62年前の1952年4月28日に発効した日米講和条約で、日本の施政権はいちおう返還された。しかし沖縄は本土から切り離され、引き続きアメリカの施政権下におかれた。こんな事情におかまいなく、安倍内閣は去年、この日を「主権回復の日」として式典をやった。どういう神経なのだろう。沖縄の人たちは脳天を殴られたような気持だったそうだ。抗議のための「屈辱の日・沖縄大会」を開いた。県内外から批判が相次いだ。そして、今年は式典なし。「沖縄のことなど深く考えずに開催を決めた後、想定外に厳しい批判が起きて・・・」との政府関係者の話も流れている。菅官房長官は「今後、節目ごとに行う」と言ったが、こんなアホな式典やらない方がいい。歓迎されていないのだから。
琉球新報に沖縄八重山地区・竹富町の記事が出ている。この町は政府から育鵬社版のヘンな中学公民教科書使用を強いられているが、教育はトップレベルだという。「13年度全国学力テストでは、小学校の全教科で県平均を上回り、国語Aは全国平均を超えていた。中学校ではすべて全国平均を超え、国語Aについては全国トップの秋田県をしのいでいる。教師が子ども一人一人に寄り添い・・・学校や地域、行政も連携してしっかり教育を支えている。頑張っている小さな島を強権で押しつぶすような是正要求は断念すべきだ」。痛快な話である。私は政府・文科省に言いたいと思った。ヘンな教科書の押しつけやめろ。教育の主役は誰だと思っているのか。現場の教訓を勉強しろよ。その気がなければ教育を口にする資格はない。
この北国に春はあったのか。原発事故に合った福島を想う。事故は収束どころか進行中である。放射能の放出、拡散が止まらない。土地も空も海も汚染が続いている。6万所帯13万人の避難者、いつ帰れるのか。県の調査によれば、家族ばらばらで生活している所帯は半分近いという。悲しい話である。原発を推進し事故を招いた国は全く無責任、無反省である。原発をエネルギ―政策の基本だとし、再稼働へ、さらに海外輸出への道を進んでいる。炉心がどうして溶けたのかが未解明、使用済み核燃料の処理方法もないというのに。除染を急げ、避難者支援を、万全の健康管理を、原発ゼロへ。この世論が政治を動かす。いつか北国にも春がくる。そう信じて生きていきたいと思う。