松田敏子フラワーデザイン・徒然ローズガーデン

予定より長生きしている今を憂いながら、怒りながら、笑いながら楽しむ。

避難所の折り紙

2011-03-26 09:22:53 | その他

東電福島原発の事故で、役所ごと避難した福島県双葉町の町民約1200人を含め、

2000人ほどが身を寄せている さいたまスーパーアリーナ。

通路に段ボールで仕切りを作って「我が家」のスペースを確保する。

毛布にくるまって、寒さをしのぐ。

ボランティアがフル稼働している。

食事配り、マッサージ、理髪、子供の勉強の手助け・・・。

被災者の「命綱」だ。

ワシントン・ポスト紙の記者が取材していた。

「定員500人のボランティアに3000人が応募してきたという。驚きだ。

避難している人達が不平も言わず、おだやかに語り合っている姿に感動した。」




漫画やおもちゃなどを無料で配るコーナーに女の子がやってきた。

積んである折り紙がほしいという。

10枚ほどが入った袋を受け取ると、袋を開けて半分ほどを取り出し、袋を返した。

「ほかの人の分だから」という。

係りの人が「たくさんあるから大丈夫」と袋を渡すと、女の子はニコッと笑った。

10枚の折り紙を握りしめて、飛び跳ねるように走って行った。


善意で寄せられた物を、競って取り合うのではなく、みんなで分け合う。

避難している人々の気持ちが、少女にも伝わっているのだろう。


未曾有の大災害から、私達は何を学ぶべきだろうか。

危機管理の大切さ、災害に強い街づくりといった行政上の問題に加え、

助け合いや共生の精神がいかに大切か。

折り紙を分けようとした少女が教えてくれていると思う。




双葉町など福島県の海岸沿いの地域は、10基もの原発を受け入れてきた。

そこで発電された電力は、地元では使用されず、送電されて首都圏の繁栄を支えてきた。

原発事故の不安を抱えて暮らす地元住民と、煌々と電灯がともる東京の高層ビル群。

そのギャップを重く受け止めて、被災者の苦難を分かち合う術を考える時だ。

都会の浪費や行き過ぎた便利さなどを見直す機会でもある。

大震災から2週間。

復旧、復興の動きが本格化する。

その中で、我欲を抑えて、思いやりのあふれる共生の社会を築き上げていく。

日本の政治は重い役割を担えるだろうか。

そんな思いを巡らせながら・アリーナを後にした。

  [朝日新聞・記者有論を引用、編集したもの ]

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