2013年05月27日
赤渕駅 - 田沢湖駅 約21Km
今年は冷夏か?と心配していたのだが、なんとか初夏らしい天候になってきた。
6月には東北本線の福島駅から東京方面へ向かって歩く予定である。
そのために体力づくりも兼ねて自宅周辺を歩き回っている。
きょうは20キロ以上歩けるかどうかのテストも兼ねて田沢湖線の赤渕駅から田沢湖駅間を歩く予定である。
天気予報では今日は終日晴れで気温も30度近くまで上がるらしい。
朝は霧のせいか肌寒い感じだったがバイクで自宅を出る。
赤渕駅に到着した08時30分ころには気持ちのよい青空になった。
駅前にバイクを停めて歩き出す。
赤渕駅を立体交差の上から振り返る。
田沢湖町まで約20キロである。
できるだけ線路に沿って歩きたいのだが、この区間は線路沿いに道が無いのだ。
それだけ急峻な山の中を線路が走っているのである。
そのため国道46号線を歩くことになる。
田沢湖駅からの帰りは普通列車で戻ったのだが、トンネルまたトンネルでまるで地下鉄のような区間だった。
トンネルを抜けるとすぐに鉄橋、そしてまたトンネルに入るといった具合なのだ。
区間はカーブの連続だ。しかもかなりの急カーブなので列車はスピードが出せず、ゆっくりと進むのだった。
さて歩き始めてしばらくすると道路沿いの物置小屋のような建物に視力検査用の“C”の字があった。
こんなところで視力検査? それともCの文字に別の意味があるのかな?
もうすぐ6月というのに山桜が満開だった。
道の駅「雫石あねっこ」まで2キロメートル。
太陽が上がるにつれて気温も上昇してきた。
先日まで「寒い、寒い」と文句を言っていたのだが、きょうは「暑い、暑い」と不平を言っている。
風はほとんど無い。日焼けを防ぐためにタオルを首の周りにかける。
道路は国道46号線だが新しく付け替えになっているので旧道は見ての通りだ、人の手が入らないとすぐに草木が道を塞いでしまう。
遠くの山並みはまだ雪がかなり残っている。
雪解け水なのか川の水は、清流といってよいほど澄んでいる。
歩き始めてちょうど1時間。09時30分に道の駅「雫石あねっこ」に到着。
5分ほどベンチで休む。
ここには産直施設、食堂そして温泉施設。さらに屋外にはオートキャンプ場まであるのだ。
「こびるコーナー」の“こびる”とは小さな昼食のことで“小昼”である。
農作業などでのいわば10時のおやつの時間のことだ、転じて軽食を“こびる”と呼ぶようになったのだ。
道の駅には日帰り温泉施設もある。
帰り道ならば、ここで温泉に入って疲れを癒してから帰宅するのだが、残念ながらまだ歩き始めたばかりだ。
キャンプ場のすぐ近くにはダムと雫石川の清流。
オートキャンプ場を経由しながら国道46号線に戻るとしよう。
平日だったのでキャンプをしているのは一家族だけだった。
さて46号線に戻ると、さすがに交通量が多い。
大型トラックとすれ違うときは風圧でよろけるほどだ。
かなり暑いと思っていたが温度計はまだ24度だった。
1時間歩いて10時30分に国見温泉への入り口に到着した。
国見温泉は有名な秘湯(秘湯なのに有名というのもヘンだが)である。
岩手県には温泉が多くあるが、ここは私の住む盛岡から1時間ほどでこれるので何度も来ている。
神秘的なエメラルドグリーンのお湯がとてもよろしい。
木陰で10分間の休憩を取る。
日差しが強いので汗だらだら。水分の補給をしないと脱水症状になるかもしれない。
ペットボトルのお茶を飲んだら、また歩き出す。
ここから秋田県と岩手県にまたがる「仙岩トンネル」まではきつめの上り坂である。
車だと気づかずに通り過ぎるのだが途中の橋から見る川のせせらぎが美しい。
仙岩トンネル入り口付近にはまだ雪が残っていた。
岩手県と秋田県のまたがる仙岩トンネルは長さが2544メートルもある。
いままで車で数え切れないほど通ったが歩いて通るのは初めてである。
そういえば、過去にも工事関係者以外の人がトンネル内を歩いている人の姿を見たことはなかった。
トンネルの入り口にはこんな案内パネルがあった。
通路は検査用だから『歩道ではない』と言っているのである。
だが歩いて通ってはいけないとは書いてない。
つまり「歩道としては整備されていないですよ」と言い訳しているのだろう。
さてトンネルへ入っていくと、ものすごい粉塵だ。
補修のための工事をしている最中だったのだ。マスクを持ってきてよかった。
工事をしている人たちは変なおっさんが歩いてきたので不審そうな表情で見ている。
気にせずどんどん歩いていく、歩道?は狭く埃や泥が積もっていて歩きにくい。
検査用通路だから仕方ないのだ。車は歩行者がいてもスピードを落とすことなく走っていくから、壁に張り付くような形で歩くことになる。
岩手県と秋田県の県境まで来た。
トンネルのまんなか辺りにあるので車のときは一瞬で通り過ぎるのだが、きょうはしっかりと写真撮影。
秋田県仙北市へと入った。
ここからもトンネルと橋の連続である。
1973年の完工とあるから、もう40年経過している。
トンネルはあちこちに傷みがみえる。
途中の堀木橋から下を見ると木々のあいだに少しだけ線路が見えている。
最後の湖山トンネルを抜けるとそこは雪国だった。ということはなかった。
国道46号線では有名な「仙岩峠の茶屋」だった。
ここのおでんは昔から有名で田沢湖や秋田市への観光のときにはここでおでんを食べるのが岩手県人の常識になっている。(ちょっとオーバー)
時刻はちょうど12時だ。おでんを食べたい気持ちはあるが、持ってきたコッペパンと缶コーヒーでわびしい昼食にする。
この峠の茶屋のところからの山道が以前の国道46号線だ。
現在は通行禁止になっていて柵で閉じられている。
温度計を見ると気温は27度になっていた。
この日は盛岡市では今年初めての真夏日になったとのだった。
山を下って仙北市田沢湖町へと入っていくと“仙岩情報ステーション”というのがある。
資料館なのだが無人である。
壁に航空写真パネルがあり、江戸時代の道路、明治時代の道路という線が引いてある。
昔の人はよくもまあこんな山道を通っていたものだ。
田沢湖駅への案内標識が見えてきた。
過去に田沢湖へは数え切れないほど来ているが田沢湖町は素通りしていた。
田沢湖観光に行くときも秋田市方面へ行くときも車だったので、田沢湖町の中を通ったことは無いのだった。
歩いてきてはじめて田沢湖町の中心部へ入るのである。
なんと道路の広いことか。まるでアメリカの田舎町のようだ。
雪の多い土地なので除雪のために道路幅を広くしているのだろう。
ぐっとモダンな田沢湖駅の駅舎。
駅前には観光客のおばさんたちが目立つ。
田沢湖周辺の温泉が目的の客も多いようで、旅館の送迎バスが客を乗せている。
胸にツアー会社のバッチをつけた一団もこまち号から降りてきてバスへ乗り込んでいく。
秋田新幹線による集客効果は十分あるようにみえる。
まだ時間はあるので隣の駅まで歩こうかとも思ったのだが、
ベンチに腰掛けてふと靴を見ると。
なんとソールの部分が剥がれているではないか。
それも一部分ではない。両足ともに大きく剥がれているのだった。
まったく気づかずに歩いていたのだった。
きょうは田沢湖駅から引き返すことにし、待合室で時間をつぶす。
赤渕駅までの乗車券は320円と少々お高い。
まあ駅の距離があるからね。
改札のとき「駅員さんが大曲駅までですか?」と声をかけてきた。
「いや、赤渕駅まで」と答えると怪訝そうな顔をした。
無理も無い、この区間だけを乗る人はほとんどいないのであろう。
プラットホームにいる人たちがみんなカメラを向けているのは・・・
やはり「新型こまち号」であった。