助手 「ポルシェの911が新しくなったようですね。」
所長 「みたいじゃな。」
助手 「そう言えば911の話ってしてませんでしたよね。所長、911ってどう思います。」
所長 「911か。うーん、やっぱり自動車史に残る名車中の名車に違いないし、それが発売から40年以上経ってなお、第一線のスポーツカーであり続けとるのは、驚異の一言に尽きるの。」
助手 「仰る通りですね。」
所長 「水冷になったとは言え、水平対抗の6気筒エンジンを頑なに守り続けとるのにしても、RRって今では特異なレイアウトを採用しとるのも、クルマ好きにとってこれ以上ないってくらい魅力的なんじゃろうな。」
助手 「ですね。」
所長 「ワシも昔はいつかポルシェのオーナーになりたいと思とったモンじゃ。」
助手 「『最新のポルシェは最良のポルシェ』ってよく言われますけど、所長にとって最良のポルシェって言うと何になりますか。」
所長 「うーん、やっぱり73カレラかのぉ。実際に乗り比べたワケでもないし、実物を見た覚えもないんじゃが、やっぱり特別なクルマって感じがするじゃろ。あとはスピードスターって響きも堪らんのぉ。」
助手 「ボクはスーパーカーブームの影響でやっぱり930ターボが好きですね。最近のモデルはどうですか。」
所長 「そうじゃの。ぐっとモダンな佇まいになった964なんか、安心して乗れそうでいいんじゃないか。」
助手 「964って、全然新しくないじゃないですか。もっと最近の997とか今度の991はどうですか。」
所長 「うーん、最近のはあんまり興味が沸かんのぉ。カタチもどんどん平べったくなっとるし、性能は文句ないんじゃろうけど、ワシはやっぱり古いのの方が好きじゃな。」
助手 「やっぱり。ボクもそう思うんですよ。高性能化すればするほど、911じゃなくなって行ってる気がするんですよね。」
所長 「そんな感じじゃな。」
助手 「911は911で置いといて、世界一のスポーツカーは別のクルマで目指した方がいいと思うんですよ。」
所長 「すでにそうなっとるじゃろ。カレラGTとか、今度出る918スパイダーとか。」
助手 「いや、それらは限定生産のスーパースポーツでしょ。ボクが言ってるのは量産スポーツカーでの話です。なんて言うか911って常に世界最速の量産スポーツで居続けるのが義務づけられてるって感じがするじゃないですか。」
所長 「そういうトコはあるじゃろうな。それが911の存在価値でもあるんじゃろうし。」
助手 「でも、そうしようとすればするほど、どんどん911とは違うモノになっていってしまう気がするんですよ。『最新のポルシェは最良のポルシェ』には当てはまるのかもしれませんけど、『最良の911は最新の911』とは限らないと思うんですよ。」
所長 「うーん、かもしれんが、相手があるコトじゃし、もっと上を行こうと思えば変わらざるを得んのじゃろうな。」
助手 「それはわかるんですよ。だからその役割りは違うクルマに任せた方がいいと思うんですよ。例えば、今のRRよりミッドシップの方が有利なワケでしょ。現にカレラGTや918スパイダーはミッドシップを採用してますしね。あとリアシートもなくして2シーターに割り切れば軽量化や剛性面でも有利になりますしね。」
所長 「それってすでにケイマンがあるじゃろ。」
助手 「もちろんケイマンを突き詰めていってもいいんですけど、ケイマンって911の下って感じじゃないですか。どっちかと言うとライトウェイトスポーツですしね。」
所長 「ケイマンは911に気を使っとるというか、超えるコトが許されとらんって感じはするの。」
助手 「でしょ。ですから新規車種で高性能なのをつくって世界最速を目指せばいいんですよ。で、911は、高性能化の呪縛から逃れてオンリーワンの存在になる方がいいと思うんですよ。世界一じゃなくっても911にはそれに負けない魅力がありますからね。」
所長 「うーん、言わんとしとるコトはわかるんじゃが、ワシはそうは思わんがの。」
助手 「どうしてですか。」
所長 「例えばカローラやクラウンのように同じ名前を遣い続けとるクルマでも、時代の流れとともに、デザインや構造なんかは全く違うクルマほど変わっとるじゃろ。」
助手 「ですね。」
所長 「それでも基本のコンセプトが変わっとらんから、カローラはいつの時代もカローラであり続けとるし、クラウンもまた然りじゃ。そう考えるとじゃな、911の変化なんて微々たるモンなんじゃないのかのぉ。」
助手 「はぁ。」
所長 「逆に言うと、世界最高峰を目指すのをやめて、懐古主義に身を落とす方が、よっぽど変わってしもとると言えるんじゃないのか。」
助手 「・・・・。」
所長 「そのうちエンジンがモーターに取って代わられて、911が911として存在出来ん時代がくるかもしれん。じゃがそのときがくるまで、今のやり方のまま世界最速を目指す頑固なポルシェの方が、ワシは好きじゃがの。」
助手 「でも、所長も最近のヤツに興味が沸かないって言ってたじゃないですか。」
所長 「確かにそうなんじゃが、それは今の911がダメなワケじゃなく、単にワシが高性能なクルマに興味を持っとらんのが原因なんじゃ。それにメーカーの姿勢に対してはまた違う次元の話じゃしな。」
助手 「うーん、・・・そうですか。」
所長 「考えてもみぃ、今売っとる911は出た当時とおんなじ考え方でつくられとる、言わばホンモノじゃろ。それをじゃな、昔の911を懐かしんでつくられたモンをプライドを持ってホンモノと言えるのかのぉ。そんなのを買うんじゃったら、ワシは中古でホンマモンを買う方がいいわ。」
助手 「・・・・。」
参考資料
ポルシェ911(ポルシェ ジャパン株式会社)
ポルシェ・パナメーラ(轟クルマ文化研究所)
Yahoo!グループ 轟クルマ文化研究所
所長 「みたいじゃな。」
助手 「そう言えば911の話ってしてませんでしたよね。所長、911ってどう思います。」
所長 「911か。うーん、やっぱり自動車史に残る名車中の名車に違いないし、それが発売から40年以上経ってなお、第一線のスポーツカーであり続けとるのは、驚異の一言に尽きるの。」
助手 「仰る通りですね。」
所長 「水冷になったとは言え、水平対抗の6気筒エンジンを頑なに守り続けとるのにしても、RRって今では特異なレイアウトを採用しとるのも、クルマ好きにとってこれ以上ないってくらい魅力的なんじゃろうな。」
助手 「ですね。」
所長 「ワシも昔はいつかポルシェのオーナーになりたいと思とったモンじゃ。」
助手 「『最新のポルシェは最良のポルシェ』ってよく言われますけど、所長にとって最良のポルシェって言うと何になりますか。」
所長 「うーん、やっぱり73カレラかのぉ。実際に乗り比べたワケでもないし、実物を見た覚えもないんじゃが、やっぱり特別なクルマって感じがするじゃろ。あとはスピードスターって響きも堪らんのぉ。」
助手 「ボクはスーパーカーブームの影響でやっぱり930ターボが好きですね。最近のモデルはどうですか。」
所長 「そうじゃの。ぐっとモダンな佇まいになった964なんか、安心して乗れそうでいいんじゃないか。」
助手 「964って、全然新しくないじゃないですか。もっと最近の997とか今度の991はどうですか。」
所長 「うーん、最近のはあんまり興味が沸かんのぉ。カタチもどんどん平べったくなっとるし、性能は文句ないんじゃろうけど、ワシはやっぱり古いのの方が好きじゃな。」
助手 「やっぱり。ボクもそう思うんですよ。高性能化すればするほど、911じゃなくなって行ってる気がするんですよね。」
所長 「そんな感じじゃな。」
助手 「911は911で置いといて、世界一のスポーツカーは別のクルマで目指した方がいいと思うんですよ。」
所長 「すでにそうなっとるじゃろ。カレラGTとか、今度出る918スパイダーとか。」
助手 「いや、それらは限定生産のスーパースポーツでしょ。ボクが言ってるのは量産スポーツカーでの話です。なんて言うか911って常に世界最速の量産スポーツで居続けるのが義務づけられてるって感じがするじゃないですか。」
所長 「そういうトコはあるじゃろうな。それが911の存在価値でもあるんじゃろうし。」
助手 「でも、そうしようとすればするほど、どんどん911とは違うモノになっていってしまう気がするんですよ。『最新のポルシェは最良のポルシェ』には当てはまるのかもしれませんけど、『最良の911は最新の911』とは限らないと思うんですよ。」
所長 「うーん、かもしれんが、相手があるコトじゃし、もっと上を行こうと思えば変わらざるを得んのじゃろうな。」
助手 「それはわかるんですよ。だからその役割りは違うクルマに任せた方がいいと思うんですよ。例えば、今のRRよりミッドシップの方が有利なワケでしょ。現にカレラGTや918スパイダーはミッドシップを採用してますしね。あとリアシートもなくして2シーターに割り切れば軽量化や剛性面でも有利になりますしね。」
所長 「それってすでにケイマンがあるじゃろ。」
助手 「もちろんケイマンを突き詰めていってもいいんですけど、ケイマンって911の下って感じじゃないですか。どっちかと言うとライトウェイトスポーツですしね。」
所長 「ケイマンは911に気を使っとるというか、超えるコトが許されとらんって感じはするの。」
助手 「でしょ。ですから新規車種で高性能なのをつくって世界最速を目指せばいいんですよ。で、911は、高性能化の呪縛から逃れてオンリーワンの存在になる方がいいと思うんですよ。世界一じゃなくっても911にはそれに負けない魅力がありますからね。」
所長 「うーん、言わんとしとるコトはわかるんじゃが、ワシはそうは思わんがの。」
助手 「どうしてですか。」
所長 「例えばカローラやクラウンのように同じ名前を遣い続けとるクルマでも、時代の流れとともに、デザインや構造なんかは全く違うクルマほど変わっとるじゃろ。」
助手 「ですね。」
所長 「それでも基本のコンセプトが変わっとらんから、カローラはいつの時代もカローラであり続けとるし、クラウンもまた然りじゃ。そう考えるとじゃな、911の変化なんて微々たるモンなんじゃないのかのぉ。」
助手 「はぁ。」
所長 「逆に言うと、世界最高峰を目指すのをやめて、懐古主義に身を落とす方が、よっぽど変わってしもとると言えるんじゃないのか。」
助手 「・・・・。」
所長 「そのうちエンジンがモーターに取って代わられて、911が911として存在出来ん時代がくるかもしれん。じゃがそのときがくるまで、今のやり方のまま世界最速を目指す頑固なポルシェの方が、ワシは好きじゃがの。」
助手 「でも、所長も最近のヤツに興味が沸かないって言ってたじゃないですか。」
所長 「確かにそうなんじゃが、それは今の911がダメなワケじゃなく、単にワシが高性能なクルマに興味を持っとらんのが原因なんじゃ。それにメーカーの姿勢に対してはまた違う次元の話じゃしな。」
助手 「うーん、・・・そうですか。」
所長 「考えてもみぃ、今売っとる911は出た当時とおんなじ考え方でつくられとる、言わばホンモノじゃろ。それをじゃな、昔の911を懐かしんでつくられたモンをプライドを持ってホンモノと言えるのかのぉ。そんなのを買うんじゃったら、ワシは中古でホンマモンを買う方がいいわ。」
助手 「・・・・。」
参考資料
ポルシェ911(ポルシェ ジャパン株式会社)
ポルシェ・パナメーラ(轟クルマ文化研究所)
Yahoo!グループ 轟クルマ文化研究所
でも930&964もターボルックだけがシブイって感じ方でノーマルフェンダーはそんなに良い感じしてなかったりしてます、ナローも地味ですし。
>自分もスーパーカーブームの頃に小学生でしたんで911って言ったら930と964のターボなイメージです、見た目で選べば今のより好みですし。
ですよねぇ。やっぱりポルシェと言えば張り出したオーバーフェンダーとドデカいリアウィングのターボですよね。それも911ターボじゃなくって930ターボ。
>でも930&964もターボルックだけがシブイって感じ方でノーマルフェンダーはそんなに良い感じしてなかったりしてます、ナローも地味ですし。
これが大人になるにつれ、ターボよりもカレラ、リアウィングもない方が、好みに変わってきたんですよ。
ただナローまでいくと、356と同じ感じのクラシックに見えるんですけどね。
911の場合を見てみますと、構造が変わらない部分はある意味コンセプトを変化させた結果だと思われます。
初代当時の必然性合理性からなるRRという駆動方式が時代を経て趣味の道具へと、手段が目的化するような逆転現象の結果、命脈をつないできた商品です。、
言ってみれば、「世界最高峰を目指す」のと「懐古主義」を両立させた奇形のクルマなのだと思います。
「出た当時とおんなじ考え方でつくられとる」スポーツカーであったら、911はとうに消えているはずでしょう。
新型ボクスターの方が好みかな。どっちにしろ、かなりお高くて遠くから眺めるだけですが。
>構造が変わってもカローラがカローラでありつづけているのは、記事中で指摘されているとおり、「基本のコンセプトが変わっとらん」からでしょう。
>911の場合を見てみますと、構造が変わらない部分はある意味コンセプトを変化させた結果だと思われます。
>初代当時の必然性合理性からなるRRという駆動方式が時代を経て趣味の道具へと、手段が目的化するような逆転現象の結果、命脈をつないできた商品です。、
言われてみると確かに手段が目的化してますよね。
>言ってみれば、「世界最高峰を目指す」のと「懐古主義」を両立させた奇形のクルマなのだと思います。
奇形と言うと聞こえが悪いですが、どちらも両立させたという意味では特異な存在なのかもしれませんね。
>「出た当時とおんなじ考え方でつくられとる」スポーツカーであったら、911はとうに消えているはずでしょう。
仰る通りかもしれませんが、ボクが思うにポルシェ(メーカー及び携わる方々も含めですが)は、今でも本気でRRという駆動方式が最良だと考えてるんだと思うんですよ。
(単純な速さだけじゃなくって、居住性を含めたロングツーリングなど全般でという意味で)
それは過去の実績からくる意地なのかもしれませんし、創業者や当初の開発者への敬意の気持ちからくるモノかもしれませんが。
RR(もしくはリアエンジンの四輪駆動)のままで、世界最高のパフォーマンスを実現し得るうちは、懐古主義ではなく、最高の性能を求めた結果と言えるのかもしれません。
>デザインとして見ると、正直あまり心に響かないですね…。
正直言ってボクもそうですね。
>新型ボクスターの方が好みかな。どっちにしろ、かなりお高くて遠くから眺めるだけですが。
ですね。元々庶民にとって、ポルシェってそういう存在ですからね。
しょっちゅう見掛ける方がどうかしてるんですよ、きっと。
>ボクが思うにポルシェ(メーカー及び携わる方々も含めですが)は、今でも本気でRRという駆動方式が最良だと考えてるんだと思うんですよ。
>それは過去の実績からくる意地なのかもしれませんし、創業者や当初の開発者への敬意の気持ちからくるモノかもしれませんが。
最良とは考えてはいないと思います。
911の代わりとなるような力あるイメージリーダーとしての商品を作れなかった失敗による結果だと思います。
ポルシェファンが求めたのはポルシェの正しい進化ではなく、911のキャラクターであるデザインやRRという「懐古主義」に敗北。
「頑固なポルシェ」としての現行911ではなく、むしろ「頑固なポルシェ」を貫けなかったというのが現実でしょう。
だから未だに911です。
また、過去の実績からくる意地や創業者開発者の敬意が現行911動かしている、というのが事実なら、それはそれでポルシェ自身に一種の「懐古主義」が存在することを認めるようなものでしょう。
>最良とは考えてはいないと思います。
>911の代わりとなるような力あるイメージリーダーとしての商品を作れなかった失敗による結果だと思います。
>ポルシェファンが求めたのはポルシェの正しい進化ではなく、911のキャラクターであるデザインやRRという「懐古主義」に敗北。
>「頑固なポルシェ」としての現行911ではなく、むしろ「頑固なポルシェ」を貫けなかったというのが現実でしょう。
>だから未だに911です。
うーん、言われてみればそうかもしれませんね。
928がポルシェのフラッグシップとなるべくFR、V8で登場しましたが、結局一代限りで消滅してしまいましたよね。
(928がラグジュアリークーペじゃなくって、もっとスパルタンな性格であれば、また違ってたかもしれませんが)
ユーザーが選んだのが昔ながらの911であって、それにポルシェが応えた結果が911の更なる高性能化なのかもしれませんね。
>また、過去の実績からくる意地や創業者開発者の敬意が現行911動かしている、というのが事実なら、それはそれでポルシェ自身に一種の「懐古主義」が存在することを認めるようなものでしょう。
これはですね、「昔は良かった」って言うのが「懐古主義」とするなら、現在進行形で「開発者の発想は今でも十分通用する」ってコトを証明し続けてるのは、昔を懐かしんでるんじゃないと思うんですよ。
それが創業者一族に対する敬意であり、ポルシェの意地なんじゃないでしょうか。
(そのためには、ターボに四駆にDOHCと何でもアリなワケですが)
海外の多くの雑誌では997は走りの面ではFRのライバルを打ちのめしていました。
911って安定性はともかく、上手い人が操ればFRより速いのでしょう。
しかし997はモデル後半でR35やR8にコテンパンやられてしまいました。
991は高級車的要素が強くなったターボはともかく、
ハードコアモデルである筈のGT3のMTが消えたのが衝撃であります。
わざわざ新造した7速MTがカレラだけなの?
そりゃ確かにどんなに上手い人が操るMTよりPDKの方が早いでしょうけど。
ライバルの全幅が旋回速度向上の為のトレッド拡大のせいかどんどん広がっているのに、
依然として1800㎜前半に留まっていられるはやはりフロントが軽いからこそ成せる業でしょうな。
実際パナメーラは1900㎜超なのでもし911がFRだったら今頃間違いなく1900㎜超となっていたでしょう。
何としてもクラスNo1の走り+取り回しの良いサイズ・最小回転半径+子供しか座れないとしてもやっぱり後席はあるべき
これらを複合的を考えるとRRは正しいと思い続けるのも悪くはないんじゃないでしょうか。
「これが正解」っていうのでは面白くないですからね。
各メーカーそれぞれに違った考え方があり、ユーザーがそれらの中から自分に合ったモノを選ぶ。
そう考えるとポルシェの最高峰の911が、今でもRRであり続けるのは非常に喜ばしいコトですよね。