少年がとびらを押す。
長身のボーイが、うやうやしく腰をかがめて迎えいれる。
紅いビーロード地の幕をくぐりぬけると、まったくの別世界があらわれる。
青・赤・橙・紫……と、いろの倒錯、交錯。
そこでは、いろの洪水だった。天井といわず壁といわず、そのいろはあらゆる物にしみこんでいた。
そして、爆裂音。
あらゆるコミニュケーションを拒否するがごとくに、それぞれの楽器がその存在感を主張する。
ホールへと歩をすすめると、数十人のわかい男女たちが焦点のあわない視線をおたがいにむけている。
しかしその瞳にかれらはいない。その陶酔しきった目は、なにをみている?
体をエビのように折り曲げて、みぎ手が上にいけばみぎ膝が上にあがる。
そのときひだり手がだらしなく下に折れ曲がり、ひだり足が床につく。
また体をエビのように折り曲げて、ひだり手が上にいってひだり膝が上にあがる。
そのときみぎ手がだらしなく下に折れ曲がり、みぎ足が床につく。
みぎてがうえに、みぎひざもうえに。ひだりてがしたに、ひだりひざがゆかに。
ひだりてがうえに、ひだりひざがうえに。みぎてがしたに、みぎひざがゆかに。
単調なくりかえしが、リズムに合わせてつづく。
“ゴー・ゴー”と、モンキーダンスとも称されるおどりだ。
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