昨夜のことだ。角のビル前に所在なく立ちすくむ、まだあどけなさの残る少女に、赤いほほ紅と真っ赤な口紅を無造作に塗りたくった唇に郷愁を覚え、思わず声をかけていた。 連れだって喫茶店のドアを押した。BGMに耳を傾けつつ、男はとりとめもなく話している少女にときおり相づちを打った。なにか楽しいことを喋っているらしく、ときおりコロコロと笑い転げている。男には心地よいリズムのように感じられるそのお喋りも、きの . . . 本文を読む
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