快読日記

日々の読書記録

「親方はつらいよ」高砂浦五郎

2008年09月07日 | プロレス・相撲・ボクシングなど
《9/6読了 文春新書 2008年刊 【相撲】 たかさご・うらごろう(1955~)》


力士にとって親方は父親も同然というイメージがありますが、高砂親方はむしろ母性的だと思いました。
やんちゃな弟子に手こずりながらも、温かく許容する様子は丹下段平のようでもあります。
弟子について話すときの「あの子、この子」という表現もお母さんみたいで、思わず頬がゆるみます。

そして、本人の資質と可塑性、親方との相性など、いろんな要素が相俟って、人を育てるってすごくドラマティックでおもしろいんだな~ってことも感じました。
例えば、朝青龍と1つ年下の朝赤龍とを比較して、
気性が激しくてよく泣く朝青龍より、決して涙を見せない落ち着いた性格で、体格も優れていた朝赤龍の方が強くなると思っていた、と回想しています。
問答無用の支配的な親方だったら、朝青龍はもっと"よい子"になっていたかもしれませんが横綱にはなれなかったでしょう。
巡り合わせって不思議ですね。
いろいろあったけど(これからもあるだろうけど)、実は相性のいい師弟なのかも。

あと、高見山(現・東関親方)と富士櫻(現・中村親方)から受けた恩について何度も触れているのもよかった。

朝青龍写真集と併せて、横審の"ベティちゃん(自称)"内●牧子氏にもおすすめしたい1冊です。