しかしそれは次第に、真の告白的小説になってゆく。そしてより自然に、作者の姿が現れ始める。異なった形式の中でのそれぞれの完成という方向ではなく、同一の自己の姿の定着という方向を指している。 . . . 本文を読む
芥川は、確かに当時の人たちよりは一歩抜きんでた近代人だった。そこにも彼の悲劇が存在しているのではなかろうか。そしてそれは、漱石にもつながるものであり、そこに芥川の、漱石よりの人格影響がうかがえる。唯、漱石には前にも述べた核があり、芥川にはそれがなかったということである。 . . . 本文を読む
芥川の内面の苦しみは、そんな初期の頃の『蜜柑』のような心境を、だんだん許さなくなってきた。後期の作品には、もう「軽やかさ・若々しさ・初々しい感傷」は消えてしまった。
『河童』という作品により、このような娑婆苦に苦しめられている自分自身の姿を描き、厭世的傾向を表した。 . . . 本文を読む
高校時代に傾倒していた芥川龍之介についての論文を、「灯」という文芸誌にて、発表しました。18才というのは恐い物知らずですね。読み返してみると実に生意気です。「うん?」という箇所も、ありました。が、当時の思いを大切にして、そのまま発表させて頂きます。
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カズオ・イシグロさん著作の「忘れられた巨人」を読んでいます。
「わたしを離さないで」から入り、「日の名残りに」を読み終えて、現代作家において唯一といっていいファンとなりました。
そして今、「忘れられた巨人」を読んでいます。
一気に読み終えるということができずに、ちびりちびりとなめるように読んでいます。
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長編小説を読み切ったのは、ほんとに久しぶりです。
ひょっとして、40年以上前になるかも‥‥。
カズオ・イシグロ という作家さん、ご存知ですか?
英国在住の、日本人です。
1982年、28歳の長編デビュー作「遠い山なみの光」で、王立文学協会賞を受賞されました。
1986年、「浮き世の画家」でウィットブレット賞を受賞です。
そしていよいよ1989年、「日の名残り」にて、最も栄誉ある「ブッカー賞」を受賞です。 . . . 本文を読む