碧空の下で

人生の第四コーナーをまわって

一編の詩を理解する人は

2010-01-14 11:06:06 | 詩、漢詩、その他読書感想
一編の詩を理解する人は  
  
  面倒を起こすだろう


一編の詩と共に生きる人は  
  
  孤独に死ぬだろう


二つの詩と共に生きる人は
  
  どちらかの詩に不実になるだろう


一編の詩を頭で考える人は
  
  未熟な詩を手にするだろう


二つの詩を頭で考える人は

  二つの未熟な作品を手にすることになるだろう


書くときに頭に王冠を載せている人は

  正体がすぐにもばれるだろう


書くときに頭に王冠を載せていない人は

  自分を欺しても他人を欺さないだろう


一編の詩に怒りだす人は

  男たちに軽蔑されるだろう


一編の詩に怒り続ける人は

  女たちに軽蔑されるだろう


公然と詩を非難する人は

  靴を小便でびちゃびちゃにするだろう


権力のために詩をあきらめた人は

  権力を気兼ねなくふるうことだろう


自分の詩を自慢する人は

  馬鹿者に愛されるだろう


自分の詩を自慢して馬鹿者を愛する人は

  もう二度と詩は書けないだろう


自分の詩に楽しみを拒む人は

  知性の鈍い人だろう


自分の詩を読んでくれとせがむ人は

  月夜の間抜けだろう


自分も詩を書いて仲間の詩を賞める人は

  うるわしい権威を手に入れるだろう


自分も詩を書いて仲間の詩をやたらと賞めるひとは

  うるわしい権威を落っことすだろう


他の人の詩に文句をつける人は

  心臓が倍に膨らむだろう


自分の詩をすっ裸にする人は

  死を恐れるだろう


死を恐れる人は

  詩が護ってくれるだろう


死を恐れない人は

  詩が護ってくれるかどうかわからない


一編の詩を書き終えた人は

  虚しくなって風呂にはいるだろう
  そのあと白紙がキスしてくれる


   マーク・ストランド「ニュー・ポエトリー・ハンドブック」

北アメリカの詩について述べているのですが、

詩は愚か者によって作られる
大いなる賢者は一本の木をつくる
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