釋超空のうた (もと電子回路技術者による独断的感想)

文系とは無縁の、独断と偏見による感想と連想と迷想!!

及び釋超空のうたとは無縁の無駄話

雑談:『ラインの黄金』(ワグナー)

2013-12-24 15:48:28 | その他の雑談
年末と云えば、私はベートーベンの九番でも紅白でもなく掲題の楽劇である。
今年の締めくくりとして此処に書いておこう。
さて来年の年末が私に果たして訪れるかどうか・・・
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私にとっては初めて観たワグナーの楽劇だったので今でも、それを印象深く覚えている。なにごとも初体験というものは、良くも悪くも自身の嗜好を決めてしまうものだが、私にとっては、特に『指輪』の『ラインの黄金』が素晴らしかったので、その後TVで観た他の人の演出のものは物足りないものを感ずる。

特に半神ローゲ役がそうだ。パトリス・シェロー版『ラインの黄金』の半神:ローゲ役のハインツ・ツェドニクは私の大のお気に入りになってしまい、他の人のローゲは物足りないものを常に感じている。

『ラインの黄金』に登場する「神」たちのなかで特に魅力的な登場者が火の神( といっても半神だが )であるローゲなのだ。ものの本によると、ローゲ(Loge)の語源は、Luge(嘘:但し、uにはウムラウトが付く。)だそうだ。

このローゲは火と策略と嘘の神で、トランプのカードでイメージすると、あの「ババ抜き」の「ババー」のジョーカーに似ている。あるいはメフィストフェレス。あるいは皮肉屋の子悪魔。もしくはピエロ。「神」から見下されている半端モノの最下位の神:「半神」。これが、『指輪』で一番魅力的な(半)神だ。

このパトリス・シェロー版では、ローゲは「せむし」姿の黒装束で登場する。長身にして細面(ほそおもて)で痩せ型のハインツ・ツェドニクは、まさに適役だった。

この『ラインの黄金』での特に印象的は舞台は、豊饒と愛の女神「フライア」が羽織っていた白い絹状のショールをローゲが奪い、そのショールをローゲ自身にまとわらせ歌唱する場面。この場面は「アルベリヒ」が「愛」を捨てて「黄金」をラインの乙女たちから奪った、その「いきさつ」を語る舞台だが、これが実に良かった。勿論、音楽も。

白いショールと言えば、母なる大地の奥に住む・知恵の女神「エルダ」が登場する場面も実に良かった。白いショールを、ほぼ全身にまとい、「エルダ」が「ヴォータン」を説得する場面の神秘的な雰囲気の良さ。まさにワグナー的陶酔感を味わえる。

しかし、やはり極めつきは、この『ラインの黄金』の最後の場面だ。舞台の遠くからラインの三人の乙女たちの透明な合唱が聞こえるなか、ヴァルハラ城へと向かう神々に背を向け、ローゲだけが不思議な微笑をたたえながら舞台のカーテンを引いていき舞台を終わらせる。この最後の箇所こそ、ワグナーの音楽特有の媚薬的な陶酔感をひたることができる。シビレルとはこのような体験を言うのだろう。

私はこの『ラインの黄金』を大いに気に入り録画したのだが、あの頃は私はベータ機器で録画していたので、結局その録画を、その後観ることはできなかった。それまで無念の思いを続けていたのだが、一昨年、パトリス・ショロー版の『ラインの黄金』のDVDで発売されたので、すぐ購入したのだった。勿論、すぐ観た。またまたシビレタものだった。おお、ハインツ・ツェドニクよ!!

大変嬉しい再会だった。

雑談:『カティンの森』の教訓 

2013-12-21 14:56:56 | 釋超空の短歌
先日、NHK BSでアンジェイ・ワイダ監督の『カティンの森』(2007年)が放送されたので録画しておいた。昨日、観たが、途中で頭痛がしてきたので全部観るのを放棄した。が、録画そのものは破棄していない。当方の気力が出てきたら、その際、継続して観るつもりだが果たして、どうなるやら・・・・

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スターリンといい、ヒトラーといい、他にも大勢いるだろうが、こうも大悪党となると言語を絶し、小生のような気の弱い人間は目がくらみ、大英雄と区別できなくなってしまう。

『カティンの森』の教訓。『アウシュビッツの教訓』。『ヒロシマの教訓』・・・・
その他、人類史上無数にあるに違いないジェノサイド等の教訓。それは何か?

ミもフタもない回答は・・・事実其れしか回答はないだろうが・・・人類という種の病理に結局、帰着する。『ホロン革命』(アーサー・ケストラー著、工作舎)のプロローグに書かれていることこそ、人類という種の病理として私は首肯せざるを得ない。

雑談:A.タルコフスキーの映画音楽CD

2013-12-20 09:34:50 | 釋超空の短歌
私はA.タルコフスキーの映画ファンの一人だが、彼の映画のサウンド・トラック版CDを私は愛聴している。

このCDのタイトルは『SOLARIS,THE MIRROR,STALKER』だから、このタイトルの彼の映画での音楽がCDに13曲収められている。作曲者は全てE.アルテミィエフ。

その中でも私のお気に入りは「STALKER-TRAIN」「STALKER-MEDITATION」の2曲。

前者はタルコフスキーが亡くなった時、NHK・TVでの追悼番組で武満徹が褒めていた曲で、此の曲がBGMとなっている「STLKER」での映像は私の最も好きな映画映像の中の一つ。

後者「STALKER-MEDITATION」は、私の最も好きな映画音楽の中の一つ。

http://www.youtube.com/watch?v=pP1QXKbhqr4

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以前、2CHで話題になったことだが、タルコフスキーは映画撮影において、馬を実際に殺したそうだ。そして殺した馬は映画撮影スタッフ一同、食べてしまったそうだ。

事実かどうか私は知らないが此の件の正当性の当否が話題となった。

タルコフスキーが生きたスターリン圧政下の時代背景を考えると、タルコフスキーや彼の映画を、単純に「崇める」ことは、あまりに甘いというか「平和ボケ」と言われても仕方ないかも知れない。

雑談:ネアンデルタール人の『死の発見』

2013-12-19 13:37:52 | その他の雑談
ネアンデルタール人の埋葬が改めて確認されたという。

http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20131217001

ネアンデルタール人が埋葬という行為をしていたということは、彼らは『死』というモノを知っていたことを意味している。

彼らが其の『死』について、どのような概念をもっていたかは私は知らないが、『死というモノがある』ということは少なくとも認識していたようだ。

ホモ・サピエンス・・・ネアンデルタール人以降の人類・・・以外の生物でも恐らく『死』というモノを認識している生物は私は存在するのではないかと推測するがどうであろうか?

即ち、埋葬という行為をする生物はホモ・サピエンスだけだろうか?

私の勘違いかも知れないが、象が埋葬と似たような行為をするという記事を見たような記憶がある。

もし其れが事実ならば象は『死』という概念を、ホモ・サピエンスほど明瞭ではなくても持っていることになる。

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アーサー・ケストラーは彼の著書『ホロン革命』で、ホモ・サピエンスの先天的病いとして彼らの・・・ということは我々人類の、ということだが・・・『死の発見と其の拒絶』について書いている。

『死の発見』が、どうしてホモ・サピエンスの先天的病いとなるのか、興味がある人は其の著書を読んでもらいたいが、アーサー・ケストラーの説が正しいとすれば人類の祖たるネアンデルタール人は既に先天的病いを背負っていたことになる。

そういう意味で此の記事は私には興味深い。

雑談:涙活(ルイカツ)って?

2013-12-17 09:59:55 | 釋超空の短歌
テレビをみていたら、当今ルイカツなるものが流行っていることを報じていた。

ルイカツ? 

いったい何のことかと思ったら、涙活と書いて、みんなで集まって積極的に涙を流してストレス解消しようという活動なんだそうだ。

テレビでは、若い男女が集まって映画だか何だかを見て一緒になって泣いていた、その「活動」を映していた。

こんな「活動」が当今流行っているのかと私は驚いたが、試しにネットで検索したら出てきた。

http://www.ruikatsu.com/

テレビでの解説によると、ただ泣くだけではダメで共感をもって泣かなければ「効果」がないとのこと。悔し涙ではダメなんだそうだ。

共感して泣くと副交感神経がより活発に働きストレス解消になるとのこと。それも一人密かに泣くよりも皆んなと一緒になって泣くと、より効果があるのだそうだ。

何かに共感してシミジミと涙を流せば気持ちがスッキリすることは今更言われなくなくても先刻承知なことだが、その行為を皆で集まって、まるで『泣きましょう会』みたいな活動があることや其れを涙活と称したりすることは、いかにも現代風ではある。

子供や女どもが集まって泣くのは、まぁイイが、いい歳こいた男どもが集まって泣く光景は私には異様に見える。

私の世代では男は泣くものではないというのが不文律であった。

しかし若造たちが化粧するらしい当今であるから、男どもも集まって、さめざめと泣きあうのは時代の趨勢というものかも知れない。

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昔、邦画全盛の頃、母親・娘が無情にも離れ離れになるというお決まりのストーリーの映画が流行った。

母親役は常に三益愛子で、娘役は常に白鳥みずえだった。 彼女たちを知っている人は今や稀有だろう。

このテの或る映画の立看には『三度泣けます』と書いてあった!!

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私が泣いたのは、さて、いつだったろうか。思い出せない。