昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

ボク、みつけたよ! (三十一)

2022-01-15 08:00:43 | 物語り

 さあ次なる場所に移動です。
小学6年生の夏休み前まで通った、福岡県中間市の中間小学校に行きましょう。
一級河川の遠賀川の堤防下に建てられている学校でした。
ですがあまり記憶にありません、学校内は。6年生ですからねえ、覚えていてもおかしくはないのに。
学校外でのことばかり思い出すんです。
倉田くん、佐々木くん、ぼくのこと、覚えていてくれるかなあ。
互いの家が近かったこともあり、放課後によく遊びました。


家の脇に国道と並行して線路があったのですが、その地がさっぱり分かりません。
その線路脇に小山というか小高い丘というか、頂には神社があったと記憶しているのに、それらしき場所がさっぱりです。
中間小学校に通っていたということは、この近辺だということなんですがねえ。
小川が流れていて、少し離れたところに小さな池があり、そうだ! 神社もあった。
その広場で三角ベース野球で遊んだんだ。
若い方はご存じないでしょうね。一塁と三塁だけの、三角形なんです。
人数が少ない折の、遊びでした。


 そうだった、そうだった。女の子が居ました。
鼻水を垂らしていたんですが、それが妙に可愛く感じられる子でした。
初恋? いえいえ、近辺に女の子はその子一人でしてね、自然、みんなが可愛がるというかちやほやするというか……。
初恋といえば、どうなんでしょうか。
辞書には「はじめて異性に恋の気持ちを起こすこと」とありますが。
聞いてみましょうか、6年生だったわたしに。「ぼくの初恋は?」。
「昭代第一小学校の井ノ口せんせ」。「転校するときに、犬のおき物をくれた」。
まん丸顔、というのはオーバーかもしれませんが、ほっぺたがパンパンに膨らんだ先生でした。無論のこと、小太りタイプです。たぬき、なんて比喩すると叱られちゃうかな。でも優しい先生でした。


 そうでした、算数の時間でした。黒板下の隅っこで、椅子に座っている先生の耳元で、一人ずつ九九を暗唱するんです。
そんなに先生に近づけることなんてないことですし、以前にお話ししたとおりわたし女人恐怖症ですから、嬉しいんですが恥ずかしくて恥ずかしくて。
顔を真っ赤にしていたと思いますよ、耳たぶが熱く感じたことを覚えていますから。
「それからね、伊万里小学校の真理子ちゃん」。「あとねえ、、、」。
もういい、もういい。初恋は、初めての恋ですからね。そんなにたくさんは、ねえ。
初恋はかくあるもの、そう決めつけた場合の感情ですからね。


 出会い頭の交通事故的な恋――出逢ったその場で落ちた恋。大体が失恋しました。
そもそも告白をしていませんから、相手には伝わっていません。
それはそれで美しいものに違いはないんですが、地に足のつかないそれは、やはり根なし草のようなもので、少しの風にも倒れてしまいそうなもんでしょう。



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