快読日記

日々の読書記録

「ゲゲゲの娘、レレレの娘、らららの娘」水木悦子 赤塚りえ子 手塚るみ子

2012年06月25日 | 漫画とそれに関するもの
《6/22読了 文春文庫 2012年刊(文藝春秋から2010年に刊行された単行本を文庫化) 【水木しげる 赤塚不二夫 手塚治虫 鼎談】 みずき・えつこ あかつか・りえこ てづか・るみこ》

3人の“父の娘”たちによる鼎談。

90歳の今も健在で、2人の娘と一緒に仕事をしている水木しげる、
放蕩や女性関係や離婚で娘と離れ離れになっていた期間も長い赤塚不二夫、
凄まじいまでの仕事づけの生活の果てに60歳という若さで世を去った手塚治虫、
父娘の関係も三者三様です。
父たちの共通点はその仕事へのひたむきさ、娘たちはみな父親を愛している。

「「お父ちゃん、『ヒットラー』(「劇画ヒットラー」)っていい漫画だよねえ」っていうと、「当たり前だ! だってお父ちゃんこれ、一生懸命描いたんだもん!」って言うんです」(水木悦子p28)

「子供のとき、パパのことがずっと恋しかったんですよ。(略)でも、永遠に自分のものにならない、自分だけを見てくれない。この人、わたしのために助けに来てくれないんだろうなって思ってた」(赤塚りえ子116p)

「漫画家同士で台湾に旅行に行ったことがあって、そのときに「みんなでお色気で有名な温泉に行こう」とかって盛り上がったらしいんですが、うちの父親だけは「いや、猿とニンゲンがまぐわっているやつがあるから、それを見に行こう」って。性的興奮のベクトルが違う」(手塚るみ子151p)


最後の項では、父親の仕事を引き継ぐものとしての自らの使命について3人が語っています。
たしかに巨匠の作品には「名作」というラベルがペタリと貼られて、書店に並ぶ数も減ってくるかもしれない。
たがら、娘たちが様々なアーティストとCDや本を作ったりするのはすばらしい。
でも、わたしはそこでつい、「いいなあ、娘がいて」と思ってしまうんです。
楳図信者なもので。
こういう「娘」がいたら頼もしいし、幸せだなあ、と。
楳図だけでなく、多くの女性漫画家にも、その仕事を守って、未来に渡って読み継がれていくようにがんばってくれる「娘」がいない。

この3人には「娘」によって作品の寿命をさらにのばせるという幸せがある。

→「お父ちゃんと私」水木悦子


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