366日ショートショートの旅

毎日の記念日ショートショート集です。

『ニワトリがさきかタマゴがさきか』(ヴァッキーノ)さん用

2012年10月12日 | 366日ショートショート

10月12日『たまごデー』

博士「ついに完成したぞ」
助手「おめでとうございます、博士。で、この装置、一体何なんですか?まるでピタゴラスイッチに出てくるお父さんスイッチみたいじゃないですか」
博士「チープな外観だが中身はスゴいぞ。これはな、飼い主(オーナー)の心をペットに転送する装置じゃ。名付けて」
助手「名付けて?」
博士「オナペットマシーン!」
助手「そのネーミングはどうかと思いますけれども、人の心と動物の心を入れ替えるなんて本当にできるんっすか?」
博士「いかにも。人間の精神を転送できる。飼っているワンちゃんや猫ちゃんになってみることができるんじゃよ。キミ、なにか飼っておるかね?」
助手「ボクのアパート、飼えないんですよね。博士は?」
博士「ワシは基本的に動物を飼うのが嫌いなんじゃよ。臭いし、ウンチするし、毛が抜けるし、病気持ってるし、死んじゃうし」
助手「血も涙もないなぁ」
サキ「こんにちは!」
助手「いらっしゃい!博士、美少女サキちゃんがペットの雌鶏を抱えておでましですよ」
バシバシバシバシ!!
助手「痛っ、博士、やめてください!なんで叩くんですか?」
博士「そんな説明口調で名前出したらダメじゃろ!雌のニワトリとサキ・・・このあとのお話の展開がバレバレじゃ!もうとっくに(ヴァッキーノ)さんは気がついちゃったぞ!」
助手「す、すんません。言い直します。えっと、博士、博士の孫娘がペットを抱えておでましですよ」
バシバシバシバシ!
助手「え?ダメっすか?」
博士「孫なんてバラしたら、そっちもバレバレじゃないの!ダメだなぁ、チミは!」
助手「すんません。(ヴァッキーノ)さん、読む前に書き換えちゃったら・・・」
博士「もう今、読んで、こっち見てるぞ、ホラ」
助手「あ・・・本当だ。こっち見てる。やっべぇ」
博士「仕方がない。このまま流れにまかせて続けるしかないな。サキ、ここに座りなさい。はい、ポチッとな」
助手「あ、いきなり装置のスイッチを。大丈夫ッスか、博士!」
サキ「コッケコッコー!!」
博士「おっ、大成功じゃ。サキがすっかりニワトリになったぞ。そして今、ニワトリの中にサキの心が入っておるはずじゃ」
ポン
助手「博士!ニワトリが・・・いや、サキちゃんがタマゴを産みましたよ!」
博士「おお、ありがとう、サキ。さっそく料理しよう。ここはやっぱり(ヴァッキーノ)さんの期待に応えて、茹でるしかあるまいて」
助手「わかりました。お湯の中にタマゴ、投下しま~す」
タマゴ「・・・熱い、熱いわよ!お祖父ちゃん!」
助手「ア・・・タマゴがなんか小さな声でグツグツ言ってますよ。まさかニワトリがサキちゃんじゃなくってタマゴが・・・」
博士「まさか、茹でタマゴが茹でた孫・・・」
矢菱虎犇「(ヴァッキーノ)さんの期待どおりのオチでした?」