朗報、快報である。胸のすくようなニュースが伝えられた。女性というだけで、賃金、昇進を差別してきた、大企業の横暴が断罪されたのだ。住友金属工業(大阪市)の女性社員・元社員4人が、同社を相手に差額賃金などの損害賠償を求めていた裁判で、25日、大阪高裁が総額7600万円の支払いを命じる「和解」が成立、見事な勝利をおさめたのである。内容も、一年前、女性側が勝利した地裁判決を超えている。「企業内に賃金、待遇等の男女格差が適正に是正されたとは言いがたい」「大企業で意識改革へのとりくみがすすむことは社会的にも大きな意義をもつ」との文言の入った「和解勧告」がそれを示している。
私は、去年3月末、地裁判決が報じられたとき「住金女性 誇り高くヤミに挑戦」という一文を書いた。憲法(14条)や、労働基準法(4条)は、男女差別を固く禁じている。「時代遅れ」の大企業がこれを蹂躙してきた。住金の女性たちは、この企業社会の闇、不条理に挑戦した。結果は勝利への第一歩に。その奮闘に敬意を表したのである。いま改めて感じる。男女格差、女性を最低にランクづける「闇の人事制度」を違法と断じた地裁や、今回の高裁判決をもたらした背景は何だったのか。それは基本的人権を明示した憲法の存在ではなかったか。この憲法こそが闇夜を照らす光なのだ。すべての職場に、地域に憲法あり。多くの人がそうありたいと願っていると思う。
4月25日の朗報とはうらはらの、一年前のこの日の出来事を思い出した。死者107人、負傷者555人の大惨事、JR福知山線の脱線事故である。国鉄民営化で、安全より効率優先の低コスト主義、大量の人減らし、過密ダイヤ、苛酷な労働密度、国は規制緩和で、安全対策も事業者任せ。悲劇の温床はこういうところにあった。この26日には、耐震強度偽装の関係者8名が逮捕されたが、この事件の背景も、ルールもマナーも無視した、建設業界の過剰なコスト削減競争と、政府が建築物の安全検査を民間の営利企業に委ねた、その無責任さだとの指摘がある。何故これほどまでに人間を軽んじるのか。憲法の冒涜ではないか。日本の政治は暗夜のなかにある。はやく夜明けを!