その晩は、ぐっすり眠るつもりで、寝酒に焼酎の水割りを一杯のんで、念のためケータイ電話を枕元に置いて眠りにつきました。幸い昨日の不眠のせいか、朝まで目を覚ますことなく寝ることができた。しかし、家内に言わすと、いびきがうるさく、寝言を言っていたそうです。酒を飲むとよけいにうるさくなると言うのです。ワシには全然記憶にないので、他人事のように聴いていましたが、そのことではっと気がついたことがあったのです。以前から、気になっていたのですが、寝ているときのいびきが時々止まって静かになるときがあるというので、ひょっとして、呼吸が止まっているようなことがなかったか、家内にたずねると、そうかもしれないと言うではないか。やはりこれは、睡眠時無呼吸症ではないかと判断したのです。以前から、昼間眠くなったり、集中力がなくなったりと自覚症状はあったのですが、さほど気にすることもないと思い、そのままに放置しておいたのです。けれど今回の金縛りはちょっと異常ではないかと思い、この際医者に見てもらうことにしたのです。市立病院に睡眠時無呼吸症専門の内科があることは前から知っていたので、早速その次の日に、病院へ行きました。その日はアンケートや問診だけでしたが、1週間後、検査入院して、睡眠時の呼吸のデータをとりました。呼吸器内科の専門病室というのがあって、普通の病室とちがって、防音壁に大きな監視カメラが付いて冷房も専用機が備わった部屋で、もちろん個室です。睡眠を邪魔しないような配慮がしてあります。その部屋で一泊いたしました。その結果はやはり、睡眠時無呼吸症候群でした。全無呼吸が26回あり中等症~重症であると宣告された。予想した以上の悪い結果でした。医師のはなしによると、気道が細いので詰まり易く、苦しくなるのは、酸素が脳に送られなくなって、いわば酸欠状態になり、呼吸を復活させるときに起きるものらしい。いわゆる金縛りという状態が無呼吸の状態で、酸欠によって、脳が反応するまで、続くのだそうだ。初めて知りました。つまり金縛りは霊のせいで起きるのではないことがはっきりした訳です。それから酸欠による、幻覚、幻聴というのは、ワシの場合ないのですが、たぶん、見えないものを見たという人は、半覚醒時にはありうると思います。高所登山で、酸欠になると、幻覚や幻聴がおきることは、よく知られております。枕元に立った祖父とKさんは夢か幻覚わかりませんが、つじつまがあう話しです。また、特徴的な症状として、足の異常があるそうです。寝ていると、足が意識せずにピクピクうごいたりするそうです。この症状は、言われてみると、しびれみたいな、ムズムズ感とともに、足に刺激が走るような感じはありました。また、ワシの場合は、心臓の不整脈があります。これが以前から気になっており、ヒマラヤへ行く前に、わざわざ、そのために、循環器病院で16極MRIの検査をしたくらいです。しかし心臓自体には問題ないということでしたので、一応は安心しておりましたが、原因は、これでした。酸欠によって、脳が休まらないので、交感神経と副交感神経の切り替えが乱れるのです。自律神経がおかしくなるのです。その症状として、不整脈がでることがあると書いてあった。さらに重大なことは、こともあろうに、インポテンツになることもあるらしい。ヤバイですね、怖いですね、昼間眠くなりませんか?集中力がなくなっておりませんか?記憶力が落ちてませんか?不整脈がありませんか?そして、血圧が高くありませんか?インポテンツになってませんか?たかがいびきと侮っておりませんか?睡眠時無呼吸症候群はいろんな悪さをしております。寿命は平均すると30%ぐらい短くなるそうです。ワシも今まで、こんなことは知りませんでした。諸悪の根源はこれでした。心当たりのある方はぜひ一度、診察してみてください。いびきをかくあなた。要注意です。
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