フォード・エクスプローラー

助手　「フォードのエクスプローラーですけど、どう思います。」

所長　「ああ、最近追加で新しいエンジンが載ったとか言うとったのぉ。」

助手　「エコブーストって言う凄いのが出たんですよ。なんと2リットル・ターボですよ。」

所長　「別に2リットル・ターボが凄いとは思わんが。」

助手　「いや、2リットル・ターボが凄いんじゃなくって、全長5m、全幅2mもある巨体のエクスプローラーに2リットルのターボを積んで出したのが、凄いって言ってるんですよ。」

所長　「ああ、そういう意味か。」

助手　「先代のエクスプローラーのエンジンが、V8の4.7リットル、廉価版でもV6の4リットルを積んでたのを考えると、ターボ付きと言えども排気量が半分の2リットルになったのは事件じゃないですか。」

所長　「事件は大袈裟じゃけど、確かに思い切ったコトをしてきたのぉ。」

助手　「でしょ。ガソリンが水よりも安いとか言って、これまで排気量は大きければ大きいほど偉かったアメリカが、ですからね。」

所長　「まぁ、カリフォルニアを初めとして、どんどん締め付けが厳しくなっとるからのぉ。いつまでもガソリンをがぶ飲みしとるワケにもイカンのじゃろ。」

助手　「ですよね。あとボディもモノコックになってますし、プラットフォームはトーラスと共用のFFベースですから、一気に世界の潮流に合わせてきたって感じですよね。」

所長　「ん、それはSUVとしてはプラスとは限らんじゃろ。ま、SUVもオンロード主体の時代じゃし、問題ないんじゃろうけど。」

助手　「なんかあんまり反応が良くありませんね。やっぱりアメ車はお嫌いですか。」

所長　「別に好きとか嫌いとかの問題じゃなくって、そんなに大騒ぎするほどのコトとは思えんだけじゃ。」

助手　「そうですかぁ。これまでのアメ車のイメージからガラッと変わってきてると思うんですけど。」

所長　「それはわかっとるわ。ようはそれだけ今までが世界の流れから大きく離れとったってコトじゃろ。それが足並みを合わせてきたってコトじゃろ。」

助手　「それはそうですけど、でも日本車でもこのクラスに2リットルを載せてるのなんてないワケですし、一気に追い抜かれてると思うんですよ。」

所長　「うーん、確かにダウンサイジングでは欧米メーカーに比べて目立った動きは感じられんのぉ。」

助手　「でしょ。フォルクスワーゲンの1.4リットル・ターボに始まって、ベンツのEクラスのE250も1.8リットルターボに変わってますし、BMWの328iのエンジンも2リットル・ターボになりましたしね。」

所長　「国産で言えば、クラウンに1.8リットルを積んどるようなモンじゃからのぉ。確かにインパクトはあるんじゃけど、そのやり方じゃないとダメってワケでもないじゃろ。」

助手　「どういうコトですか。」

所長　「つまりじゃな、燃費をよくする方法はいろいろあると言うコトじゃ。国産車がチカラを入れとるハイブリッドもそのひとつじゃし、ディーゼルエンジンなんかもあるし、マツダやダイハツが進めとるような従来のままで効率を高めるってのもアリじゃろ。」

助手　「そうですね。」

所長　「それをじゃな、エンジンのダウンサイジングに取り組んどらんから、国産メーカーが欧米のメーカーに比べて遅れとると言うのは、いささか乱暴なんじゃないのかのぉ。実際、データを見る限りはムラーノの2.5リットルの方がよっぽど燃費がいいからの。」

助手　「でもムラーノとはサイズがひと回り違いますし、ムラーノの2.5リットルでは重量級のエクスプローラーには非力でしょ。」

所長　「じゃったら、エクスプローラーも小さく軽くつくるって手もあるじゃろうが。デカいからパワーが必要っていう考え方自体、問題があるんじゃないかのぉ。ま、そうは言っても全米で一番売れとるSUVじゃから、従来のままの広さやパワーを維持して燃費を良くしたいってのもわかるんじゃが。」

助手　「欧米のダウンサイジングって、ボディサイズを大きくして、パワーも増やしてきますよね。」
所長　「今の便利さを捨てられんのじゃろうな。結局足し算でしかモノを考えられんのじゃろうな。ワシはミライースの考え方の方が好きじゃがな。」

助手　「そうですか。」

所長　「あと、ハイブリッドなんかじゃと高くつくから、トップグレードに設定されるコトになるんじゃけど、低排気量ターボは従来のエンジンと置き替えとるじゃろ。それもより普及する廉価版に採用しとるのはいいと思うんじゃ。」

助手　「じゃあ、やっぱり国産車ももっと取り組んでもいいんじゃないですか。」

所長　「ま、選択肢は多いに越したコトはないしの。」

助手　「ですね。あとエクスプローラーのデザインですけど、とてもアメ車とは思えないですよね。まるで欧州車のような緻密な感じがしますよね。」

所長　「この間のグランドチェロキーもそうじゃったけど、これまでの大らかと言うか、ゆるい感じのデザインから、凝縮感のあるモノに変わってきとるのぉ。エクスプローラーも写真で見とる限り、5mもあるクルマには思えんしの。」

助手　「言えてますね。」

所長　「GMのシボレーなんかも世界戦略にチカラを入れとるようじゃし、これから北米メーカーが面白いかもしれんのぉ。」

助手　「ですね。」

所長　「ただ、欧州車みたいなアメ車に魅力があるかどうかが、気になるところじゃがな。」


参考資料
フォード・エクスプローラー（フォード・ジャパン・リミテッド）
フォード・クーガ（轟クルマ文化研究所）
ジープ・グランドチェロキー（轟クルマ文化研究所）

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