快読日記

日々の読書記録

「スピリチュアル系のトリセツ」辛酸なめ子

2020年08月11日 | その他
8月11日(火)

スピリチュアル系のトリセツ」辛酸なめ子(平凡社 2020年)を読了。

サッカーでも音楽でも宗教でもなんでもいいんですが、
愛好するものや心酔する人や信仰の対象を、突っ込んだり笑ったりするのは普通はできないですよね。
むしろ、そうした対象を他人に笑われたら怒っちゃう人の方が圧倒的に多い。

でも、それができてしまう辛酸なめ子はとても稀有な才能を持つ人なんですね。

例えば、ダライ・ラマにはフェロモンが漂っている、「半分肩を出されているからでしょうか、女性ファンも多いようです。」
チャネラーについては「本当にチャネリングしている場合もありますが、言ったもの勝ちの世界でもあります」
自称・宇宙人たちが「実は銀河連合の一員なんです」とか「宇宙連合に入っています」と言うのを聞くと「その真逆の存在が関東連合なのかも」とつぶやく。
え? おちょくってるよね、ばかにしてるよね、て聞きたくなるところですが、ことはそう簡単ではない。

実はかなりキツめにのめり込んでいる様子もあるからです。

本書では、“スピ度”軽めレベル1(パワーストーン・手相・風水など)から、
チャネリング・波動・ライトワーカー(←この本で初めて知った言葉)などのディープなレベル4まで、
巧みに分類していて、本当におもしろい!
あちこちのセミナーやイベントにも出向き、
体温低そうなイラストと声小さそうなレポートでまとめられていますが、
ところどころで「私も人間でいることが辛いです……」などという心境が吐露されてもいて、
この「信じてる」と「おちょくってる」のバランスが絶妙です。
「依存」と「批評」のバランス、と言ってもいいかもしれません。

スピる人には女性が多いことについても
「宗教では神に対して人間の無力さを痛感させられる反面、
スピリチュアルでは人間の潜在的な力を引き出すところも、女性本能に訴えている」と指摘していて、
その当事者でありながらこの冷静な分析はどうよ!と心のなかで叫びました。


そうそう、「波動」の項で、
「波動」を計測してカラフルなLEDで教えてくれる「霊石」というおもちゃみたいなアイテムが出てきて、
すごくおもしろそうです。やってみたい。