センチはある。これまで、2センチ弱のシマゲンゴロウは見たことはあった。甲羅のふちが金色の線に覆われ、頭に二つ金色の星があった。しかし、本物のゲンゴロウを見るのは初めてである。いや、子供のころ見ていたかもしれないが忘れたのかもしれない。
 図館によると「昔はたくさんいたが、今では希少動物」とある。街灯などにもよって来るらしい。たくさんいて、長野県では食べていたらしい。農薬で減ったようだ。農文協にいたころ長野県出身の人いて、「長野では川のザザ虫も食べる」という話が酒の会の肴になっていた。みんなの笑いを誘っていたのだ。
 裸電球のころはたくさんの虫がガラス窓によって来ていた。カブトムシや蛾、稲の害虫、ツマグロヨコバイなどもいた。蛍光灯になるとになるとほとんど来なくなった。光の質のせいなのか、虫自体が減少したのか分からない。写真屋の親父によると「LEDには虫が来ない」らしい。減農薬で名をはせた福岡の宇根豊かさんは「稲の直播栽培は自然を壊す」と喝破している。これまでの百姓仕事に沿って生きてきた生き物が住めなくなる」というのだ。
 「省エネで長持ち」、しかし、その影響を考えたものなどいないに違いない。人間中心の考えは、いつか墓穴を掘る。~ここまで書いた時、部屋の中を一匹の蛾が舞った・・・。
 先日、レストランをしている若夫婦が訪ねてきた。奥さんは長野出身らしい。「長野では川のザザ虫やゲンゴロウを食べるらしいですね?」と聞くと「た、食べません!でも、よく言われます」。横にいた亭主。「こいつの実家の近くのスーパーではイナゴを売っています!」・・・!


         Fhoto  「ゲンゴロウ」


「ナゴシエイター 足元を見返す」

2015-07-03 18:26:29 | エコ

 帰ると筑後の商社から留守電あり。「小麦はいらないか」とのこと。もちろん「要る」。翌日7時半に電話。「あのう~、昨日小麦の件で電話を頂いた大分の大熊ですが~」。「あ~、あんた、小麦は要らんね~」。「もちろん要る」と答えた。「自分の都合のいい時だけに電話したら申し訳ない」などと思う人種ではない。
  「何ぼなら買う?」と聞く。「あんた、九重町のI氏にキロ15円で売ったらしいではないか」と言う。「あ~、あれは青米のクズじゃ」。この程度のジャブで揺らぐ相手ではない。「40円じゃあ合わんだろうね」と相手。私は返事をしない。一呼吸置いて、相手は「何ぼなら買う?」と繰り返した。
 急な話なので相手の「困ってる度合い」が分からなかった。昨年、「40円プラス消費税」などと吹っかけてきたのでこの一年ここから穀物は入れていない。「その値段ならトウモロコシが買える。屑米が30円で3トン買えたので要らない」と突っぱねておいた。その屑米も底をついていた。
 相手は「何ぼなら買う?」と繰り返した。私は一呼吸置いて、「30円なら~」と小さな声で答えた。「いくら要る?」と聞くので、「あんた方の車は3トンだから、3トンはもらっていい」と答えると、「すぐ届ける」と言って社長は電話を切った。決断は速い。
 田舎の商社とはいえ、穀倉の筑後平野の穀物商社。全国から米麦を集め、その倉庫の壮大さは並ではない。20メートルの高さはあると思える倉庫にコメ袋が林立する様には誰も驚嘆するに違いない。しかし、十億円単位の穀物を扱いながらも我々相手の数万円の利益にも手を抜かない。事務員もしつけてあって 、電話をすると「この前は幾らであげましたかねぇ~」と聞くのである。相手を見て値段を違えているのである。
 通常、20年近く付き合うと親愛の情がわくのであるが、この男には通用しない。価値判断は、自分が儲けるか儲けないかである。私たちのように「タダでもお前には売らない」などというような青臭いことは言わないのだ。金になるのであれば、母親の心臓だって売りかねない!先細の業界を生き抜くにはそれだけの覚悟がいるのだろう。そういう人間だと覚悟して付き合えば交渉も不可能ではない。
  私は小麦の値段が高ければ、「売れずに腐るのがいいか、値段を下げても売った方が得か良く考えろ」と揺さぶる。どちらが悪どいのか分からない。
 我々の様な小人が超一級の商売人を相手に商売で打ち勝つことは不可能である。一人で勝てなければ仲間で立ち向かう。互角の交渉は無理でも二角?ぐらいにはなるのである。                           多種多様な魅力ある人間と付き合いながら私たちの旅は続く・・・。

          Fhoto 「 梅雨の晴れ間」

  


はじめまして

朝日新聞、大分版で5年続いた「熊さんトリ小屋通信」は2008年3月で終わりました。1年の空白がありましたが、再びブログで再開します。ごぶさたしました。そして、始めまして。 私たち夫婦は相変わらず半島の片隅で800羽のトリと少しばかりの田畑を耕しています。二人の子供たちも家から仕事場に通っていて変化はありません。たった一つ変ったことと言えば、毛嫌いしていたパソコンの練習を私が始めたことぐらいでしょうか。  もともと都会に背を向けて生きてきておりますから「100年に1度の金融危機」には関係が無く(万年不景気と言えばそれまでですが…)、住む家と食べ物があり、自分の仕事があります。今更ながら、農家であることに感謝する毎日です。 あ~、重大なことを忘れていました。トリ小屋を守ってくれていた愛犬トランクスが2009年2月17日に亡くなりました。14歳と6か月私たちと暮らしました。動物でも人間でも命の重さに変わりはありません。一時は、立っても涙、座っても涙でした。あ~してやればよかった、こ~してやればよかったと反省の連続です。私が貰ってきた犬ですから、トリ飼いをしているのが見える場所に私が丁寧に埋めてやりました。彼は生きてそこに眠っていると思うことにしています。朝晩、「トラ君元気か」呼びかけています。(返事はしませんが…) 養鶏を取り巻く状況は1年前と少しも変わっていません。鳥インフルエンザの原因はいまだ不明だし、幾らか下がったとはいえエサ代は高騰したままです。燃料のガソリンも高止まりしています。世の中でもっとも悲惨な職業それは養鶏業だということは今も変わりません。  良寛は「死ぬ時に死ぬがよろし」と述べています。そこまでの「悟り」には至りませんが、自分で始めた仕事ですから、何かがあったとしても誰を恨むものではなく、自業自得と受け入れようと考えています。ありがたいことに日々の忙しさは全ての悩みを忘れさせてくれるのです。 「行けるところまで行こう」と始めた養鶏ももうすぐ30年になろうとしています。これから始めるブログは私と妻が日々の暮らし、その中で考えた思いを拙い言葉で綴ったものです。しばらくのお付き合いを…