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ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

マッチ

2014-04-20 20:41:42 | 昔の道具・暮らし

 

古いマッチが台所ににありまして…。

 

マッチは、昔の家庭では「必需品」でした。

ガス台も、最初のころはマッチで点火していましたし、それがスイッチの自動点火にかわっても、

火鉢に入れる炭をおこしたり、秋に庭の枯葉を焚いたり、仏壇のろうそくに灯をともしたり…。

だから、どこの家にもマッチはありましたし、小箱の10個入りのもの、大箱などがありました。

たとえばちょっとしたお菓子や、おかずのおすそ分けをいただくと、

母は「おうつり」として、お返しする風呂敷や器にマッチをのせて返していました。

私が覚えているのは「パイプの絵」「ツバメの絵」のもの、ベティ・ブープのものもあったと思います。

母は、30代からの喫煙者でしたが、実父がジッポーのライターを使っていたものの、

母はマッチ、でした。マッチでつける煙草は味が違う…というのですが…実はほんとです。

気分的なものなのでしょうけれどね。

あの100円ライターというものが爆発的に出回るようになったのは、たぶん私が20代半ばのころ、

「チルチルミチル」というネーミングの「東海精機」のもの。

これが出てからは、ライターは喫煙者だけのもの、ではなくなりましたね。

 

さてマッチですが、私一時期マッチのラベル集めをしていたことがあります。

小学生のころです。きっかけはまったく覚えていないのですが、どこかの喫茶店か何かのマッチ、

そのラベルがきれいだったか何か…そんなことです。

最初は空き箱でとってありました。家に来るお客さんに頼んだりして、20個くらい集まった時、

入れておくにも箱がない、場所をとる…で、ラベルだけ剥がすことにしました。

バケツに水を入れて、マッチの外箱を漬け込むと、やがてペロンとはがれてきます。

これを新聞紙に挟んで水気を切り、母にアイロンをかけてもらう…。

これがなかなかいいものでして、たぶん父だったと思いますが、

安いスクラップブックを買ってくれました。

一生懸命考えながら、色合いの合うものや、おもしろいデザインのものなど、

キレイに並べてせっせと貼ったものです。

やがてまわりの大人も楽しむようになり、見せてと言われたり、増えた?と聞かれたり、

これどうかなと、どこかの小料理屋さんや喫茶店のものを持ってきてくれたり…。

なんやかや、二冊くらいにはなったと思うのですが…

やがてこのコレクションは、おわりを迎えました…。

もともとは経木でてききていた本体が、そのまま紙になり、

厚手の紙に店名など、直接印刷されたものが、外箱になったからです。

子供のこととて、それほど広範囲に探したり頼んだりすることはありませんでしたから、

集められなくなって、自然消滅でしなくなりました。

あのスクラップ・ブック、実家のどこかにしまってないかと、

母の「とっとく魔」精神に、ちと期待しているのですが…。

 

いま、我が家の仏壇にも神棚にも、マッチはありません。100円ライターです。

それもコンビニでおまけにくれるもの…なくなって困るということもありません。

しかし…捨てるときはいつも「あぁもったいない」と思いながら捨てるのです。

マッチは、防災用にちゃんと買ってありますが、仏壇もマッチにかえるかなぁと、

このごろ考えたりしています。

トップ写真のものは、かなーーーり古いマッチで、たぶん、結婚してまもなくに、

実家から持ち帰ったものではないかと思います。

だってイラストのテレビの形が…ねぇぇ。

で、これ、実はもう使えません。見た目はなんともないのですが、いくら擦ってもつかないのです。

マッチの軸の方は、ライター近づけると発火するので、マッチをすりつける方がダメみたいです。

マッチを擦りつけるあのこげ茶色の部分、あれは「横薬(よこやく)」または「側薬(そくやく)といいます。

マッチの軸の方は「頭薬(ずやく)」といいます。頭痛薬みたいですねぇ。ご存知でしたか?

 

ところで、最近の子供たちは、マッチをつけたことがないので、学校で教えると聞いたことがあります。

まぁダイヤル電話も、蛇口も、使えない子供がいますからねぇ。

で、マッチをどっち向きにつけるか…なのですが、自分の前から向こうへ向けて擦る…が正解。

人に火を向けるなんて、というそうですが、元々人に火を向けること自体が失礼なわけで、

火をつけるときは、人のいないほうに向くわけです。

鉛筆を削るとき、人に向けない…というようなところからきたのでしょうかねぇ。

 

向こうに向けて擦るのは、軸を折らないため。

マッチの軸はそんなに頑丈なものではありません。中には擦ったら斜めに折れるようなものがあります。

手前に向けてすると、アタマの根元に力がかかって、折れて火のついたアタマが飛ぶことがあるのです。

だからわざわざ折れやすい動きになる手前に擦らずに、素直にまっすぐ擦れるように、

向こう側に向けて擦るのが正解、というわけです。

ちなみに、紙のマッチ(ブックマッチ)というのがありますね。あれは実につけにくい…。

あれの場合は、一本ちぎったら、頭薬部分を横薬の上に乗せ、フタをかぶせてしっかり挟んで引き抜きます。

切らずに直接指で押さえて…という方法もあって、見た目カッコいいですが、

ヤケドしそうでこわいです。

 

西部劇などで、靴底でマッチをする場面があります。

カッコイイ…と、普通のマッチでやっても火は着きません。

あれは「硫化リンマッチ」で、頭薬の成分が違います。

また、靴底までいかないけれど、そのへんの壁などで擦ると着く…のは「黄燐マッチ」。

どちらも毒性が強いので、国内ではつくられていません。

海外では、ヨーロッパ方面と思いますが「ロウマッチ」という名前で、今でも作られていて、

日本でも販売されています。無害に調整されている…そうですが、その辺はねぇ…。

 

さて、古ぼけたマッチが出てきて、記事にしちゃいましたが、このマッチ、

横薬だけ、どこかで調達しないと、これだけの軸、もったいないですよねぇ。

ありますよ、ちゃんと「マッチ・ストライカー」という名前で、やすりとして売られています。

貼り換えて、使うことにしましょう。 


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14 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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ああ (露草)
2014-04-20 22:42:35
ちょうど今日の新聞(地方新聞です)に、「子どもの生活技術低下」という記事がありました。
で、「マッチで火をつけられない」もあったわけですが…これはまぁ今はそうだろうと思うのです。マッチなんて家にないし、使うことないですものね。でも「定規を使ってまっすぐに線が引けない」には驚きました!
あと「正しく箸を使えない」
「ガスこんろの火の調節ができない」(!)
「正しく包丁を持てない」(調理実習が成立しないとか)
「針に糸を通せない」
「生卵を上手に割れない」
だそうです…

ちなみに、私のマッチ箱のイメージは「桃の絵のラベル」です。
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マッチ (akkomam)
2014-04-21 07:57:11
我が家の仏壇にはマッチがおいてあります。
お線香を灯すときのローソクに点けるときに
マッチがないと...です。

ライターを使うのはお墓参りのときに
風があるときのために用意している
ぐらいです。

マッチのあの擦る!のは
私のなかでは好きなのです。
どうして、と聞かれてもの世界ですが、
郷愁だけではないやさしさが
好きなのかもしれません。

今の人の行いもきっと何十年か後には
きっと語られる行為や覚えになって
いくかもしれませんね。
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Unknown (陽花)
2014-04-21 09:35:53
うちはずっとマッチ派です。
なので孫達は時々点けさせてとか消したいと
言います。
家でする機会が無いからなんですね。

マッチの成分が色々あるなんて知りませんでした。
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Unknown (とんぼ)
2014-04-21 13:27:19
露草様

今の子供たちって、かわいそうだと思います。
昔、ボンナイフや肥後の守で、鉛筆削るのは、
時にケガもしたけれど、自分でやったという
達成感もあったと思います。
いつのまにかキャベツの千切りも、
チャカチャカやっているのは、やってきたから…。
便利すぎる暮らしと「危ないから」という、
必要だけど、すぎれば害になる「保護」とで、
いろんな楽しみを、感じられない暮らしではないかと。

桃の柄、ありましたね。記憶にあります。
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Unknown (とんぼ)
2014-04-21 13:31:47
akkomam様

家に喫煙者がいると、ライターに困りません。
それでも、マッチのあの炎は、いいものですよね。
最近は「おまけ」のライターも断ってます。
なにしろ毎日使うのと、結局少しずつガスが漏れて、
ストックしていたものも、少ししか使えない…。
あっという間にゴミになります。
大箱マッチの「やすり」を、今日やっと買いました。
届いたら、この大箱が…神様仏様、
不細工でごめんなさい…ですけど。
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Unknown (とんぼ)
2014-04-21 13:35:22
陽花様

子供のころ、最初はマッチをするのが怖かったです。
うまく擦れるようになると、うれしかったものですが、
結局親がそばにいて、うるさくあれこれ言いました。
そうやって「危険」ということもね覚えていくのだと思います。
時々、ライターの火遊びで火事になる事件がありますが、
そういうものを子供の手の届くところに
置いておくことが悪いのと、ポンと押せば火がつく、
という簡単さも、問題なのだと思います。
マッチを擦るときのちょっとした緊張感は、
おとなになってもありますからねぇ。
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Unknown (天鼓)
2014-04-21 16:56:07
マッチ、非常用と思って蝋燭と一緒に置いておくのですが、多分今のももうつかなくなってそうです。
ライターより長持ちするかなとは思うんですが。
小さい箱で十分なので、一箱だけ入手するのも難しいです。

マッチは向こうに向けて擦る、私は手前に向けて擦ったら危ないから(自分に火がついたら)と言われました。
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Unknown (古布遊び)
2014-04-22 09:20:25
懐かしいですね~

私も以前、マッチのラベルを集めようと思い立ったことがあるのですが、何せスクラップをしてというようなことが出来ない人間なのですぐ挫折してしまいました(笑)。

最近はライターにとって代わられましたが、とんぼさんも以前、書かれていたように固い使いずらいライターは本当に困りものですね。
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Unknown (とんぼ)
2014-04-22 16:14:54
天鼓様

小さい箱はバラ売りしないようですね。
昔は、どこかのお店で…というのが
今はくれてもライターですし。

手前に擦ると自分が危ない、それも言われました。
いまより危ないことが、いろいろあった時代のほうが、
人間は危機感があったと思いますね。

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Unknown (とんぼ)
2014-04-22 16:17:41
古布遊び様

スクラップにするのって、やっぱり
けっこう手間がかかりましたよ。
子供でしたから、遊びの感覚だったのかもです。
いまなら…やってませーん…ですわ。

最近おまけにくれるライターは、おそらく売れなくなった
「以前のもの」だと思います。
おかげで軽くつくのですよー。
あの固いのは、ほんとに腱鞘炎になりますわ。
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