26日午後、JR大阪駅北側の再開発地域「うめきた」にある「グランフロント大阪」に行った。国内最大級の商業施設になると聞いていたから、オープンになったら見ておこうと思っていたところである。後学のためとか探訪というほどの神妙な気はない。何を買うとか食べるとかの目的もない。冷やかしか。そんな悪気もない。人混みで散策などという趣もない。何をしに行ったのか。要するにそぞろ歩き、あてもなくぶらぶら歩くだけだ。これを漫歩という。だが全くの傍観者だったわけでもない。
「うめきた」は明治初年から現代まで鉄道貨物の拠点だった。1987年の国鉄民営化で売却が決まる。この跡地はどうなるだろう。大阪の中心部に緑豊かな大公園を、多くの人が望んだことだろう。それは夢だった。関西財界は舌なめずりでこの地を狙った。「グランフロント大阪」は、三菱地所、オリックス不動産、積水ハウス、阪急電鉄など12社によって開発された。266店になるというから従業員の確保も大変らしい。この地域にはデパートも地下商店街も多い。顧客争奪戦の激化は必至。疲れ果てるのは誰だろうか。
大阪の都市開発は、関西空港関連事業や大阪湾埋め立て事業など失敗を重ねた。そのツケは庶民にまわされた。それでも公共事業の名をつけて開発をやる。競争にあけくれる資本主義の宿命だろうか。安倍内閣の成長戦略もこれだろう。アベノミクスなるものも生活実感を伴わぬ幻想でしかないようだ。株も土地も持たぬ庶民は高価なブランド品には手が出ない。円安で輸入燃料代が高騰しイカ釣り船が出ないという。豪華な施設の裏には必ず影の部分がある。「うめきた開発」は失敗しないで欲しい。私はこんなことを想いながら「フロント」の雑踏を抜けた。