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昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

ドール [お取り扱い注意!](五)おどろくほどに

2025-04-23 08:00:59 | 物語り

 おどろくほどに気持ちの良い肩もみだった。
じんわりと、あたたかかさが体に染みこんでくる。

それにしても、肩をもまれるなど、なん年ぶり…いやなん10年ぶりのことだろう。
幼かった娘の、たわむれ的なカタモミ以来ではないか? 

ときおり、柔らかいものが背中に当たる。心地よくはあるのだが。
10秒ぐらいだろうか、その間隔であたってくる。

「さよこちゃん、その…当たって…」
そう言ったとたんに、思わず顔が赤くなった気がする。

「おいやですか、ご主人さま。ふふ…純情なんですね」
「これこれ、大人をからかうものじゃないよ」

 ざんねんなことに家事については、プログラムがなされていないという。
たしかに複雑な動きをともなうことだし、なんといっても判断基準もむずかしい。

たとえば掃除についていえば、ゴミを吸い取るだけなら問題ないだろう。
拭き掃除となると、その動きは…気が遠くなるほどのプログラミングが必要となりそうだ。

料理となると、どこからどこまでなのか、ということになる。
材料の準備からということになると、これまたプログラミングが、ということになる。

煮る・焼く・蒸すということだけならば、なんとかなるかもしれないが、
そもそもが準備段階で、わたしなどはお手あげということになる。

いやその前に、料理のレパートリーがない。
そもそも、レシピ本に書いてある材料そろえが面倒だし。

スーパーの惣菜でいいし、レトルト食品もある。
それも面倒なら、弁当で十分だ。いまのそれらは、十分に美味い。

「なにもできない、娘? 嫁? どちらがよろしいですか?」
とつぜんに意味不明のことを聞いてきた。

娘か嫁か、それはわかる。しかしなにもできないとは……?
「申し訳ありません。説明不足でございました」と、悲しげな目を見せてきた。



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