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セピア色の想い出。

日々の生活と、其処から生まれる物語の布飾り。

月の静寂(しじま) En.11Falling down all's

2009-06-27 23:30:18 | 凍結

「どうも、陛下。
 ・・・貴方が、今の立場を選んでいるのは、何故です?」
「なんのことかな?」
「エルが、17代目黒鳥からの、精神捜査(サイコ・リーディング)で、確証を得ましたので。」
「なるほど。
 ブリジットのコミュニティに所属する君は、どうするのかな?」
「黙っておきます。
 この情報は、諸刃の剣というにも、あまりにも、鋭過ぎますので。」
「懸命な、判断だ。」
「・・・それに、赤バラ王、貴方に殺されると言うエンディングも、ゴメンですので。」
「・・・・・・・流石は、エルの養い子と言うところだな。」
「お褒めに預かり、至極恐悦光栄です。」
八百年ぐらい前の赤バラ王との会話。
うん、腹の探り合いとしては、申したく無い部類だ。





月の静寂(しじま) En.11Falling down all's






「もう、そろそろ、ですかね。」
私は、『遠視』と『遠耳』を接続したまま、そう呟いた。
それは、両方の意味だ。
赤バラ王と蓮火さんの戦いが終わると言う意味でも、エルやブリジットが来ると言う意味合いでも、だ。
うん、蓮火さん、負けを認めると言うのも、一つの強さ、なのですけれどね。
―「くっ」
―「ダメだな。これで、二十二。」
―「くあっ」
認めない事も、同時に、強さではあります。
蓮火さんのスピードは、確かに、赤バラ王に勝ります。
ですが、今の状況では逆に、相手に手札を与える事になります。
速さは、多少のフェイントがあってこそ生かされます。
ですが、今の蓮火さんにそれを望むべくもありません。
というか、私のように、武術系の技でも、速さでも、力でも劣る者でも、十分すぎるほどの勝機が見えるほどです。
そうつらつら、考えていると、『二十四』手目が、蓮火さんに、入れられます。
右の二の腕を剣で、刺し貫かれ、そのまま、水平に引かれます。
確かに、蓮火さんは、「剣」で遅れを取りません。
「・・・ですが、その身に、背負っているモノで、勝てますか?」
そう呟きながら、私は、ブリジットの近づくのを感じ、そちらにも、『遠視』と『遠耳』を振り分けます。
どうやら、レティシアさんは、赤バラ王が剣術を使うのを見た事が無いようです。
そもそも、魔力が十分であれば、私達ダムピールを倒すのに、技は要りません。
有り余る魔力をぶつければ、それで十分なのです。
ですが、今のように、魔力が不足しているのなら、剣技に専念する事になる。
となれば、蓮火さん如きに、というとしつれいかもしれませんが、勝てる余地はないのでしょう。
関係ないですが、レティシアさんが、飛行が下手だからと言って、ブリジットの本気の飛行に付き合わせると、死にますよ?
ああ、エルも、スピードをあげましたか、負けず嫌いなのでしょうね。
「・・・・・・赤バラが、かように、剣術だけで、蓮火を圧倒するとは。
 それも、稽古をつけるように。
 不合理過ぎる。赤バラに、これほどの剣術が備わっているのは。」
風伯さんが、そう思わずと言ったように、呟く。
対する花雪さんは、泰然としていた。
「そうですか?
 風伯さん、噂から推測も出来ませんでしたか?」
「・・・リト、何を隠している?」
「隠しては、そう隠してはいませんよ。
 少なくとも、ブリジットさんほどには。
 でも、解りやすいようには、言っていません。
 風伯さん、考えても見て下さいよ。」
「・・・なるほど、剣の腕が無ければ、千年も生き残れぬと言うわけか?」
風伯さんの呟きに私は、珍しく解りやすく解答を・・・正確に言うならば、その解答の一つに誘導しました。
全てを私の口から言ってしまえば、楽なのでしょうが、それでは、エルの決意はもとより、赤バラ王の決意まで、無かった事にしていまいそうです。
だから、風伯さんには、自分から誤回答ではないけれど、正解答でもない答えに行き着いてもらいました。
そうこうしているうちに、蓮火さんの「弧龍」「金妖」は、打ち砕かれ、近くのビルで、赤バラ王と彼は、対峙しています。
彼は、怯えているのでしょうか?
彼は、気圧されているのでしょうか?
確かに、彼と赤バラ王には、差があります。
魔力の優劣の差?
ヴァンパイアとダムピールであることの差?
才能の優劣の差?
修練の長さの違いの差?
生きて来た長さの違いからの差?
そんなものではないのは、蓮火さんも、解っているんでしょうね。
貴方と赤バラ王との差は、「背負っているモノの差」ですよ。
ユキさんが、軽いとは言いません。
ですが、その何千倍も、赤バラ王は背負っています。
―『認めねぇ、認められっかよ。
  お前が、背負っているもんが、俺よりも重いはずが無い!!』
自分を客観的に見る事も、必要だと、基本の武術訓練の時に、教えましたが。
全く無駄ったようですね。
後から、また、稽古をつける必要があるのかもしれませんね。
そう考えているうちに、赤バラ王と蓮火さんは、交錯します。
―「俺は・・・この50年間、ずっと地獄をみて来た・・・
  お前に、一番大切なモノを奪われ、何度もこの身を砕かれて来た。」
ギリギリと霊刀と剣が、交わります。
離れたこの場所に置いてすら、その熱は届きます。
そう、大火が、対岸をも焦がすように。
ー「挙句、その復讐すら完膚なまでに否定され、お前が俺と同じ闘う価値さえ否定されたんだ。
  最後に残った・・・お前を殺すしか使えない俺の剣が。
  お前なんかに怯えるわけがねぇ、折れるわけねぇんだよ!!!」
ー「大事なモノを失ったのがどうした?
  這い回ったのがどうした?
  復讐を否定されたのがどうした?」
それでも、対岸の大火が、対岸の建物を燃やさないように。
蓮火さんは、赤バラ王を超えれません。
霊刀に、ひびが入ります。
赤バラ王の剣との打ち合い・・・正確に言うなら、赤バラ王の魔力に晒されて、劣化してしまったのでしょう。
私は、あくまで、冷ややかにそれを見つめます。。
ブリジットの言葉を借りるのならば、茶番(ファルス)そのもの、なのですから。
ー「それくらい、私だってみたぞ?
  いや、それ以上のものさえ、私はみているぞ?
  地獄であっても、お前は、ずっとましな場所に居るのだぞ?
  そんなものに、支えられた剣で、私に誇るな。」
そうして、霊刀が砕き折られると同時に、蓮火さんの心も、折られます。
実際、復讐に、特にそれだけで、支えられた剣を誇るのは、或る意味で、剣術自体に対する侮辱なのですがね。
ー「私を殺したいのならば、私以上の地獄を見つけろ。
  そんな生温い地獄で、殺されるわけにも行かないのだ。」
蓮火さんは、更に十数カ所切り裂かれ、屋上から堕ちていきます。
赤バラ王が、何をみたのか、それに対して、これまで以上の疑問を見つめながら。
それを知っても、どうしようもないのですが。
これが、人間サイド・・・御前サイドに広がれば、あの「森島」は、気付くでしょうね。
腐っても、あのレディの息子ですし。
「赤バラ王、蓮火さんの怪我、怪我自体は、すぐでしょうが、本来の力が戻るのに、半月程度でしょうか。
 すぐに、治療したとしても。」
「・・・そうだな。
 総身の霊力と魔力の流れを破壊しただけだからな。
 その見立ては、《魔法薬師(メディスン・ホイール)》のエレノア譲りだな。」
「どうも。
 風伯さん、この辺だと、あの病院ですよね。」
「ああ、そうだが。」
「ちょっと、応急処置しておきます。
 放っておける傷ではないですし、止めるのと止めないのでは、また違いますので。」
赤バラ王に、蓮火さんの傷の状況を確認して、風伯さんに病院の確認をします。
すぐには、運べないですし。
花雪さんが、なにやら、困惑していますが、放っておいて、私もビルから飛び降ります。
魔力制御をして、落下スピードを緩めます。
私が、蓮火さんの身体から、赤バラ王の剣を抜き、防御結界を応用して、時間を止めると言うか、「止まった」と誤解させる術を編み始めたときでした。
妙に強い、ですが、空虚なプレッシャーがかかります。
もう、ですか。
早過ぎます、「星が堕ちる」のは。
ビルの谷間から、空を見上げれば、大きな石臼のような本体と大小様々な個体が、空に浮かびます。
私は、内心の動揺を押し殺して、術を編み込み、蓮火さんにかけます。
これで、人で言う止血を終えた事になります。
・・・そういうややこしい術が出来るのなら、治せるんじゃないですかって?
私は、回復呪文が苦手なんですよ。
血管を塞いで縫い止めて、滅菌してとか、やるんですよ。
・・・それに、回復呪文でダメージ増加なんて笑えないでしょう?
後は、病院に連絡して、ですかね。
どのみち、結局、話はブリジットさん側に、通りきらなかったようですね。
そう思うと、自然に溜息が漏れたのだった。






「なかなか、愉快な面白い眺めだか、あれは何だ?」
「一言で申し上げるならば、宇宙からの侵略者ですね。」
「なるほど、そういうこともあるのか・・・」
「驚かないのですね。」
「まず、予想の範囲内だからな。
 ・・・長年争って来たモノが、手を組まねばならないのは、厄介な第三者が現れた時だけだ。
 何かが、攻めてくる事ぐらいは、考えていたさ。
 それに、エレノアが、『ダムピール』関連なのに、人間についている事も不審と言えば、不審だ。」
ストラウスも、花雪達のいる屋上にもどって、その『星が落ちた』情景を眺め、見上げていた。
恐らく、上空から、近づいている私に気付いているのだろう。
その上での、その言葉なのだろう。
・・・小さい時は、あんなに可愛かったのにな。
そう考えつつ、私は屋上に降りた。
「ご名答、ストラウス。
 今、君の娘二人は、こっちに向かっているわ。」
「・・・娘、ですか?」
私の言葉に、花雪は怪訝な声を上げる。
ま、慣例的と言うか、そう言えば、ブリジットとレティは、娘だろう。
花雪の疑問は、「女王との娘ではないのかもしれないですが、側室の方の娘ですか?」の要な物だろう。
だから、それに答える。
「うん、ストラウスが、あの時代に育てた娘とこの五十年間に育てた娘。
 血縁的な娘は、『今』はいないわ、養女的な意味合いの娘になるわね、ブリジットとレティは。」
「・・・なるほど。」
「それで、二人はどうした?
 御前の護衛として、いたのだろう?」
「ああ、今、ブリジットに抱えられて、レティも来るし。
 御前達は、更にその後ろ、まだしばらくはかかるかもしれないわ。」
それにしても、美観を損ねるというか、不快だね。
あの『星々』は。
どういう理由であっても、侵略者を喜んで迎えろと言う方が、おかしいけれど。
「・・・それで、あれは本体ではないのだろう?
 正確に言えば、実体ではない、と言うところか。
 見かけは、ともかく質量が感じられない。」
「その通りだ。
 周りに浮かんでいるのは、ともかく、あのばかでかいのは、立体映像と言ったところだろう。」
「空間を歪ませて、塵を利用はしてるみたい。
 だけど、3D以上にくっきりしてるわね。」
ブリジットが、レティを抱えた上で、上空に到着したようだ。
ちょいと、イライラと言うか、そんなところだろう。
今、リトが蓮火の面倒を見ているのだろうけれど、今来るとヤバいかしら。
一応、正式にコミュニティに所属している身だもんな。
ブリジット公認の戦闘を止めてないと言う問題よりも、知っていて、黙っていた部分がヤバいだろうし。
できれば、ブリジットが去るまで、上に戻らないで欲しいかも。
・・・それ以前に、顔、微妙に腫れちゃってるから、その関係上、顔を合わせたら、自分で病院に運んだ・・・運ぶ手配をした蓮火の息の根を止めそうだ。
冗談でもなく、四十と数年前に、それで数ヶ月まるきり蓮火を使い物にならなくしたからな。
ああ、心配だ。
でも、そうのは、無理なのだろうけれど。
ブリジットとストラウスの言葉は、もう耳に入らない。
聞こえて入るけれど、思考の糸に引っかからないのだ。
そうこうするうちに、軍用ヘリが・・・御前と森島が到着したようだった。
「私としても、詳しい説明をしてほしいところだからな。」
こうして、或る意味で、最終的になって欲しいダムピール&人間&ヴァンパイアの会談が、奇しくも、千年ぶりに行なわれる事となった。
この後の文章は、蛇足になるけれど。
ブリジットが、御前邸に移る間際・・・蓮火の移送を手配し終わったリトが、ちょうどこっちにきたのだ。
「風伯さん、ブリジ・・・・・・ットさんは、いるようですね。」
どうやら、風伯にブリジットの状況を聞きに来たようだが、実際は傍にいたようで。
そして、或る意味で、リトが会いたく無かった彼女から、怒号じみた声が響く。
「どうして、ここにいるのだ、レンネルド=ヤードルード!!」
「・・・どうしてかと言われれば、偶然としか言いようがありませんよ?
 エルが、仕事だと言うので、ラーメンを食べようと風伯さんの屋台にいたわけで。」
リト・・・フルネーム、レンネルド=ヤードルードは、私の義理の息子だ。
私のようにはぐれダムピールと言うわけではなく、コミュニティの一員だ。
或る意味での、ブリジットのブレイン的立場でもある。





そんな、蓮火VSストラウスの幕引き。
たぶん、ストラウスのあの言葉を聞いた以上、『真実』へ近づいてしまうであろうそんな一幕。





余談―。
「エル、その頬は?
 結構腫れてますね。」
「え、あ・・・・」
「・・・蓮火ですか。
 仕方ないですねぇ・・・・・」
「リ、リト、意識の無い蓮火を殴ったら、嫌いになるからね。」
「ええ、ちゃんと、意識が戻ってから、ぶちのめしますよ。」
「・・・そういうことじゃなくて。」






タイトルは、「星が落ちる」と「結末へ転げ落ちる」の意味で。」





月の静寂(しじま) En.10 確固たる格差

2009-05-15 22:49:46 | 凍結

「お前、なんで、コミュニティに、所属しているのに、ストラウスに、接触するんだ?」
「私が、コミュニティに所属するのは、その方が、都合が色々といいんですよ。」
「答えになってない。」
「ええ、私も、答えを言ったつもりはありません。」
「性格、悪いって言われるだろ、お前。」
「・・・・・・性格良くて、間諜が、務まると思いますか、レティシア?」
「ぐ・・・・・」
「そういうことですよ。
 難儀な職業ですしね。」
「誰かを、本気で思った事あんの?」
「ありますよ、それが?」
「・・・なんでもない。」
レティシアさんと、交わしたそんな会話。
いつの会話だったのかも思い出せないけど。





月の静寂(しじま) En.10 確固たる格差







蓮火さんと赤バラ王は、アクロバティックな空中戦をこなしています。
今、私、リトは、ビルのふちにたって、『遠視』と『遠耳』をかけながら、二人の闘いを傍観しています。
「逃げる回るばかりじゃ勝負にならないぞ。」
それは、そうですが、蓮火さん。
いくら、後から情報統制が、出来ると言っても、やり過ぎじゃないですか?
ま、戦闘中に気にしていられないというのもあるのでしょうが。
それにしても、見ていられませんね。
逃げるのは、何も、負けているときばかりではないのですが。
私の右横やや後方に、今代・黒鳥の花雪さんがいました。
その更に後ろに、ちょうど、私と彼女と風伯さんで、歪な三角形を描く場所に風伯さんが居ます。
花雪さんを責めるように、風伯さんが、こう問いかけます。
内容は、或る意味、解り切った事だけれど。
「ブラックスワン、何故、赤バラを止めなかった?
 お前なら、阻止することは、不可能ではなかったと思うが?」
やはり、それですか。
花雪さんは、少し居住まいを直し、こう返した。
「私と、ヴァンパイア王の利害が一致しているからです、
 今の刃蓮火は、火のついた導火線の爆弾のようなモノです。
 いずれ、爆発し、どうなる事は解ったモノではありません。」
「お嬢さんも、赤バラ王も、そういう不測の事態や、策を巡らせる上でのイレギュラーは少ない方がいいと言うモノですし。
 それなら、蓮火さんに、黙ってもらった方が、好都合というモノでしょう。」
私は、振り向かずに、花雪さんの言葉に、付け足すように、そう言った。
そう出なくても、一年と少し前に、ひとりダムピールを屠った赤バラ王としては、後半年は、ダムピールを殺すわけにも行かない。
中々、難儀な道を選びますね、赤バラ王。
黙った風伯さんに、花雪さんが、こう付け加える。
「ご安心を、ヴァンパイア王は、彼を殺す事はしないでしょう。」
「今、蓮火さんを殺せば、半休戦状態が解けます。
 それは、赤バラ王とて、今は望みませんでしょう。」
「貴方の方が、このダムピールより、状況に明るいようですね。」
「それは、風伯さんよりも、これでも年上ですから。
 赤バラ王が、今の状態で、それを望まないのは、花雪さんは、ご存知で?」
「魔力が、回復していない以上、それは困るでしょう。
 数週間、闘えないように、するだけだと思います。」
「うん、正解。
 あの人も、そう読んでいるんでしょうね、ね、風伯さん。」
さっき、ブリジットさんと連絡を取っているのを盗聴したから、今、風伯さんが、思い浮かべた事をある程度推察しての、私の言葉。
意地悪なのは、理解していますが、もう少し理解を深めてもらわなくちゃいけませんし。
「----------だが、そう期待通りに勝つかな?
 魔力が、回復しているとは言え、量は些少。
 飛行制御だけで、手一杯の今の有様では、避けているだけでは、いずれ詰まれるぞ?」
私は、風伯さん・・・本名・紅葉(くれは)さんでしたっけ?
その風伯さんの赤バラ王の評価に、或る意味、落胆しました。
飛行制御程度の魔力があれば、エルでも、危ないレベルです。
・・・・・・そうでなくて、なぜ、千年も闘えるのでしょう?
それは、花雪さんも、解っていたようで、風伯さんの言葉にこう返していました。
流石は、黒鳥(ブラックスワン)とでも言うべきでしょうね。
「心配は、必要ありませんよ。
 所詮、器量が底から違います。
 何度、血を流そうとも、恐らく一生、刃蓮火は、ヴァンパイア王を超えられません。」
私の視界には、赤バラ王と蓮火の闘いに大きな変化があるのを視ています。
この場の、風伯さんでも、花雪さんでも、視る事が出来ないビジョンです。
二人の戦いを視ながら、私は、二人の言葉を受けてではあるけれど、でも、二人に聞かせるわけではない言葉をつらつらと流します。
「忘れているかもしれない。
 ブリジットやエレノア以外、覚えてないのかもしれない。
 だけれど、あの人は、千年も昔から、一人で、ただひとりで闘っていた。」
視界が、蓮火が渾身のタイミングで、「金妖」と「弧龍」が、赤バラ王の退路を断つ形で、迫り。
また、それと同時に、日本刀を片手に、切り込む姿が、視界に移ります
「二割程度の魔力でも、蓮火如きに、勝てないのなら、もうあの人は、休めていた。
 あの人は、強過ぎる。
 その力故に、同胞からすらも恐れられた。」
しかし、蓮火さんの「金妖」と「弧龍」を赤バラ王は、あのタイミングつかみ取り、防御に転用しました。
赤バラ王ならば、無茶な見切りになるかもしれませんね。
「憎しみと言うモノで彩られ、突き動かされた蓮火の刃が、何故あの至高の王に届くのだろう。
 たかだか、五十年の想いが、千年の想いに勝てると言うこと自体、笑止。」
そして、赤バラ王は、二剣を返し、自らの魔力で、剣を作り出します。
久しぶりに、「技」も、使うようですね。
魔力の波動が、少し離れているここまで、伝わってきます。
「この戦いで、蓮火は、赤バラ王と自分の決定的な差を知るのだろうね。」
「・・・・・・・・・リト?」
「はい、どうしました、風伯さん?」
呆然とした声で、私の名前を呼ぶ、風伯さん。
口調も、いつものモノにもどして、応じた。
返答が無いので、こう、いいわけがましいかと思いましたが、付け加えます。
「これでも、ブリジットさんより、年上なんですよ?
 忘れかけられてますが?」







あの後も、少々の説明を加えた。
一応、と前置きがつくが、それでも、ブリジットも話を聞く気になったと言うか。
そう言う前提での、話が進む事になった。
「一応、これまでの話を信用するにしても、かなり腑に落ちん点がある。
 このマンションは、どこで、この入居希望者は誰だ?」
「一応、人間世界じゃ、政治力的な意味合いで、ほぼ最強というか、起こせない軍事行動ないのに、対処できない場所があると考えにくいのは、事実。」
「尚かつ、そのエレノアが手中にあるにもかかわらず、赤バラや腐食の月光ほどの魔力でなければ、対処できない敵等、想定出来ん。」
マンションや、トラックミニカーを指し示し、疑問を差し向ける、ブリジット。
確かに、そうだ。
その上、私もいるのに、ストラウスやアーデルハイトを必要とする理由が解らないと言うのも、まぁ、筋だ。
少なくとも、人間同士の問題なら、私を雇えば、同じ金額で軍隊を動かすよりも、容易く・・・少ない損害で、対処は可能だ。
それでも、私は、16分の1と言えど、人の部分がある。
この部分こそ、ヒントかな。
でも、其処まで行かないだろう。
「酷い言いようね。
 確かに、陛下や、姫様並みではないけど、それでも、破壊力と言う面では、地上では最強クラスには、違いないけど。
 ・・・御前、そろそろ、具体的な名前を言ってあげたら?」
「・・・・・・・・余程、特殊な条件かに置かれた都市か、それとも、国か?」
やっぱり、少々、現実的に考え過ぎな気がするわ。
持っている情報から、確かに上に飛ぶ発想が必要なのには、変わりないけれど。
でも、得られない情報ではないのだけれど。
御前は、少々もったいぶってから、こう答える。
「都市でも、国でもない。
 --------------星じゃ。」
御前の言葉に、レティは、明らかな驚愕を浮かべ、ブリジットは、表情を動かさない。
お姉さん、つまらない。
もう少し、驚いてもいいような気がするけれど?
また、御前は着物の袖から、二つの模型を取り出す。
一つは、青地で、緑が散る球体で、地球を模したもの。
一つは、アダムスキー型のUFOにタコ型の宇宙人が顔を出したモノだ。
いわゆる、「火星人の襲来」に出て来た火星人とスタンダートUFOを組み合わせたモノだ。
少々、プリチーな気がするが。
「このマンションが、我らが住まう惑星、地球を。
 依って、この入居希望者は、地球を狙う侵略者だ。」
陳腐な言い方だけれど、それ以外に無いような気がする。
そろそろ、森島の坊やも、動く頃かな。
空気が、どうも、ぴりぴりする。
たぶん、「星が落ちる」まで、そう時間無いかな。
確証はない、だけど、第六感とも、言うべき場所がそう警鐘をならしていた。
御前は繰り返し、再びこう言った。
「今、まさに、この地球を宇宙からの侵略者を狙っているのだ。」
沈黙が落ちる。
御前とブリジットの間には、形容し難い、しかし、スープに浮かんだ胡椒粒のようなそんな緊張感ある沈黙が、わだかまっていた。
そして、沈黙の中、一番始めに動いたのは、ブリジットでも、御前でもなく、レティで、UFOの模型を御前に、叩き付ける。
「うーだぁーっ。
 こんな、たこちゅーな宇宙人が攻め込むなんて、ナンセンスだよぅ!!」
「タコ型は、物のたとえだ。
 実際の形態は、現時点では不明--」
「型はどうでもいい。
 宇宙人、なんか、うさん臭過ぎる。
 まだ、ゴジラとキングギドラが、ワルツを踊る可能性の方が、未だ信じられる。」
御前は、レティの成すがままだ。
こうして見てると、孫とお爺ちゃんってかんじで、ほのぼのしてるよね。
と、現実逃避気味なことを考えている。
そうもいかないので、フォローの為に、こう言葉を付け足す。
「ほら、レティ。
 貴女のそういう反応を予想していたから、言うに言えなかったのだと思うけれど?」
「そういう、お前は信じてんの?」
「信じざる得ない、というところかしら。
 ・・・信じてるというわけではないわ。」
レティの指摘に、私は頭痛を覚える。
実際、あれは、信じざる得ない。
あの地動説の頃から、夜の国の時代の聖域にあれがいるのは、はっきり否定したことなのだけれど。
でも、ああまで、くっきりとした証拠を見せられては、信じざる得ない。
それ以外は、いいようが無い。
「エレノアが、信じると言うのならば。
 御前、何か証拠はあるのか?」
「うん?」
「口先だけで、こちらを納得させれられる証拠はあるのだろう。
 さて、どういう証拠を見せてくれるのだろうな?」
やっと、ブリジットが、口を開いた。
そう短い付き合いではない。
私が、明確な証拠無しに、何かを信じ行動すると言うこと自体無い事を知る人物なのだ。
もちろん、駆け引きで、証拠の無い事を糧に行動する事は無い事は無いが、いまは、そう言う場面ではない。
御前は、居住まいをただし、こう言った。
「今は、明確に見せれる物は無い。
 しかし、向こうからの「第三次勧告」があれば、すぐに見せられる。」
「くそったれてるわよ?
 今まで、二回勧告が合った。
 でも、今度くる勧告で、望みを叶えられないなら、塵殺しもありえるわ。」
「一年以内に、聞き入れられないのなら、だ。
 「第三次勧告」で、敵宇宙人は、我らの空に姿を表す。
 空を見られる地上全ての生き物が、その異形を見るのだろう。
 さながら、「星の堕ちる」光景を。」
その「我ら」に、ニンゲンしか入っていないのだろう、御前。
解っているが、今は、バラしはしない。
だけど、夜の国の民が残る努力をしよう。
その時だった。
不快な、音が響く。
減っていたが、居ないわけではない客も騒ぎ出す。
「来た、のかしらね。」
その声とほぼ同時に、軍服を着た男が、かなと寿司の自動ドアの前に、立った。
或る意味、軍人らしく無い。
焦げ茶の髪に、瞳、ここまでは、未だいい。
しかし、顔には、梵字めいた刺青に、ポニーテール風に結っても腰以上の長さの髪とくれば、一般的な軍人ではないだろう。
レティは、思わず、誰何の言葉をかけてしまうほどだ。
御前は、こう言う。
「森島ではないか、如何した?」
「どうやら、本部の知らせよりも、私の方が早かったようですね。」
そのやりとりで、その男―森島が、御前の手の者である事に気付く。
森島は、気にせず、報告を続ける。
にしても、あの「レディー」の息子だというのは、或る意味、ストラウスの隠している事よりも、はっきり言って、逆にトップシークレットだろう。
「第三次勧告が来ました。
 恐らく、数時間以内に星が堕ちます。」
「・・・早いな。」
「連中の時計が、こっちのがずれているのは、今更でしょう。
 今後の段取りも含め、支持を直接仰ぎに来ました。」
「ヴァンパイア王、とも打ち合わせしたいんでしょうけど、ブリジットのとこの蓮火とドンパチやってるわよ。
 もっと、逐一、情報は更新した方が良いと思うわよ。」
急いで、屋敷に戻ろうと言う御前達を制して、私は、これ以上無いぐらいに、投げやりに言った。
なにしろ、投げた槍が見えないのだから。
そして、ブリジットは、私の言葉に、やや、顔を青くする。
青くすると言うほど、ではないが、微かに顔色を変える。
「聞かれていたか。」
「うん、ま、ブリジットのは、付き合いが長いからこそ、聞けるって部分が多い者だしね。」
「・・・・・なんにせよ、御前、宇宙人とやらが来る前に、倒れてなければいいのだがな。」
うわぁん、ブリジット、最強スルー伝説?
ちょっと、お姉さん的には、寂しいわよ。
この後、軍用ヘリに御前を載せ、私達ダムピール組は、その身一つで、飛んでいく。
不良軍人だから受けただの、何だのと言う会話を森島と御前がしているが、気にしない。
彼の出自を考えれば、或る意味、それは、ブラフだから。
ちなみに、ブリジットとレティは、いわゆる、ジュワッチ、もとい、俯せの状態で、飛んでいる。
私は、某長編漫画のテレンスよろしくに、腕を組んだ直立の姿勢で、飛んでいる。
「また、ストラウスは、何をやってくれてんだ。
 魔力も、三割も戻ってないのに!!!
 お前もだ、ブリジット、なんで、蓮火を止めないんだよ。」
レティが、そう、泡食った様子で、ブリジットにも食って掛かる。
それに対し、短い沈黙の後、こう、返す。
「・・・小娘、まさかとは思うが。
 赤バラが、蓮火に負けると欠片でも思うのか?」
「う、そりゃ、まだ魔力が回復し切ってないし。」
「レティ、陛下は、魔力を抑えて闘うのが、真骨頂よ?」
「でも、アイツの剣技は・・・・・」
「教えておいてやる。
 私の剣の師匠は、赤バラだ。
 蓮火の剣はすごいが、勝てないと言うほどではない。」
「でも、陛下には、勝てると思ってないのでしょう?
 露程にすら。」
「ああ、そうだ。」
そんな会話を、軍用ヘリを後ろに、飛行しながら、話している。
まだ、常識の範囲内のだけれどね。




月の静寂(しじま) En.9 たった一つの冴えたやり方

2009-04-04 22:39:39 | 凍結


「す、すいません。」
「あまり気にするな、お前がアイツと闘いにくいのは、理解している。」
「ええ、真意が元々、解りにくい人でしたが。」
「・・・・・私にとっても、あの人も、同じだからな。」
「本当に、これからが、大変ですね。」
「ああ、人と、我らとの間の切り離しも、始めた方がいいのかもしれん。」
「その場合、私の父のような存在とすりあわせる手段が、時間が掛かりますが、ベターですかね。」
千年前、夜の国が、終ってそう立っていない時。
まだ、エルが、反逆者だと思われていたころ。
ブリジットさんとの会話だった。



月の静寂(しじま) En. 9  


少し前、ブリジットが、お手洗いに立った。
多分、蓮火とストラウスが、戦うのだろう。
殺しはしないだろうけど、蓮火が、疑問を持てば、芋づる式に、真実に・・・あの真実に気付いてしまうわよ。
でも、運命は、三姉妹が編むものだし、ストラウスでも、干渉しきれないだろうけど。
つらつらと考えているうちに、御前とレティが、あの術について話している。
そう、「人化の術」だ。
「人化の術があるぅ?
 ストラウスが知らないのに、ブリジットを知ってるはずが無いって。
 ブラフだよ、ブラフ。」
「あるなしで、言えば、あるよ。」
私が、半ば上の空で、答えると、同時に、ブリジットがお手洗いから戻って来た。
レティの発言を最後まで聞くようだ。
或る意味、性格悪いと言うべきだろうか。
ま、リーダー業なんて、性格が良くてやれるもんでもないけど。
「それでも、あのキツネ女のはったりだって。
 いかにも、やりそうだもん。
 なんなら、この限定プリン、賭けてもいいよ。」
其処まで、レティシアが言い、プリンを御前に突きつけると同時に、歩み戻り、そのプリンを取り上げて、こう言った。
ちなみに、御前は、怪訝と言うか、あっけにとられたような表情だった。
もちろん、仮面でよく解らないと言うのが、正直なところなのだけれど。
「私が、キツネなら。
 お前は、山猫ではなく、子豚だな
 そこのは、蝙蝠だろうがな。」
「なにおう!!」
「これだけ、食べれば、ネコも、ブタになるぞ?」
確かに、三十枚分ぷらすラーメン、特大パフェ。
それだけ食べればね。
私も、人の事は言えないけれど。
なんせ、二十五枚ほど、食べているのだし。
「レティ、陛下が、お前に話さないのは、道理だよ。
 陛下にしてみれば、然程、気分の良いとは言えない方法だし。」
「へん、二人して、私を混乱させるつもりだろ?」
「私にそうして、利益があると思うのかしら?」
「好きに思え。
 直に、その仮面と一緒に方法を教えてやる。
 ・・・エレノア、お前は喋るなよ。」
「りょーかい。」
という会話の間に、ブリジットは、その限定プリンを平らげてしまった。
うーん、どうせなら、一口ぐらい、欲しかったな。
ここの、限定プリンて、マジにオイシイから。
仕切り直すように、ブリジットが、椅子に座り、先を促すように、こう聞いた。
「悪いな、少し身内でごたついた。」
「・・・・・・いや。」
「---それで、何故、赤バラ王と腐食の月光を必要とする。」
少なくとも、ものすごく、意外な問題だと思う。
いや、解れば、あっけないのだろうけど。
だけれど、それでも、意外だ。
御前としても、少々逡巡してから、こう言った。
間違っていないのだけれど、表現に問題があると思う。
「-------うむ、一言で言うなら。
 とある、不動産トラブルを解決する為だ。」
それで、やっぱり、レティから、お決まりと言うか。
ある意味、ストラウスをサイコーに信頼している類いの言葉が出て来た。
「おいおい、GM御前。
 土地とか、建物とかの問題で、ストラウスの力、借りてどうすんだ?」
「或る意味で、アリ一匹を殺すのに、弾道ミサイルと水爆どっちが、適しているかに近いわね。」
くさすように、私は、レティの言葉尻をつかむ。
ま、実際、例え話で間違いはないんだけどね。
規模がでっかいだけでね。
御前は、ごそごその着物の袖から、マンションのフィギアとその住人役のプリティな小人人形をカウンターの上に置く。
「そうは言ってもだな、この不動産は中々、厄介でな。
 話を解りやすくさせる為に、模型を使わせて頂こう。」
フィギアをブリジットと自分の間に置く。
そして、説明を始める。
確かに、解りやすい事この上ないけど、もう少し、違う説明の仕方なかったのかなと気が抜けるような気がした。
「ここに、問題の不動産として、一つのマンションがあるとしよう。
 満室で、新しい住人を受け入れる事は困難だ。
 これを現在の住人としよう。」
そこで、小人人形を並べる。
うーん、絵面が、すんごく、和やかだ。
ごそごそと、御前は合わせから、子どもが遊ぶようなトラックのミニカーを六台ほど出す。
どうでもいいけど、痛く無いのかな。
服の中に仕込んで。
「--------しかし、このマンションに新しい入居希望者がどっと押し掛けて来た。
 さて、主らが、マンションの住人なら、このやってきた入居希望者を如何にする?」
私は、ここからは、傍観する。
一応、事情を知っているのだ。
明らかなに間違いならば、口を挟むだろうけれど。
そして、一番始めに口を開いたのは、レティだった。
彼女は、半ば身を乗り出して、こう言いながら、トラックミニカーを「うりゃ」っと言う風に、突き返す。
「・・・そうだね、まずは、話し合って、平和的に返ってもらうしかないでしょ?」
「----いかにも。
 しかし、相手は、一歩も引かずに逆にこう提案して来た。
 ------『こちらが、全員入居するのは、諦めよう。
     そのかわり、半分を入居させて欲しい。
     だから、そちらの半分は、退去して欲しい。』
 こういう提案だ。」
六つあった小人人形を半数に、六台あったトラックミニカーも半数に。
結果、マンションのフィギアの周りに、小人人形三体と、ミニカーが三台ならぶことになる。
一応、提案である。
しかし、これが、実際に形に成れば、自分が住んでいる場所以外をこのマンションの半分に仕立てようとするだろう。
敵・・・いや、入居希望者ながら、あっぱれな戦法ではある。
そう言い様のない作戦だ。
御前の話を聞いたレティは、更にこう話を展開する。
「うっわー、勝手な提案。
 でも、そんなの飲めないね。」
そして、ブリジットと御前の間に、身体を滑り込ませる。
うん、素早い。
「ダキョーしたが最後、あとあと、完全にマンションを乗っ取られちゃうんじゃない?
 きっと、すぐにこんなふうになっちゃう。」
ころりと、小人人形をころがす、レティ。
小人人形をマンションフィギアとミニカーの間ではなく、完全に脇に避ける。
・・・ストラウス、それなりに、教育やってんだね。
まぁ、やっているのは、しってたけど、ここまでちゃんと発想できるのはすごいかも。
同じ年のブリジットレベルかも。
そう、口に出さずに、私は考えた。
小人人形を左手で、マンションフィギアに並べ直し、トラックミニカーを右手で払いどかす。
「だったら、徹底抗戦。
 力づくで、追っ払う。
 そうすれば、ふっかーつ!!」
レティは、得意げに、「どだ?」というように、手を広げ、注目を集める。
御前は、感心しているようだ。
思ったより、というのは、レティに失礼かもしれないけど。
それでも、思ったより、理解が早かったのだろう。
「確かに、それが理想だ。
 そもそも、住人の半分が退去しようにも、移住の当ては無い。
 マンションを追い出されれば、それは、死に直結する。」
確かにね、行き先が無いのは、事実だし。
いや、あるといえば、あるけれど、そうすれば、破綻する。
或る意味で、死に直結すると言うのは、間違いない。
終わりと言う意味には、違いないのだから。
そう、つらつら考えていると、御前は、トラックミニカーのトレーラー部分の上部を開き、ミサイルのギミックを引っ張り出す。
「しかし、相手はこんなものを持ち出してきおった。
 要求が通らないならば、現在の住人を皆殺しにして、自分たち全員が入居すると。」
「選べるのは、半分か、全部か、どっちかだけ。
 でも、そんな妥協をすれば、いずれ、全部とられる。
 そんな状況、さて、どうするかな、ブリジット、レティシア。」
「・・・・・・こちらに対抗できる武器は?」
「せいぜいが、これくらいだ。」
「事実的には、マンションの住人の3割に、その程度が行き渡れば、御の字よ。」
ブリジットは、すぐに、戦力を聞いて来た。
それに、御前が、提示したのは、小人人形に竹槍を付けただけのもの。
私は、それを細くする。
数量的には、全員に行き渡る量があっても、扱えるのが、多く見積もっても、三割だし。
満足と言うと、四割分しか無い。
だから、間違いない。
少なくとも、ウソではないのだから。
「また、情けない装備だね。」
「事実、これぐらいの差があるの。
 しかも、軽く見積もっても。」
情けねーとでも言うような、レティの指摘に、私は、呆れると言うか、半分以上、笑うしかないような、口調で返す。
実際、私達にとっては、オーバーテクノロジーだもの。
「なるほど、だからか。」
「そう、だからだ。」
ブリジットと御前は、二人で、納得している。
ま、ブリジットは、この数少ないヒントだけでも、ある程度、確信したようだ。
それに、応じるように、御前は、袖から、スカートと花をつけたタイプのと、マントを付けたタイプの小人人形をだす。
二つは、両方とも、蝙蝠のような翼がついている。
ストラウスと姫様、だろう。
スカートが、姫様人形。
マントが、ストラウス人形。
「桁外れた武力の入居希望者に対抗するには。
 地上最強の魔人のヴァンパイア王と光さえも、朽ち伏す腐食の女王アーデルハイトの力が必要だ。
 おそらく、今のこの世に、二人の魔力に匹敵する平気は無いだろう。」
「この腐れ××××ジジイの企みは。
 入居希望者を、ストラウスや姫様の力で、追い払うか、塵殺しにする。
 その後に、無用で危険になった二人を、ブラックスワンで、始末。
 今んとこ、そんな感じね。」
イライラして、煙草に手を伸ばしかけたいのを我慢しつつ、私は、御前の台詞を奪う形でそういう。
一応、もう少し先があるけど、仮にも契約している相手の意向をとりあえず、尊重して、其処までしか話さない。
ああ、もう、イライラする。
こう言う時、裏稼業のルールと、私情がせめぎあうのは、面倒だよ。
この後、レティが、ストラウスが、逆に入居希望者を利用して、花雪を始末する可能性など、その作戦の問題点を指摘していく。
うん、良い子に育ったね。
「そうなっては困るから、その仲介に、ダムピールの助力は必要なのだ。
 --------------と言うわけだ、レディ・ブリジット。
 この状況下では、ダムピールに助力を得られなければ、私も、花雪も危ういのだ。
 今、主らを敵には回せん。
 最大限に、要求は呑もう。こちらの腹も割る。そちらの腹も割ってもらえないだろうか?」
「・・・事情は、解った。
 しかし、そちらも、腹を割り切ったわけでは無いだろう。」
だけれど、お姉さん、ちょっとやりにくいわ。





月の静寂(しじま) En.8 予定外の錯綜

2009-02-06 22:31:06 | 凍結



「なぁ、お前、ブリジットと結構古いんだってな。」
「ええ、そうですね。
 夜の国時代から、知っていますから。」
「?ブリジットは、あの出来事のあとだって言ってたぞ?」
「いえ、影から見知っていたと言うのと、赤バラ王と、エルと話を聞いていたモノですから。」
「ふーん。
 なぁ、そのエルってぇのは?」
「知り合いですよ。
 ダムピールですが、コミュニティには、協力以外では、参加していません。
 さて、味見、しますか?」
「うん!!」
結構昔の、蓮火さんとの会話。
あの頃は、素直で、扱いやすくて、かわいかったのですけど。




月の静寂(しじま) En. 8 予定外の錯綜







しばらく、あの後、私達―エレノア、ブリジット、御前は、フリーズしていた。
まぁ、確かに、解らないでも無いと言うか。
某TV番組で、大食い選手権なんかで、結構無茶食いをするのを見かけるが。
見かけるが、あれはあくまで、成人しているのだろうし。
外見的には、10歳位のレティが、ああまで大きなビッグパフェを胃に収めるのを見ては、仕方ないだろう。
・・・・・・・・・・・・・・・ストラウス、食費、大丈夫だったのかな。
そんな、らしくないことも考えてしまう。
彼が、バイトをしていたり、する構図は笑えると思うのだけれど。
「私達って、犬歯が、発達してるでしょ?
 八重歯っていうにも、異常な位に。
 千年前のあの事件以降、ヴァンパイアとその血族を極度に恐れるようになった人間が、吸血をイメージしたのよ。
 少なくとも、夜の血族は、血を吸わないわ。」
仕切り直すように、御前の直前の疑問を氷解させる。
少なくとも、ウソではないよ。
ウソではね。
・・・あの後に、ブリジット達が、広めた噂でもあるし。
それに、その能力が無いわけじゃない。
「ただ、吸血を恐れられても、間違いとも言えん。
 確かに、我らの牙には吸血能力があるにはちがいなのだから。」
「・・・・?
 吸血能力があるのに吸わない。
 おかしいではないか?」
「伝承、夜の国の書庫の記憶に寄れば、一万年ほど前のヴァンパイアは、必要としたらしいわ。
 用途は不明、栄養源か、それすらも判然としないけど、あったのは確か。
 だけど、種として、時間を減るうちに、能力として残ってしまったモノ。
 ・・・人間で言う、尾てい骨のようなものかな。」
「・・・・・・・・・・不信は、解る。
 だが、事実は事実。動かせない事だ。」
ううん、ブリジット、それでもね。
それでも、「事実が、作られた事実でも、動く時」もあるの。
封印も、五十を切った今、全ての封印が解けてしまえば、ブリジットにとっての「事実」は、確実に動いてしまうだろう。
姫さまも黙っているような性格じゃないだろうし。
私が、そうつらつらと、考える暇があったのは、ブリジットが、完全な御前の理解を待つように、しばらく黙っていたからだ。
口に、私がツナマヨ軍艦巻きをほおり込むのを合図のように、また、彼女は口を開く。
「人間とダムピールは、相容れぬ仲ではない。
 決して、食い合う関係でもないのだ。」
「少なくとも、ダムピールには、人間の血が流れているし。
 多少、薄い濃いはあるけど、争うことはない。」
「されとて、吸血能力を抜きにしても、ぬしらの能力は脅威。
 今一度、確認するが、ダムピールが人間に成る方法があるとは、誠か?」
「ある。」
ブリジットは、間髪入れずに、そういう。
でも、それは、かなりタイトのものなのだ。
なにしろ、実際に施行されたのが、五千年前と言う化石な術法なのだから。
それに・・・・・いや、今は思い出したくもない。
確かに、有効ではある。
あるが、それが、数千年後の柱になっているとは、思っても居ないだろう。
「それが、全ダムピールの悲願でもある。
 その望むがあるからこそ、我々は闘っていられるのだ。」
切に切に、願うように、祈るように、叶えようとするように、ブリジットは言う。
確かに、千年前から、ダムピールコミュニティの悲願と言うか、目標と言うか、それが、その術法だ。
ユダヤの人にとってのカナーン(約束された地)のような、そんな終着点なのだ。
気持ちは、解るけれど。
「共存が、困難なのは、元より承知。
 だが、人と我々が、同じとなれば、恐怖もあるまい。
 それとも、人となったとしても、狭量なことを言うか?」
言うだろう。
それだけ、ダムピールを、タヌキジジイは、恐れるだろうし。
殲滅を命じれるだけの権力も有している。
一応、今は、シリアスをやっていると言うのもおかしいが、緊迫しかけている空気が流れている。
しかし、レティが、あれだけ食べて、海鮮ラーメンも頼んでいるのをみて、再び、空気が凍る。
ブラックホールと呼びたくなるね。
ふたたび、気を取り直した御前が、こういう。
「しかし、お互い知らぬことがおおい。
 仮に、これまでの話を真実としても、我々側に分の悪い話の気配がするが?」
「双方に、いい話になるかは、そっち次第。」
「お前が、何を企むかにもよる。
 話せ、お前の腹を。
 内容次第では、また命を縮めてやる。」
私が、投げやりに言うと、ブリジットは、そう簡単に言う。
その時の微笑みを形容するなら、たいそう美しい女が、男にしか出来ない笑みとでも、すれば、何割かは理解して頂けると思う。
はっきり言って、なんていうか、彪が笑ってもアコまで怖くないと考えてしまうほどに、
それを年の功で、受け流すように、御前はこう返す。
「そう殺気だたんでくれ。
 やはり、双方に良い話のはずだ。」






「その形で、客商売かよ。
 たいがい、怖がって逃げるだろ?」
ラーメンを食べた後、私・リトと蓮火さんは、そんな会話をしていました。
確かに、怖いですが、言うのは、失礼ですよ。
あと、煙草は吸わないなら、くわえないのとプラプラさせるのは行儀割わるいです。
「それなりに、来て入るようですよ。」
「マジかよ。
 どれくらいだ?」
「一日、10人くれば、大繁盛ですね。」
「・・・・・確かに、繁盛なのか?」
「なんにせよ、道楽だ。
 物好きが、それだけでも居るのはありがたい。」
つらつら、会話するが、それでも、蓮火の顔は何処か冴えません。
やはり、まだ、何処かで迷っているでしょうね。
それが、意識しているかしていないかは知らないですが。
風伯さんとしても気になったのでしょう。
こう聞いてきました。
「冴えん顔だな。
 余程の事があったようだな。」
「・・・堅物で、リアリストのお前にはわかんねえよ。」
話もしないで、解らないとは、ずいぶんな口かと思います。
しかし、蓮火さんの痛みは蓮火さんのモノです。
しばらく、言葉は途絶えた。
暖簾の外から、こんな声が聞こえてきます。
「ああ、ここだ、ここだ。」
「・・・・・・また勝手な事を。」
そう言えば、一昨日発売の「ウィクリーナビ」に、載ってましたっけ。
記事を見て、やって来たと言うような会話です。
ですが、少々、私としても珍しく、自分の耳が人の老人並みになったのかと思いました。
・・・・・・正確に言えば、とっても、聞き覚えがある声です。
より、個人を特定させるなら、エル以外に、私が忠誠を誓った数少ない一人と言うと。
まさかね。
などと、考えているうちに、私の隣の蓮火さんの隣に、その声の人物が、座る。
その人物は、私の耳が正しかった事を示すかのように、銀髪の青年・・・ストラウス様だった。
「なっ・・・赤バラァ!!」
ストラウス様に気付いた蓮火さんが、刀を抜いて、赤バラ王の首筋に、押し当てる。
風伯さんも、匕首をこの短時間に構えていた。
それでも、赤バラ王が、微動だにしないのは、流石だろう。
少々、僭越かもしれないが。
「跳ねるな、蓮火。
 ブリジットの許しもなしに、刃を構えていいのか?」
「!!・・・・・・・くっ。」
「・・・ヴァンパイア王、まさか知っていて、ここに?」
蓮火さんの刀とストラウス様の間に、庇うようにか、花雪さんは立ち入ります。
少々、うかつ、とでも言うべきでしょうか、蓮火さんが、戦鬪狂で、斬る事が、ヤるよりいいと言う人でしたら、キレていますでしょうに。
聞くところによると、女性の身体・・・特に20歳前の女性の身体が、一番切り心地がいいとか、聞くけれど、どうなのだでしょう?
それにしても、赤バラ王は、何を考えているのでしょう?
花雪さんの言葉を信じるならば、ここに来る事は、知らされていなかったようですが。
「風伯。通好みの屋台として、紹介されていたぞ。
 その割に、流行っていないようだが。」
そういえば、「ウィクリーナビ」って、毎月一店づつ、ラーメン屋紹介していましたね。
確か、今月は、風伯さんの店でしたか。
それにしても、「味は良し。ただし!!店主に注意。」って、どういうあおり文句なのでしょうか?
メニューも、シンプルに、「みそ・しお・醤油」だけで、トッピング用に、卵50円とメンマ80円で、チャーシューメンは、150円増し。
尚かつ、飲み物は、ビールと日本酒、という老舗風味な硬派なラーメン屋台。
卵は煮卵で、それとメンマを肴に、日本酒というのも、中々な味。
・・・・・・・って、現実逃避をしている暇はない。
「しかし、蓮火もいたのか、手間が省けた。
 ・・・どうだ、蓮火、この際、一対一(サシ)で、決着をつけないか?」
突然の事に、蓮火さんは愚か、私を含めた他の面々も動けません。
というか、赤バラ王、今、貴方が死ぬのも、蓮火さんが死ぬのも、どちらも具合が悪いでしょう?
いえ、ストラウス様が、負けるとは、露程にも思いませんが。
ですが、このまま、蓮火さんが、死ぬのも、マズいでしょう。
・・・・・・ま、楽しそうですし、本格的にマズくなったら、止めればいいですね。
それまでは、この対決見守りましょうか。




場所は、移り変わって、ヘリポートのある高層ビルの屋上です。
対角線上になるように、真四角のヘリポートのそれぞれ隅に立つ、赤バラ王と蓮火さん。
花雪さんは、その真ん中に、ややその背中の後方に、風伯さん。
私は、階段のほうに立ち、ただ、見守っています。
先ほど、風伯さんが、ブリジットさんに、「念話」で、連絡をしていたようなんです。。
止めないのは、許可が下りたからだろうし、それに、蓮火さんを風伯さんと私が居ても、そう簡単に止めれないですし。
数ヶ月、ベッドの上が関の山かもしれません。
おまけに、魔力が二割戻ってさえすれば、九割九分は、赤バラ王は負けないでしょう。
そうでなくて、千年も、赤バラ王は生き残れないのですよ。
審判と言うか、始まりの合図を出す為か、花雪さんが、こう口上を述べる。
「この辺りは、夜になるとほぼ無人のビジネス街です。
 それに、ビルの一つや二つ、崩壊させても、おじいさまの力で収めて下さいます故。
 存分にお戦いください。」
「おい、ブラックスワン。
 俺が赤バラを殺してもいいんだな。」
「・・・出来るモノでしたら。」
「ふん・・・・・」
花雪さんは、蓮火にそう言って、応じます。
しかし、ほとんどそれは、挑発だろうという冷ややかさでした。
蓮火は、それをあまり意に介さず、抜き放った刀をコンクリートに突き出します。
「まだ、赤バラは、魔力が戻り切っていねぇ。
 俺の一太刀が入れば、それが致命傷に成るぞ。」
手を真横に、広げ、霊力をほぼ数瞬で練り上げます。
蓮火さんの額に、印が浮かび上がります。
そして、相棒である二本の刀を声高に呼びつけました。
「我が手に宿れ!!!
 孤龍!金妖!」
凄まじいほどの霊力魔力の奔流。
正直に言いましょう。
蓮火さんが、本気に殺しにくれば、4分、それ以上防戦する事すら難しくなるでしょう。
少なくとも、剣の腕に置いては、一切勝てるとは思っていません。
それを、それを見てすら、赤バラ王は、こう言います。
「・・・・・・その刃、私に届くかな?」
考えるよりも、自分のよりどころで、全力でぶつかります。
蓮火さんらしいと言えば、らしいでしょうが。
勝てない闘いはするもんではないと、教えましたが、無駄だったようですね。
「・・・剣よ、我が霊力に従えーーーーーー!!」
黒い刃と白い刃の中国様式の剣が、蓮火さんの霊力に従い、赤バラ王に矢のように飛んでいきます。
それは、赤バラ王に直接当たらず、足場を崩しました
また、その後を刀片手に、蓮火は追いすがり、王の後ろをとります。
そして、斬りつける蓮火さん。
並のダムピールなら、必殺のタイミングでした。
「まだまだァ-―――――――、赤バラ!!」
片手を振動の刃に変えた、赤バラ王は、それを受け止めます。
蓮火さん、負けましたね。
余裕のあるなら、勝機の薄い闘いでも勝てるでしょう。
ですが、余裕無くして、勝機の薄い闘いは、勝てません。
どうやら、六百年前、教えた事は、無駄になっているようですね。
師弟関係を終えてから、400年ほど経っていますが、全然変わりません。
・・・・・・・・でも、赤バラ王の闘いを見学できるのは、少ないですから、見物ですが。







Day’s6 自己犠牲な想いは、重過ぎる。

2009-02-04 23:49:37 | 凍結

私が来て、十四日めぐらいに、乾さんとその飼い龍で、飲み会があった。
結構、楽しかったように思う。
思うと言うのは、途中から記憶が無いからで。
何があったかは、ラルに聞いても、乾さんに聞いても、誰も教えてくれなかった。
・・・フレイくんが、真っ赤になってたので、やっちゃったかも、とは推測できたけれど。
その次の日か、次の日ぐらいだったと思う。
私が、彼と『再会』したのは。





自己犠牲な想いは、重過ぎる





その日は、朝から、天気が悪かった。
雨は、小雨程度だったけれど、探索と乾さんとの戦闘をこなす為に、外に出たんだ。
戦闘の方は、辛勝。
こっちが、2ターンとって、向こうが1ターン、後は引き分け膠着。
うーん、向こうが、長くやってるっても、一応、戦闘系なんだけどな、とらしくも無く、落ち込みかけた。
なんにせよ、その後の探索に、森に入った。
ステラが三つと、猛毒草に、お金が少々。
中々、悪く無い戦果だったと思う。
そして、帰る前に、池で、血を落とす頃には、天気は嵐へと、移行しようとしていた。
暗い暗い雲が、まるで、不安にせき立てられた子どものように、流れ去っていく。
着替え終わると、土砂降りという風ではないけれど、それに近い感じに、雨が降って来ていた。
召喚石を通じて、輝とケレルに、お風呂を湧かしておいてくれるように連絡をした。
風邪すら、引けない体質ではあるが、それでも、ちょっと濡れたままいるのは、気持ちいいモノではない。
急ぎ足で、森を抜けようとした。
そして、何故かその声と言うか、息が、私の耳に届いた。
何故か、気になって、それが『聞こえた』と思う方向に、足を伸ばす。
どうせ、濡れているのだから、これ以上濡れても変わらない。
森の大翁枯れた古木のウロに、『それ』はいた。
薄い緑色の鱗で、鬣があまり目立たない成猫と仔猫の中間ぐらいのサイズの風龍だった。
どうして、その龍の個別で来たのかと言えば、右頬に、大きなバッテン傷がある事だろうか。
しかも、見覚えのあるが血のにじんだ包み布が、腹に巻かれていた。
端的に言えば、私が、この街に来る直前に、雨に降られ、一緒に、一晩を過ごした手負いの龍だった。
血のシミが一部色違いなことを考えれば、一度塞がった傷が、また開いたのだろう。
それが繰り返したように染まっていた。
「・・・この間の、風龍さんですか?」
「この間の、変り者のヒトか。」
「大丈夫?と聞く以前に、ヤバそうですね。
 暴れないで下さいね。」
目を閉じて、「死」を待っていた龍が、私の声に、ゆるりと目を開ける。
焦点があまり合っていなく、薬草治療や通常の回復呪文では、間に合わない事が解った。
助けられるかもしれない命を捨てる毛頭はないし、その風龍を抱き上げる。
そして、私自身も、そのウロに入る。
190センチ近くある身では少々手狭ではあったが、少々時間が、かかる術式だった。
特に抵抗もせず・・・むしろ、出来ないのだろうか、風龍はぐったりと身を預ける。
少々、ヤバいかな、と思う。
私は、短く『解除』の呪文を編み、喉を封印しているアミュレットを外す。
風龍を抱いていない手で、ウロから手を出し、木の根と地面に触れる。
「『階上(きざはしのうえ)なる癒やしの御手よ 
  父なる大地の息吹よ 汝と母なる海から生まれし我が唱う
 願わくば 我が前に倒れ伏ししこの者を 汝が大いなる力よ
 その大いなる慈愛にて救い給え《回復呪歌(リザレクト・ガルドレン)》』
 ・・・・・・・フルで使っても、半分と言うのは何処まで無理していましたか。」
呆れたように、もう一度、同じ呪歌を歌おうと、する。
この呪歌は、丁寧に古めかしい精霊語で言っているが、「一番偉い地の精霊共、魔力をくれてやるから、こいつ治しやがれ、」と、言っているのとあまり変わりない。
良くも悪くも、母の関連で、「一応形式上でも、ゴマすれば、言う事聞いてくれるわよ?」という教えの元、実行している。
しかし、歌い出そうとするのを、その風龍は、何故か押しとどめた。
「どうしましたか、まだ、癒せていないのですが?」
「命、削ってんだろ?」
「・・・魔法や精霊使役は、そう言うモノですよ。」
「せいぜい、上級でも、1時間分だ。
 ・・・・・お前のは、むごっ」
「風龍さん、私はね、もう目の前で、誰かがずっとの「死」を迎えるのが怖いんですよ。」
それ以上を言わせないように、私は風龍の口を塞ぐ。
一年半前も、六年前も、私の目の前で、永遠の「死」を受けた。
私の大切な人が。私の愛した人が。
そうでなくても、もう、誰かが死ぬのは、イヤなのだ。
特に目の前で。
「お、おい、ニンゲン。
 何をするんだ。」
「これ以上、歌わせてもらえないようですので、連れ帰って、薬草治療をしようかと。
 嫌なら、逃げてもらっても、構いません。」
出来ないであろう事を理解した上で、私はそう言う。
抵抗をしない・・・苦虫を噛み潰したような気配の風龍をマントの下の胸に押し付ける形にして、雨避けにする。
そして、すっかり、バケツをひっくり返したような雨の中、帰っていった。






「それにしても、叫ぶような事なのでしょうか?」
「どっちに対してだ、ニンゲン。」
「ケレルや輝が、貴方を連れて来た私を見て、叫んだ事と。
 貴方が、お風呂に入れた時に、叫んだ事です。」
「どっちも、叫ぶ事だと思うのは、俺だけだと思うか?」
お風呂にて。
カモマイルの黄色みのある乳白色の入浴剤入りの湯槽に大きめの手桶を浮かべ、浴槽の湯にハーブ袋を入れたのに、浸かりながら、そう風龍は言った。
私は、今、浴槽に浸かりながら、そういう。
対して、筋肉もついていない・・・多分、一年少し前から、然程筋肉量は変わってないのだろう。
忌々しい。
そして、時間の無さを実感する。
18歳以上の「呪いの保持者」は、ほとんど居ない。
居ないが、記録の上では、成長・・・加齢や筋肉増減が止まれば、残されていて、四年あればいい方だろう。
アル兄様は、25歳でも、加齢は止まってなかったけれど。
「ニンゲン?」
「風龍さん、私には、ディスティアと言う名前が、あるのですが?」
「俺にも、名前はある。」
「呼び名、ぐらいは教えてもらえませんか?」
「嫌だ。
 仇を討つまでは、誰にも教えない。」
「・・・・・・この間の雨のときも聞きましたが、その怪我の原因は?」
思考の海に落ちかけて、その風龍に、引っ張り上げられた。
もう、時間が然程残っているわけではない。
ラルが、ああ言ってくれはしたが、それでも、もう時間が無いのは、私自身がよく解っている。
そう言う思考に、どうしても、落ち込みやすい。
だから、雨は嫌いで好きなのだけれど。
思考の海に落ち直さないように、風龍に、その傷の原因を聞く。
前の・・・出逢ったときよりも、気を許してくれていたのか、しばらくこう言った。
「・・・・・・・・・地龍に、ロジェと名乗った地龍に、マスターとサラサ姉さん、コウ兄さんを殺された。
 顔の傷も、腹の傷も、そいつに。」
「サラサとコウと言うのは、先輩龍ですか?」
「うん。俺を庇って。
 一応、イシュタル種とサイクロン種だったから、俺を庇わなかったら、サラサ姉さんだけでも逃げれたはずだったんだ。
 俺が、死ねば良かったんだ。」
「あのですね、私は、何も言えないのですが、それでも、一つだけ言えます。
 そのサラサさんと同じような人を私は知っています。
 私は、その人を失いました。
 だからこそ、言える事があります。
 サラサさんは、貴方に、他の誰でもない貴方に、生きていて欲しかったのです。
 詭弁かもしれません。」
私は、何故か、理由は解り切っていたけれど、それでも、何故かそう言った。
たぶん、その風龍と一年半前の自分を重ねて居たんだろう。
大切な人にー恋人とか、家族とか、そんな甘い言葉では言えない大切な人―、庇われ、自分だけが、生き残ってしまった。
そんな無様な自分を責めて責めて、色んな事に堕ちた。
この風龍は、そこに堕ちかけているのだろう。
「詭弁かもしれないですが、それでも、自分が側に無くても、笑っていて欲しいと思うから。
 いえ、生きていて欲しいと思うから、庇ったのです。
 復讐を止めろとは言えません、ですが、自分が死ねば良かった等と思うのは、その人の死を穢すだけなのですよ。」
「じゃぁ、どうしろってんだよ?」
「生きて下さい。」
「はい?」
「生きて下さい。
 考えを変えようと、変えなくても、それでも、生きていれば、違う事もあるのですよ?」
「・・・・・・・女の涙は苦手だ。」
「・・・はい?」
「泣いてるだろ、お前。」
「・・・・・・・・・・・・・・・あ、」
風龍に、指摘されて、私は泣いている事に気付いた。
まだ・・・まだ、「想い出」出来ていない。
まだ・・・まだ、「リアル」のままになっている。
心配そうに、風龍は、顔を覗き込んでくる。
言葉にできない・・・言葉にしたら、もっと泣きたくなるようなそんな感情だ。
故郷を出てから、もう五年・・・六年近い。
だけれど、アルを失って。
・・・或る意味で、「キサ」を失って。
遠くまで来たのに、まだ、「想い出」に出来ない。
「お、おい、ニンゲン!!」
「大丈夫、です。」
「んなに、ぽろぽろ泣いてて、大丈夫もクソもあるかよ。」
「まだね、貴方にとって、マスターとサラサ、コウを、失った、ことと同じようなことがあって。
 それでも、想い出に、出来てないだけですよ。」
途切れ途切れだったけれど、風龍にそう返した。
だけれど、彼は、それで納得しなかったようだった。
でも、これ以上は、語れない。
語れば、泣き言になる。
「・・・え、のトコに、居ていいか?」
しばらくしてから、風龍はそう言った。
照れたような声音で、彼は呟くように言った。
顔も、淡い緑色の鱗でも解るぐらいに、真っ赤になりながら。





こうして、風龍、改め、『カーシュ・ルーシュ』は、私の三匹目のドラゴンになった。

『カーシュ・ルーシュ』―『自由に、光り輝く人』

そういう、故郷の意味の古語。

でも、まだ、このときは、ああなるとは思っていなかった。




そして、とある知り合い炎龍に私は、同じ頃、再会した。







88番地の龍 2

2009-02-04 22:19:01 | 凍結


22匹目
種族:メティゴラス
主人:お嬢様
名前:エルヴィン=ローズレッド
形態;龍:緋灰色の鱗 紫ノ焔色の鬣と瞳 7メートル弱のサイズ
   人:黒と緋灰を混ぜた色の腰までの髪で、前髪の一房だけが、暗赤色
     冷ややかで、静かで、でも優しい印象の焔紫色の瞳。191センチ 
     20代前半
     ハイネックの踝丈の黒いロングコートに、パンツスタイル
     カタい革のような生地で出来ている。ロングブーツ着用。
     胸部に、丸い輪で止めたベルト二本。(拘束服風)
     腰に二本、黒いベルト。腕に、鋲付きも含め、三本のベルト。
     首に、切れた鎖付の首枷。黒いぴったりとした手袋
     腕に、日常生活に、不自由しない程度の長さの鎖でつながれたゴツい手枷。
性格:いつも、気怠げな雰囲気満載で、いる。
   口数は少ない方で、表情も、冷たいモノが多い。
   しかし、超絶ハイパーと前置きされるほど、シスコンである。
   また、女性には大変優しいが、男性には厳しい。
   また、同じ炎龍で、ボレアス種のセファイドの事が苦手である。
口調:気怠げで、尊大な口調
   一人称:私 二人称:君 二人称:呼び捨て
備考:エステルを一番可愛がっている。


23匹目
種族:ゲイルロズ
主人:主人さん
名前:エステル=レンテンローズ
形態:龍:赤い鱗 暗褐色の鬣 ネコサイズ。
   人:アイボリーに近い、白の腰までの髪で、前髪の一房だけが、鮮血色
     快活で、明るく元気な赤紫瞳。 113センチ→176センチ
     7歳→19歳
     水色のハイネックで袖無しのセータのようにのびる素材製の胸が半分しか隠れない丈のシャツ
     黒のホットパンツ(丈はやや長め。それでも太もも丸出しである)
     上着として、濃いオレンジ色の薄衣のモノを羽織っている。
     黒と赤のオーバーニーソックスと焦げ茶のやたらゴツい靴。
性格:明るいと言うのが、一番彼女を簡潔に表現できる。
   人懐こい性格。誰とでも仲良く出来る。
   兄のエルに一番懐いている。
   また、破壊屋でもある。
口調:明るく雑目な女言葉
   一人称:あたし 二人称:アンタ 三人称:呼び捨て



24匹目
種族:サイクロン
主人:ディス様
名前:アレクサンドラ=アクアハート
形態:龍:青い鱗と藍水色の鬣の足がヒレの四つ足龍。
   人:黒い髪をゆるめに、三つ編みにしている。青い涼しげな瞳。
     切れ長な瞳が印象的なクールな雰囲気の青年・・・に見える女性。
     元々、胸が小さいのと、服装の趣味のせいで、女性には見えない。
     だいたいは、スーツのようなジャケット系のパンツスタイル。
     色は、淡いモノよりも、濃いモノを好む。
性格:表情が読めない。
   マイペースと言うか、頑固者。
   好きな人には、腕に張り付くクセがある。
   昼寝や、読書など静かな事を好む。
口調:ボキャブラリーが少ない為か、単語で話すクセあり
   一人称:私 二人称:貴方 三人称:それぞれ
備考:周をお父さんと呼ぶ。


25匹目
種族:イシュタル
主人:マスターさん
名前:ソルカーシュ=ヘルンティア
形態:龍:黒い鱗のイヌサイズの龍
   人:黒髪と言うよりは、深い藍色に近い黒髪で、肩口まで適当に伸ばしている。
     青紫色の瞳、女性めいた中性的な顔立ち。身長198センチ
     右眼付近を髪で隠している。人間に付けられた瑕を隠すため。
     白いターバンに、ワッかの飾り。
     ハイネックで、タイトな袖無しのシャツに、裾が膨らんだズボン。
性格:疑心暗鬼と言うか、人間不信なところあり。
   ゾアカオスに行き着く為の、材料と言う目でしか見られてこなかったからだ。
   ディスティアに対しても、まだ、少し警戒心はあるが、レティーシア種のラケシスには、どぎまぎしている。
   基本的に、明るく軽い青年を装っている。
口調:軽く真意を見せないような口調
   一人称:俺 二人称:君 三人称:略称


【スフォルツァ=ルーシャス ♀ フォルトゥーナ種】

龍形態は、小熊サイズの鈍い金色の鱗の龍
人形態は、緩くウェーブのかかった金髪 赤紫色の瞳
白地に金の縁取りのシスターのようなワンピース。二十歳ほどの外見
プラス、白で、青のライン入りのエプロンを身に着けている事が多い。
性格は、ほんわりと暖かいお母さんチックな穏やかな性格。
しかし、口喧嘩であろうと、許さない。必殺技は、『ご飯抜きです!!』
たおやかで、芯の強い女性でもある。
また、恋愛事に関しては、うぶな面も見せる。
好きな相手は、教皇乾宅の周雹龍である。

26匹め
名前:リュイス=アイヴォリー
性別:♂
種族:リュコラヴォス
主人:主様
外見:淡い紫色の長い髪、琥珀色の金茶の穏やかな瞳
色白、人の『よさそう』な微笑み、年齢不詳、とりあえず二十代?
服装:灰色のハイネックのサマーセーター、硬い生地のスラックス
   淡い水色のマントローブを羽織っている。
   (暑そうと突っ込まれる)(今は寒そうと言われる。)
冬版:黒のハイネックの上に、濃い緑色のアランセーター。
   クロスラックスに、水色のマントコート。
性格:穏やかの一言に尽きるが、主に依存しているようにも見える。
   其処を見せない、ミステリアスに尽きる。
   一応は、外面は良い。
口調:ディスと同じ系統敬語
   一人称:僕 二人称:あなた 三人称:さん






28匹目
種族:アリナト
主人:ディスお姉ちゃん
名前:クレナイ(紅)=レンテンローズ
形態:龍:紅い鱗 暗赤色の鬣 中型犬。
   人:やや濃いコルク色の腰までの髪、前髪の一房が、唐紅色。
     ポニーテールにまとめている。瞳は、黒曜石の黒。
     十歳ぐらいの外見の女性
服装:基本:濃紅色の無地小袖に、紅色の帯 藍色の袴 踵の無い焦げ茶のブーツ。
   冬版:淡いオレンジ系のショールを上記にプラス。
性格:お転婆というのが、1番解りやすい。
   お母さん似で、天真爛漫、騒動製造機。
   姉の茜(教皇乾宅)が大切で、そっちに入り浸り気味。
口調:背伸びをしたがる女児言葉
   一人称:あたし 二人称+三人称:お兄ちゃんお姉ちゃん。


29匹目
種族:ダークデビゴラス
主人:姉様(口調で説明)
名前:ツェツィーリエ=ヘルンティア
形態:龍:やや白みのある黒い鱗 大型犬サイズ
   人:黒い巻き毛をリボンでまとめている
     赤黒垂れ目 キレイよりも可愛いより14歳ぐらいの外見
服装:淡い新緑色のワンピースに、濃緑色で白いファー付ボレロコート
   踵のある膝丈の編み上げブーツ 
   服装には、やや不釣り合いなシルバーリング。
性格:雰囲気的には、深窓の令嬢もしくは、文学少女。
   しかし、自分の考えは、マスターであっても、通そうとしたりやや強気。
   基本的に、インドア派だが、本を読むよりも、料理をしたり、編み物をしたりする事を好む。
口調:「・・・」が入る柔らかい敬語
   一人称:わたくし 二人称:あなた 三人称:名前+姉様OR兄様


88番地の龍 1

2009-02-04 22:15:35 | 凍結
ディスティアの龍

(在:メンバーにいる 故;死亡 離:誰かのとこかメンバー内にいない)

一匹目
種族:シワコワトル
性別:♀
名前:ケレル=クルセナ  離
主人:呼び捨て
口調:騒がしく天真爛漫敬語知らず。微妙にキツい。
   一人称;わたし 二人称:アンタ 三人称:呼び捨て
性格:好奇心旺盛で、いらんことをよくする。
   美味しいものに目がないが、それよりも主人と一緒にいることを望む。
   甘え方と自己表現が苦手。
形態:龍:漆黒の鱗と藍水晶の瞳 蛇のような手足が極端に小さく見える。
     サイズは、大きな猫ほど。
   人:現在は、17歳ぐらいの外見。始めは、14歳ほど。
     漆黒の直髪をおかっぱ程度に切りそろえている。
     藍水晶の大きな瞳。褐色の肌。
     ハイネックのゆったりとした革製のシャツ。
     足首までの丈で、太ももの半ばまでスリットのあるタイトスカート。
     共に、色は黒。
     銀のロザリオのアクセサリー


二匹目
種族:シャイニング
性別:♂
名前:輝(テル)=ヴァイス 離
主人:ご主人
口調:少し砕けた敬語
   一人称:僕 二人称&三人称:名前+さん
性格:静かな時間が好きな大人しい系の少年
   押しに弱いが、ご飯と主人のことが譲らない。
   芯が強くて、甘え上手
形態:龍:白金の鱗と水白色の鬣、青紫色の瞳
     サイズは小さめの猫 翼が大きめ
  :人:現在は、15歳ぐらいの外見。始めは、10歳ぐらい
     金色のパーマがかかったような髪をうなじでまとめている。
     青紫色の瞳、白い肌。
     ノリのきいたワイシャツと黒のスラックス。
     赤と緑のタータンチェックのベスト。




三匹目
種族:カリュケ
性別:♂
主人:ディスティア
名前:カーシュ・ルーシュ 離
意味:自由に、光り輝く者。(カーシュが、自由な人。ルーシュが、光り輝く者。)
理由;ディスティアの『風の龍だから、自由に光り輝けている子になって欲しい。』
   そう言う願いから。ディスティアの故郷の古語でそう言う意味。
外見:龍:頬に傷のある薄き緑色の鱗の龍 猫サイズ
   年齢:15~17歳。少年とは言い切れないが、青年とも言い切れない
   容貌:薄い黄緑色の髪、空の蒼の瞳 頬にでっかい傷
      やや緑がかった肌。身長は、乾よりも少し低め。170ちょい
      人間の耳の方に、ヒレのような器官を付ける時もアリ。(龍と誇示する場合) 
   服装;黒タンクトップのと黒の革短パン 膝ぐらいのロングブーツ
      淡い紫か緑の(←日替わり)短めの半袖丈のロングコート
   装飾:ピアスとシンプルなシルバアクセ系の十字架 腰にナイフ
性格:風龍のせいか、少々気まぐれで、放浪癖あり。
   売られた喧嘩は、絶対買う。
   見るモノが、全部『楽しみ』。
   筋が通らないことは、大嫌い。←真面目?
   ↑相手が、主人だろうと、からかい混じりにたしなめる。
備考:ディスティアが二人目の主。
   一人目は、地龍に殺された。頬の傷はその際のモノ。





四匹目
種族:ラリユー
性別:♂
名前:レヴィン=フォルセティ 在
主人:マスター
口調:砕けた男性言葉。女の子には、ちゃん付け。男の子には、呼び捨て
性格:人間、ドラゴン問わず女好き。
   ドラテン設定無い時は、ふらふら、であるく。気まぐれ。
   身持ちがカタいなど、古風な面も。
   あと、妹―ヴィティスには、超絶的に甘い。要するにシスコン。
形態:人:鮮やかな若緑色の髪、紅葉色の瞳、白く抜けるような肌。
     マスターよりも、身長は高め。外見は、二十歳ぐらい。
     服は、淡い紫と緑でまとめた吟遊詩人風の服。
   龍:1M少しの銀緑色の鱗の四つ足龍。
備考;かなりのシスコン。


五匹目
種族:ボレアス
性別:♂
名前:セファイド=ソロミネス 在
主人:ディス 姫さん
口調:荒いけど暖かい男性口調 
   一人称:俺 二人称:アンタ 三人称:そのときそれぞれ
性格:大雑把、俺様、ファンシー好き 輝と煌玲を猫かわいがり
   マスターのコトが好き でも、闇の部分も知っている
   私の龍の中でも、一番得体の知れ無い龍。
形態:人:赤い鬣みたいな髪、青白い焔色の赤の瞳、身長2メートルぐらい
     黒の革製パンツと襟のあるタンクトップ。
     ウェスタンブーツ。革製腕輪と首輪(『主人命』的な銀細工プレート付き)
     二十代後半~三十代半ば
   龍:暗赤色の鱗と赤い鬣、大きな翼の十数メートルの大きな龍
備考:龍年齢の割に、老成した龍
   私の過去のことを知っている
   人間を知る為に、国を出た。



六匹目
種族:フォルトーナ
性別:♀
主人:マスター 
名前:スフォルツァ=ルーシャス 在
口調:穏やかな敬語 
   一人称;わたくし 二人称:貴方 三人称:さん
形態:人:緩くウェーブのかかった金髪 赤紫色の瞳
     白地に金の縁取りのシスター服。二十歳
   龍:小熊サイズの鈍い金色の鱗の龍
性格:ほんわりと暖かいお母さんチックな穏やかな性格。
   口喧嘩であろうと、許さない。必殺技は、『ご飯抜きです!!』
   たおやかで、新の強い女性でもある。
   また、恋愛事に関しては、うぶな面も見せる。
   好きな相手は、教皇乾宅の周雹龍である。 
備考:ある種、最強。
   周が特別に好き?



七匹目
種族:エパポス
性別;♂
主人:マスター・ディスティア
名前:ライア=ヴァルナ 在
口調:毒まじりの敬語
   一人称:私 二人称:貴方 三人称:さん
性格:基本的に穏やかで、思索を好む。しかし、一旦キレると好戦的。
   ドラテン時は、それに拍車がかかる。
形態:人:光に透かせば紫にも見える深い藍色の髪 紫サファイア色の瞳。
     小麦色の肌(地肌)、ポーカフェイススマイル常備。二十代前半ぐらいの男性。
     服装は、一言で言えば、占い師。
     詳しく言えば、黒いハイネックの手甲付きの長袖、黒のジーパン。
     淡い紫色の巻頭衣、濃い青紫のショール付き、共布でバンダナ。
     ミスリル銀製の占カード(投擲用)、短剣を腰に隠し持っている 
   龍:14メートルぐらい。私の飼い龍の中でもトップクラス。
     水色の鱗と藍色の鬣を持つ。
備考;ディスを恨んでいる



八匹目
種族:シン
性別:♀
主人:マスター
名前:ブリジット=クルセナ・シュヴァルツ 在
口調:カタめで、古風な敬語
   一人称;私 二人称:貴殿 三人称:さん、様
性格:ちょっぴり物憂げで怠惰を愛している少しカタい平和主義者。
   ただし、主人を苦しませる人には、実力行使。主人至上主義?
   ちなみに、極稀に、冗談を飛ばすが、そうは聴こえない
形態:龍:熊ぐらいのサイズで、闇色の肌と夜色の鬣の持ち主。
   人:夜色に月のような銀色を溶かしたような腰までの直髪に、赤い瞳。
     二十代頭前後の長身な女性。
     軍服風の藍色の上衣と深いスリットのスカート。焦げ茶の胸当て肩当て。
     右目を眼帯で覆っている。レイピアを佩いている。



九匹目
種族:リュコス
性別:♀
主人:マスター
名前:シェンナ=アイヴォリー 故
口調:つっかえ気味の女の子言葉
   一人称:私 二人称:お姉さんお兄さん 三人称:さん
性格:おとなしくて、煌玲と仲が良い子。
   おどおどとしていて、マイナス思考をしない。
形態;龍:灰色の鱗に淡めの茶色の鬣 猫サイズ。
   人:黒に近いの茶色の髪と瞳の12歳ぐらいの女の子
     青いワンピースを好む。
     140センチぐらいの身長
備考:リュコルドの材料と知っている。
   それを受け止めている。


十匹目
種族:タラニス
名前:煌玲 個
性別:♀
形態:龍:白銀の鱗と銀の鬣付き。現在、猫サイズ。
   人:現在人間でいう十三歳。最終的に17際位
     髪は淡く銀に輝く漆黒で、長さは身長の150サンチちょいよりも、更に長い。
     刺繍を入れた布で、二つ折りにする形で、一つにまとめている。
      瞳は、青みのある黒水晶のように、キラキラとしていて、子どもらしく大きな瞳であった。
      服は、異国風の肩に返しがある淡めの赤紫色のものと、白の足が隠れるロングプリーツスカート。
     赤地に花が刺繍された着物。
性格;本を読んだり、一人遊びが好きな内気な女の子。
   マスターにべったり。
   マスターのことを、現在『マスタ』と呼ぶ。





11匹目
種族:メイベルドー
名前:藤音 千種 故
性別;♂
形態;龍:薄い銀茶の鱗の一抱えで着るぐらいのサイズ
   人:色素の薄い銀茶髪と瞳の14歳ぐらいの少年
性格:マスターは、大嫌い。
  自分を材料としか見ていないと知ってしまったから。
  シェンナと煌玲は、だいすきだった。
備考:受け入れないまま死亡





12匹目(探索
種族:メディナバルムル
性別:♂
名前:バルフォイド=ローズレッド 故
主人:我が主、偉大なる主 など芝居がかり気味
形態;龍:緋灰色の鱗 紫ノ焔色の鬣と瞳 八メートル弱のサイズ
   人:灰緋色の腰まであるストレートの髪。
     柔らかな焔紫色の瞳と物腰
     夜色の外套と同色の魔導師風のローブ。
     様々な貴石のはまった魔法銀製の装飾品(指輪腕輪など、10点以上)
性格:戯曲などを中心に、彼の部屋は本棚とベッドしかないと言うほどの本好き。
   やや、芝居掛かった物言いと仕草。
   五月蝿いと言葉で煙に巻き、黙らせる。
   主が、オディールを連れてきた時には、即座に愛の言葉を囁くぐらいには、場慣れて居る。
   『超絶』とつくぐらい、オディールを愛している。
   よくも悪くも、炎のような愛情の持ち主
口調:やや、芝居がかった口調。
   一人称:私 二人称:あなた など気分次第 三人称:女性には、様 男性にはさん





13匹目
種族:マクグレーネ 
性別:♂
名前:グレノイド=ヴォイス 故人
主人:主人さん
形態:龍:鋼銀色の鱗と白銀の鬣の一メートル半ぐらい。
   人:白銀色の髪を後ろに撫で付けている。細くキツい瞳は、アメジスト色。
     十代後半ぐらいの青年。
     服装は、合わせから上が黒と暗赤の幾何学模様、下が黒のベストに、黒のスラックスと革靴。
     袖口にナイフ。
性格:基本的に、バーテンの兄ちゃんのように、話し上手の気さくな性格。
   言葉のはしばしに微妙な毒が混じる。
   しかし、タラニス種の煌玲に対しては、少しキツい。
   原因は、自分と彼女から、レア種が生まれることを知っているため。
口調:基本的に、砕けた男性言葉。
   一人称;私 二人称:お前 三人称:呼び捨て



14匹目
種族:マルドゥク
性別:♀
主人:ディス
名前:オディール=レンテンローズ 故
形態:龍:真っ黒な鱗と真っ赤な鬣 3メートル弱のサイズ
   人:漆黒のストレートを赤いリボンでまとめている。前髪の一房だけが、燃えるような深紅。
     瞳は、金茶。唇に深紅のルージュを引いている
     勝ち気そうと言うか気の強そうな女性。
     服装は、若草色のチェイナ風の武闘服の上衣と黒いロングフレアスカート
性格:戦闘と言う行為が好き。
   そして、喧嘩早い。そして、一言で言うなら、女王様気質
   レディースの総長と言えば、一番近い女性。
   しかし、恋愛に疎く、愛を囁かれると真っ赤になりしどろもどろになるなど、初々しい部分もある。
口調:乱暴な女性言葉。
   一人称:あたい 二人称:アンタ 三人称:基本呼び捨て
備考;俗にいう ツンデレ。
   但し、ツンが、龍のため大変強力




15匹目
種族:リュコルド
性別:♀
主人:主殿
名前:藤音 アヤメ 故
形態:龍:くすんだ銀の鱗と黒に近い茶銀の鬣 猫サイズ
   人:ほぼ黒のおかっぱの髪 アヤメ色の深紫の瞳
     150センチぐらいの15歳ぐらいの少女
     青地に、アヤメと緋色の蝶が描かれた東国の民族衣装・・・着物姿
     骨の要の方だけ、二サンチほどピンク色の白地に白桜の舞扇。
     無愛想ながら、美少女と言っても差し支えない。
性格:無愛想・無口。
   ほぼ一日、日向で本を読むか、思索をしていることが多い。
   主人のことは、どちらかと言えば嫌い。
   能動的な行動も苦手である。
口調:愛想皆無な少年のような言葉遣い
   一人称:僕 二人称:お前  三人称:愛称+殿 主のみ 主+殿
備考:ささのんさんとこのリュコルドと交配



16匹目
種族;シルバニオン
性別;♂
主人;主さん
名前:アージェント・ヴァイス 在
形態;龍:白銀の鱗 仔猫サイズ 主の頭の上が定位置
   人:腰まである白銀の髪をうなじで縛っている。
     青紫色の瞳。 
     成長過程の十代半ば陶器人形のように顔の整ったの少年。
     藍色のスラックスと黒のワイシャツ、赤ネクタイ、藍色のベスト。
     アンティークな黒い外套を好んで着る。
性格:楽天的・・・・ではないが、楽しいことと雰囲気が好き。
   暗い雰囲気は大嫌い。両親の結末を聞いても、主の苦悩?を知っているが故に、責める事はしなかった。
   立場を理解していても、今を精一杯いきようとする少年。
口調:コックニー風の口調、お世辞にも上品とは言えない。
   一人称;俺 二人称:お前 三人称:基本呼び捨て。
備考:子供好き
   というか、最近は、シスコン。


17匹目
種族:レティーシア
性別:♀
主人:主
名前:ラケシス=クルセナ 在
形態;龍:黒銀の鱗 猫サイズ
   人:踝丈の淡く黄色の混ざった銀色の直髪  銀灰色の瞳
     ハイネックの肩に切り返しのある黒い肘までの袖の上着。
     その下に。白いひらひらのワンピース。二十歳少し前の年齢。
     黄土色のサンダル。濃い水色の石の着いたペンダントとアンクレット。
性格:おっとりとしている。
   ちびっこ(アージェント、ナツメ、ハウル、リュコス♂など)の世話をしていることが多い。
   お母さんタイプと言うよりは、お姉さんタイプ
口調:語尾をのばすような、おっとりとした口調。
   一人称:私 二人称:あなた 三人称:様
備考:イシュタルが来るまで、特殊交配種と言うことは知らない。





18匹目
種族:リュコス
性別:♂
主人:D
名前:グラン=アイヴォリー 在
形態:龍:薄茶の鱗と少し濃い薄茶の鬣 チワワサイズ
   人;淡い茶髪 濃い茶緑の瞳 17歳ぐらいの外見。
     カッコイイ系と言うよりも、やや幼く見える。
     青のフード付きパーカー 硬めの生地のズボン。
     動きやすさ重視の靴。 髪を背中中程の三つ編みにしている。
性格;部屋にこもって、読書よりも、外にいる方が好き。
   しかし、一人でいることが、苦痛ではない。
   また、主にしか、甘えない。
口調:砕けた敬語
   一人称:俺 二人称:お前 三人称:よびすて
備考:ツンデレ?



19匹目
種族:リュコドルアーガ
性別:♀
主人:主様。
名前:藤音 瑠璃 在
形態:龍:くすんだ銀の鱗と黒に近い茶銀の鬣 猫サイズ
   人:黒い腰までの髪を深紅のリボンで、軽くつまんだ髪型。
     濃い紫色の切れ長の瞳。
     深い藍地で、裾に彼岸花がみっちり描かれ、銀色の蝶が舞う柄の着物
     焦げ茶の編み上げブーツ。銀製で蝶の細工のキセル。
性格:黙っていれば、ほんわりとした和服美人。
   口を開けば、はんなりとした京都弁?で、毒を吐く。
   少なくとも、好感を持たれることが少なそうな女性。
口調:京都弁 
   一人称:あちし 二人称:おまさん 三人称 はん
備考:子供好きではあるが、べったりされるとげんなりする。




20匹目
種族:ナーズ
性別:♀
主人:ディス姉様。
名前:ヴィティス=フォルセティ 故
形態:龍:淡く緑に輝くクリーム色の鱗 120センチ位のサイズ
   人:若葉色のおかっぱの髪とエメラルド色のくりくりとした瞳。
     8歳位の少女の外見 身長110センチちょっと 最終19歳 154センチ
     濃いめの緑のハイネックのタイトな膝丈の袖無しワンピース。
     腰に前で結んだ緑系統で纏めたグラデ柄の踝までの布を巻いている。
     茶色のサンダルと同色の革でできた小さな金属玉が着いた歩くとしゃらしゃら音がする
     ただし、今の季節は、寒そうと言う理由で、主に明るい緑色のポンチョ着用。
性格:煌玲以上に、おどおどびくびく。
   人間形態だと、常に、ディスティアのマントの中の腰にしがみつき、龍形態だと背中にしがみつく。
   極度の人見知り。
   一応、レヴィンとアージェントには、懐いている。
口調:ほとんど喋らないが、喋っても、どもりがひどい
   一人称;私 二人称&三人称:兄様、姉様。
備考:最終年齢19歳位。





21匹目
種族:ブルーホワイト
性別:♀
主人:ディス姉 (でぃすねえ)
名前:ヴァーユ=フォルセティ
形態:龍:緑色に輝くクリーム銀の鱗 生まれたての仔猫サイズ
   人:深緑色に銀を溶かした色の腰ぐらいまでの髪長い髪を一本の三つ編みにしている。
     ペリドットの淡い緑色のくりくりの瞳。
     6歳ぐらいの幼女 107センチ
     黒のハイネックで、長袖の踝丈のワンピースと黒布と白いファーのボレロコートを着る。
     ボレロコートの合わせを、彼岸花の緋銀細工と蝶の銀細工のブローチで止めている
     焦げ茶の編み上げブーツ。
性格:人見知り&龍見知り 泣き虫
   男性よりも、女性に懐く。
   瑠璃に、べったりと張り付いている。
   大きい人は怖いらしい。でも、モノをはっきり言う。
口調:敬語?
   一人称:あたし 二人称&三人称;~姉 ~兄 
 家族に対しては、独特の言い回しで呼ぶ。


88番地 龍以外の住人

2009-02-04 22:03:36 | 凍結


88番地の主
本名:ディスティア=シルヴァングレイ
偽名:ディスティア=グレイ
通称;ディスティア
呼称:マスター、主、ご主人、姫さん、ディス 等々
家族:実家:父母 義母三人 異母兄一人 実兄一人 異母姉一人 双子の姉一人
      異母弟一人 異母妹四人。
      従兄弟・又従兄弟数知れず。その他、血縁多数
   現在:龍多数 特殊数人
年齢:20歳。(06’9月)
誕生日:地の季節三の月 5番目の日(二月五日)
血液型:不明 恐らく、O型
外見:ほどけば、腰まである青みのあるアッシュブロンド
   (普段は、一本の三つ編みか、等間隔で革製の輪っかで纏めている。)
   矢車草系の薄蒼。(笑顔がデフォのため、糸目)
   やや、男性に見られる中性的な容貌。
服装:深緑の袖が絞られた長袖Tシャツとズボン。
   その上に銀の縁取りに赤みの強い布の巻頭衣。裾に銀で月と星のマーク。
   黒のカンフーシューズ(鉛入り)。腰に革のベルト二本。
   ウィンプルのような帽子。(ここまで、画像表20ベース。)
   首に黒いぴったりとしたチョーカーと太めの銀の鎖のペンダント。
   細い鎖三本を組み合わせたアンクレット。留め金の上に石。
   淡い青紫色の半透明の封印石が、上記三つのアクセサリにはまっている。
備考:外見関連:胸は、サラシを巻いて隠している。最近はあまり巻かない。
        化粧はあまりしないが、最近は、ナチュラルメイク程度にするようになっている。
        それ以外の服は、魔女と言うのが相応しい黒い踝丈のワンピース。
        寝間着は、薄蒼のネグリジェ 冬はそれにガウンが加わる
口調:丁寧すぎる敬語調。
   対他人には、一人称:私 二人称:貴女か貴方 三人称 様/さん
   対家族には、一人称:私 二人称:同上    三人称 なしよびすて。
性格:基本思考は、悲観的。
   この村にきたのも、婚約者及び従兄弟の仇を討つ為である。
   基本行動は、母親的。
  『ドラマスは、ドラゴン達のお母さんでしょう?』と言ってのける。
   時間が経つを恐れている面もある。(呪いの項参照)
   素っ気ないようで、気に入った人物には、優しいと言う面もある。
   別名、世話焼き。
   苦悩・葛藤を表に出さず、それ故に、誤解されやすい。
   基本的に優しすぎるほどに、優しい。ただし、甘くはない。
   一回懐に入れた人間に関しては、大切にする。
   一回、的になった人間に関しては、とことん、厳しい。
   神様を認めるが、嫌い。
   自分自身の中の血の力が大嫌い。
好物:旅行記 鶏肉 ライチ みかん レバ刺身
   乾様、羽堂様、イソレナ様などの町の人
嫌物:加熱済みレバー ピーマン 純愛小説 裁縫/刺繍
   某テロリストのような、有終の汚を残すようなバカ。
特技:徒手空拳 料理 編み物
   怪しい薬作り(呪い緩和薬含む)
趣味:寝ること 料理
   武器熟練度あげ 果実酒造り
好色:蒼 翠 等の寒色
嫌色:赤 橙 等の暖色
愛飲:紅茶 果実酒
嫌飲:コーヒー 度数の高い酒




88番地の居候(未登場)
名前:ハウル
種族:人狼と人間のハーフ(母親が純血 父親が人間
外見:狼の耳と犬歯、シッポがある十歳の少年。
   髪と瞳は、金茶に近い焦げ茶。肩にかかるぐらいに乱雑に切られた髪型。
   フード付きトレーナーに、オーバーオール。
   下半身が、人狼の特徴の為、夏でも長ズボンがデフォ。
性格;基本的に、明るい甘えん坊。
   誰か、女性陣か、デカイ男性陣に、引っ付いている。
   乾様のところのフレイと友達?
備考:ハーフ故に、迫害され、この年で、放浪していた。
   ディスティアに拾われた時には、虫の息で、彼女の《精霊呼這》で、辛うじて助かった。
   甘えん坊なのは、捨てられるのが怖いから。
   07’1月に、龍二匹と88番地を出る。





ある日の会話 ログ2

2009-02-04 21:57:02 | 凍結



88番地 彼らの日常

エル『さあ、周雹龍。生まれて来た事を君の主様とお嬢様に謝りたまえ。』
周 『何故だって言っても。
   結局、ステラを取られた事への、嫉妬だろう。』
エル『それは、半分だけだよ。』

そして、彼らは、何時ものように、人型のままドラゴンの技を発動し合って戯れ合うのだった。

反対で ダイニングテーブルを盾に、少女と女性がお茶を啜る。

エス『戯れ合うのだった・・・・・って、主さんも、呑気よねぇ。』
ディ「そうですか?
   仲良き事は、善哉善哉って言いますし、ねぇ。」
エス『あれが、仲良くってレベル?』
ディ「いやよいやよも、好きのうちって言いますし。」
エス『・・・・主さん、現実逃避してない?』
ディ「してますよ。
   さて、そろそろ、ステフォルツァも、帰ってくるでしょうし。
   止めましょうか。」
エス『そーね、そろそろ、うちの前の道路、温泉になっちゃうわね。』
ディ「・・・・・・・・其の前に、ステフォルツァが帰ってくると、必殺のあの言葉が・・・・」
ステ『雹龍さん!!エルヴィン。
   それ以上、ごたごたするなら、晩ご飯抜きです。』
エル『了承だ、ステラ姉様。
   今日の晩ご飯は何かな?』
ステ『ええとですね、ブロッコリーのシチューと・・・・・・・』



88番地の新しく入った龍の事

アレク『パパ!!』
 周 『・・・・・・えっと、貴方は?』
アレク『アレクサンドラ=アクアハート』
 周 『そう言う事ではなくて。』
アレク『ディス様のところの。
   一昨日、フォル姉様に連れてこられたサイクロン種。』
(教皇乾宅の周雹龍の部屋に、彼に似た外見の人が入って来た。)
 周 『あの時の?』
アレク『そう。パパと同じサイクロン種。
    同じ外見にした。パパの事大好きだから。』
 周 『パパと言われるのは、ちょっと・・・・・・』
アレク『パパは、私の事嫌いか?』
 周 『嫌いって訳じゃ・・・』
アレク『パパって、呼んじゃダメか?』
 周 『・・・・・ええと。』
アレク『・・・・・・・・・・・・・もういい。』
(周の手を振り払って、アレクは、部屋を出てしまう
 涙らしきモノが光った)

(ステフォルツァが、部屋に来る。説教され、パパ呼びを認めた。)

エル 『・・・・・・でどうすればいいかって?』
アレク『・・・・・(頷く)』
エル 『息の根、止めてくるから、アレクは待っててねぇ。』
アレク『するなら、嫌いになる。』
エル 『・・・・不本意だが、アレクが言うなら。
    なら、『パパ』でなくて、『お父さん』と呼ぶといいよ。』
アレク『なんで?』
エル 『そっちの方が、ダメージが少ないだろうから。』

(アレクは周の腕にくっついている)
 周 『アレクサン?
    ドウシテクッツイテイル?』
アレク『ヴィー兄様が、好きな人にはこうするといいって。
    お父さんは、そう言うの嫌?』
 周 『・・・・・いや。
    (パワーアップしてる。エルヴィン、余計なことしやがって。)』










七月初旬 夜半

エル:お嬢様、ステラ姉様が、七番目の日にあの男と交配予定とは本当か?
ディ:そうですが、それが?
   許せませんか?一番好きな姉を死なせる行為に向かわせる事が。
エル:・・・・・・・・・・。
ディ:・・・エル、オディールとステフォルツァが、親友だったのを知っていますか?
エル:・・・・・・・・・・はい。
ディ:本当は、というか、予定では、六月中に二人で、W結婚式しようね。とか言っていたようですし、私もそのつもりでした。
エル:ならば、何故?
ディ:詳しい話は私も知りませんし、話しません。
   ですが、ステフォルツァに、幸せな結婚をして欲しかったからだと思いますよ。
エル:だからと言って・・・・・・・・。
ディ;エルヴィン=ローズレッド。
   貴方の母・オディール=レンテンローズの生きた『本物』の人生を『ニセモノ』にするつもりですか?
エル:・・・・・・・・・・・・でも、ステラ姉様に死んで欲しくない。
ディ:命は、等しく巡ります。
   それが、龍でも、人でも・・・・・・呪い子であったとしても、巡るんです。
   だから、送り出して上げましょう?
(ディスティアは、エルヴィンの頭を撫でる)
(自分より背の高い人への行為なのに、何故か幼子にやっているように見えた)
エル:・・・・・・・・・・・・・・
ディ:あのね、エル。
   貴方は、少し生き急ぎ過ぎですよ。龍年齢で、百歳と言えば、子供です。
   もう少し、周りを見なさいな。
エル:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ディ:ほらほら、泣かないで。
   子供らしく一緒に寝る?
エル:・・・・・・・・・・・明日、ステラ姉様に、祝い言葉を言う。(頷きながら)








ソルク:それは、浴衣か?
ディス:そうですが、良く知っていますね。
ソルク:前の主も、着ていた事があった。
ディス:そうですか・・・。
    初めてですね、ソルカーシュが、前の事話してくれるのは。
ソルク:・・・・・・・人はキライだ。
ディス:でも、その主は、好きだったのでしょう?
ソルク:そうだ。
    俺をダークビデゴラスの材料と見なかったのは、そいつとお前くらいだ。
ディス:・・・・・・・・・・・・・・訳を聞いても?
ソルク:そいつは、レティーシアが手に入らなかったからと言うのもあるんだろうが、交配を強制しなかった。
    でも、そいつが死んでから、会う人間会う人間、交配を強制してばかりだ。
ディス:微妙に、お爺ちゃんな訳ですが?
ソルク:それが、第一声?
ディス:ええ。それにしても、私のトコには、人間不信が集まるきらいがありますね。
ソルク:?
ディス:セファも、初めはそうでしたし。
    千種も、バルも、グレン、オディールも、それなりに、人間嫌いでしたから。
ソルク:多くないか?
ディス:ええ。
ソルク:でも、よくお前に契約まで許したね。
ディス:・・・・・・同族な部分を解っていたのでしょう?
    それと、治せなくて、ごめんなさい。
(ソルカーシュの右眼付近をディスティアは、撫でる) 
ソルク:マスターさんは、ちゃんと手当てしてくれた。
    これは結構古いから。
ディス:そうですが。
    それと、ソルカーシュ。
    私の故郷の言葉で、ソルカーシュは、『強く自由な人』を意味します。
    自由になっても良いのですよ。
ソルク:しばらくは、ここに居るさ。









9月半ば

 紅 :マスター、怒ってる?
ディス:何故、そう思うので?
 紅 :ええとね、いつもなら、眼も笑った笑顔なのに。
    今は、口でしか笑ってないし、ズゴゴゴゴって感じの擬音が付きそうだから。
ディス:否定しませんね。
    というか、できません。
 紅 :どうしたの?
    マスター、怒っても、すぐに冷めるし、其処まで継続して怒るのって少ないよね。
ディス:・・・・・・・某漫画に例えるならば、前の方は、聖帝ではありました。
    引かない、媚びない、省みないと言う意味で。
    頭に来ないわけではないですが、その人自身は嫌いではありません。
 紅 :今の人は違うの?
ディス:私は、好き嫌いを然程言いません。
    ですが、あの方は、大嫌いです。
    不倶戴天、と言う言葉が、生温くなりそうなくらいに、大嫌いです。
 紅 :戦闘系に戻るの?
ディス:考え方的には否定しませんよ。
    この町は、人口は然程はないですが、余所者を差別いたしませんでした。
    交流、が暖かい町です。
 紅 :その人は、しないの?
ディス:ええ、全くと言うほどに。
 紅 :マスター、は、早まらないで。
ディス:何に、ですか?



衣替え(十月後半ぐらい?)


ソルク:・・・「寒そうだし、一応、こう言うのも似合うから、着替え渡しといてね。」だって?
セファ:うん、俺も去年指示されたしね。
    輝とか、煌玲みたいに、パーツを変えて、ハイ冬用って行かないだろ?
リュイ:一応、客商売で、一週間に二回は確実に、店番があるのですから。
    季節感を感じさせる事も、一つのお店の見せ方ですよ?
セファ:確かになぁ。
    まぁ、ディスは、ちゃんと物を見抜くことが出来るから、な。
    良いもんも、その人に似合うかも。
リュイ:そうですね、主様は、コーディネイトも上手ですから。
ソルク:確かに、マスターさんの服選びは、問題ない。
    むしろ、趣味が良いんだけど・・・・・。
セファ:別に、上着着るだけでも良いだろうってか?
    でもよ、そしたら、尚更、THEガテン系な感じだしよ。
ソルク:・・・・・・・ただ、シャリアージュに似てると思っただけだ。
    前の、俺を俺と見てくれたマスターにな。
セファ:確かにな、龍にお金をかけるマスターもいねぇわけではないけどよ。
ソルク:うんうん。
リュイ:そうなのですか?
セファ:うん、ま、ディスはちょいと、複雑なとこあってよ。
    失うのが怖いってトコがあんだろ。
ソルク:あてがっても、どうにもならない事が在るだろう?
セファ:だけど、そうしちまうのが、或る意味、ディスがディスだからってところが在るんだろうけどよお。
リュイ:セファイドさん、ソルクさん。
    主様のことをもっと話して欲しいです。
セファ:お、おう。



12月半ば クリスマス間近

リュイ:主様、その袋は?
    変に入れると、壊れますよ?
ディス:・・・あ、解っていますよ。
リュイ:あと、そんな大量のプレゼント包み、どうしたんですか?
    ・・・・・・・・・・・・・・・クリスマスだから、ですか?
ディス:あ、はい。そうです、見られたから、言いますけれど。
    うちでは、全員の枕元に、クリスマスの朝にプレゼント置いておくんです。
リュイ:・・・・・・・・
ディス:一緒に、やってみますか?
リュイ:いいんですか、主様。
ディス:見られた以上、共犯者にしてしまいましょう。
リュイ:主様、嬉しいです。(ディスティアに抱きつく。
ディス:・・・・きゅ、急に抱きつかないで下さいね。
    心臓に悪いですから。






ある日の会話 ログ

2009-02-04 21:55:45 | 凍結

ヴィ「ディ、ディス姉様。服装とか・・・・ちがい、ます。」
ディ「ああと、この神器を装備してると赤目になるから、気分転換にです。
   怖いですか、ヴィー?」
ヴィ「(首を横に振る)い、いいえ、ひ、瞳が・・・・イチゴキャンディみたいで、す。」
ディ「イチゴキャンディ・・・・ですか?」
レヴィ「たしかに、そうだけれど、食べちゃダメだよ、ヴィティス。
    イチゴキャンディなら、僕があげるから。
    ・・・・・・マスター、赤くなって、どうしました?」
ディ「どうも、しません。」



ヴィ『・・・・もうすぐ、バ、バレンタインだよね?』
ディ「そうですね。」
ヴィ『そ、それって、す、す、好きな人に・・・・チョコあげる日?』
ディ「・・・・まぁ、チョコだけとは限りませんが、甘いものが多いですね。」
ヴィ『・・・・・・・・・』
ディ「・・・・・・・アヌくん、甘いもの大丈夫かな?って?」
ヴィ『・・・・(こくこく必死に頷く)』
レヴィ『マスター、そのアヌ君って言うのは?』
ディ「20番地の(=ΦωΦ=)さんとこの飼いドラさんですよ。」
レヴィ『・・・・・・・・・・・・・』
ディ「なに、うちの妹はやらん!!みたいな表情してるのですか?」
   (なんしろ、チョコ見つかると良いのですけど。)


アー『主さんに、ヴィティ、何作ってんの?
   甘いイイ匂いしてっけど。』
ディ「アージェントですか。
   チョコレート作っていたのですよ。』
アー『あれ、買い取りヤメたの?』
ディ「確実に見つかるかどうか解らないですし、それに、考えてみれば最初で最後のバレンタインなら、手作りでも良いと思ったのです。」
ヴィ『そ、そうです。
   よ、よ、余分に作ってないんですけど。』
アー『・・・・・・・・・(ガビーンという顔)』
ディ『やれやれ、もうすぐ、お見合いですよ?
   それが成功すれば、ヴィーはそのまま、さようならです。』
アー『相手は、(=ΦωΦ=)さんとこのアヌってぇやつだよな?』
ディ『そうですが。』
アー『俺は、ヴィティの兄貴として、そいつに決闘を申し込む!!』
ディ「・・・・・・・・普通、親父さんの役割だと思いますよ?」




セファ『煮詰まってるねぇ、少年。』
ディス「そうですね。
    ・・・懐かしいですか、セファイド?」
セファ『ん~、どうだろ?
    まあ、そういう熱くて、優しい感情は嫌いじゃないけどな。』
ディス「素直じゃないですね、セファイドは。」
セファ『姫さん、ほどじゃないさ。』
ディス『ともあれ、彼のつがいになる、ダークビデゴラスのお嬢さんも、まだいませんし。
    これから、こういうのも、増えるでしょう。」
セファ『俺の次に、見送る龍が、多くなるだろうって?』
ディス『でしょうね、ケレルも、輝も、旅立ちましたし。
    あの子は、セファイドと同じくらい、家族を見送るでしょうね。」

(意気込むアージェントを眺めながら、
 ある日の午後の炎龍セファイドと主ディスティアの会話)
   


(ディスティアと落ち込んでいるアージェントが、お茶している)
(そこに、瑠璃が、背中に仔猫サイズの龍を貼付けて入って来た)

瑠璃『主様!!助けておくれやす。』
ディ「どうしましたか?瑠璃。」
瑠璃:ヴァーユはん、はがして欲しいんでありんす。
ディ「あぁ、ヴィーの娘の。」
アー『ヴィティの!!
   ヴァーユ、こっちおいで~、お兄ちゃんだよ~。』
ヴァ『や、にーたん、きらい』
アー『ガアーン!!』(この世の終わりと言うような顔)
ヴァ『あっちいけー。』
瑠璃『お嬢、そんなこと言うたら、あきまへん。
   『嫌い』とか、『あっち行け』言われたら、お嬢も哀しいですやろ?』
ヴァ『・・・・・・う~、瑠璃がそう言うなら、もう言わない。』
ディ「いい親子していますね。
   人形態、取れるようになったら、言ってくださいね。」
瑠璃『・・・・・・主様、あちしも、一人の時間が欲しいんでありんすよ。』
ディ「でも、ヴァーユが、離れてくれないようなら、しばらくはそのままです。
   人形態になれるようになれば、変わるのでしょうけれど。」



ディ「・・・ヴィーにそっくりなのですね。」
アー『ヴィティにそっくしだね。』
レヴィ『本当に、そうだな。
    飾りは、瑠璃ちゃんっぽいけど、ヴィティスそっくりだね。』
アー『ともかく、可愛い。』(ヴァーユを抱き締めようとする)
レヴィ『アホですか、怯えるだろが。』(かかと落としで阻止。)
ディ「もう少し、穏便に行きましょうね、二人とも。」
ヴァ『銀光兄 このあいだは、嫌いとか怖いとか言ってごめんなさい。』
(アージェントが、再び抱き締めようと動くが、レヴィンに投げられる)
レヴィ『だから、怯えると言っているだろう、少しは学習しろって。
    同じフィルセティ姓だから、解らないことがあったら質問してくれるといい。』
ヴァ『はい、緑風兄。
   ・・・・・これなんですか?』
レヴィ『イチゴキャンディだよ。』
ヴァ『おいしい。
   ・・・・・あ、緑風兄、絵本読んでください。』
レヴィ『いいよ。』
(二人は、二回へ行ってしまった)
アー『あ~、レヴィン。ずっこいぞ!!』
ディ「アージェント、もう少し静かに近づきましょうね。」
アー『だって、ヴァーユ、可愛いんだもんv』
ディ「怯えられたいわけじゃのでしょう?」
アー『そうだけどさぁ。』






ディ「嬉しいですね。
   でも、本当に、本当に、懐かしいです。」
オディ『ちびっこ達が、セファイド達と戯れ合ってるのが?』
ディ「レヴィンとアージェントは、ちびっこではないですよ?
   ・・・・・・・・・にしても、聞いていましたか。」
オディ『偶々よ。
    それにしても、ディス、アンタどっから来た?
    ・・・・・・・あの気配は・・・・・』
ディ「オディール。
   今は、話せません、話すわけにはいかないのです。」
オディ『セファイドや、輝が聞いても?』
ディ「セファは知っていますし、輝が聞いても、はぐらかします。
   はっきり言って、龍には、一番忌々しく、呪わしいですよ、私・・・いえ、私の家系はね。」
オディ『・・・・・・んた、幸せなのかよ。
そんなん背負って、幸せなのかよ!!』
ディ「幸せです。
   ・・・・・・貴女達や、ここに人たちと出会えて、幸せですよ、本当に。」



ディ「また、ですか。
   最近無いと思っていましたが、乾様のところの周さんのノックダウン。」
オディ『だってぇ~、くよくよしてんだったら、自分で行くとか、言うこと言っちゃってたら、いいじゃんよ?』
ディ「そうも行かないこともあるのですよ。」
オディ『好きなのに?』
ディ「好きだから、言えない。そういうこともありますよ?
   それに、周さんの場合、気付かなさそうなこともあるでしょう?」
オディ『そりゃそうだ。
    あたいも、気付くのに、それなりに掛かっちまったからな。」
ディ「そうですね。
   返って来ても、そのことで、周さんとステフォルツァの仲は、なかなか進まないのでしょうね。」
オディ『ディス的にはどうなの?』
ディ「幸せになってくれれば、それで良いのです。」




オディ『ディス、その装備は?』
ディス「この鎧と盾ですか?」
オディ『そう、ディスの趣味にしちゃ、可愛らしいね。』
ディス「いつもは、ファンタジックで、ゴシックなのを装備してると?」
オディ『まぁね、ディスの趣味って、そう言うのか、漢字系のカッコイイのか、
    ・・・・・・・・ディスの力を押さえようとする、韻律の踏んだ名前が多いじゃんよ。』
ディス「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
オディ『否定しないの?』
ディス「できない、のほうですね。
    セファにでも、聞きましたか?」
オディ『バルを餌で釣って、一緒に調べた。
    ・・・・・・・・前にも、言ったかも知れないけど、逃げたくないの?』
ディス「逃げれないですよ。
    時間も、もうどれだけ、残っているのでしょうね。」
オディ『じゃあ、逃げるなよ。
    あたいとバルの子供も、他の龍も残して、逃げるな。』(ディスの頬を張り飛ばす)
ディス「・・・・・・・・・・・・・・・」
オディ『ディスは・・・・・・・っマスターは、初めて、無理矢理捕まえようとか、そんなことしなかった。
    この街の人たちは、そんなことしないのは解ってる・・・・・けど。』
ディス「諦めも、逃げもしません。
    最後まで足掻きますよ。」




バル『・・・・・・偉大なる我が主?』
ディ「どうしました?」
バル『あのお嬢をどうにかして欲しい。』
ディ「・・・・・・・・・・・・・・ヴァーユのことですか?」
バル『はい。瑠璃様が、居ないときは、何故か、僕とオディール嬢のところにくるのですよ?』
ディ「いいではないですか?
   懐いているのでしょう?」
バル『オディール嬢へ、愛を囁いている時でも、なんですが?』
ディ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それは困りましたね。」
バル『それと、我が主、その格好ではしまりません。』
ディ「あら、似合わないですか?
   男装の麗人っぽくて、いいではないですか?」
バル『似合ってはおります。
   ・・・・・・・けど、結構複雑です。』






バル 『我が麗しき主、ここにいたの?
    月冷えが、酷いから、中に入ったらどう?』
ディス「おや、それは初めてのフレーズですね。」
バル 『・・・・・・それはともかく、『イチゴキャンディ』が、薄い『ミントキャンディ』になってしまったね。』
ディス「ま、神器が離れましたから。
    或る意味、私の中のモノに変な反応して、『イチゴキャンディ』になっていたのですからね。」
バル 『それより、今、首がかなり重く、枷のようになっているけど。』
ディス「・・・・・・・・・問題は、そっちなのですよ。
    神器があったからこそ、条件さえ揃えば、古参の方々とも渡り合ってこれました。
    今、その方々が、本気で殺る気ならば、すぐにでも、首は落ちるでしょうね。」
バル 『ならば、何故、貴女様はそんなに泰然としている?』
ディス「う~ん、ホントに死ぬことになっても怖くないから、怖いと思えないからですかね。」
バル 『ッ我が主!!』
ディス「私は、五年前に、死んだも同然なのです。
    だから、そう想えるのですよ。」



(ある日の夕飯後、お茶を飲んでいるとき)
ヴァー『えへへ、黒風兄様、ありがとー』
オディ『珍しいよなぁ、ヴァーユが、あたいら以外のしかも、雄龍に懐くなんてな。』
ディス「・・・・・・確かに、そうですね。
    おかげで、オディール達も、最近はラブラブ出来ているようですし。」
オディ『んも~、ディス。
    お客さんの前でんなこと言うなよ。』(顔を赤くして、イヤイヤをしている)
巳雲 『そうですか。
    でも、おいしいお菓子ごちそうになってますし、お互い様、ということでは?』
ディス「いえ、実際助かってますし。
    もうしばらくしたら、遊び相手も出来るのでしょうけれど。」
巳雲 『?』
オディ『ああとな、ステフォルツァが帰って来たら、あたいとバルは交配予定なんだわ。
    そうすりゃ、二世代以降の仔龍は、その子とヴァーユになるから。」
巳雲 『・・・・・・そうですか。』
ヴァー『黒風兄様、どうしたの?
    なんか、凄く怖い顔してる。』
オディ『そういやさ、ヴァーユは、なんで巳雲のことすきなんだ?』
ヴァー『うんとね、金光姉様に似ているから。
    姉様みたいに、いっしょにいるとふわふわするの~』
巳雲 『・・・・・・・・・・』
ディス「(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・無自覚なんだろうけどさ)」
オディ『ヴァーユ、似ててもな、男をステフォルツァに似ているって、あんま、嬉しくないと思うぞ?』
ヴァー『なの?』
巳雲 『え、ええ、まぁ。あまり嬉しくはないですね。』
ヴァー『ぶぅぅ、でも、黒風兄様は、金光姉様に似てるもん。』



(142番地 教皇乾宅 にて)
(飼い主二人は、楽しげに、眺めている)

オディ『ステフォルツァ!!無事だったの?』
ステラ『はい、二ヶ月ほど掛かりましたけれど。』
(オディールは、周に、耳打ちするように。)
 オディ『言ったのか、周?』
 周  『なにをだ?』
 オディ『ステフォルツァのこと、好きだって、自覚したんだろ?』
 周  『な、誰からそれを。』
 オディ『巳雲と、トライブから。』
 周  『・・・・・・いや、まだ言ってない。』
 オディ『男ならしゃっきりしろよ。』(一発脳天に決まる)
ステラ『オディールさん、乱暴ばっかりしてると夕ご飯抜きにしますよ!!』
オディ『たっはー。帰って来て嬉しいけど、それだけは勘弁。』
(ステフォルツァは、まだ無言で呻いている周に、近づく)
ステラ『あ、あの、周さん。』
周  『どうした?』
ステラ『魔鏡さんの中に居た間、ずっと考えてたんですけど。
    私のこと、ステフォルツァ、じゃなくて、ステラって呼んでください。』


(深夜)
(ディスティアは、身をベッドに横たえている)
(ボレアス種のセファイドが、なにかの調合を行っている)

セファ:姫さん、作り置きしとけって言ってんだろが。
ディス:・・・・・作り置き出来ないって、言ったわ。
セファ:それに、前よりも、『発作』の頻度多くなっていないか?
ディス:『成就』するのは、まだ先よ。
    だけど、簡単な制御の仕方と天性で誤摩化して来たけど、『制御』が甘くなっているわ。
セファ:加護を持ってしても?
ディス:持ってして,このレベルよ。
セファ:・・・・・・・・・・・・・・・。
ディス:そんな苦しそうな顔をするな、セファ。
    私は、幸せだよ。
    『呪い』が無ければ、神殿に飼い殺しにされるか、有力者のどら息子に嫁させられるはずだった。
セファ:なんせ、あの『ミカエラ』の再来と言われた『炎の戦巫女』だもんな。
ディス:・・・・・・・・後何年だろう。
    アルが、「少しでも長く、幸せに暮らしてくれ」と言い残して、逝ってから、もう五年。
セファ:そのうち、二年半は、魔術の修行に。だったな。
ディス:うん、エリファス師匠についてだわ。
    ・・・・・・・・・・セファ、私、転職する。
セファ:・・・・・・・・・は?
ディス:ネクロマンサーじゃ、これ以上の制御を覚えるのは難しい。
    Fマスか、教皇か、魔力で何かを作る系統の職業なら、制御も覚えられる。
セファ:・・・俺は、お前のドラゴンだ。
    姫さんが、選んだ道についていくだけだ。



(夕方)
(ディスティアは、赤い顔して、ベッドにいる)
(セファが、その横の椅子にいる)

セファ:珍しいな、ディスが、熱をだすのは。
ディス:そーだね、セファが、来てすぐ、出したっきりだし。
    凄く久しぶりだ。
セファ:やっぱり、『アレ』関連か?
ディス:間接的には。
    五年持ったんだし、もう少し持つかなとは思ったけど、ちょっと、今の制御能力だと、無理が出てくるみたいね。
セファ:故郷を捨てる前、二年と、捨ててからの二年半だっけか?
    魔術をきっちり学んだのは。
ディス:ええ。それ以降は、実践でしか、磨いでも学んでもいないわ。
セファ:姫さん、フュージョンマスタか、教皇か、何かになった方がよくネェか?
ディス:何故?
セファ:ネクロマンサーでいるよりも、魔力で何かを、作る職業になったほうが、『アレ』の制御の仕方も、解るんじゃねぇか?
    ・・・・・・・リカルドみてぇに、先に死なれるのだけは、ごめんだからな。
ディス:契約中のマスターに死なれるドラゴンか。
    生殺しよね、仕える相手がいなくなっても、仕え続けないと行けない螺旋の矛盾。
セファ;俺は、たまたま、そうならなくても済むような立場にあった。
    でも、リカルドが、いなくなったことは俺には、キツかった。
ディス:解ってる。
    ・・・・・・・・・・すこし、考えさせて。

(数日後)

ディス:セファ、Fマスに、なることにしました。
セファ:そっか、頑張れよ、姫さん。