ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

路地

2021-09-01 18:46:02 | 昔の道具・暮らし

 

まずは…突然涼しくなって「あれれ?」です。

極端すぎて体がついていけません。雨がときおり降るようで、妙にまったりしています。

 

さてさて、写真は手持ちの写真集「世界の路地」。すみません「影」カット忘れました。

路地は英語だとAlley way、でも「裏通り」という意味もあるのだそうです。

日本では、裏通りは裏通りで、なんとなく商店の立ち並ぶ通りの裏、ですよね。

路地は住宅地や商業地の細い道のこと、という認識です。

 

文化の違いと時代の違いで仕方ないことですが、私の住む近辺は「昔は田畑、雑木林」が、

どんどん開発されて住宅地になったところです。

1本裏の通りに入っても、ちゃんと車が1台通れる幅があるアスファルト…。

例えば京都や金沢など、古い町並みの残るところには、まだまだ路地もあります。

そんな路地を訪ねる旅もまたいいものです。京都でよくやりましたわ。

ちなみに京都では路地は「ろじ」ではなく「ろぅじ」、ろぉじに近いかな。

 

さて、日本ではどんどんなくなってしまった路地ですが、建築の違い、

つまり石造り文化の多い外国では、まだ古い建物と同時に周囲の路地がたくさんあります。

この写真集は、そんな路地の風景を集めたものです。

ほとんどがヨーロッパ、ま、そうですよね。

 

私は外国の旅番組が好きでよく見ますが、長年ファンである「世界ふれあい街歩き」は、

当時の旅行番組としては珍しく「観光地を回らない」旅番組でした。

歩き始めて、路地があればそこへ行きましょう…です。

それで私もハマった…のだと思います。

下の写真は裏表紙にあったもの、画質よくなくてすみません。

 

  

外国の路地は、何百年も前の建物がそのままお化粧直ししたような感じでそこにあります。

きれいに塗り替えられていたり、石積みが直されていたり、逆にはがれたところがそのままだったり。

道もほとんどが石畳だったりレンガだったり。曲がりくねっているのに途中が階段だったり。

道はあちこちへこんだり出っ張ったり、でもちゃんと石はハメなおされて直っている…。

自転車で行ったらおしり痛いだろうなというような道もたくさんあります。

それがなんともいい感じなんです。

あちらは「それを維持する技術」についても、国が守る文化があるところも多いんですよね。

 

さて、路地写真がなぜ好きか…「暮らし」が見えるんですね。

この写真集の路地にも、まずネコさんがいる、ワンさんもいる、

ギリシャのミコノス島では、なんとペリカンさんが…。

洗濯ものが干してある、子供が遊んでいる、路地に面した窓には鉢植えの花がたくさん、

ご近所さんと立ち話、狭い路地に小さなレストランがあり、おしゃれな看板がある…。

この写真が撮られたのは何年も前なのでしょうけれど、今そこに行っても、

同じ風景が広がっているのでしょう。

写真の中の小さい男の子はどんな青年になっているかしら。

そんなことを考えながら1枚1枚見ていくと、カメラマンがシャッターを切っていたそのとき、

実は私もまた遠く離れた日本の小さな町で「その日を暮らしていた」のだなぁと。

だからどうなのと言われたら困るのですが、人の営みというものが町を作り、

町を育て、町を守る…そんなことを思うわけです。

 

もしかしたら、ドアの向こうでは、孤独な老人がじっとすわっているのかもしれません。

或いは、孫やらひ孫やらごちゃごちゃと賑やかにに暮らしているのかもしれません。

おしゃれな未亡人たちが、クッキーやケーキをパクパクと食べながら、

笑い興じているのかもしれません。

一人暮らしを始めて間もない若い人が、夢がかなうかどうか悩みつつも

懸命に暮らしているのかもしれません。

 

モダンだったりかわいかったり、ちょっと疲れが見えていたり、路地に面した古いドアの中で、

人が暮らし、人生を生きている、おんなじなんだなぁと思うのです。

残念ながら今の状況では、世界中どこの路地でも以前のようには暮らせません。

子供たちの声も、この辺りの通りでさえ聞こえません。

一日も早く、この写真集のようなのんびりまったりした風景が戻りますように。

そんなことを思いながら、ページを繰っています。

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