366日ショートショートの旅

毎日の記念日ショートショート集です。

未来浪漫

2012年05月20日 | 366日ショートショート

5月20日『ローマ字の日』のショートショート



西日の差し込む取調室。机の上にはボクが書いた本が山積みになっている。
刑事はその中の一冊を読み終えて、山の上に置いた。
『犯人は元夫殺人事件』
これはなかなかの野心作だ。題名で犯人をバラしつつトリックで勝負。で、どうだった?刑事さん。
「Dameda-na」
ダメ?どこが?
「Chanto Nihongo de Kakanakya Dame-janaika」
そこかよ。おまえたちだって明治時代はじめまでは使ってたんだぞ。漢字もひらがなもカタカナも。
明治2年、前島密は、漢字を廃止しひらがなを国字とする案を集議院に提出、即時可決された。
さらに数年後、大学頭の山内容堂や西周らによって、ひらがな表記をローマ字表記に改める案が可決されたのだ。
以来、日本ではローマ字表記しかできなくなった。ボクのような地下活動思想犯を除いては。
日本語ローマ字表記が暴挙だったとは思わない。
アルファベットを理解する、すべての諸外国に日本文化への門戸が開かれた。
国内的にも漢字の読みがわからずに悩むことがなくなった。
人名や地名の読み間違いに難儀したり、難読漢字に苦戦したり、漢字をど忘れしたり。そんな苦労は一切なくなった。
明治時代の国字改革がなければ、未来の日本は漢字偏重の歪な社会になっていただろう。
学校で児童生徒が漢字テストに悩まされたり。テレビ番組で難読漢字がクイズになったり、なんてね。
じゃ、なんでボクが漢字かなまじり文にこだわるのか?
Izure,Pasokon de Kantan ni Kanji-Kanamajiri-Bun ni Henkan-dekiru Jidai ga Kuru-to Shinjite-Iru-kara.
Hatsuon-Shita Kotoba ga Sonomama Kanji-Kanamajiri-Bun ni Henkan-Sareru Jidai datte Kuru-hazuda.
Boku niwa Yume ga Aru.
Kanji-Kanamajiri-Bun de Ohanashi wo Kaite,Netto de Futokutei-Tasuu no Hito ni Yonde-Morauto-Iu Yume.
Yonda Hito to Kanji-Kanamajiri-Bun de Komento wo Koukan-Shiau-to-Iu Yume.
Sonna Yume ga Kanattara,Donnani Shiawase darou.
Demo,Son-Toki,Ki-bo-do wo Utsu-Toki dake,Wazawaza Roma-ji wo Tsukatte-Itara Iya-dana~・・・
「Oi,Zutto Damatte,Nani wo Kangaete-Iru?」
「何って・・・ローマ字より漢字かなまじりで書いてあるほうが、こんなふうに読みやすいんじゃない?なんつって」
「Kora!Kanji-Kanamajiri de Shaberu-na!!」 



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