環境省が、早ければ2021年末を目指して、日高山脈・襟裳国定公園の「国立公園化」を目指して動いている。日高山脈は、北海道の中央南部にある山脈で、狩勝峠側の佐幌岳から襟裳岬までの、長さはおよそ150 kmである。
日高山脈は地形や地質に独特のものがあり、植物や高山チョウなど固有種が多数みられ、野生生物の重要な生息環境となっている。外国にあるアルプス、ヒマラヤなどの山脈の多くは、地殻運動による横圧力によって地層が褶曲した褶曲山脈であるが、日高山脈も褶曲山脈である。
趣味が登山だったので日高山脈の主要な山に登ったが、「北海道の登山は、日高に始まり日高で終わる」と言われるように魅力一杯の山々が連なっている。また、山の斜面を氷河がスプーンですくったようなくぼ地になっている日本では数少ない“カール”を見ることができる。日高山脈のカールを見ると、1965年に起こったカムイチカウシ山(通称、カムエク、1,979m)での北大山岳部の雪崩遭難事故を思い出す。
これは、登山隊6人が十ノ沢での露営中に大規模な雪崩に巻き込まれ、全員が死亡した事故である。6人は決して危険な場所に雪洞を掘っていたわけではなく、国内最大級の雪崩に巻き込まれたのである。
春の雪融けを待って再開された捜索で、全員の遺体を発見した。そして、奇跡的に即死を免れた山岳部リーダー澤田義一が、テントのわずかなすき間で1週間にわたって書き綴った遺書がポケットから発見され、大きな反響を呼んだからである。遺書の最後には、母親宛てに「先に死んでいく、私の我がままをお許しください。」と書かれていた。
日高山脈・襟裳国定公園が国立公園に昇格すれば、十勝では「阿寒摩周国立公園」、「大雪山国立公園」につぐ3カ所目で、北海道では「釧路湿原」に続く7カ所目となる。日本には34カ所の国立公園があるそうだ。なお、“カムイチカウシ山”は、熊が転げ落ちるほど急峻な山の意で、2枚目の左側の写真にある真っ白く輝いて山で、中央の山は、日高山脈最高峰の“日高幌尻岳(2,052m)”である。
「十勝の活性化を考える会」会長
注) 日高山脈の写真
(日高山脈の中部の稜線。神威岳より北方を望む)
(出典: 『ウィキペディア(Wikipedia)』より抜粋)