セピア色の想い出。

日々の生活と、其処から生まれる物語の布飾り。

家族の写真外伝 年末年始のとある一幕。

2012-12-31 10:35:05 | オリジナル / 混合

開始時間のリアルタイム更新に致しましたので、実際のアップ時間とは差がありますのでご了承ください。




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12月31日。
あの決戦の前のの大晦日の日。
師走と呼ばれる月の中でも、主婦業をしている人間には、大変な時期なのだ。
そう、ある意味での、戦争なのだ。




家族の写真  年末年始のとある一幕。




「アルト!!栗キントン食べたでしょ!?」
「ち、違うって。」
「じゃ、その口元の食べカスは?」
「え?」
ヴァリード/雪吹家の台所。
青く輝く髪の女性・ディスティアが、白い髪の少年の弟・アルトを問いつめている。
そして、見事な?誘導尋問によって、少年は、お節のつまみ食いがバレてしまったようだった。
と言うか、思い切り、唇の端に栗きんとんがついてしまっている。
これでバレないのなら、現行犯は存在しないだろう。
「ディス姉さん。
 お雑煮、これで良いですか?」
「あー、ちょっと待って。」
「ディス姉さん、そろそろ、俺は行くから。
 昼までに戻ってくる。」
「はいはい。
 気をつけていってらっしゃい。
 私も、後から、《デザートストーム》に行くから。
 アークに、よろしく言っといて。」
黒髪の少女な妹のナツメの問いかけを少し待たせ、赤髪の少年で年嵩の弟・エヴァを送り出す。
その隙に、アルトが、逃げようとする。
するが、双子の妹であるナツメに、引き止められていた。
そのしっぽのようにしている白い髪のおさげを引っ張られて。
「ディス姉さん、アルト逃げようとしてる。」
「・・・・・・アルト、『お年玉』無しで良いの?」
「うっ・・・・・・。」
ここでいう、『お年玉』とは、金銭のことではない。
まぁ、一応兄弟で、ディスティアとて、大学生だ。
親からお年玉をもらう年頃である。
ちなみに、大晦日、数日前まで、年末進行で、二月先までの原稿・・・しかも、十誌近く仕上げ、父・レンシェルマと母・ルピナスは、それぞれ寝室で、死んだように眠っている。
一番上の姉・ファランは、明日からの新春大売り出しの準備で、今日も遅くなるだろう。
そんな、ヴァリード/雪吹家の大晦日の午前だった。







それから、お節をお重に詰め、起き出してきた父母と弟と妹の夕食の準備をして、四人が紅白歌合戦を見ているのを確認したディスティア。
水色ののハイネックセーターとダークカラーのデニムの上から、黒の特攻服をひっかけ、彼女は家を出た。
ガレージのバイクの側車に乗っている大量のカレーが入った寸胴鍋と唐揚げ、卵焼きなどのおかずの入ったタッパーだ。
少なく見積もっても、100人前後分はあるだろう。
側車いっぱいになっている為、特別固定をせずとも、動く心配はないだろう。
それに、数日前に、カレーは、《デザートストーム》に、この数倍を作ってある。
他のおかずの類いも、エイレンと紫苑が作っているはずだ。
此処数年・・・・・六年前の大晦日からの習慣だ。
それを習慣化させた男は・・・・エリスはいないし、それを一番に認めて、理解してくれたレイティスもいない。
ただ、それを無くして思い出にしたくないだけだ。
バイクの傍の塀に、寄りかかり、深く溜め息を付き、BlackStoneに火をつけ紫煙を佩きだす。
「どうするべきなんだろうね。」
そして、ディスティアは、さびしげに呟く。
この習慣を・・・・・・・自分のカレーを喜んでくれたエリスはいない。
六年前のあの日に、死んだ。
その二ヶ月前に、そのカレーを一緒に食べたあの男に、殺されて。
この習慣を・・・・・・・この習慣を認めてくれたレイティスはいない。
三年前のあの日に、死んだ。
その二ケ月前に、そのカレーを一緒に食べたあの男に、殺されて。
「計画・・・・・・起こして実行べきなんだろうけど。
 その為には、あの子・・・・アリエスに、ある程度情報を渡さなくちゃいけない。
 ・・・・・・・・・・んで、死んだんだよ、エリス、レイティス。
 ただ、生きてくれてるだけで良かったのに。
 生きててくれれば・・・・・・・・・・立っていられたよ?」
三年前、レイティスが死んだのは、向こう側に計画がバレたせいだった。
その従妹のアリエスの心も、半ば砕けた。
なのに、自分は彼女から逃げた。
それを償うかのように、無茶な量の依頼もこなした。
だけど、いまだ、彼女に話す決心もない。
だけど、もう決めなくてはいけない。
「ディスティアサン?
 もウ、そロそロ、皆サン、出発しまスヨ。」
「そうか、ありがとう、紫苑。
 先に、戻って、何人か屈強そうで器用そうな新人と古参を選んでおいてくれ。
 そいつらに、このメモの材料をスーパーで買わせておいてくれないか。」
思考の海に、沈みかけていたディスティアを、紫苑が声をかけ、引っ張り上げた。
走ってきた彼は、この冬の寒い時期に、ワイシャツにスラックス、カラシ色のベスト姿だった。
普通に車を使うよりも、彼にとっては走る方が早いし、寒さは意味をなさない。
彼に、ディスティアは、数十万単位のお金が入った財布とメモ書きを渡す。
「ディスティアサン、大丈夫デスカ?」
「大丈夫だよ。
 今は、立ち上がれてる。
 それじゃ、頼んだよ。」







紫苑が走り去った後、二十分ほどしてから、ディスティアは、バイクを発進させた。
ヘルメットの中で、ディスティアは、呟く。
「私にも、時間がない。
 ・・・・・そろそろ、決心しなくちゃね。」
その時間がない、は《歌乙女》としてなのか、《風舞姫》としてなのか、ディスティアとしてなのか。
他に聞く人のいない今は、分からない。






「押忍ッ!
 三代目、補佐殿に頼まれたメモ書きのモノ、買いそろえておきました。」
そう言ったのは、《芭芙織麻都屠(バフォメット)》の親衛副隊長で、リーゼントで岩をこすり合わせたような声の速水龍三だった。
もうすぐ、次の春にチ-ムから卒業予定だったかと、ディスティアは、思った。
「久しぶり、元気だった?
 ・・・・あと、龍三さんと弥勒院は、覚えているけど。その他の二人は、誰?
 新人かな?」
「よう、姫。
 男の方は、《帝車》のトニー=クモリ。
 女の方は、《GREED》のレジー=シュタイン。
 二人とも、姫の数々の武勇伝に惚れて、入った口だよ。
 今年の二月くらいに、纏めて、50人入ったろ?
 そんなかで生き残った五人の二人だよ。」
弥勒院蓮二というのは、《薊姫守護衆》の一人だ。
冗談みたいな名前だが、本名だった。
二代目の薬袋大命の幼馴染みでもあるらしい。
実家が寺院関係と言うのは、知っている。
しかし、黒髪にロッカーティストの服装はともかく、頬から首にかけての弥勒菩薩のタトゥが印象的な青年だ。
ちなみに、彫っているのではなく、特殊なシールらしい。
その彼が、紹介したのは、日系らしい外国風のブルネットの少年と赤髪緑眼の少女だった。
少なくとも、『暴走族』と言う単語からは、縁遠そうな二人だった。
まだ、汚れていなさそうな。
「遅かったな、ディスティア。
 もう、他の連中は、出発したぞ。
 あと、四五時間で、朝焼けだから、七時間もすれば、戻ってくるぞ。」
「了解。
 それじゃ、龍三さん、弥勒院、トニー、レジー、紫苑。
 豚汁とおむすびも、追加で作るから、野菜の皮むきからやるぞ。」
龍三と蓮二は、『はいはい』という感じで、溜め息をつく。
トニーとレジーは、『姐御の命令なら!!』とでもいうように、行き込んでいる。
・・・空回りしなければいいのだが。
奥の厨房―喫茶店兼スナックにしては、本格的な様式のーに行く前に、カウンターの中のスツールに、座っていたエイレンに、こう一言だけ、ディスティアは言った。
「エイレンさん、《チャイルドクラン》の情報集めておいてください。
 もしかしたら、来年動くかもしれないので。」
「解った。」
そして、ディスティア達も、厨房に消えた後。
エイレンは呟く。
「・・・これで、《御伽噺》も終わる。
 いや、もう、終わらせないとね、『父』の哀しい思いも。」








里芋、人参、牛蒡、玉葱、馬鈴薯、こんにゃくなど。
豚汁とおむすびー炊き込みご飯用の野菜を黙々と剥き、切っていく。
大玉西瓜が、四つはいるくらいの大きなザルに、それらを積み上げていく。
龍三は、小学生ぐらいが入りそうな寸胴鍋三つに、だし汁を作っていた。
お米も升単位で研がれ、同じくザルにあげられている。
「トニーも、レジーも、私に憧れて、入ったって聞いたけど。
 なんで、こういう暴走族、なんてにっちな道に入ったの?
 逃げとして、選んだのなら、止めといて。
 そういうのは、嫌いだから。」
突き放すような口調で、ディスティアは言う。
まだ、1年目なら、浅いとは言え月の世界に、根ざすことなく、太陽の世界に戻れる。
彼らには、太陽の世界が似合うと思うから。
好き好んで、こちらにいるのは哀しすぎるから。
「逃げじゃないです。
 四年前の《魔厭雅裂攬(マ-ガレット)》との抗争ン時に、兄貴と一緒に、あのチームにいました。
 負けたから、なにされても、文句言えねえのに、何もしなかったその男気に惚れました。」
「・・・・姉さんを、受け入れてくれたから。
 暖かいから、入った。」
「なら、良いけど。
 ・・・・・・来年の今頃かな、それぐらいになれば、命の保証もできなくなるから、覚悟しといて。」
そんな、気配りがありながらも殺伐として微妙に暖かい会話や。
「そういや、みそ汁とか、カレーとか、唐揚げとか、大丈夫か?
 ま、姫さんのは、そう言うの関係なく美味いからな。」
「そウ、でスネ、ディスティアサンのご飯、美味しいデス。」
そんな、ディスティアを歩目ごろス様な会話や。
「トニー、そろそろ、カレーあっため始めて。
 レジー、お米の水、白米の方はかって。
 アホウ!!強火にするな、中火に近い弱火でだ、差し水か少し牛乳も入れろよ。」
そんな割合普通の会話を交わす。
少なくとも、この場は、平和だった。
月の世界とか、太陽の世界とか、そんなコト関係なく。
ただ、『日常』があったのだ。





数時間後。
豚汁も、おにぎりも、カレーの準備も、終わった頃。
ディスティアは、「全部、配っても良いから。」と言い残し、数人前分を二つ、取り分けバイクにまたがり、何処かへ行った。
「何処に行ったですか?」
「ん~、三年前まで、出入りしていた情報屋の一人んトコと後、《梓瑠媚曾》の二代目んトコ。」
「情報屋、何故関わるの?」
「元々、初代目の頃から、情報屋とか、もっと深いところの月の世界の住人と交流があった。
 此処のマスターのエイレンさんだって、深いところのこの世界じゃ、有名人だからな。
 初代の総長副長も、裏稼業に関わっているようだしな。」
「んじゃ、なんで、《梓瑠媚曾》も?」
「二代目総長が、姫さんにお熱なわけ、だからってのあるんじゃない?」
弥勒院と新人二人が話しているところに、人数分のおにぎりと豚汁をよそってきた龍三さんが、岩をこすり合わせるような声で話に入ってきた。
配りながら、龍三は、更に呟く・・・此処にいる人物に話しかけているようではないように。
或いは、自分自身がついていけないことを嘆くようにも聞こえた。
「それにな、三代目も、四代目も、ここよりも、もっともっと深いところにどっぷりと浸かっている。
 ・・・・・・・・・・これ以上は、詮索するな。
 薊姫守護衆の連中や上に、消されるぞ。」
しかし、その言葉に、バッと弥勒院―薊姫守護衆の一人に、新人二人は、視線をやる。
それに対して、ニヤリと、意思の読めない・・・・・・・それの不気味さを左頬から首筋にかけての弥勒菩薩の微笑みが、増大させていた。
でも、何故か、龍三の言ったことが、嘘ではない。そう思わせるだけの圧迫感はあった。
「それじゃ、食べよ。
 他の皆が戻ってきたら、それどころじゃなくなるしね。」
それを打ち消すかのように、弥勒院は、明るく言う。
正直、新人二人は、ブルブル怯えかけていたが、この後も、《シルフィーダンサー》連合に残り、四代目や五代目の陰の支えになった。
それも、また未来の別のお話。
そして、それもまた、彼らには『日常』のお話。




時乃市市内。
-その一角の≪Bar レジェンド≫、
《梓瑠媚曾》の本拠地、と言うか、タマリ場である。
案の定、ディスティアが入るなり、店内の注目は彼女に集まる。
普通なら、敵対ではないとはいえ、同盟ではないチ-ムの総長が来たのなら、大騒ぎになる。
しかし、騒ぎにはならず、ディスティアが、《月天女》の特攻服姿のまま、扉を開け、
「シヴァ=オルコット、ルガ‐=ドゥルテンはいる? 
 ディスティア=ヴァリ-ドが来たと伝えろ。」
こんなセリフを吐く前に、一つの言葉・・・と言うか、ディスティアに抱きつく存在があり、言葉にはならなかった。
「我が最愛の君、約束を守ってくれるなんてなんて嬉しいことだろう。
 その心遣いは、正に・・・」
まぁ、言葉が紡ぎ終わる前に副長とディスティア、両方に殴り飛ばされてお星さまになった。
「はいはい、シヴァ、鬱陶しいですよ。」
「んじゃ、ルガーさん、これ二人分だから。」
まぁ、こんな具合に、《梓瑠媚曾》の二代目総長は、副長にいなされ、あっさりとディスティアは出ていった。
こんなアレな扱いでも、二代目は至極幸せそうだったのは、まぁ、そのそんな感じである。






隣の旅宮市。
―郊外の一軒家。
「あけましておめでとう、イライアス?」
「ディスティアさんですか?
 お久しぶりですね、会えて、嬉しいの・・・・」
「嬉しくても、自殺は止めようね。」
カレー小鍋、豚汁小鍋、オカズタッパー、オムスビタッパーなどを器用に片手で持ち、ディスティアは、イライアスの家の玄関に入る。
出迎えたのは、黒髪に黒水晶の瞳の陰気な雰囲気の青年だった。
彼は、挨拶を交わすなり、ベレッタをこめかみに押し当てるが、それを空いていた方の手で、ディスティアは、ねじり上げるように、逸らす。
妙に軽い音とともに、玄関の天井に、模様がまた一つ増えた。
「お節は、後から持ってくるけど、《デザートストーム》からの分先に渡しにきた。
 お年玉の、ベイリーズとチョコパウンドケーキは、まだ、サイドカーの中だ。」
「あら、ディスちゃん?
 久しぶりねぇ~。」
台所の方から、パタパタとスリッパを鳴らしながら来たのは、赤紫色の髪の新宿二丁目と表現するのが、一番近く女性にも見えるが、まごうことない男性ー月森久遠であった。
彼は、さっさとディスティアから、鍋などを受け取り、台所に引っ込んだ。
「・・・・イライアちゃん、ちゃんと、解りやすく甘えた方が良いわよ。」
そう言い残して。
彼には色々とバレバレなのだろう。
ともあれ、イライアスは、居間兼ご飯を食べる部屋に、ディスティアを案内した。
久遠は、恐らく料理を温めにいった。
ソファに座り、お互い落ち着いたころ、イライアスは、こう話を切り出す。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大丈夫ですか?」
「何が?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・二ヶ月半前の拉致監禁強○調●の後遺症、トラウマ、ですよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
 ・・・・・・・・・まだ、マシになったわね。」
「・・・・・・その長過ぎる間は、なんですか?」
「気のせいよ。」
年末の二ヶ月半前と言うと、10月半ばのことだ。
その頃に、ある意味で、《エータミレアム》・・・闇霧榮太郎に攫われ、少なくとも、成人年齢であっても、大きな声で言うのを憚られるような目にあって、まだそれだけしか経っていないのだ。
普通のそういう暴行事件でも・・・・・・行きずりのモノであっても、トラウマ・・・PTSDを残す場合があるのだ。
彼女の場合、後にエイレンに、『【アイツは、自分の腕の中に留めるためなら、手足を手折り、眼球をくり抜くぐらいは平気でする。】それが、アイツの愛情表現だ』と言わしめるほどのそういう表現を受けた結果の後遺症は、無いのか?そう、イライアスは聞いているのだ。
その答えは、間が空き過ぎるほど、間が空いていたので、彼でも怪しいと思うだろう。
じとーっと、見てくるのに、うんざりしたのか、ディスティアは、おいでおいでと手招きをする。
それに、怪訝に思いながらも、言う通りに、ディスティアの横に座る。
「え、あ、でぃ・・・・・ディスティアさん?」
彼らしくもなく、狼狽したような声音で、彼女に話しかける。
原因は、ディスティアが、行ったことにある。
すなわち、18歳のイライアスを胸に押し付けるような形で、抱き締めているからだ。
「・・・・・・こ、これくらいなら、できる程度には、回復してる。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・声、震えてますよ?」
「・・・とりあえず、日常生活には、支障無い。」
そして、しばらく、落ちる沈黙。
しつこいかもしれないけれど、沈黙が落ちる。
ちょっと暗くて居にくい沈黙だった。
それを破ったのは、久遠。
「あら、あらあらぁ。
 お姉さん、あっち行ってるから、ごゆっくり~。
 イライアちゃん、やる時は、ベッドじゃないと嫌われるわよ?」
という、ある意味、母親らしい一言だった、
しかし、それは確実に、その場の雰囲気を壊した。
「・・・・ち、違います、久遠さん。」
「そうです、ちょっとしたじゃれ合みたいなもんです。」
「え~、お赤飯炊こうと思ったのに。」
「・・・・・・・炊かなくていいです。」
「ま、いいわ。
 食べましょ、ディスちゃんも食べてくんでしょ?」
「え、あ、ああ、はい。」
久遠が、わざわざ、ああ言う台詞を発したのは、雰囲気を変えるため、そう考えるのは、うがち過ぎだろうか。


この後しばらくして、ディスティアは、眠ってしまい、午前四時過ぎに、飛び起きて、自宅に帰ると言う一幕もあった。




ちょっと、『普通』とは言え無いけれど、
彼らのこの前の年末年始は、こんな形。







追記 +アルトのお年玉+
ディスティアが、慌てて、自宅に戻ると、当然ながら、灯は消えていた。
そっと、音を立てないように、玄関に入り、自分の部屋へ移動する。
コルクボードから・・・・三年前からあまり動かしていない・・・・、一枚の写真を取る。
ベールを外した黒い喪服ドレスの自分とその膝の上に座っているアリエスの写真だ。
今は、無くしているだろう『ひまわりのような』笑顔のアリエスが、写っている。
「どうしようかしらね。
 本当に、・・・・・・・・・・・また、レイティスみたいな人は作りたくないんだけどね。」
そう言いながら、エヴァンスの部屋を挟んだー写真を『お年玉』として、あげる予定の下の弟・アルトの部屋に、忍び込む。
音を、風で散らしながら、枕元まで、歩み寄る。
「アルト、起きろ。」
「ん~、みゅ、お腹いっぱい、もー食べらんない。」
「・・・・・・アルト、起きろ。
 お年玉、渡しにきた。」
「きゅ~・・・・・・あ、ディス姉さん。」
「・・・・・・・・・寝ぼけているようなら、目覚ましに、ディープキスかまそうか?」
「。。。。。お、起きました。」
シュタッと、そんな音がするくらい素早くアルトは跳ね起きた。
普段の彼からすれば、格段に目覚めの良い動作だ。
それでも、目をこするなど、何処か眠たげであったけれど。
「ほら、約束の写真。
 あの子が、笑ってるのもう少ないから無くさないようにね。」
「わぁい、ありがと、姉さん。」
しかし、写真を受け取り、その中の名前も知らないーもちろんアリエスのことなのだがー少女を見て、ニコニコ笑顔だ。
それを、微笑ましそうにディスティアは眺めながら、一つ思う。
(もう、会ってるんだけどね。
 あの状況じゃ、気付きようも無いか。)
「アルト・・・・・・《魔導師(マジスタ)・ラビ》、もしかしたら、今年その子に会えるかもしれないわ。」
「え?」
「三年前、《チャイルドクラン》潰し、無くなったでしょ、直前で。
 そろそろ、再結成しても良いかもしれないと思ったしね。」
「・・・・・・・大丈夫なの?」
アルトは、覚えていた。
三年前、ディスティアが、倒れそうになるまで、自分を追いつめていたこと。
三年前、ディスティアのせいで、一人の人間が死んだこと。
三年前、そうじゃないのに、ディスティアが自分を責めていたこと。
「大丈夫、じゃないわ。
 だから、まだ少し迷ってる。
 ちゃんと、決めたら、教えるわ。」


それから、二ヶ月後。
三月の半ば、ディスティアから、計画を正式に開始することが伝えられた。
それは、まだ、この時点では、未来のお話。








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某所より再録。


ギャグあり、シリアスあり、ダークあり。
そして、エロ?ありでした。
○と●の中身は、公表しません。
知らないのなら、知らないで、その純粋なまま人生を歩んでください。
ええ、はい、熱烈にそう思います。


また、この物語でのイライアスとディスティアの再会は、『日常』としてであって、『裏稼業』としてではないので、悪しからずご了承ください。



では、次こそ、新作の物語でお会いしましょう。




ある日の会話(モンハン/アイルーとディスティア)

2012-12-27 04:06:31 | 携帯からの投稿
若葉トラのアイルーとディスティアの会話

人間で言う小6ぐらいで雄の野良アイルー、名前はこの時点ではない。
アイルー平均よか小さい。
90センチぐらい?(イラスト集参考/通常+20センチぐらい、)
漢字は混ざるが若干舌足らず。

ディスティアが拾った…もとい、餌付、もとい、ご飯分けたら、懐かれついてきた。

ユクモ村に行く最中

カツカツカツカツカツ

トコトコトコトコトコトコトコトコ


「姉御、姉御、待ってニャ」
「・・・姉御?」
「姉御は、姉御ニャ」

ビシッとディスティアを指差す。
ちなみに倍近く身長差がある。

「行き倒れにニャりかけた時のご飯は一生の恩ニャ。」
「いらん」
「姉御について行くニャ」
「いらないと言うの聞こえないの?」
「いらニャくても恩は恩ニャ」
「・・・世界の敵になりに行くと言っても?」
「ニャ!?姉御はハンターじゃニャいのニャ?」
「一度もハンターと言った覚えはない。」
「武装してるニャ!」
「女の一人旅、武装しない方が危ない。
 それに血に塗れ過ぎてるからね」
「ぷニャ~」
「・・・どうして、お前が泣く?」

滝もかくやとボロボロと泣くアイルー。

「ぷニャ、だって、だって~」
「・・・(ため息)」
「うニャ?
 ~うにうニャ~。」

ディスティアはため息を付くと、無言でちびアイルーを抱き上げる。
荷物から、ハンカチを出し、涙を拭く。


「千歳ってのは?」
「うニャ?」
「・・・付いてくるんだろう?」
「いいのニャ?」
「ダメなら言わない」
「ぷニャ~~」

千歳はディスティアに抱き付いた。
彼には見えていないだろうが、目を眇めるディスティア。
懐かしそうに、或いは哀しそうに。


「さて、一旦、シュレイド城に帰るか。」
「ニャ?」
「流石に子どもに聞かせたくない話だ。」
「うニャ?」
「その前に、うっかり海渡ったが、ドンドルマのギルト行かなきゃなのよね。」
「うっかりで海渡ったニャ?」
「うん、うっかり。
 「聖域」ってとこにいる子に会わなくちゃ行けなくて、そっちに気をとられちゃった。」
「どんニャうっかりニャ~ッ」









とかなんとか。
今、書く予定のお話。
出会い話(ミラ三神メイン)→千歳出会い話(これ)→ドンドルマのお話→ベルキュロス出会い話(→ユクモ村村長とのお話)→アカムと肝の冷える話→アルバトリオン出会い話
アカムさんとアルバトリオンのはくっつけるかもだが。
後、ツンデレどころかツンドラなアマツミカヅチと若干ヘタレ&優男なジンオウガの恋の行方とか、万年新婚夫婦(妻ツンデレなお嬢さん、旦那達観な冷静男)なアカムウカムとか、腹減りイビルとディス嬢のほのぼのとか。
お爺ちゃんお婆ちゃん組との微妙に肝の冷える話も書きたいにゃあ

ついでに、上の話の後、次の町で千歳を風呂に入れようとして一騒動ありそうだ。


とあれ、次の物語にて

我ながら、血迷った。

2012-12-23 17:59:15 | 徒然に
モンハンの資料、集めれるだけ集めて。
wiki含めて乱読乱析したんだわ。
結構、暴言吐いて暴走してるから、一応閲覧注意。
・・・入り込むと、と言うか中まで降りるとカミサマ降りたみたいにガコガコ書くからニャア。













色々考えたんだが、面白いとは思うんだが、我ながら血迷った。
とりあえず、ラオシャオロン(ちなみにマイ設定は雌龍だ)とジエン・モーラン、アカムトラム、ウカムバルス、ヤマツカミ、ミラ三神は確定的に、千数百年前のあの大戦を直で知っているし、体験している。
後、ウラガンキンとドボルの爺様ぐらいか。
ちなみに、最年長組はミラ三神だけど、ヤマツカミだ。
だって、多分、漢字で書くと『山津神』だよねぇ?そしたら、雌になる可能性あるけど。(山神は大概女神で嫉妬深い。/山が禁足地な場合多し)
そのあたりは未定だ、出番すら。
ついでに言うなら、ラオとウカムは雌、ジエンとアカム、ウラガンキンとドボルは雄だ。
アルバトリオンも知っているけど、忘れたというか、別枠。



まぁ、それぐらいならOKだ。
よくある設定だ。
重い軽いはあるにしても、ニャ?
それでだ。
ボレアスと言うか、ミラボレアス、ミラバルカン、ミラルーツ。
ミラ、もとい、モイラの定義からしたら、ルーツ、バルカン、ボレアスなわけだけど。
なんで、ボレアスのみ、『いい子にしてないと口裂け女がくるよ』程度とはいえ、人間の間に残るかなぁと。
まぁさ、他の龍も残ってるけど、『絶対悪』として何故残る、と。
他の龍は・・・古龍種の大半は神話レベルに信じられてないのに、ボレアスだけは『まだ』実在レベルに残る。
正確には、そういう物語に落とし込まれてもなお、それが残るわけだ。
高レベルハンター以外に教えないっても、人の口に戸は立てられないってことだね。
それに、モンハン世界の人間に理はない。
竜操術ぐらいならまだしも、竜機兵はなぁ。
もちろん、竜操術も大概だよ、大概だけど、まだ、本当に、死亡と瀕死程度のまだ、だけどさ、万が一億が一、逃れれば自由になれる可能性はあるけどね。
だけど、竜機兵は違う。
あれをドラゴンと呼ぶな、ドラゴンはいないさ。
何が、『イコール・ドラゴン・ウェポン』だ。
人は神様になれない、なっちゃいけねぇのよ。
自分・・・人間をいじるなら、勝手にしろい。
私も創作上結構、アレなことしてる。
だけどさ、あれは一体たった一体作るのに、三十体だよ?
剛龍種武器とどっこいだって言ったの誰だ、蹴り飛ばしてやっから来いや。
・・・・・・ひっひ-ふー(深呼吸深呼吸、落ち着け俺落ち着け俺。)
あれはさ、死んでる道具になってる物体だ。
それにいくらかはちゃんと土に還ってるよ、還れてる。
だけど、竜機兵、検索で引っかかるの人工的な鎧を着けせられた竜ぐらいだけどさ。
イラスト集なり、ハンター大全なんか見て吐き気がした。
中身を・・・正確には、脳みそ入れ替えられたらどうかしらないけど。
こっちで同類項の人類の技術の証言から察するに、そして、彼らの強靭すぎる生命力からすれば、ああなっても、元のまま生きてる。
いや、死ねずにいる。
少なくとも、かけらでも、元の人格のままあるわけだ。
んでだ、それを人間に入れ替えて考えてみろい。
或いは、いじるのが体か脳みそかをぶん投げれば、ニタ研やファントム・ペインと変わりねぇ。
んでだ、ニタ研やファントムペインをどう思った?
フォウ・ムラサメやジル・ラトキエや、シャニ・アンドラスやステラ・ルーシュの境遇は?
それに対して貴方が、恐らく、ミラ三神、ひいては、ボレアスが思ったこと。
他の長寿な古龍種も思ったんだろうけど、良くも悪くも、ボレアス達は、とても人間臭かったのかもしれないと思うのです。
個人的な思考ですけど、『自然』ってのは、私達から見れば、優しすぎるほどに優しい。
全てを受け入れて全てを赦して、そして、時には全てを拒絶する。
諦めるって言い換えても良い。
弱肉強食って言い換えてもね。
人間が親しい人間を思うようにか、彼らは自身の為に行動しただけさ。
だけどさ、彼らは竜大戦時代と呼ばれるそれを起こした。
いや、違う、それでもさ、彼らは戦った。
彼らが彼らとして生きるべき、その先の為に。
竜が『竜』として在るべき為に彼らは闘った。
だけど、悪として語り継がれるのはいつでも『竜』。
東洋でも西洋でも、それは同じ。
正確にいえば、東洋は、カミサマ系だけどさ、そこに畏怖が無いとは言わせねぇさ。
一神教の西洋ではその畏怖がそのまま、『悪』として。
多神教の東洋ではその畏怖を奉り祀り上げ、『神』としての違いさね。
↑要は、祀り上げてやるからこっちに触れないでっていう拒絶だ。
大概の神話の『悪』も大きいか、ヘビやなんかが多いってこった。
きちんと統計取ったわけじゃないが、それが出て来ない神話、少なくともメジャーどころじゃないと思うなり。
んでだ、彼らは人から見れば畏れられて然るべしの獰猛な生物かもしれないが、心までそうか?
むしろ、仲間意識同族意識なんかじゃ、人間以上かもしれない。
とりあえず、話は戻す。
盛大に戻す。
何故、ボレアスのみが残るのか、ということ。(まぁ、話の都合ってのもあんだろうが)
と言うか、何故、所謂、都市伝説レベルでも残ったのか、という話。
民俗学のソレを参考にするなら、例えば、ええと。
口裂け女なり(一応、同様の伝承は江戸時代からあるしね?)、杉沢村なり(八つ墓村の元ネタでもある)、某ホテルから帰ってこない(それほど腐るほどに)とか。
実際にあったことを戒める形で残ってんだろうな、うん。
学校の怪談も、半分はそうなんじゃないかと思う。
あれだ、村はずれの森に沼がある→子どもが近づくと危ない→そのまま言っても度胸試しに行くかもしれない→なら、『子どもを食う化け物がいるから行くな。』と言う言いつけをしよう→数世代後沼が枯れていたり埋め立てられていても『子どもを食う化け物がいるから行くな。』という伝承だけが残る。みたいな。
つまりは、ひよこだけが残るって感じ?
卵がなければ、或いはヒヨコが成長しなきゃ、何か・・・結果しか残らない。
・・・結論、先に言ってしまえば、ボレアスはミラ種の中でも、情に深かったんじゃないのかな。
んで、不器用だった。
良くも悪くもさ。
さらに言うなら、諦めも悪かった・・・と書くと結構アレかと思うけどね。
他の古龍は、諦めて受け入れたのに(戦いはしただろうけど、ボレアスと他二人ほどではない?)ね。
最低限、『世界』を存続させようとしていたかもしれんが、積極的に人間を止めようとはしなかっただろうけどね。
例えば、アルバトリオンが、わざわざ、自分から望んで、『神域』にいるのは考えにくいから、ウカムかアカムが封印したとかテラ燃える。
↑なんで、ウカムかアカムかと言うとどこで読んだのか忘れたが、ウカムアカムとアルバトリオンで三匹一対関係でもらえる称号?かアイテムがあったし。
ついでに言うなら、新大陸でこのアルバトリオンが出る場所の近くの溶岩峡谷にいるしね、なんか関係あるかも。
はいはい、話巻き戻して。
良くも悪くも、ミラ達は情が深かったし、多分その中でも、荒れ狂って猛威をふるったのがボレアスなのかねぇといいうのが、結論。
・・・そして、悪名だけが残る。




んでだ、そこまでは多少の類推含めるけども、一応、モンハン公式?設定込のお話なわけです。
そっから考えた。
それが、タイトルの理由。
そして、文章書きと言うか、創作屋の哀しい性として書いてやろうじゃん、もとい、正式にマイ設定に組み込むぞ、くぉら。
擬人化はする予定では在ったんだがな。
マイ設定ミラ三神は、ボレアス・男、バルカン・委員長or長女系女、ルーツ・超絶無口な合法ロリショタ(性別不明)。
問題は、ボレアス。
上記から推測含めて、肉付けすると。(直前まで読んでいた某リプレイも含め)
なんとなく、ヒュ-兄様みたいなところあったんじゃねぇのかなとかなんとか。
一人称・我、二人称・うぬ で尊大で偉そうな言葉づかい。
いやさ、そういう系の男のCP(BLNL)で、相手を愛する時ってすんげ-不器用だが、それがいい。
例えば、薄桜鬼の風間千景然り、ときメGS3の桜井虎一然り。
そういや、ディスティアって、愛されるよりも愛したいだけど、包み込まれて甘えさせてくれる相手好みだよな、とかなんとか。
そもそも初恋・・・ディスティアとしての恋は、そういうタイプだったよな、とかなんとか。
まぁ、同じ甘えさせてくれる云々ではちょいと違うが、薄桜鬼の原田左之助やときメモGS3の不二山嵐系ではあるが。
だから、ディスティアと恋させても面白くねぇ?
ベルキュロスにしても、アルバトリオンにしても多少の傾向の違いをぶん投げておいても、恋はするんだが、なんつか、求めるだけで与える愛ではないのよな。
とりあえず、何本か前提のお話書いたら、ボレアス→←ディスティアと言うか、ボレアス→←ディスティア×ユヴェル(単身でナチ残党を壊滅させようとしたような人)な感じのほろ苦いお話書きたいな、うん。

そして、最後に、桑島法子さんボイス(つまりは、ディスティアの声)で一言。



「ほんとうのあくやくはだぁれ?」


「せんそうでいちばんはじめにぎせいになるのは”しんじつ”なんだよ」




つまりはそういう戯言悲劇喜劇。

家族の写真外伝 光がないから闇を見つめる

2012-12-23 11:07:33 | オリジナル / 混合


雨が降っていた。
激しい激しい雨。
真冬の十二月のクリスマスの日。
なのに、雨が降っていた。


その日、私は家族を永遠に失った。

そして、私・イライアス=ヴィドルは、あの人達と出会った。










光が無いから闇を見つめる










あら、私が語るのね。
わかったわ。
私は、月森久遠。
赤紫色の髪の新宿二丁目のオカマのような外見って言うのが一番ね。
・・・お姉さん的に、そう言われると、すごく襲いたくなるけれどね。
好みじゃない男だったら、お星さまかしら。
今日お話ししてって、管理人ちゃん言われてるのは、イライアちゃんと私がどうやって知り合ったかってこと。
正確には、エイレンちゃんとも一緒に知り合ったんだけどね。
8年・・・もう少し前かな。
う~んと、クリスマスの次の日になったばかりだったと思うわ。






クリスマスが終わって、ニューイヤーの準備も、夜が明けてからって感じの大通りだったかな。
イタリアの何処の街って言われても、覚えてないけど、大きい街だった。
あ、覚えてても言わないわ、そこはイライアちゃんの傷だから。
その時は、エイレンちゃんと一緒に、仕事で訪れてたの。
仕事を終えて・・・何の仕事かは秘密ね。
もちろん、裏稼業よ、それ以上は聞かないで、野暮ってものよ。
とにかく、その街のアジトに向かう帰り路だったわ。
その日は、冬にしては、暖かくて、昼間の雪も雨になっていたわ
代わりにって訳じゃないんだろうけど、雨脚が強くてね。
・・・・初めに見つけたのは、多分、エイレンちゃんかな。
なんか子どもが倒れてるって。
拾って、アジト連れてって、お風呂入れて。
ああ、ホテルだと万が一の場合迷惑になるから、アパ-ト借りるの。
大変だったのよ、猫をお風呂入れるみたいに、暴れて。
でもねぇ、それも後々考えると怯えていたのね。
まだ、十歳っていえば、お家でお母さんのおっぱいってまでも行かなくても、お母さんが恋しい時期だものね。
或いは、家族がいて当たり前な年頃じゃない?
それを一夜に目の前で、全部失ったから、当然と言えばそうね。
すぐに治るとはいえ、思い切り噛まれて痛かったのよ、結構。
事情を聞けたのは、数日経過してからだったの。
やっぱりお土地柄って訳じゃないんだけど、イライアちゃんのお父さんもお母さんも、検事局って言うのかしら、司法関係のお仕事をしていたらしいの。
その関係で、マフィアというか、カモッラあたりにズドン・・・ってね。
良くあるってほどじゃないけど、そんなに珍しいわけじゃないわ。
正義の心を持ってるなら、イタリアで司法関係はやらないほうがいいわ。
だって、正義のそれ、腐っちゃうもの。
・・・それも、表向きで、そのカモッラを調べてたら、《チャイルドクラン》のことをその目的まで知ってしまったのが、真相。
今でも、解らないのが、エイレンちゃんのその後の行動よ。
その真相を、ネットの・・・データ上は無かったことにして、隠したの。
結局、この一年半後のイライアちゃんが、見つけたんだけど。
試したのね、あの子に仇を討つ気概があるか。
・・・それでね、イライアちゃん・・・イライアス=ヴィドルは、エイレンちゃんが引き取ることになったの。
それだけなら、いいのよ、主のすることだし、私や不知火ちゃんとかに文句も言えないから。
でもね、なんでか私に、『アヒルの親子?』って、レナードちゃんに皮肉られて哂われるほどに、とことこ付いてくるのよ。
当時のイライアちゃんてね、身長も、私の腰を超える・・・・130センチもなくてね。
ほんと、食べちゃいたいくらいに、可愛かったの。
それで、イライアちゃんを拾って、半年ぐらいしたときだったかな。
長期任務が入ったの。
一年ほどの予定でね、情報収集と撹乱がお仕事で。
何処と何処の抗争云々のお話はなしってことにして。
一応、曲がりなりにも、って言う言い方もなんだけど、裏稼業だから危ないの。
まぁ、表に近いし関連はしているけど、それでもよ、一応、守秘義務あるのよ。
イライアちゃんにも多少なりとも、体術とか仕込み始めていたけど、まだ十歳ぐらいでしょう。
さすがに、連れてくのは、危ないな~とかおもったのよ、私も。
でも、ね。
「ヤです~、僕も久遠さんと一緒にお仕事します~。」
って言われるわ、レナードちゃん達が引きはがそうとしても、離れなかったしね。
はがそうとすれば、骨が折れるか、関節ぐらい外れそうなぐらいがっちり抱きつかれたの。
結局、子守りの薔薇姫ちゃんと一緒に、行くことになったのよね。
ああと、薔薇姫って言うのは、薬草マスターの淡いバラ色のワンピースと金髪がチャーミングなお姫様みたいな子。
子って言ったけど、私より、数百年単位で、年上の『薔薇姫伝説』のカメオから生まれた妖怪と言うか、九十九神?と言う感じの存在ね。
そのお仕事自体は、それほど難しくなかったわ。
でもね、イライアちゃん、少し風が強かったり、雷が鳴ったり、月が出てない夜なんかだと、よく私のベッドに潜り込んで来たの。
・・・・・・なんでかしらね、薔薇姫ちゃんの方が、お母さんらしいのに。
多少ふわふわであまあまなロリィタだけど、それでも薔薇姫ちゃんは、女の子だもの。
寝言で、『お母さん』っていうのは、私だったのよ。
今も、その時も、こういう口調だったけど、演技だったの。
相手の油断誘いやすいでしょう?
『オカマ』のほうが、口を滑るだろうし、女だと勘違いする。
しなくても、勝手に侮ってくれるから。
だけどね、イライアちゃんに関わってから、どうも、それが、演技じゃなくなったっていうか、母性がわいたっていうか、そんな感じ。
それまでは普通に、男が女に恋をするみたいにエイレンオンリーラヴってノリだったのよ。
だったのに、イライアちゃんに、恋をしたみたいに、或いは我が子のように、想うようになったのよ。
それからはね、あの困った自殺癖って言うのかしらね。
アレが出始めたけど、それがなに?
よく一緒に寝たり・・・エッチな意味じゃなくてね・・・それとかご飯を作ってあげたりしたけど、イライアちゃんは、フツーの子よ?
ただ、ちょっと、自分を責めていると言うか・・・・・。
自分、一人だけ何故生き残ってしまったのか。
自分より、凄く空手が得意だったお兄ちゃんが生き残った方が。
自分より、凄く成績が良かったお姉ちゃんが、生き残った方が。
自分より、困った人を助けれたはずのお父さんとお母さんが生き残った方が。
・・・・なんて、考えてるの。
気付いていないでしょうけど、自分の存在を認めてもらいたい・・・『生きていいんだよ。』ってね。
そのせいか、解んないけれど、私とディスちゃんとレイティスちゃん、あと《グレイトキャット》ライラちゃんぐらいにしか、最初懐かなかったのよ。
ライラちゃんとレイティスちゃんに懐いたのは、お姉さんとお兄さんに似ていたかもしれないの。
そんなこんなで、イライアちゃんは、この稼業に入ったの。
・・・・私とか、元から裏稼業に居るのは少ないわ。
あと、私が知る限りで、初めから裏に居るのは、紫苑ちゃん、クレスちゃん、アルシェンナちゃん、ジオルグちゃんぐらいかしらね。
私達と親しい子達以外だと。
それ以外で、入ろうなんて言うのは、光が無いから・・・・・・無くなったから、闇を見つめる為に入るのが、ほとんどよ。
それが、人間の言葉に直せば、【復讐】の二文字になるわ。






@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

某所より再録。

元々のプロットで書くと本気に救い?何それ美味しいの?ってレベルになりますので、一応、久遠さん語り部で緩和。
ちなみに、一応、事件としては、参考したのありますが・・・そもそも、イタリア系は秘密主義なのでどこまで本当なのか不明。

一応、イライアスのフォローでした。
んでは。

サレ・クリスマスな四本の後書き。

2012-12-20 18:27:16 | 携帯からの投稿

某所より再録したクリスマス話。
多分、別途もう一本アップするけども、そっちは、サレ(塩味)どころか、ジョロキアなクリスマスと言うか、クリスマスに多少引っかかる程度のお話なんで別枠で。




以下、ネタバレ何か激しいので、下の四本読んでからこれ読んでくださいませ。



















とりあえず、このブログで活躍するディスティアからすれば十年近く前のお話になります。
十七歳、うん、若いね。
この物語の数ヵ月後・・・二月の終わりから三月の終わりに、レイティスは死亡。
その直後やら、数年後の祥月命日の短編ありますが。
とりあえず、直後を回想してるのは→これ
ディスティアじゃないけど、積極的に敵対していない連中も墓参りするぐらいには、能力を認められて慕われていたんだぜ、レイティス。
まぁ、彼の死亡も『御伽噺』にとっては、予定調和の茶番劇。
彼とエリスがいないからこそ、この物語は始まったともいえるわけで。

とりあえず、各話解説。
『私は救いの手など望まない +『幸せ』になってください+』
例え、レイティスがこの時点で《CC》レジスタンスから離れていても、多分多少の差はあっても、彼は殺されていた。
彼やエリス、或いは、この時点ではまだ四歳程度の綾音ちゃん関係からしか取れないとあるアイテムの為に。
だから、この時点で・・・否、彼がこの稼業に入った時点で彼は覚悟をしていた。
自身が血を一滴残らず、搾り取られて死ぬことを。
教え子であるディスティアや、従妹を残すことも含めて、彼は覚悟して殺されたわけで。
それでも、従妹の『幸せ』を望んでいた、そんなお話。

『過日の祈り +お前にしか殺されない+』
上記のようにある程度は殺されるだろうとは、分かっていたけど否定したかった少女のお話。
元々、裏稼業じゃないけど、裏側にいた子ではあるけど、エリスとレイティスがいなければ、そして死ななければ、せいぜい、暴走族の三代目で終わっていた少女。
豆腐まではいかないけど、結構柔いメンタルですね。
紫苑や仲間がいなかったら、多分、壊れて狂ってると思う。
強がりでも虚勢でもそれでも微笑めればいいのさ。
そして、まともな死に方はできないだろうけど、『殺される』ならばレイティスの従妹以外には殺されない、という決意のお話。

『握りつぶした感情+・・・嫌いじゃないですよ+』
現役で書いてた頃、『家族の写真』本編時間軸だと自殺癖と言うか、構ってポ-ズはまだ酷かったので結構、困ったチャンでした。
後、時間軸設定上、めーちゃんいますけど、2003年クリスマス設定なんで、公式発売まだなんですよね。
多分、彼の表の稼業関係(フリーのプログラマー)でデバック含めて、発売前に譲ってもらったとかそういうのなんだろ。
そのあたりは書くかな、うん。
中身は投げておいて、ですが、この頃と本編時間軸だと、イライアス→ディスティアな設定で、タイトルはその名残ですね。
2012年あたりは、ルカラブだったりしてますけど。
コイツの場合、裏稼業より恋人@not本命に刺されて死ぬかもしれない奴。
基本的に、コイツはノンケよりバイで、どんな相手でも30分で啼かせて求めさせてあげます、なヤツなんで経験は年齢よか上。
一番最初に言ってたジョロキアなクリスマスはコイツの過去話、後日アップ予定。
『世界はどうでもいい』とは言っていても、こういう時間はとても好きだったというお話。

『家族の写真 外伝 月よ、迷うモノへの道導べたれ +サンタのいない真っ赤なお鼻のトナカイさん+』
この話だけ、原題より副題改訂。
コイツ関係の裏話本気に、家族の写真本編で語らずに更新停止しちまったんですが。
コインの表と裏であるア-クとカルマ。
それのどっちが、表で裏なのか?
表に出ていても、表ではありえない、と言うのが、彼のお話の裏テーマ。
『チガウ』けど、『裏稼業でもこの暖かい場所に居させてください。』なお話。
表に出すかもだけど、裏設定の裏設定なんで語ることが少ないです。
今回出てたのは、ア-クの方。
とある漫画から名前とってますが、それからどっちが表なのか、オリジナルなのかはわかるはず。
ちょっと離れた冷めた目で見ていても、それでもこういう時間あってこその裏稼業と思っていた少年のお話。






クリスマス話って言っても、日がクリスマスイブってだけの小話集でした。


では、次の物語にて。

家族の写真 外伝 私は救いの手など望まない +『幸せ』になってください+

2012-12-20 16:16:08 | オリジナル / 混合


覚悟はしていたのです。

命を軽視する気はさらさらありません。

ですが、あの組織に一矢報いる為ならば、ね。

ですから、ディスティア、貴女が気に病まなくても良いのです。

・・・私が言えることではないですが、これが「私」の道筋です。

先に逝きます。





私は救いの手など望まない  +『幸せ』になってください+






レイティスが、死ぬー殺される寸前のクリスマス。
その日の晩のこと。
「レイティス。」
「・・・レイティスさん。」
「調子はどう?」
「ディスティアとイライアスですか。」
黒い喪服ドレス姿の青く輝く髪の少女と黒髪との瞳の黒尽くめの少年が、その日レイティスを訊ねて来た。
その日も、レイティスは、表の仕事でクリスマスも無かった。
正確にいえば、表が終わっても、クリスマスならではの裏仕事とお遊びの為、パソコンから離れることはない。
「そう、メリークリスマス!!ということですわね。
 久遠さんも、一応、材料なんか持って来て、簡単にクリスマ料理を作っておりますわ。
 チキンなんかは、焼いてきていたみたい。」
《ブラックウィドー》としての口調で、ディスティアはそうやや弾んだ声で言った。
レイティスは、ディスティアのそれが半ばそれが、カラ元気だと気がついていたが、カラだろうと、元気が出せればいいと思った。
少なくとも、カラ元気であっても出せなくなるなら、それは死を招くだけだから。
「うん、そうですね。
 ・・・晴れやかなのは嫌いだから、死にましょう。」
そういうと、イライアスは、何処からとも無く取り出したカッターで腕の静脈だが動脈を掻き切ろうと、滑らせようとする。
『いつものこと』と、ディスティアは、黒レースの手袋に包まれた細腕で、彼の親指の辺りを打ち、たたき落とした。
レイティスは、それを回収した。
良くも悪くも日常だ、その時は。
「イライアス。
 そんなに死にたいなら、わたくしの手で、引導を渡して差し上げますわ。」
「・・・いいえ、それは遠慮しておきます。
 ・・・・・・僕は、死にたいのではなく、自殺をしたいのですからね。」
「・・・・それで、どうしたんですか?
 ディスティア、今日は、三代目として走る最後の《聖夜ノ狂宴暴走(クリスマスパーティラン)》でしょう?
 正月に、ア-クに代替わりでしょう?」
「ええと、本当に後悔しませんわね?
 年が明けたら、もう止めることは出来ないから、聞いて置きたかったからですわ。」
「【戦乙女】の【鍵】になるような危険を冒してまで、《チャイルドクラン》を倒す価値があるのか?ということですか?」
「ええ、【龍殺ノ英雄】のレイティス=アイルテ?」
「・・・少なくとも、僕はやめるべきだと・・・思います。
 ・・・・・・誰か死ぬような可能性のある作戦は。
 ・・・そうでなくても、アリエスは、覚醒していないんですから。
 【龍殺ノ英雄】が死ねば、確実に覚醒の道を歩んでしまいます。
 僕のように、『刺激』を求めて入るのなら、まだしも・・・・・。 
 復讐の為に・・・入るのは、何より哀しい世界ですから・・・・・。」
訥々と青年は語る。
普段は、基本的に一歩引いた形な彼であるが、彼とて何も考えずに裏稼業にいるわけではない。
「語りますね、《リンデン》。」
「・・・鬱陶しいようなので、死にます。」
それまで、語っていた真摯さは何処へやら、指輪に仕込んであるワイヤーで、その細い首を一周させ、自らを絞殺しようとしていた。
それを腰の辺りの布の余剰部分に隠してある小さなペティナイフで、切る。
ある意味、慣れすぎであった。
「いい加減にしていただけないかしら?
 イライアス、話がちっとも進みませんのよ?」
「・・・・・それで、レイティスさんは、後悔しないんですね。」
「ええ、しませんよ。
 私は、幸福を・・・救いを望みません。
 ずっと昔から一緒にいたエリスを殺した相手を殺せ・・・・・」
『るのなら』という前に、ディスティアは、こう問う。
「アリエスの心を殺すことになっても?」
暗に、『昔の私がエリスに対する以上に、貴方に依存しているアリエスのことはどうするの?』とディスティアは言っているのだ。
そして、ディスティアは、自分の二の舞になって欲しくないと、そう言っているようにレイティスは思った。
そして、面と向かって伝えることの無い言葉を、アリエスにではなく、ましてや目の前の二人ではなく、ただ、静かな祈りを掲げるかのように、彼は呟いた。
「あの子には、『幸せ』になって欲しいと思っています。
 【戦乙女】というものに、縛られていても・・・定められた未来でも、自ら選んだと言えるほどに。
 あなたのその、未来を映す目に映らぬ『幸せ』を、どうか手に入れて・・・・誰よりも、何よりも幸せになって欲しいと願っています。
 ・・・血に染まっていない穏やかな『幸せ』をね。」
「・・・・・・・・・・矢面に、立たせる用の役目を渡して済まない、レイティス」
「いいえ、これは私が選んだ道ですからね。」
「・・・誰か宛の遺書でも残しておけばいいですよ。
 ・・・・・・・少なくとも、ディスティアさんは殺されないでしょうから。」
「そうね、【歌乙女】だからですわ、最後の最期には殺されるでしょうが。
 ま、ともかく、今はクリスマスを楽しみましょう。」
「三代目!!」
「・・・・おや、四代目。」
その時、裏地にボアを使っていようとも、最低限しか素肌を隠していないトップスと革パン、革ジャン、つまりは、イカれた私服(冬版)のアーク・・・正式に《シルフィーサンサーズ》連合を継ぐ前のアークが、飛び込んで来た。
それに対して、彼にしては大変珍しく、嬉しそうな声で、『四代目』と呼んだのは、イライアス。
「・・・《幻惑の処刑人(イリュージョン=パニッシャー)》として、名前が売れて来たみたいですね。」
「不本意ながらね。
 とにかく、三代目、あと少しで始まるから、三代目が居ないと話にならないだろ?」
「はいはい、ということで、レイティス。
 『また、いつか』、ちゃんと顔を合わせましょう。」
「ええ、『またいつか』ですね。」



これも、もう昔。

たった三年前のことだけど

もう朧げで

その言葉の真意も

一番伝わらなくては

行けない【戦乙女】に・・・・・

アリエスには 

正確には伝わらない

それは 悲劇的終末(バッドエンド)?

幸福劇的週末(ハッピーエンド)?

どちらなのかは まだわからない・・・・・・。

それでも アリエス

貴女は、『幸せ』になってください








+++++++++++++++++++++++++++++++++++


某所再録。
一応、読んでほしい順番に投稿してみる。
そんで、ついでに、あとがきと。

では、これが一番目。

家族の写真 外伝 過日の祈り +お前にしか殺されない+

2012-12-20 15:24:13 | オリジナル / 混合



はじめからわかってた。

貴方が、《龍殺ノ英雄》である以上。

《戦乙女》をアリエスを置いて行くのは。

だけど、避けたかった。

だけど、そうなってしまった。

ごめんなさい。






家族の写真 外伝 三年前の祈り +お前にしか殺されない+




「イライアス。
 ・・・アークから、夫が居る女性に手を出して、ボコられたと聞いて来てみたけど、本当みたいね。」
その日の・・・私が三代目として走る最後の《聖夜狂宴暴走》の為に、《デザートローズ》に行くと、四代目を継ぐアーク=クラウネルから、イライアスのことを聞き、隣の市の彼の家に来たのだ。
元々、久遠さんから、『レイティスちゃんのオウチに、クリスマご飯作りに行くから、余裕があれば来てね』と言われていたし、それに誘う意味もあった。
その時の彼は、眼にはアオタンだし、微妙に歩き方もおかしい。
後、肋骨も逝ってそう。
むしれるかな、うん。
間男だろうと、過剰なのは犯罪だ。
それに、傾向だけど、そういう人ってDV走りそうだし、そっちを唆して離婚まで追いこんじゃおうかしら。
どの道、イライアスンには秘密だけど、ね。
「・・・ええ。」
「・・・・・・・ま、いいわ。
 治すから、そしたら、レイティスのとこ行きましょう。」
「・・・・・迷惑をかけていそうなので、死にます。」
そういうと、イライアスは、指輪に仕込んであるワイヤーソーで自分の首を落とそうとしたが、その前に腕を極める。
これも、その時の日常だった。





レイティスが、死ぬー殺されてしまった寸前のクリスマス。
私が十七歳のクリスマス。
その日の午後九時半過ぎのこと。
「レイティス。」
「・・・レイティスさん。」
「調子はどう?」
「ディスティアとイライアスですか。」
三年後の今はそんなに着ることが無くなった黒喪服ドレス姿の私と黒髪と黒水晶の瞳のイライアスと一緒に、その日レイティスを訊ねて行った。
その日も、レイティスは、表の仕事でクリスマスも無かった。
クリスマスぐらいは、アリエスとのんびりすればいいのに。
まぁ、裏稼業とお茶目な悪戯をする余裕はあるみたいだけども。
「そう、メリークリスマス!!ということですわね。
 久遠さんも、一応、材料なんか持って来て、簡単にクリスマ料理を作っておりますわ。」
《黒い未亡人(ブラックウィドー)》としての仮面の言葉遣いで、そう言う。
レイティスには、半ばそれが、無理矢理だということを気付かれていただろう。
だけど、無理矢理でも、ニセモノでも、私は笑顔を手放す気はさらさらない。
もういないエリスの最期の願いだもの。
「うん、そう。
 ・・・明るいのは嫌いだから、死にましょう。」
そういうと、イライアスは、何処からとも無く取り出したカッターで腕の静脈だが動脈を掻き切ろうと、滑らせようとする。
『いつものこと』と、私は、チョップの要領で、彼の親指の辺りを打ち、たたき落とした。
レイティスは、それを回収した。
本当、彼のそれは分かりにくい。
め-ちゃんが心配するのはわかるけれどね。
「イライアス。
 そんなに死にたいなら、わたくしの手で、引導を渡して差し上げますわ。」
「・・・いいえ、それは遠慮しておきます。
 ・・・・・・僕は、死にたいのではなく、自殺をしたいのですからね。」
正確に言うなら、甘えられてるのは分かってる。
一回面と面と向かって言うべきだろうか?
それに、イライアスのそれは、誰も望まない贖罪だ。
「・・・・それで、どうしたんですか?
 ディスティア、今日は、三代目として走る最後の《聖夜ノ狂宴暴走(クリスマスパーティラン)》でしょう?」
「ええと、本当に後悔しない?
 年が明けたら、もう止めることは出来ないから、聞いて置きたかったからですわ。」
「【戦乙女】の【鍵】になるような危険を冒してまで、《チャイルドクラン》を倒す価値があるのか?ということですか?」
「ええ、【龍殺ノ英雄】のレイティス=アイルテ?」
この名前は、貴方の裏稼業の二つ名であるとともに、私の【歌乙女】と同義でもあるモノだ。
避けえれぬ道筋でもある。
「・・・少なくとも、僕はやめるべきだと・・・思います。
 ・・・・・・誰か死ぬような可能性のある作戦は。
 ・・・そうでなくても、アリエスは、覚醒していないんですから。
 【龍殺ノ英雄】が死ねば、確実に覚醒の道を歩んでしまいます。
 ・・・僕のように、『刺激』を求めて入るのなら、まだしも・・・・・。
 復讐の為に・・・入るのは、何より哀しい世界ですから・・・・・。」
「語りますね、《リンデン》。」
「・・・鬱陶しいようなので、死にます。」
それまで、語っていた真摯さは何処へやら、指輪に仕込んであったであろう鋼線で、その細い首を一周させ、自らを絞殺しようとしている。
それを腰の辺りの布の余剰部分に隠してある小さなペティナイフで、切る。
「いい加減にしていただけないかしら?
 イライアス、話がちっとも進みませんのよ?」
・・・このときは、スルーされた。
本当に、執着しているモノがあるなら生きなさいな。
「・・・・・それで、レイティスさんは、後悔しないんですね。」
「ええ、しませんよ。
 私は、幸福を・・・救いを望みません。
 ずっと昔から一緒にいたエリスを殺した相手を殺せ・・・・・」
『るのなら』という前に、私は、こう問う。
「アリエスの心を殺すことになっても?」
暗に、『昔の私がエリスに対する以上に、貴方に依存しているアリエスのことはどうするの?』と私は訊ねていた。
それは、私が昔の自分に、アリエスを重ね、自分の二の舞になって欲しくないと、そう言っているようにレイティスは思っているだろう。
分からぬほど、愚鈍ではないのだし。
そして、面と向かって伝えることの無い言葉を、アリエスにではなく、ましてや目の前の私達ではなく、ただ、静かな祈りを掲げるかのように、彼は呟いた。
「あの子には、『幸せ』になって欲しいと思っています。
 【戦乙女】というものに、縛られていても・・・定められた未来でも、自ら選んだと言えるほどに。
 あなたのその、未来を映す目に映らぬ『幸せ』を、どうか手に入れて・・・・誰よりも、何よりも幸せになって欲しいと願っています。
 ・・・血に染まっていない穏やかな『幸せ』をね。」
「・・・・・・・・・・矢面に、立たせる用の役目を渡して済まない、レイティス」
「いいえ、これは私が選んだ道ですからね。」
「・・・誰か宛の遺書でも残しておけばいいですよ。
 ・・・・・・少なくとも、ディスティアさんは殺されないでしょうから。」
「そうね、【歌乙女】だからですわ、最後の最期に殺されるでしょうが。
 ま、ともかく、今はクリスマスを楽しみましょう。」
認めざるえないけれど、私が、アリエスからレイティスをうばってしまうことになったのだ。
最善手ではあっても、ね。
「三代目!!」
「・・・・おや、四代目。」
その時、もう少しノーマルな服装をして欲しいと願うアーク・・・正式に四代目を継ぐ前のアークが、飛び込んで来た。
それに対して、彼にしては大変珍しく、嬉しそうな声で、『四代目』と呼んだのは、イライアス。
一応の知り合いだし・・・・でもなんでだろう。
「・・・《幻惑の処刑人(イリュージョン=パニッシャー)》として、名前が売れて来たみたいですね。」
「不本意ながらね。
 とにかく、三代目、あと少しで始まるから、三代目が居ないと話にならないだろ?」
「はいはい、ということで、レイティス。
 『また、いつか』、ちゃんと顔を合わせましょう。」
「ええ、『またいつか』ですね。」


このときは 『またいつか』が

いつでも叶うと思っていた

だけど それは

数ヶ月後に無くなってしまう

・ ・・レイティスの死によって。

この抗争の結果がどうなろうと

私は アリエス以外に

殺されるわけにはいかない

・ ・・・絶対に。



++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++


某所より再録。

これが二番目。



家族の写真外伝 握りつぶした感情+・・・嫌いじゃないですよ+

2012-12-20 14:17:22 | オリジナル / 混合


世界はどうでもいい。

めーちゃんは哀しそうな顔するだろうし。

ディスティアさん達は、泣くかもしれない。

だけど、あの時に家族を全て失った今となっては。

世界はどうでもいい。







握りつぶした感情+・・・嫌いじゃないですよ+






「イライアス。
 ・・・アークから、夫が居る女性に手を出して、ボコられたと聞いて来てみたけど、本当みたいね。」
その日は、クリスマスで、私には、関係のないような日だった。
それに、その少し前にレイティス達と関わるようになってから、薄れていた虚無感が、久々にもたげだして、暇つぶしに、人妻と火遊びして、見つかって殴られて、三日目でした日でしょうか。
ディスティアさんが、私のうちを訊ねてきました。
元々、久遠さんから、『レイティスちゃんのうちに、クリスマご飯作りに行くから、余裕があれば来てね』と言われていましたけど・・・・正直訊ねてくるとは思っても居ませんでしたね。
その時は、痣だらけでしたし、正直相手をする元気も無かったんですけどね。
「・・・ええ。」
「・・・・・・・ま、いいわ。
 治すから、そしたら、レイティスのとこ行きましょう。」
「・・・・・迷惑をかけていそうなので、死にます。」
そういうと、私は、指輪のワイヤーソーで、首を落とそうとしましたが、腕を背中に極められました。
これも、その時の『普通』でした。
ディスティアさんが、仕返しすることも含めて、ですが。




レイティスが、死ぬー居なくなってしまった寸前のクリスマス。
結局、レイティスのところに付いたのは、午後九時半頃。
「レイティス。」
「・・・レイティスさん。」
「調子はどう?」
「ディスティアとイライアスですか。」
三年後のディスティアさんが着ることは少なくなった黒い喪服ドレス姿。
・・・私は、尼僧服よりも、こっちの方が好きですけどね。
その日も、レイティスは、表の仕事でクリスマスということも気がついていなかったんでしょうね。
・ ・・でも、焦っていたのかもしれません、レイティスは。
エリスの仇を討てるかもしれないと。
それを成功させる為に打てる手は打っておこうと思ったのでしょう。
「そう、メリークリスマス!!ということですわね。
 久遠さんも、一応、材料なんか持って来て、簡単にクリスマ料理を作っておりますわ。」
《ブラックウィドー》としての装った口調で話しているディスティア。
・・・そう言う口調よりも、普段の口調の方が暖かいから好きなんですけどね。
「うん、そう。
 ・・・明るいのは嫌いだから、死にましょう。」
私は、袖口から取り出したカッターで腕の静脈だが動脈を掻き切ろうと、滑らせようとしたんですけどね。。
『いつものこと』と、ディスティアは、チョップの要領で、私のの親指の辺りを打ち、たたき落とされました。
ええ、きっちり、結構痛いです。
ディスティア達は優しいと思います。
無暗に叱りませんから。
「イライアス。
 そんなに死にたいなら、わたくしの手で、引導を渡して差し上げますわ。」
「・・・いいえ、それは遠慮しておきます。
 ・・・・・・僕は、死にたいのではなく、自殺をしたいのですからね。」
甘えていることに気がつかれているんでしょうか?
それでも、こう言う面倒なことをするのは、ディスティア達・・・仲間とめーちゃんぐらいですから。。
「・・・・それで、どうしたんですか?
 ディスティア、今日は、三代目として走る最後の《聖夜ノ狂宴暴走(クリスマスパーティラン)》でしょう?」
「ええと、本当に後悔しない?
 年が明けたら、もう止めることは出来ないから、聞いて置きたかったからですわ。」
・・・ディスティアさんは、甘いし優しすぎます、この稼業にいるしては。
それを悪いとは言わないけど、レイティスも、私も繰り返し言っているんですが、変わらないのも・・・。
「【戦乙女】の【鍵】になるような危険を冒してまで、《チャイルドクラン》を倒す価値があるのか?ということですか?」
「ええ、【龍殺ノ英雄】のレイティス=アイルテ?」
「・・・少なくとも、僕はやめるべきだと・・・思います。
 ・・・・・・誰か死ぬような可能性のある作戦は。
 ・・・そうでなくても、アリエスは、覚醒していないんですから。
 【龍殺ノ英雄】が死ねば、確実に覚醒の道を歩んでしまいます。
 ・・・僕のように、『刺激』を求めて入るのなら、まだしも・・・・・。
 復讐の為に・・・入るのは、何より哀しい世界ですから・・・・・。」
ここまで長く喋ったのは、何時ぶりだろうというぐらい語ってしまいました。
・・・それは、『自分が安心できる場所』を失いたくないという子どもじみた執着が、語らせたのかもしれませんね。
実際、復讐に縋るしかなかったですが、その為に入るのはさびしい世界ですから。
「語りますね、《リンデン》。」
「・・・鬱陶しいようなので、死にます。」
それまで、語っていた雰囲気を即座に消し、ベルトの部分に仕込んでおいた細い縄で、自分の細い首を一周させ、絞殺しようしたんですけど。
それをディスティアさんが、何処からとも無く取り出したナイフで切られてしまいました。
「いい加減にしていただけないかしら?
 イライアス、話がちっとも進みませんのよ?」
・・・・・・・あえて、このときはスルーしました。
これを止めるということはどうしても、家族が死んだことを肯定してしまう気がしまうので。
「・・・・・それで、レイティスさんは、後悔しないんですね。」
「ええ、しませんよ。
 私は、幸福を・・・救いを望みません。
 ずっと昔から一緒にいたエリスを殺した相手を殺せ・・・・・」
『るのなら』という前に、ディスティアさんはそう訊ねましたが、ある意味、余計かもしれないですね。
それでも、尋ねざる得なかったのかもしれませんが。
「アリエスの心を殺すことになっても?」
暗に、『昔の私がエリスに対する以上に、貴方に依存しているアリエスのことはどうするの?』と私は訊ねていた。
それは、私が昔の自分に、アリエスを重ね、自分の二の舞になって欲しくないと、泣きそうになりながら言っているように思えました・・・私には。
そして、面と向かって伝えることの無い言葉を、アリエスにではなく、ましてや目の前の二人ではなく、ただ、静かな祈りを掲げるかのように、レイティスは呟きました。
「あの子には、『幸せ』になって欲しいと思っています。
 【戦乙女】というものに、縛られていても・・・定められた未来でも、自ら選んだと言えるほどに。
 あなたのその、未来を映す目に映らぬ『幸せ』を、どうか手に入れて・・・・誰よりも、何よりも幸せになって欲しいと願っています。
 ・・・血に染まっていない穏やかな『幸せ』をね。」
「・・・・・・・・・・矢面に、立たせる用の役目を渡して済まない、レイティス」
「いいえ、これは私が選んだ道ですからね。」
「・・・誰か宛の遺書でも残しておけばいいですよ。
 ・・・・・・少なくとも、ディスティアさんは殺されないでしょうから。」
「そうね、【歌乙女】だからですわ、最後の最期に殺されるでしょうが。
 ま、ともかく、今はクリスマスを楽しみましょう。」
この時、役目から外していても、『レジスト』にいたレイティスは殺されれていたんですよ?
三年後のディスティアも、気に病んでましたが、そうしなくともいいのに。
あのアイテムの在庫が切れかけていましたし。
「三代目!!」
「・・・・おや、四代目。」
その時、奇抜な服装のアークくんが、入って来た。
それに対して、私ににしては大変珍しく、嬉しそうな声で、『四代目』と呼んだ。
彼の闘い方は、陰鬱で陰険なのに、面白いんです。
「・・・《幻惑の処刑人(イリュージョン=パニッシャー)》として、名前が売れて来たみたいですね。」
「不本意ながらね。
 とにかく、三代目、あと少しで始まるから、三代目が居ないと話にならないだろ?」
「はいはい、ということで、レイティス。
 『また、いつか』、ちゃんと顔を合わせましょう。」
「ええ、『またいつか』ですね。」



これが 私と私の『仲間』の・・・日常。

もう いまは 無いモノ

今度の再会で また 戻って来て欲しいモノ

・・・願い過ぎですか?

まあ、それでも望みたい

あんな日常が戻ることを・・・・・

貴女達と笑い合える日が戻ってくることを 私は願い、望みたい









++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++


某所より、再録。
これが三本目。


イライアスくん、一番変わったかもなぁ。

家族の写真 外伝 月よ、迷うモノへの道導べたれ +サンタのいない真っ赤なお鼻のトナカイさん+

2012-12-20 13:36:56 | オリジナル / 混合


♪真っ赤なお鼻のトナカイさんは~ ♪

♪いっつもみんなのわらいもの~ ♪

ホント、裏だろうと表だろうと『チガウ』って言うのは、結構、罪なものんだよ。

安全装置がデカ過ぎるってのも、一つのそれだよね。

まぁ、それはそれ、今を楽しむとしますか。






月よ、迷うモノへの道導べたれ +サンタのいない真っ赤なお鼻のトナカイさん+







うん、あれは、レイティスが死ぬ直前の年のクリスマスで。
俺が、正式に《シルフィーダンサーズ》の四代目を継ぐ少し前の日だ。



「あ、ディスティア。
 そう言えば、昨日、裏のほうの仕事で、《リンデン》と仕事したんだけど。
 《リンデン》、また人妻と火遊びして・・・・」
今思えば、そんなこと言わなきゃよかったと、心底思う。
俺みたいに、人探しなんて、ある意味軽い理由で入ったのが聞いちゃいけないことを聞いちゃうことになったんだから。
日銭さえ稼げればいいなんて言わないけど、《チャイルドクラン》と敵対する理由はそんときないんだしさ。
《カルマ》の制止も無駄になっちゃったしね。
その出来事の数ヶ月前で、クリスマスだったけ。
俺の言葉を聞くなり、ディスティアは、横にいた紫苑の手を引き三階に上がってってしまった。
次に、降りて来た時には、当時、半分メインだった《ブラックウィドー》の衣装―ロココ調とかなんとかの黒いドレス。
コルセットは付けていないけど、代わりに装甲・・・鎖帷子とかあんな感じのものを下につけてる。
肩出しデザインで二の腕から、手の甲までを覆う指なしの手袋と冬の時期は、同色でファー付きのボレロを羽織っている。
花嫁がするというよりも、外国で喪服と一緒に付けるような感じのベールと黒薔薇のコサージュ。
他に、ロングの黒のゴスロリ系ドレスの場合もあったし。
記号としては、『黒い未亡人』なわけだ。
どうでもいいが、あんな動きにくさを極限までに極めたような服で、裏稼業をしなくてもいいだろうに。
もう一個の方の修道服も、まだマシとはいえ、動きにくいだろうけど。
「お坊、どないしはりましたん?」
「あ、レス。
 相変わらず、正装とはいえ、怖いねぇ。
 京都の節分のお姐さん達のお化けじゃ在るまいし。」
一応、ロングバージョンとはいえ、成人したごついのが、サンタレディは無いだろう。
デザインとしては、リトルブラックドレスで検索したら出てくるようなシンプルなそれを赤メインにして白いファ-で飾り付けたそれだ。
ついでに言うなら、ベルベッドに縁にファ-のボレロ付、そんなので、真っ赤に白ぬきでサンタの影のあるヘルメット付けるとはいえ、バイク乗るんだぜ?
スリット入ってるし。
俺の言葉を聞いて、静かに笑って、俺の頭の両側に握りこぶしを添えて・・・・・。
「いたいいたいいたい・・・・・」
「坊、あちしは、そう言うのがいやや言ったん、聞いてましたん?」
「いたい・・・・・・いいじゃんよぉ。」
俺は、レスに梅干しをされた。
周りから、『バカだよね、四代目。』『でも強ぇじゃん。』とかいう奴らの声が聞こえる。
うう、俺、まだ正式じゃないとはいえ、四代目なんだよ?とか思ったけな。
「くすくす、相変わらず、みたいだね。」
「あ、ニコル。」
「せめて、先代親衛隊隊長って、呼びなよ。
 ・・・・そう言えば、さっき、ディスティアが、出て行ったけどもう二、三時間で始まるよね。」
「ええ~っ。
 あ、レス、ちょっと言って連れ戻してくる。」
あくまでこんな雰囲気。
抗争が無ければ普通の男同士の集まりだもん。




一応、ディスティアの性格を考えて、イライアスのとこにも言ったけど、もういなかった。
なんか、アイツに、妙に気に入られてるっていうか。
俺の能力は、同じ炎系の《爆炎の教皇》・・・・遠い親戚のアルティア=ペシュテルにも、炎量で劣る。
一応、サブ能力の方が、使い勝手がいいかな。
それに、エイレンやレイティス、《アーチャー》にも言われてっけど、俺の中のもう一人の俺・カルマは、一番上の兄ちゃん・・・シャール=フィルメーラが、若干12歳の時・・・・俺が、1歳になる前に、俺の中の大きな力に気がついて、『防止装置』を付けたら生まれた存在。
俺は、赤ん坊の頃に、今の両親に引き取られたけど、名字はそのままだし。
そう言った意味では、カルマだけが、血のつながった兄弟って感じ。
・・・俺と『カルマ』は、それこそ、双子の兄弟みたいに育って来たし。
カルマのせいで、俺の炎を操る能力が落ちてるって言われても。
カルマが、人工的に作られたもんだって言われても。
カルマはカルマで、俺の兄弟だ。
でも、この先どうなるのかな。
まあ、でもなるようにしかならないだろうし。
・・・・ってなことを考えつつ、レイティスのマンションに行った。
なんか、深刻そうな話だったし、しばらく待ってから、入った。
「三代目!!」
「・・・・おや、四代目。」
その時の三人は、ドアの外から聞こえた内容は、深刻そうなのに、表情は穏やかと言ってもよかった。
やっぱり、イライアスは、俺に懐いてるというか、そんな感じに言葉をかける。
そういや、前に、俺の闘い方って、陰険で面白いって言われたね。
たしかに、あまりクレバーでも、キレイでもない闘い方だしね。
まあ、それが俺の能力だ。
暗殺者が背中から刺すような能力だしね。
「・・・《幻惑の処刑人(イリュージョン=パニッシャー)》として、名前が売れて来たみたいですね。」
「不本意ながらね。
 とにかく、三代目、あと少しで始まるから、三代目が居ないと話にならないだろ?」
なんで、《幻惑の処刑人(イリュージョン=パニッシャー)》とか、渾名されるんだろう。
戦闘方法から、付いたんだろうけどさ、あんましに気にいらない。
もう少し汚いんだよ、俺の能力は。
「はいはい、ということで、レイティス。
 『また、いつか』、ちゃんと顔を合わせましょう。」
「ええ、『またいつか』ですね。」
でも、そのいつかが、続いたのは、ほんの数ヶ月。
もう少し、続いて欲しかったんだよ。
人とは違う俺でも、受け入れてくれる仲間が集まる場所。
迷う人の明かりのようなレイティス。


ずっとずっとは無理だろうけど、続いて欲しかったね。








+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++


某所より再録。

これが四番目。


裏設定一部つらつら&書き中のお話メモ

2012-12-05 18:19:06 | 徒然に
ええと、ディスティア関係整理してたら、辻褄合わないのです。


具体的には、BASARA逆トリルートとナシルート。
問題は、ガンダム種混合。
なんで、別ルート扱い。
なので、多分、描写につじつま合わないです。
と言うか、多分、逆トリで言う今時分(12年4月)に飛んでるはずなんですけどね。
そんで、ついでに考えた。
冬の夜長に、何考えてんだか(笑)
一応、真面目に考えた。






ディス嬢が一番最悪に壊れたらどうなる?と。


ディスティアは、一応、作者認識と言うか、 設定上、壊れてます。
と言うか、決定的だったのが14歳の時のエリスと20歳の時の宵颯。
それ亡くして(つ-か、殺されてだな。)、病的なまでに、「身内(友人含む)の幸せ」を望むようになった感じ?
ちなみに、「狂う」は「病巣」で、「壊れる」は「壊死」みたいな?
「狂う」は引き返せるけど、「壊れる」は無理みたいな?
個人的には、金田一少年の高遠みたいな感じかなとかなんとか。
それに、二十歳ぐらいから行方不明の彼氏さん、真面目な話いつ死んでもおかしくないし。(ノリで言うなら、単身で南米に逃れたナチ残党を一人で潰そうとしてるようなもんだ)
んでだ。
派手派手しくないからかわかりにくいが。
ディス嬢・・・つか、『ディスティア・メイベル=エンデファング・ヴァリード』は、ある意味で彼女自身の人生生きれてるのかねぇ、と思うのですよ。
だから、私は転生肯定派ではるが、記憶継承否定派なわけです、はい。
前にもちょっと言ったけど、他人(前世以前ってもね)の記憶継承して、無垢でいられるほど、人は強くないしにゃ?
多分、誰か身内が、誰かに殺された時点で詰む、かな。
そういう系の戦闘を書いてないからだけども、ディス嬢がブログで一回だけ言っている下の言葉。

≪我救わねばならぬ 必然故に救いたいものあり。
 封印されし≪魔魅了の声(シエオ-ルフィ-アヴォイス)≫を我の意志と祈りにて 解き放たん ≪解放(リリ-ス)≫。
≪我、心望まぬままに力を 余力を残さずに ≪第一段階解放(ファ-スト・リミットリリ-ス)≫
≪我、今代の≪歌乙女≫にして、≪御伽噺≫を葬る者なり ≪第二段階解放(セカンド・リミットリリ-ス)≫
≪我が望むるは、ただささやかにして、唯一なり ≪第参段階解放(ファイナル・リミットリリ-ス)≫


更に、前後いっこづつ存在している呪文。(設定はしてあったんだよね、うん。)
ちなみに、≪第二段階解放(セカンド・リミットリリ-ス)≫で髪色が血のような鮮紅色に銀色をまぶした感じの色に、≪第参段階解放(ファイナル・リミットリリ-ス)≫で瞳も真紅に銀色をまぶしたような色になる。
一応、本気に一応、逆トリで佐助が言及しているけれど、ディスティアの元々の生来の髪の色は、黒。
瞳の色も、夕焼け系の暗いオレンジではなく、青系である。
両親のレンシェルマが、黒髪だったりする辺り、或いは、他の姉や弟妹がそれを証明しているし。
うん、アルトも、白髪にオレンジキャンディ色だが、同じ理由で人間として異端の色なわけだ。(元々は、スレイ二次を家族パロにしたからなんだが、つまりは後付け設定だけど。)
だけど、濃いめの水色に銀色混ぜた金属的な淡い青銀色な髪とオレンジ色の瞳になっている。
それは、上記の≪解放(リリ-ス)≫を唱える前から変わらない、変わらないけど。
でも、幼少は黒髪青眼だった。(エイレンもそれを示唆する発言はしている。)
つまりは、今はうそっちゃ嘘。
封印自体は、義兄のシャアル(姉・ファランの旦那の兄)の手であるけれど。(《御伽噺の幽霊》ではないが詳しい人。)
彼自身も、人の範疇ではあるけれど、それでも『異端』であったから。
ディスティアの運命がそれを許しはしないだろうけど、それでも、『普通』の『人生』を歩んでほしかった。
子どもはそれが強いだけで、人間自体、『異端』を排斥するから。
その為の封印だったけど、年齢が長じるに連れて、≪解放(リリ-ス)≫だけでは力が漏れるのを封じ切れなくて、もう一個追加して巻完全に封印したけど、それで生き残れる・・・それで生活が送れるほど、《御伽噺ノ幽霊》は弱くないわけで・・・。
必然、無用の長物になり、≪解放(リリ-ス)≫以降だけ普段は掛けている状態。
つまりは、ディスティア、アルト、ナツメの三人の髪色瞳色は、《御伽噺ノ幽霊》関係。
KAKINAGURI時代のカインとか、栄太郎の髪色もその範疇(ブログには出てない。/ブログメイン時間軸では故人故)
つまりは、素(?)の黒髪青眼ディス嬢がいるわけです。
逆に、≪第参段階解放(ファイナル・リミットリリ-ス)≫ノ後の呪文はどうなるかっていうと。
おなじみの濃いめの水色に銀色を混ぜたような淡い青銀色を更に金属チックな銀色にした感じ(青みはもちろん残る)な髪に淡い水色の瞳になります。
呪文っていうか、誓いに近いけどね。
話が盛大にずれた。
ともかく、ディス嬢。
家族か身内(友人)が殺されたら、相手の一族郎党のみならず、世界まで憎んでしまうだろうな、うん。
病死だったり、治療の結果の死亡なら、まだしもね。
んで、元々、世界の誤植なのに、一族郎党を殺してもなお止まらなかったら・・・『世界』から『拒否』される。
個人解釈だけども、『拒絶』の方が、意味は濃いと言うか強いけど、『絶対に拒む』だけ。
『拒否』は『否定され拒まれる』だと思うんだ。
だから、短時間とはいえ、元々の世界に滞在できる萩行と違って、多分、ディス嬢はそうなったら、元の世界には戻れない。
んでだ、その状態になったら、ディス嬢は最悪に壊れる。
廃人の方が、周りの被害と言う意味合いでは、少ないだろうな、うん。
そして、そこまで壊れたら、抑えるのに使ってたチカラをなくすだろうし・・・そしたら、ある意味で、ディスティアは死ぬ。
正確にいえば、《歌乙女》になり果てて、人間としては死ね無くなる、ということなのかもしれない。
《歌乙女》は、今の時点では、と言うか、数千年を経て、『妄執』になってる≒力の塊なんで、髪色が、淡い青銀髪だったとしても、力の面だけなら、数倍は堅い。
『残酷ナ『永遠』ト謂ウ苦イ毒ヲ、喰ラウ覚悟』をさせられてしまうということなのです。




んでだ、ついでのついでに。
そうなったら、世界から拒否されたら、ディス嬢はどの世界に行くのか、つらつら考えた。
考えたら、『モンスタ-ハンター』の『荒々しくも眩かった数世紀』で良くない?と。
いやさ、アクションゲームだから仕方ないっちゃないけど、モンスタ-側に人格認めてねぇけど。
邪龍呼ばれてるミラボレアス。
彼って、『世界を滅ぼす』から、ギルトから討伐依頼出されるべ?(こいつとアルバトリオン以外は、人間の村砦に襲撃しても撃退クエスト)
だけどさ、龍機兵を語らずとも、ねぇ。
それにね、討伐なり、撃退クエストならまだしも、採取系クエストって人間の都合だべ?
擬人化できる設定で、ディスと絡ませたら、最高に意気投合しそう。
じゃなくても、気が合いそうだわ、男女的じゃなく、同士的に?
ディス嬢、積極的な意味合いでこそ、人間嫌いではないけど、結構、人嫌い。
例えば、担当が変わるとなったら、その社では書かなくなったりするし?
その上でだ。
龍機兵なり、竜想術なりは、ディス嬢が嫌いな範疇のこと。
少なくとも、そういう現場を見かけたら、問答無用に相手をぶっ殺す程度には。
そんでも、人間よりではないけど、一部の人間側は認めてるし、尊重はする。
肉食動物が、生きる為に食う動物を殺す程度にはね。
持ってるのが、と言うか、先ごろもらったのが、PSPの3なんで、ユクモ村の村長さんの設定をいじっても良いかもしれないとか思ってる。
某白の皇国に倣って、子どもが産める年齢までが妙齢とかね?
自分の爺ちゃん婆ちゃんのぐらいの世代なら、あの事を実感として知っていても良いとは思うし、竜人族は少数の人間、獣人族以外の総称っぽいし、多少長生きでもいいかもね。
ズレたんで軌道修正。
ボレアスよりだけど、龍より。
人間だけど、龍より。
それに、上記のように壊れて・・・一番最後の封印を解かずとも、人間とは判別しにくい。
人間生まれだけど、魂に余計な記憶が起きて、それに付随して、外見も変わって・・・それで、人間だって言えるのかなーと。
少なくとも、気配とかの意味では・・・本質的な部分では人間とは言いにくいのかもしれないですのにゃ。
自分が正しいと思えば、ハンター(モンハン的な意味で)にあるまじき、だろうが、同業者にも人間にも刃を向けるだろうしねぇ。
龍には、まぁ、それなりに懐かれるのかなぁ、とか。
色々、目に付いた龍系を画像を見てて、どれが擬人化しやすいかにゃ?とか思ったら、ベルキュロスがいいなぁと。
PSPの3には登場しないけど、世界は回るだろうし、無問題。
擬人化は露出は若干低めにして、ムスリム系の踊り子さんちっくなトップスに提灯っぽいボトムでじゃらじゃら、アクセつける?
んで、細い三つ編みを布か簪でまとめてていいかもしれない。
ともあれ、とりあえず、ミラボレアスとルーツで一本(序章チックでボレアスメイン)とギャグ設定イビルのお話を書こうかな、とか何とか。
後、ユクモ村の村長さんとのお話は書きたいかも。
イビルと村長さんの段階になって、ベルキュロス(別に名前考えるかも?)擬人化で登場かな、うん。





とあれ、次の物語にて。
・・・結構、核心なこともちらほらあるかも。