とんとんのヒトリゴト

のんびり成長中のムスメの成長記録と趣味や日々の徒然話など。

映画「ちづる」

2013-01-08 | 映画・ドラマ
新年あけましたね~♪おめでとうございます
今年も一年、また細々とブログにお付き合い頂ければ嬉しいです

で、早速今日のお題は年末に引き続き映画レビューです。
昨年末のエントリーでもあるドキュメンタリー映画「普通に生きる」が重心児の映画であるなら、
今回レビューする映画「ちづる」は、自閉症と知的障害を併せ持つ20歳の女の子のドキュメンタリー映画です。
監督は実のお兄さん。
大学の卒業制作でこの映画を撮り、プロモーションから何から学生の手で行った作品だそうです。

と言うことで、簡単にあらすじなど・・・

妹のことをどう説明したらいいかわからない。
だから言葉で伝えるかわりにカメラを向けることにした。


劇場公開の予定が決まらないうちにTV、新聞等マスコミでひと際注目を集めている作品がある。
立教大学現代心理学部映像身体学科の赤正和が監督したドキュメンタリー「ちづる」。
自身の卒業制作として企画されたこの映画は、重度の知的障害と自閉症をもった赤の妹・千鶴と
その母を1年に渡り撮り続けた、みずみずしくも優しい家族の物語である。
最も身近な存在でありながら正面から向き合えなかった妹にカメラで対話した監督は、
映画を撮り終える頃、家族との新しい関係を築きあげている自分に気づく。
作者の精神的な成長がいみじくも映像に刻印されてしまった稀有なドキュメンタリーの誕生。
“若さ”が成し遂げた映画の奇跡がここにある。


と言うことで、こちらの映画は前回と違いイメージがわきやすい物でした。

で、映画を見た感想ですが・・・これもまた複雑な想い・・・という言葉が一番当たるかなぁと思います。

HPのトップに番宣の動画があります。
それを見てもらえれば分かりますが、このちづるさん・・・対人関係にとても敏感らしく、この映画の最中で関わっているのは母親と監督である兄の2人のみ。
つまり、この映画はこの3人だけで完結している映画だったんです。

しゃべりは多少出来る所を見ると、恐らく知的よりも自閉の方が強い方なんでしょうね。
養護学校時代から不登校気味で、そのまま引きこもっていると言う事で、一日を通して母親がずっと面倒を見ている様子が映画の最初からうかがえました。

で、映画の中で監督が「このまま引きこもってていいの?」みたいな問いかけを母親にすると
「あと10年ぐらいいいんじゃないか」みたいな返事をするんですよ。

えぇぇぇぇ
10年もまだこのままでいいと仰るのですか~と思ったのは私だけではないと思いたい

仕方ない部分があるのは本当によく分かる。
この手の「こだわり」や「ひっかかり」は、親が、周りがどうこうしたからと言って何とかなるものじゃない。何とかなるなら誰も苦労はしませんしねぇ・・・
もちろん、何とかするために色々手立ては考えたんだろうと思うけど、最終的には「受け入れて待つ」という選択を選ぶしかない場合だってあるはずだ。
自分も同じ立場だったらそうなったかもしれない・・・想像は付いた。

誤解があるとなんだが、映画の中に出てくるエピソードはみんな「あるある、そういうのってねぇ~」って事ばかりで、特別な事ではない。

でも、ちょっとだけ客観的にこの映画を見たとしたらどうだろう?
家族だけで完結するこの世界は、凄く息苦しくて、濃密なやりとりだ。
もちろん時にほっこりするときもある。
でも、ちょっとしたきっかけで途端に家の中は大嵐。
お通夜みたいな時間もあれば、きっかけも分からないままご機嫌タイムに突入。
何が飛び出すか分からない。
理屈だけではどうにもならない、びっくり箱のような世界だ。

私は多少なりとも「知っている」から、それはそれで受け入れられる部分もある。
ただ、なんの先入観もない人がこの映画を見たら、どんな風に思うんだろう?
こんなの嫌~って思うのかな?
それとも、不思議な子だなぁ~って思うのかな?

どうなんだろう?
なんか強烈にそんな風に感じたのだ。

「障がいのあるきょうだいがいる人」の事をきょうだい児といい、最近は親だけではなく「きょうだい児」へのケアも重要だと言うことで、色々取り組みを始めるところが多いそうです。

この監督も「ずっと友達には妹のことを話せなかった」と言っている。
だからこそ今回初めて妹にカメラを向けて、今まで真っ正面に考えてこなかった・・・というか、考えようとしなかったことに向き合ったんでしょうね。
それだけでも、この監督の成長を感じますよ
それぐらい、難しい問題なんだと思う。
親が思う以上にね。

そんな感じで、実は悶々とこの映画を見続けていた。
どうなるのだろう・・・この家族はってね。
うーん、悶々よりはハラハラかな

ただ、ラスト。
息子であるお兄ちゃんの自立(=大学卒業)をきっかけに、母とちづるさんは住み慣れた街を離れて母親の田舎へ引っ越していった。

そのシーンを見た時、もやっとしていた私の心が動いた。
このお母さん、「ガラスの球体」を打ち破って出て行くんだ・・・ってね。

一つの賭にはなると思うけれど、この変化が「安心だけれど、変化のない日常」を変えるきっかけになって欲しいと、痛烈に思ったんです。

世界は、人は、怖いことも一杯あるけれど、楽しい事もきっとある。
それをお母さんの肩越しでも構わないから、いつかちづるさんが気がついてくれるといいなぁと思う。

今だって不幸な訳じゃないでしょうがね。
でも、そんな風に世界が広がればもっとみんなで幸せな気分になれるかもしれないしね

まとまらない感想ですが、そんな風にもやっと考えた一作でした。


今年もまた沢山映画みたいな~!!




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