[水たまりの中の青空]が第2部に入るということで、すこし冷却期間を持とうかなと考えました。
旅館の女将である光子に関して、わたし自身が惚れ込んでしまったわけです。
これは思いもかけぬ事でした。
小夜子という女性に惚れ込んでいながら、他の女性に心が動かされるとは、実生活の自分を見てしまったようで釈然としません。
本編の中で、
「人のこころを失ってしまったわたくしでございます。
まさに、武蔵さまが仰 . . . 本文を読む
光子が若女将修行に打ち込めば打ち込むほどに、従業員たちの反発はひどくなった。
明水館の仲居ともなると、一応は名の通った商家の娘やら出自のはっきりとした娘たちが多く、世間的にも庶民という立場ながらも格の高さを誇っていた。 . . . 本文を読む
無事出産を終えて明水館に戻ったとき、大女将の珠恵を始め、番頭に板長そして仲居頭の豊子たちの出迎えを受けた。
然も、玄関口でだ。初めてのことだった、これほどの人に笑顔で出迎えられるのは。 . . . 本文を読む
生前の栄三の希望もあり、近親者だけの質素な葬儀が執り行われた。その後、多くの旅館関係者そして組合関係者たちが、お焼香に訪れた。「惜しい人を亡くしました」。「相談に乗ってもらいました」。心底からのお悔やみの言葉が続き、栄三の人望の高さに珠恵が一番に驚かされた。 . . . 本文を読む