昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

ボク、みつけたよ! (二十一)

2021-12-04 08:00:34 | 物語り
 向こうから帰りのタクシーでも来てくれると助かるのですがねえ。
そんな都合良くはいかないでしょうなあ。
「物語りならば作者の思い通りに出来るのでは?」ですか。
まあ確かに、そうなんですけどね。そんなご都合主義は取りたくないですし……。
「浮遊術は?」。あなたも嫌みな方ですねえ。
ではでは、続けましょうか。

ああ、だめだ。今日は荷物が多すぎる。現在75kgの体重です。
そして荷物が、多分7~8kgはあるでしょう。ということは、80kgを超えているわけです。
わたしの浮遊術では、80kgまでなんですよね。
というのは冗談ですが。お分かりだと思うのですが、浮遊術というのは、純真な心持ちでなければ使えません。
70歳のわたしです、世俗の垢に汚れに汚れています。
もう使えませんよ、SuperManじゃないんですから。

 ほんとのことを言いましようか。
わたしの浮遊術というのは、体が浮くと言うことではないんです。
幽体離脱、聞き覚えがありますよね。
まさに、それなんです。
後々に詳しくお話しすることになるかと思いますが、体から魂が離れるんです。
といっても、繋がってはいるんです。

細い、人間の作った単位では計れないほどの超極細の糸で繋がっています。
ただ細いからと言って、簡単には切れません。
物理的に切ることは不可能なんです。
己もしくは、神さまと称すべきかどうかは分かりませんが、超越した存在によって、その意志によってのみ、切れるというか外れるというか、そういったものなんです。

 どうしたものかと、立ち止まります。座り込みたい心境です。
でも立ち止まったところで、血の池地獄の方から近づいてきてくれるわけでもないですし。
泣いたからと言って、あちらから近づいてきてくれるわけでもないですし。
立ち往生しています、心が。そうこうしている内に、冷や汗が出てきましてね、大変でしたわ。
ほんと、大変……あれ? なんで? 
大晦日の寒い日だというのに、なんで汗が? 冷や汗がどっと……。
胸もムカムカするし、だるくなるし。いかん! 低血糖だ。
休まなきゃ、とにかく。ブドウ糖を入れて、しばらく休憩しなくちゃ。

 失礼しました、落ち着きました。おかしいなあ、特段動いたわけでもないし、朝食もしっかりと摂ったし。
低血糖になる素地はまるでないのに……。
まさかインシュリンの量を間違えたのか? 
でも打ち忘れることはあっても打ち過ぎなんて、ありえんだろうに。
認知症? まあ、後期高齢者に近付いてはいるけど、せっせと毎日、あれこれ妄想しながらキーボードを叩き続けているんだ。
ボケ対策になる筈なんだけどなあ。
「指先を使うことは良いことですよ。ブログ? 頭を使う作業も良いですねえ」。
そう勧めてくれたのに、お医者さんも。



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