萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

Short Scene Talk キャンパス@2月14日―Side Story act.12

2014-02-14 23:01:09 | short scene talk SS
未来近景@大学構内



Short Scene Talk キャンパス@2月14日―Side Story act.12

「大学も雪、けっこうすごいな笑(周太まだ講義中かなもう終わる頃だろうけど早く来ないかな)」
「お、雪だるま、笑(なんか丁寧に作ってあるけど周太と美代さんが作ったらこんな感じっぽいよな笑)」
「ほらっ、やっぱり!こんにちは(笑顔)」
「え?(っと誰だっけこの女の子たち、あ)」
「法学部のアルバムの時にって言ったら憶えてますか?(やだまた会えちゃった運命すごくない喜)」
「あの時は助かりました、ありがとう(営業笑顔)(また声かけられた前の時すごいタイミング悪かったんだよな)」
「こちらこそ(すごい今日に会えるってチャンス)あの、これ良かったら受けとって下さい(モテ笑顔)(教授にはコンビニで良いわ)」
「こちらもどうぞ(モテ笑顔)(ちょっと出し抜かれるとこだったわ油断ならないわよね教授用だけどイケメン彼にあげちゃう)」
「ありがとう、でも俺あまいもの苦手なんです、気持だけ頂きますね(営業笑顔)(俺が欲しいのは1個だけ周太今年こそくれるかな期待)」
「そうですか(ガッカリ)急でしたよねごめんなさい(あー断る口実よね甘いのダメとかってでもナンカないかなセッカクチャンス)」
「大丈夫です、甘いのダメな人に人気のチョコなんですよ、どうぞ(モテ笑顔)(よかった大人系のにしておいて教授は生協ので良いわよね)」
「え、(ちょっと要らないのに面倒こんなとこ周太に見られたらどうするんだよ)」
「あ、周くん?あれって宮田くんじゃない?雪だからお迎えに来てくれたのね(やっぱり優しいね宮田くん笑)」
「え…あ、英二(笑顔)(ってなんか女の子につかまってるんだけど何?)」
「ホント宮田さんだ、電車止まるかもって周太を迎えに来たんだろ(笑顔)あれ?(また女の子に掴まってる法学部の人じゃないかな)」
「あ、周くん雪だるま可愛いね(笑顔)(宮田くんまた女の子に掴まってる周くんまた怒っちゃうかも和ませないと)あ、周くん?」
「美代さん賢弥ごめんねちょっと行ってくるから(英二どうしていつもあんな素っ気ないことして)」
「小嶌さん、周太ちょっと怒ってるけど嫉妬?(男同士でも嫉妬するよなやっぱ)」
「ううん、嫉妬ならまだいいんだけど多分違うの笑(どうしよう周くんホント怒ると大変なのに困るけどナンカ笑っちゃう)」
「英二?こんなとこでなにしてるの(無表情笑顔)」
「あ、周太(極上笑顔)周太のこと迎えに来たよ、雪で電車が止まると困るから(可愛い周太ダッフルコートに雪が似合う萌)」
「そんなこときいていません今ここでなにしてるのかきいてるの(女の子が困った顔してるよねなにしたのほんとにもう)」
「え、だから周太のこと迎えに(って周太なんか怒ってるなんで泣)」
「いまおんなのこたち泣きそうでしょ?そのりゆうをきいてるのちゃんとして英二(ほんとにちゃんとしてほしいよねいつも)」
「あのっ、私たちバレンタインを渡そうってしただけなんですでもご迷惑だったみたいで(どうしようほんと迷惑かけそうじゃない私)」
「じゃあ英二が受けとれば良いだけだよね(笑顔)英二ちゃんとありがとうってして(無表情笑顔)」
「え、周太…(俺が他のひとにチョコレートもらっても嫌じゃないの周太ちょっと嫉妬してよ周太なんで泣)」
「こんなひとにプレゼントくれるなんてありがとう(笑顔)これお礼に良かったら(今日やってみた試作品なんだけど)」
「あ、可愛いー栞ですね(嬉笑顔)ありがとうございます(この彼すごい可愛いわこんな気遣いしてくれるなんて優しいイケメン彼の弟かな萌)」
「きれいな押花ですね、もしかして農学部の方ですか?(弥生キャンパスだとあまり行かないから顔知らないのも)」
「はい、森林学です(笑顔)押花とか興味あったら気軽に来て下さい、植物標本とか見れますから(学祭に向けて今から宣伝良いよね)」
「ありがとうございます(照笑顔)(男の子で押花とか可愛いな頭良さそう専攻決ってるなら3年生かな年下も良いわよね)」
「雪だけど気をつけて帰って下さいね?じゃあ(ほんと雪ふってるな女の子たち帰り大丈夫かな、)」
「はい、ありがとうございます(照笑顔)また、(帰りまで心配してくれて優しい可愛いこんどお礼にって研究室行こう萌)」
「なあ、小嶌さん?ほんと周太ってモテキャラだって俺いま思った、笑(あの子たちホントに研究室来そう)」
「そうなのよね、だから困ったことになると思うのよ?笑(ほら宮田くん萎れてるこのあと大変かもしれないね?)」
「…周太なんでプレゼントなんかしちゃうの?泣笑(俺には栞なんてくれたこと無いのに全部ファイルしちゃってさ泣)」
「お返しちゃんとしてあげただけです(ツン笑顔)(だってつまならおかえしちゃんとしないとわるいもの照拗)」
「周太…ね、今日って何の日か解かってるよね?(さっきバレンタインだってあの子たち言ってくれたし期待)」
「…っ、しりません(ばれんたいんだよねだから英二さっきチョコレートもらったんだし拗照モテるのは良いけどでも)」
「知らないって周太そんな冷たいこと言わないでよ?縋笑顔(今年もなんにも俺にはくれないのか周太あの子たちには栞あげたのに泣)」
「英二、車で来たんなら美代さんと賢弥を送って?(ツン笑顔)雪で二人とも帰るの大変だから(英二ほんとモテすぎ意地悪なくせに)」
「あ、周太、俺なら地下鉄で帰るから(笑顔)(いま宮田さんVS周太に巻き込まれるのはちょっと大変そうだし笑)」
「私も帰りちょっと寄り道あるの地下鉄で帰るね、二人も気をつけて帰ってね?(ふたりきりにしてあげないと宮田くん可哀想だもの)」
「あ…そうなの?(英二と二人なの気まずいけど仕方ないよね拗照)じゃあふたりとも気をつけてね、月曜またね?(笑顔)」
「うん、月曜またね(笑顔)宮田くん、また遊び行かせてね、」
「ぜひ遊び来てね、美代さん(笑顔)(ありがとう美代さん気を遣ってくれたよなホントいつもナイスフォローありがとう感謝)」
「あ、だったら俺もまた遊び行かせて下さい(笑顔)宮田さんが茶を点てるとこ見てみたいし(かっこいいよな宮田さんモテるの納得)」
「はいどうぞ(営業笑顔)(賢弥イイヤツだけどナンカ嫌なんだよな俺の嫉妬だけどさ警戒)」
「二人とも気をつけてね、(二人一緒の駅だし大丈夫だろうけどなんか僕だけ仲間はずれみたいでちょっと寂しいな)」
「じゃあ周太、帰ろう?(極上笑顔)(ああやっと俺たちふたりきりバレンタインぽいドッカ寄り道しようデートっぽいトコ大喜)」
「…ん、(どうしようなんとなく気まずい照れちゃうどんな貌したらいいの困拗)」



久しぶりに英二と周太で会話短篇@バレンタインです、笑

このあと短編連載をUPしようかなって考えています。
そのあとAesculapius続きの予定です、眠かったら寝ますが、笑

雪の夜に取り急ぎ、




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Short Scene Talk ふたり暮らしact.25 ―Aesculapius act.35

2014-02-14 20:09:00 | short scene talk
二人生活@home
Aesculapius第2章act.25の幕間



Short Scene Talk ふたり暮らしact.25 ―Aesculapius act.35

「雅樹さん、うまいかね?(ちゃんと美味しいといいんだけどね)」
「うん、おいしいよ?(笑顔)(ほんと光一は料理うまいよね幸)」
「よかった、ね、煮込みドウかね?(2日寝かせたから肉もやわらかいと思うんだけど)」
「これ本当にやわらかく味出てるよね、お店のより美味しいよ?シェフになれるね、光一は(笑顔)(ほんとプロ級だよね萌)」
「気に入ってくれたんなら嬉しいね(御機嫌笑顔)でね、デザートもあるからね、(美味く出来てると良いけどね心配×期待)」
「そんなに光一、いつの間に支度してくれたの?(僕が花むしってる間に光一そんなにしてたなんて驚×嬉)」
「簡単なのだけどね、バアちゃんに教わってきたね(そろそろかな、あ)」
「あ、甘い匂いするね?ケーキ焼いてくれてるの?(もしかしてバースデーケーキなのかな照幸)」
「うんっ、雅樹さんと環にバースデーケーキしたね、ちょっと待っててねっ(きっと旨く焼けてるねこの匂いなら)」
「うん(笑顔)(ああ環にまでなんて優しい光一ほんと可愛い大好きもう僕ほんと幸せだ照萌)」
「ほらっ(得意笑顔)雅樹さん、上手に焼けたみたいだよ?」
「待って光一、僕がオーブンから出すから(火傷させたくないこんなに綺麗な手なんだし萌)」
「ん、お願いします(極上笑顔)(いつも自分でやってるけど雅樹さん言ってくれるなら甘えた方がイイよねっ幸)」
「はい、ここに置くね。きれいに焼けてるね、ガトーショコラ?(幸笑顔)(ああ可愛い貌で笑ってる僕が好きだから焼いてくれたのかな照萌)」
「うんっ、雅樹さん好きだと想ってコレにしたねっ(御機嫌笑顔)(雅樹さん嬉しそうに笑ってくれてるね嬉しいねっ)」
「ありがとう(幸照笑顔)(光一ほんと嬉しそうに笑ってくれてる光一のケーキ嬉しいきっとすごく甘く感じそう萌照)」
「ね、雅樹さん、バレンタインもコレが良いかね?(半年以上先だけど今から練習したらうんとイイの作れるようになるね)」
「え、(照萌笑顔)バレンタインくれるの光一?(そんなの嬉しいどうしよう僕今からすごい期待しちゃうよってこんなの子供っぽいな僕でも幸)」
「うんっ、夫婦だからバレンタインもちゃんとしたいねっ(極上笑顔)もう大人恋人だしちゃんとしないとねっ(夫婦で恋人だもんねっ)」
「おと…照(大人恋人で夫婦でバレンタインって僕すごい期待しちゃうよ光一そんなのケーキより僕もっと甘いものが照萌×悶々)」



Aesculapius第2章act.25の幕間、光一と雅樹の会話@湯島自宅です。
ちょっとバレンタインを絡めてみました、笑

第74話「傍証3」校了しました、英二×祖父の対話シーン・伏線っぽいトコです。
Eventually Comes True「May.2012 act.7 清風」も校了しています、英理サイドです。
このあと短編連載かAesculapiusの続きを予定しています、

で、ちょっと訊きたいんですけど、
登場人物たちの中でバレンタインは誰が一番人気だと想いますか??笑

とりあえず取り急ぎ、




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第74話 傍証act.3-side story「陽はまた昇る」

2014-02-14 15:00:00 | 陽はまた昇るside story
linkage 連鎖



第74話 傍証act.3-side story「陽はまた昇る」

黄金ゆれる木洩陽が、ガラス越しテラスの床うつろう。

静かな午前の太陽に黒い犬は寝そべらす、その毛並も黄金ふくんで温まる。
いま安楽椅子の足許へ従いながら茶色い瞳を細めて、三角の耳は気配を読んで寛ぐ。
もう陽だまりが快い季節になった、そんな空気に座る安楽椅子の向こう老人は微笑んだ。

「警察学校とやらでも英二の成績は良かったようだな、」

ほら、やっぱり知られている。
この1年半を見聞させるツールを祖父は持つ、そんな現実に英二は微笑んだ。

「どの成績ですか?」
「法律関係はもちろんだが、鑑識に救急法と射撃の適性が高いと聴いておる。確かに向いてるようだ、」

端正な貌が微笑んでワイングラス口つける。
満足、そんな微笑がこちら見て愉しげに続けた。

「肩が広くなったようだな、胸も厚くなった。背も高いし制服が映えるわけだ、性格的にも軍人向きだろうとは思っていたが、」

軍人向き、そんな評価に祖父の思想が垣間見える。
こんなふうに過去の遺物は今も生きているのだろう、その鍵へ笑いかけた。

「警察と軍隊は違いますよ、」
「ふん、似たような部署があるだろうが、」

なんでも知っている、そんなトーン却ってきてくれる。
この回答こそ待っていた、それを惹きだすよう英二は微笑んだ。

「内務省でも話題でしたか?」
「ある意味で最重要の課題だったろう、当時も、」

ワイングラス口つけながら応えてくれる言葉に、4年前との差が見える。
それは「現職者」となった違いだろう、そんな推察に祖父は口を開いた。

「敗戦で軍の解体は当然だったからな、隠せる軍隊を考えることは当り前だ。丸腰の国家など滅びるしかない、」

敗戦、隠せる軍隊、

こんな言葉たちに祖父の合理性が輪郭を隠さない。
こうした類似を見せられるたび自分で嫌だった、けれど今は認められる。

―こういう祖父がいるから俺でも可能性があるんだ、嫌うより利用した方がいい、

まだ警察官2年目ノンキャリア、そんな自分でも「勝利」の可能性を掴める。
それは祖父の存在を利用せず勝つことは難しい、それくらい解かっているから今日ここに来た。
この屈辱ごと席に着くからこそ頭脳も鋭利に澄んでゆく、その想いに元内務省官僚の言葉は続いた。

「もし日本が白人種の国なら、あの馬鹿らしい戦争も原爆投下も無かったかもしれん。生意気な有色人種の国という現実があの戦争だ、
だからこそ日本は今でも内政干渉的なことを言われがちだ、あの国が無茶を言おうが国連も止めんのは野蛮人の共食いとしか想われとらん。
あのとき丸腰のままでいたなら日本など消えておるだろう、属国化されて日本語すら消えていたかもしれん、他の国々が呑みこまれたようにな、」

語られる言葉たちは否定ばかりも出来ない。
この通りの現実が当時にあった、それは今でも続く現実なのだろう。
だからこそ生まれた「司法の正義」がある、そう納得せざるを得ない反発に深い声が告げた。

「だから警保局の判断は当然だった、隠された軍隊は優秀な人柱だよ、」

その人柱は誰が選ぶんだ?

そう心が怒鳴って、けれど自分の貌は笑っている。
今ここで怒鳴りつければ求める鍵は掴めない、だから笑顔の仮面を着けている。

―祖父は知っている、たぶん中枢を、

微笑んだ貌の底、鼓動ごと血液がざわつかす。
この血を受継がせた男が復讐相手と仲間だった、そんな現実が見えている。
こうした矛盾を予想していた、だからこそ今日まで避けていたかった事実が英二に微笑んだ。

「英二、今日は半世紀前のフランス語を聴きに来たのかな?」

ほら、運命が扉を開いて微笑んだ。

いま自分に微笑んでいる貌は端正に凪いでいる。
この貌を美しいと賞賛した人間は数多いのだろう、けれど自分は知っている。

こんなふうに笑っている貌は自分と同じ、悪魔だ。

「50年あったら時効ですね、」

自分の声が穏やかに微笑む、その前で端正な笑顔がワイングラス口つける。
もう九十になる男、けれど美しいまま怜悧な瞳と深い声は愉しげに笑った。

「時効など関係ないだろう、犯罪では無く正義の秘密だからな、」
「正義の秘密ですか、」

復唱してワイングラスへ手を伸ばし、そっと口づける。
ガラス冷たく触れて唇から液体は下りてゆく、その冷たさが鼓動を浸すまま深い声が笑った。

「警察そのものが正義の秘密だろう、正義だからこそ内務省の三役は権力者と言われているのだ、今も、」

ならば正義とは何だ?

そんな議論を問いかけても交わらない、そう解かっている。
この祖父と今そんな時間を費やす暇はない、だから噤んだ心に英二は微笑んだ。

「地方局の仕事は地方の行政から治安にも関わっていたんですよね、」
「そうだ、だから私の許に集まってくる、」

深く響く声は微笑んで、けれど告げた現実は重たい。
そこにある過去から現在がワイングラス口つけて、声になった。

「今の警察は警察庁と地方警察に分かれておるが、昔は同じ内務省に警保局長と警視総監の席があった、今以上に中央集権的だったよ、
集権的だからあの時も情報収集からリストアップまで速い対応が出来た、それも内密に事を行うのは敗戦の混乱期だからこそ可能でもあったよ、」

過去、50年より昔の時間は自分にとって遠すぎる。
けれど過去は今も現実に息づいて自分の隣を攫ってしまった、その原点が祖父の声になった。

「隠れた軍隊を持つなら少数精鋭が合理的だ、だから候補者をリストアップさせた、その対象者は戦時中に特殊な任務に就いた者だ。
主としては射撃の名手、銃の構造から理解して射撃の計算をする能力とスナイパ―としての性格適性は、秘密を護らせるには最適だろう?
対象は警官だけではなく軍人から学徒出陣した将校までも含んだようだ、帝大出身の若者なら官僚や学者としての隠れ蓑も使えると考えてな、」

あくまで合理的で現実的、そう判断基準が告げてくる。
こんなふうに当時も決定は下されたのだろうか?そんな想い隠し問いかけた。

「リストアップしたのは警保局の官僚ですか?」
「主だったものは公職追放されたがな、若手が遣り遂せたようだ、」

深く響く声は微笑んで言葉ふくませる。
この意味ごとワイングラス口つけ呑みこんで、英二は笑いかけた。

「帝大の先輩とは親しかったんですね、」
「同門つながりは固いからな、」

さらり応えながら祖父の眼差しが自分を映す。
この後に続く台詞は解かる、そんな予想通りが笑いかけた。

「優秀な孫ひとり警察庁へ登用される道ならある、ボンクラなら恥さらしだが周囲から声掛かる男なら私も賛成だ、」

ほら、また自分の進路が勝手に決められかけている。
そこにある現実の動きたちに英二は微笑んだ。

「俺のことは話題として愉しいですか?」
「ああ、ずいぶんと楽しませてもらっておる、好い噂ばかりだ、」

愉しげに答えるトーンが幾らか温まる。
こんな空気から「祖父」なのだと見せられて、それが何かざわつかす。

―この祖父と血が繋がってるって思われたくない、だけど利用価値が高いのも本当だ、

高級官僚、そう言われる男が自分の祖父。
その事実は隠せるだけ隠してきた、それでも知られる場所には周知でいる。
そんな全てを見ないフリ出来るなら楽だろう、けれど向きあわす今に祖父の声が続いた。

「ノンキャリア出身の有能な官僚がいるそうだな、その男からも推薦されて初任総合とやらが終わる前に正式任官をしたと聴いている。
警察医のトップと言われる男にも可愛がられて消防庁でも評判が良いそうだな、同期の信頼も高いらしい、だが私の孫とは皆が気づかんようだ、」

愉快そうに話しながらワインボトルを傾ける。
慣れた手酌の指は老齢を感じさせない、この若さにも男のポジション垣間見える。

―老け込んでいる暇なんて無いってことだろうな、定年の後もずっと、

官僚の一線を退いてから20年以上が経つ、それでも祖父の許へは情報が集まらす。
そこに自分の事も届いている、そんな状況すら利用する意志に英二は笑いかけた。

「宮田の祖父のことは知られています、」
「あの人は有名人だ、同じ苗字で雰囲気から似ておれば当然だろう、」

何でも無いことのよう笑ってグラス口つける。
こんなトーンに検事だった祖父への賞賛は素直で、そのまま訊いてみた。

「宮田の祖父のことは好きですか?」
「嫌いなら娘を嫁がせんよ、」

さらり応えて銀髪の笑顔ほころばす。
その貌また若返ったよう見えて、すこし不思議な想いに元官僚は微笑んだ。

「清廉潔白、公明正大、そういう男に憧れるだけの良心が私にもあるのだよ?英二は意外だろうがな、」

意外、だなんて自分には思えない。
そして気づかされる、こんな憧憬すら自分と祖父は似ているのだろう。

「俺と同じですね、」

本音に微笑んでワイングラス口つける、その指先へ雫ひとつ絡みつく。
そのままガラスを滑らせワイシャツの袖を一滴濡らす、ただ淡い水玉の向こう祖父が笑った。

「ふん、英二も憧れるような男と出会えたのか?どんな男だ、」

本当のことを告げたら、どんな貌をするのだろう?
そんな悪戯っ気に可笑しくて正直なまま英二は笑った。

「すぐ赤くなる男です、誰より瞳が綺麗なひとですよ、」

あの瞳を祖父が見たら、なんて想うのだろう?

あの笑顔が祖父に笑いかけたなら、あの手が祖父に茶を点てたなら、祖父は何を想う?
あの優しい手から気遣われてあの声が語りかけて、それでも祖父はさっきと同じ台詞を言えるだろうか?

『優秀な人柱だよ、』

あの言葉を周太ならば祖父に後悔させられる?
そんな思案に微笑んだグラスごし、黄金あわい酒に祖父がすこし笑った。

「同じ言葉を昔、聴いたことがあったな、」

どういう意味だ?
そう問いかけた意識に瞳ゆっくり動かさす。
その視線グラスに隠させた向こう端正な笑顔がつぶやいた。

「…幻で幽霊なら貌など見えん、」

幻、幽霊、貌など見えない。
この言葉たちに連想される単語がある、その異国語を元官僚は微笑んだ。

「Fantome のことを教えてやろう、英二なら巧く遣えそうだ、私の後継者に成り得るのならな?」

ほら、運命がまた自分に笑う。






(to be continued)

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雑談寓話:或るフィクション×ノンフィクション@御曹司譚5

2014-02-14 12:36:00 | 雑談寓話
こんにちは、予報通りに朝から銀世界になってます、笑
今週末も自宅のんびりコースなカンジですけど、今日の早帰りが先決ってとこですね、

Eventually Comes True「May.2012 act.7 清風」校了しています、バレンタインちょっと絡んだ話です。
昨夜の第74話「傍証3」このあと加筆校正していきます、英二×元官僚な祖父との対峙です。
で、昨日掲載した雑談についてバナー押して頂いたようなので続き載せます、笑



雑談寓話:或るフィクション×ノンフィクション@御曹司譚5

育児放棄、

言うてしまえばソンナ育てられ方された御曹司クン。
物質的には恵まれて育って、けれど両親とくに母親の愛情が何だかわからない。
その孤独感が幼馴染との恋愛に繋がった、そんな言葉たちが電話に続くから自分は訊いてみたワケ。

「おまえってさ、人当たり良いしいつも笑顔だけど、ホントは誰のことも信用してないし好きじゃないだろ? 」

母親への不信、それが人間誰に対しても不信感みたいな溝を作っている。
そういう御曹司クンの本音が見えるみたいで言ってみた。

「おまえの笑顔は人間関係を巧く回すための道具ってカンジだろ、おまえに対する評価の全部がおまえの実家の評価にも繋がるからさ?
そういうの仕事では当然だろうけど、友達づきあいや恋愛にも持ち込むのってシンドイんじゃない?だから今日のメールみたいな暴発するんだろ、」

御曹司クンは職場上司のウケが良いんだよね、
それは実家の立場って言う背景があるから上司たちも下手な扱いが出来ない、
そういう利害関係を解かってるからこそ御曹司クンは「巧く立ち回る」必要があるワケ。いわゆる大人の事情ってやつ、
そんな点から訊いてみたら御曹司クン、照れくさそうに笑ったよ、

「その通りだよ、俺ホントは結構キレやすい。そういうの受けとめてくれるアイツが好きでさ、」

やっぱりそういう彼なんだなって思ったよ。
そういう彼と離れてしまった御曹司クンの事情がまた解かるな―思いながら相槌した。

「幼馴染クンも大変だね、お守役、笑」
「お守役って、笑 でもその通りだと思うよ、だから受容れたんだよね俺も、」

受容れた、って笑うからドッチからって解かるなって思った。
だからそのまんま言ってみた、

「彼女にフラれて泣いてるトコに告白されたんだ?」
「うん、ずっと好きだったって言われたよ、」

さらって答えて御曹司クン笑ってた。
で、話しだしたよ、

「その女みたいに俺はおまえを裏切ったりしない、俺の方がおまえのこと大事に出来るし幸せにするって言ってくれた。
中学の頃から好きだったって言われたよ、いつも誰かと付合う俺を見てるの寂しかったけど離れたくないから、ずっと黙ってたって。
少しでも好きでいてくれるんなら俺と向きあってほしいって言われてさ、こいつなら信じられるから受容れてみようって付合い始めたんだ、」

信じられるからって思えることは彼にとってホント大切なんだろなって思ったよ。
誰にとっても信じられる相手は大事だけどさ、
家族のこと、母親すらも信じられない孤独な彼にとって幼馴染クンの告白は縋りたい希望だったんだろね。

あー、こいつホント孤独なんだ、寂しいんだな?って思いながら訊いてみた、

「で、彼とツきあってみたんだ?笑」
「つきあ、照 っておまえほんっとえげつねえーなんだよもう真面目に話してんのに、拗笑」
「コッチも真面目だよ?笑 ツきあったかドウかって恋愛には大事だろ?」
「あーもう、照拗 ちゃんとセックスしたよソレがなにか?拗笑」
「へえ、おめでとさん、笑」
「ナニそれ笑」
「大好きなヤツとセックスとかって幸せだろ?だから、おめでと、笑」

って思ったまんま訊いて言ったらさ、
御曹司クン笑ったよ、

「おまえってさ、ほんと気持ち悪がらないで見てくれてんだな、ありがと、」
「うん?良い恋愛だったんならソレでイイじゃん、ソレって普通だろ、」

ソンナ感じに答えたら電話ごし嬉しそうに笑ってた。
で、また訊いてみたワケ。

「なんで彼と別れちゃったワケ?」
「うん…もう一緒にいられなくなったから、」

ちょっと曖昧なカンジの声、でも哀しそうで解かる気がしたんだよね。
だからまんま訊いてみた、

「おまえの後継ぎ問題と嫉妬深さがスレ違いになった?」
「当たり、ホントおまえ良く解かるな、」

可笑しそうに笑ってさ、御曹司クンまた教えてくれたんだよね。

「ホントに俺マジで好きでさ、だから養子縁組も真剣に考えて二人で一生ずっと生きようとか約束もしたかったんだ。
でも俺の性格も家のことも重たかったんだと思う、だから一緒にいられなくなって、大学卒業する頃に別れたんだ。
それで俺も現実見てさ、女と付合わなきゃって合コンとか頑張って毎度メアド交換しまくってきた、俺には女との結婚は義務だから。
後継ぎとして育てられたからソレ以外の生き方って俺解んない、後継ぐの結婚も必要事項でさ、だからホントに好きなヤツとは結婚できない、」

結婚は義務、なんて言うからモロ解かりだなって思ってさ、
そのまんま訊いてみた、

「やっぱ男との恋愛の方が本命で大事なんだ?」
「うん、結婚とかソウイウ利害関係ヌキで想い合えるってことが俺にとって真実なんだよ、」

すこし笑いながら「利害関係ヌキ」って言うあたり、どんな家庭か解かるなって思った。
このままだとニセモン夫婦になっちゃうタイプだな?そんなふう思ってたら言われたんだよね、

「俺は結局、ホントの相思相愛ってヤツになっても一緒には生きられない、ホントに好きな相手と結婚できない、そういうの、おまえには解んないだろ?」
「自分もホントに好きな人とは結婚できないんだ、もう亡くなったから、笑」

って正直に答えたら電話の向こう空気が止まったよ、笑
で、御曹司クンが訊いてくれたわけ。

「ごめん…俺また酷いこと言ったよな?」

どうしよう?ってカンジの困惑まみれな遠慮がちな声でさ、笑
ホント仕方ないなって思ったからそう言ったんだよね。

「仕方ないよ今のは、笑 でもホント酷かったって思うなら侘びの仕方あるよね?笑」

ホント仕方ないなコイツって想いながら軽くSってみた、笑
そうしたら御曹司クン嬉しそうに笑ってくれたよ。

「うん、丸一日ずっと飯おごってもいい、」
「へえ、それって休日ドッカ行こうって話?笑」
「だね、笑 車出すからドッカ行かね?笑」
「デートなら行かないよ?笑」
「なんだよもー笑、こっちも相手選ぶ権利あるし、笑」
「友達とドライブなら気楽で好きだよ、笑」
「俺だってそうだし、笑 なあ、ドコ行きたいとこある?」
「おまえと行くんだとなってカンジ、笑」
「なんだよもー拗 ホントおまえってS、笑」

なんてカンジの会話して睡眠時間が減ってった、笑
で、窓が青くなり始めた頃に御曹司クンが笑ったんだよね、

「俺、こんなに誰かと長く電話したの初めてだ、寝不足にさせてごめんな?ほんとありがと、」
「仕事んときはスイッチ入るから大丈夫だよ、笑 またね、」
「うん、また今日、笑」

こんな感じで電話を切って、時計見たら4時半とかだった、笑



とりあえずココで一旦切ります、電話会話は終ったけど御曹司クンの続きはあります。
っていうかホントはこっから話が始まるんだけどねってカンジです、笑
おもしろかったらコメントorバナー押すなど頂けたら嬉しいです、
で、また気が向いたら続篇載せます、笑

このあと第74話「傍証3」加筆校正します、倍以上になると想います。
ソレ終わったら短篇連載&バレンタインぽいナンカか、Aesculapius続きの予定です。

昼休憩に取り急ぎ、




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