電気のない暮らし

朝。カーテン越しにまぶしい太陽。「よーし、張り切って洗濯するぞー！」思い切って暖かい布団を蹴ってカーテンを開けると、えっ？！一面の銀世界。雪が降っている。いや、スキー場のある近くの山々から雪が吹いているのだ。郵便受けに紙。「17日までに入金がなければ、18日に電気を止めます」。えー！今日じゃない。

先週私はめっちゃくちゃ忙しく、娘を預かってもらっている姉の家で夕ご飯をご馳走になり、眠った娘を抱きかかえて夜遅くに帰宅するという毎日だった。朝も早かったので、郵便受けを見ていなかった。いや外側から何となく見て「何もなさそうだ」と「見たつもり」でいた。

慌てた私はコンビニに電気料金を支払いに行こうと思ったが、あたりは雪。私の車はノーマルタイヤ。命がけ？これでは無理だ・・・。東京電力に電話をするもお問合せ窓口は営業外のメッセージ。おいおい～。
「レスキュー頼む。」
姉のだんなさんに、スタッドレス車の出動を要請した。レスキュー隊が到着するまで慌てても仕方ない。朝ご飯を食べることにする。

「ねえ、見て見てー。」
私は娘にその紙を見せた。二人して、気がつかなかったよね～、と請求メモの存在に驚く。でも、まだ電気は点いている。
「今のうちに、テレビ見ておこ。」
娘はテレビをつけて『題名のない音楽会』を見始めた。繰り広げられる楽しい音楽の世界。いいね～、すごいね～と二人で感動する。

「ねー、電気がない暮らしって、さぶいよね？」と私。
「電気以外のあったかいもの、あったほうがいいね」と娘。
「ストーブ、買う？」

「ママ、電気止められてみない？」と娘。
「えっ？なんでー。」
「だってさ、電気が点いてるのが普通でしょ。なんでもやってみないと。だから、なかなかできない電気がないくらしを経験してみようよ。」
「すばらしい！」

そうしてレスキュー隊こと姉のご家族の車に乗り込み銀行やら、コンビにやらに連れて行ってもらった私たち。電気屋に行き、石油ストーブを購入。
「ママ、電気だけじゃなくってさ、ガスが止められてもこれがあればご飯も作れるよ！」
そうして1日。何とかまだ電気は点いている。無事な一日、ほんと皆さまに感謝です。