明日につなぎたい

老いのときめき

奥飛騨旅情

2016-05-24 19:54:10 | 日記

 ひととき、世事を離れる。”五月雨”の17日午前、わが夫妻は、孫の運転で奥飛騨・穂高に向かった。高山市を通過して山道をひたすら走る。新穂高ロープェイは雲の中。終点に到着したが、ガスに包まれて何も見えない。北アルプスの山々を眺めるのが楽しみだったのに。昼めしを済ませて浮かぬ気分で山を下る。宿に着くや運転疲れの孫はごろりと横に。貴重な休暇を我々のために。何か済まない気がした。だが、夕食は年寄りには食いきれぬ御馳走を代わって食ってくれた。その元気さにほっとした。

 

 翌18日は”五月晴れ”だった。高山市の散策を始めたが、前日の無念さが消えていない。「一体、何しにきたんやろ」「昨日が今日みたいな天気やったら」。胸の内でぼやいていた。孫がこの気配を察したのだろう。いきなり声を出した。「もう1回、穂高に走ろう!」。私の心ははずんだ。「よっしゃ、行こう!」。再び山道を走る。陽光に映える新緑が快い。展望台から雄大な北アルプスの山々を眺めた。念願達成!老いた年金生活者でも、つつましく暮らしておれば楽しいことに巡り合えるのだ。公金を使って豪勢な日々を過ごす東京の知事らは楽しいのだろうか。


沖縄の無念

2016-05-21 18:35:17 | 日記

 

 老いた年金生活者でも、つつましく生きておれば楽しいことにも巡り合える。こんな自己体験を書くつもりだったが、とんでもない悲劇に出会い、一瞬、その気が失せてしまった。「沖縄うるま市の20歳の女性が首を絞められ、ナイフで刺され、遺体となって恩納村の雑木林で発見された」という悲報である。加害者は米軍の軍属・元海兵隊員だった。この惨事を報じる地元紙も「パソコンを打つ手が震えた」という。激しい怒りと哀しみを抑えられなかったのだろう。私も同じ心境でパソコンに向かっている。自分の二人の孫の顔が脳裏をよぎった。

 

 米軍基地あるがゆえの悲劇である。未来に夢も希望もある若い女性が、凶悪な米軍関係者によって無残に命を断たれた。日本国内に起きた残酷な大事件として、敏感に受け止めたいものである。政府は米軍関係者の犯罪があるごとに、再発防止、綱紀粛正を求めると言ってきた。そうなったためしはない。聞き飽きた科白である。しかも、辺野古新基地建設強行の姿勢は崩さない。私は、そこに政府の卑屈な対米姿勢と、沖縄への冷酷非情さを感じた。米軍犯罪をなくすには基地を撤去させるしかない。自明のことではないか。

 

 情けないことだが、安倍政権の周りには、戦後の日本は米駐留軍によって守られてきたという珍論、愚説を吐く人物がいる。こう言う人は「日本が平和でいられたのは、憲法9条があるからだ」という正論を侮辱し敵視する。米軍が日本から出ていったら危なくなると中国脅威論を持ち出し、米軍に大枚の金を払ってでもいてもらいたいという。だが、米軍は日本を守るためにいるわけではない。米国のアジア・世界戦略として、自らの国益として居座っているのだ。米軍犯罪の温床はここにあるのではないか。


うんざり !東京の知事

2016-05-13 15:49:01 | 日記

 

 久しぶりのブログだが愉快な話ではない。最近の首都・東京の知事って何やねん!ということだ。舛添要一知事の超豪華な外遊ぶりに呆れ果てた。就任から2年間で8回の海外出張、随行員は計98名。支出総額は2億1305万円、1回平均2663万円になる。空港では貴賓室を借り上げ、航空機代はファ―ストクラス、宿泊は一泊19万円のスィ―トル―ム。要人との面談のためだと説明しているようだが、そこで面談した記録はないそうだ。都民の税金が湯水のように使われているのだ。マスコミも取り上げているからこれ以上は書かない。

 

 私は、前知事の猪瀬直樹氏を思い出した。石原慎太郎知事のもとで副知事を勤め、大阪府・市の特別顧問の経歴を持つ。彼は都知事選立候補に際して、医療法人・徳洲会グル―プの徳田虎雄代表から5000万円を借りたが、政治資金規正法に基づく報告をせず、公選法違反で起訴される。徳洲会グル―プが都内に持つ介護老人施設と病院には、都から9・2億円の補助金が出ている。この黒い関係を問われて、2013年12月に辞任する。そのあとに出てきたのが舛添要一氏である。清潔な都政を望んだ東京都民は見事に裏切られた。

 

 舛添知事は、公用車で湯河原の別荘に通っている。正月に家族で旅行しているが、会議があったとして政治活動費に計上している。今日の午後、記者会見を行ったが、寿司、天ぷら、イタリア料理などの飲食代についての収支報告を訂正し返金するという。これさえやっておけば問題なかろうという顔つきに見えた。高額の海外出張費についての釈明はない。問われて反省、見直すというだけだった。公私混同もひどいが、税金の重さ、事の重大性が分かっていない。庶民感覚ゼロだ。これからも知事を続けるという。うんざりした。


『夢幻花』を読む

2016-05-04 14:52:28 | 日記

 世間では連休という時期に、かなりの時間を費やして『夢幻花』という推理小説(東野圭吾・PHP文芸文庫)を読んだ。ある殺人事件を追う刑事が「物証からも、人間関係からも、聞き込み捜査からも、何ひとつ出てこない」とぼやいているが、読者の私もそんな感じだった。プロロ―グは、一歳の女の子を抱いた若い夫妻が、いきなり日本刀で無残に斬殺された話である。何の事件か。ハリウッドの女優・マリリン・モンロ―の謎の死に逆上した男の犯行であることが判ったのは小説の後半である。

 

 この凶悪犯罪は、黄色いアサガオの種の服用による精神錯乱が原因だった。それから50年後、あるバンドの2名の若者が種を入手し幻覚剤として飲んだ。その故か、ずば抜けた作曲ができた。だが、一人は自殺、一人は秘密を守るために、アサガオを研究する老人を殺害する。夢幻花は悲劇の種だった。この花の種は、江戸時代から使われ、さまざまの奇妙な事件を起こしていた。明治以降では、麻酔薬として、果ては警察捜査の自白剤としても検討されていた。未遂だったが、こんな事情が捜査に微妙な影を落としていたようだ。

 

 この小説の主人公は”原子力工学科”の学生である。彼の曽祖父は内務省の官僚だった。中学校の同窓だった女性から言われる。「種が完全に消えたと確信するまで、誰かが監視を続けなければならないの。それが魔性の植物を広めてしまった者の血を引く人間の義務だと思う」。彼は卒業後の進路を仲間に告げる。「俺は一生原発と付き合っていく・・問題(撤退)に立ち向かっていかなきゃ・・放っておいても消えないのなら、誰かが引き受けるしかない」。夢幻花殺人事件は解決したが、現実の大問題をかぶせた作者の気概を感じる。読み応え十分。


大学の吹奏楽・大阪市音

2016-05-02 19:32:16 | 日記

 

 5月1日は、まさに五月晴れだった。ぎらつく陽を浴びながらでも歩こうと思ったが、時間の関係で家族と一緒にタクシ―を使った。行く先は上本町の国際交流センタ―。ここで近畿大学吹奏楽部のコンサ―トがある。中学、高校の吹奏楽は6年間つきあったが大学は初めてだ。期待して会場に入ったが、私が特別に惹かれていたのは、あの有名な宮川彬良氏が指揮するということだった。曲目の紹介が愉快で、クインテットやマツケンサンバなどの演奏も軽妙、大いに楽しませてもらった。

 

 一夜明けたがコンサ―トの余韻が残っている。宮川氏が大阪市音楽団(シオン)の音楽監督をされていることに関心が向いた。2012年、当時の橋下市長が「自分らが客を探してメシを食っていけ」と、市直営の見直しを打ち出したとき、宮川氏たちは即座に反応し、市営の存続を訴えた。テレビ朝日の「題名のない音楽会」の司会でよく知られた佐渡 裕氏や、淀川工科高校吹奏楽部顧問の丸谷明夫氏ら著名な音楽家が声をあげた。この人たちが駆けつけた大阪市音楽堂でのコンサ―トが大きな話題を呼んだことを覚えている。

 

 宮川氏はシオンについて「私にとってShionは必要不可欠な音を出せる唯一無二の楽団」だと語っている。私は昨日のコンサ―トをとおして、シオンを応援した音楽家たちの情熱と正義感に改めて感動している。シオンのメンバ―から指導を受けた中学、高校の吹奏楽部員も少なくないようだ。市直営を外された苦境のなかでも、この楽団が唯一無二の存在であり続けてほしいと思う。私の手許には、シオンが出演したテレビ番組「ふたりは最高」(指揮・前田憲夫)の録画が残っている。折に触れて観ることにしている。